長島充-工房通信-THE STUDIO DIARY OF Mitsuru NAGASHIMA

画家・版画家、長島充のブログです。日々の創作活動や工房周辺でのできごとなどを中心に更新していきます。

285. 『第2回 いきものがたり展』に出品する。  

2017-03-22 18:41:49 | 個展・グループ展


グループ展のお知らせです。

建築家で「日本のガウディ」などと称される、梵寿綱 氏の設計によるマンション、ドラード和世陀の1階にある現代アートの画廊「ドラードギャラリー・DORADO GALLERY」企画によるグループ展「第2回 いきものがたり展」に出品いたします。詳細は以下のとおり。

・展覧会名: 第2回 いきものがたり展

・会期:2017年3月24日(金)~3月31日(金) 12:00~20:00 水曜定休 ※最終日のみ18:00、まで。

・会場:DORADO GALLERY ・ ドラードギャラリー / 東京都新宿区早稲田鶴巻町517 ドラード和世陀 103 東京メトロ東西線早稲田駅出口3Aから大隈講堂に向かって徒歩5分    Tel:03-6809-3808 http://doradogallery.main.jp/

・出品作家:青柳春香/赤錦/足立房美/磯部久美子/樹ぴのあ/小川真央/小原聖史/川瀬大樹/黒木リン/小林るみ/さかもとあい/澤畑直実/すずきえつこ/竹内菜々/W☆/鳥飼規世/
橋間仁/福嶋吾然有/fumicco/堀内朗/堀内めぐむ/中西こず江/西蔭夫美子/長島充/misa/momo/RYOH/理々井華鈴/雪富士桜  

・内容:「総勢29名の作家による、生き物をモチーフとした作品展です。絵の中で展開される、たくさんの生き物達の物語をご堪能ください。」以上、DMの紹介文より。

・その他:入場料無料。

※今回、長島は動物や鳥をモチーフとした木口木版画作品4点を出品しています。大勢のグループ展のため日にちを決めての在廊はしませんが、アートファン、動物ファンの方々、この機会に是非、ご来場ください。会場となるドラード和世陀は「早稲田のサグラダファミリア」という雰囲気のガウディ建築で見応えがあります。TVのロケにも使われているこの建築も是非、画像に収めていってください。

画像は今回の展覧会DMとギャラリーの紹介カード。 





284. <プチボワ文庫>展が始まりました。

2017-03-16 17:58:37 | 個展・グループ展
13日(月)より、大阪の現代アートの画廊、ギャルリ プチボワにて<プチボワ文庫>展が始まった。僕も朝から成田空港に向かい大阪へと出発した。この時期、国内便の飛行機は格安のチケットがあり、なんとJR新幹線の半額以下となっている。

フライト時間は50分弱、あっと言う間に関西空港に到着する。空港内のレストランで昼食を済ませJRと地下鉄を乗り継いで「心斎橋」まで移動。空港からここまでは一時間ほどかかっている。先に今晩の宿であるホテルにチェックインを済ませてから地下鉄「西大橋」駅近くのギャラリーへと向かう。生れながらの方向音痴。いつものことだが地下鉄の出口を出てから自力で歩き始めたのだが、どうやら逆方向に向かっていた。レンタルビデオショップのお兄さんにDMの地図を見せ行き方を指示してもらう。

午後3時過ぎにようやく会場に到着するとすでに今回の企画者である柄澤齋さん、出品作家3-4名が先にいらしていた。挨拶もそこそこギャラリーのSさん母娘を紹介していただく。人当たりが柔らかく上品で明るい方だった。落ち着いて会場を見渡すとそこには普段の版画や絵画のグループ展とは異なる状景が広がっていた。アクリル板で制作された展示ボックスの中に所狭しと並んでいるのは、15名の参加版画家によるオリジナルのブック・カバー作品の数々だった。紙に摺られた版画をそのままカバー仕立てにしたもの、版画をコラージュして制作したもの、文学作品をイメージし直接ドローイングされたもの、そして凝りに凝ってオブジェのように仕立てた作品もある。一人が愛読する文庫本の中から3冊を選び制作しているので合計で45点の「オリジナル文庫本」が並んだわけだが、数もそうだが額装された版画にはない独特の雰囲気を作っていて、ある種の迫力さえ感じることができた。さらに壁面に目を移すと額装された版画作品が40点あまり。カバーとの合計が80点強となっていてギャラリーというよりも、さながら小さな博物館のような印象を持った。

午後遅く夕方近くになってくると他の参加作家も次々に到着、ギャラリーのお客さんやコレクターの方々、地元関西の版画家も来廊し会場は賑やかになってきた。あっと言う間に閉廊のお時間。オープニングの「祝い会」会場である隣接する鉄板焼きレストランに移動する。ここでギャラリスト、出品作家、コレクター、地元作家の親睦会となる。柄澤さんは別としてほとんどの出品作家がほぼ僕の年齢前後の人たちで、行ってみれば同じ世代。かなり久しぶりに会う人もいたが、昔話にも花が咲いた。

楽しい時間はすぐ過ぎる。このメンバーである。「せっかく大阪まで来たのだからもう一軒行こう!」ということになり心斎橋の夜の街をぶらぶらと歩き始めた。なにやら怪しげな呼び込みの大阪のお兄さん、お姉さんの誘惑を横目にようやく見つけた大衆酒場。階段を下りて中に入ってみると家庭的な雰囲気の店だった。壁にはなんとプロ野球の「横浜ベイスターズ」の応援タオルが飾ってありベイスターズやスワローズの選手のサインがマジックでたくさん書かれていた。誰言うともなく「この大阪のど真ん中、〇神タイガースの本拠地でだいじょうぶなの!?商売になるの?」という声が聴かれ余計な心配をしてしまうのだった。

最後は柄澤さんから、「この展覧会の東京巡回展を考えているんだけど、どこか書物と絡めた良い会場はないか。みんなの意見を聞きたい」ということで話し合いになる。いろいろと建設的な意見が出された中で候補地がいくつか上がった頃、すでに時間は夜中の11時を過ぎていた。良い子はもう寝る時間。けっこう飲んで酔った体を励ましつつ外に出ると3月だというのに外の空気はまだ冷たい。みんなに東京での再開を誓って握手をしてからトボトボと宿に向かうのでした。

今回、充実した企画展にお誘いいただいた柄澤齋さん、ギャルリ プチボワのSさん母娘、そして出品した版画家仲間に感謝します。

展覧会は3月25日(土)まで、ご興味のある方、京阪神地域の本好き、版画好きの方々、詳細は以下アドレスを検索してください。

ギャルリ プチボワ GALERIE petit bois http://petitbois.mond.jp 


画像はトップが会場全体のようす。下が向かって左から展覧会の看板、企画者である柄澤齋さんのカバー作品、僕のカバー作品3点、会場の様子3カット。



                




283. < プチボワ文庫>展 に出品する。

2017-03-07 18:52:27 | 個展・グループ展
グループ展のお知らせです。

大阪の現代アートのギャラリー「ギャルリ プチボワ」と画家・版画家でミステリー作家でもある柄澤 齋氏との共同企画によるグループ展<プチボワ文庫>展に参加出品します。内容は以下のとおり。

・展覧会名:<プチボワ文庫>展

・会期:2017年3月13日(月)-3月25日(土)開廊時間 11:00-18:30 / 日曜休廊/ 20日(祝)開廊

・会場:GALERIE petit bois ギャルリ プチボワ 大阪市西区南堀江2丁目13-30 サンイーストビル2階 Tel/Fax:06-6531-8436 http://petitbois.mond.jp 

・出品作家:岩切裕子 尾崎ユタカ 柄澤齋 河内利衣 木下恵介 木村繁之 永井桃子 中村桂子 長島充 林孝彦 藤井敬子 筆塚捻尚 古谷博子 安井寿磨子 横山智子

・内容:「本と版画は歴史的に深いつながりがあります。本は版画を育てた揺り籠であり、版画は本を飾り、それに触れる多くの人に喜びをあたえてきました。版画は目で見る
『ことば』でもあるのです。15人の版画家が愛読する文庫本3冊を選び、版画や、絵や、コラージュなどを駆使し、オリジナル作品のカバー表紙をつくって着せ替えました。
題して<プチボワ文庫>展。それぞれの意匠と『ことば』とのコラボレーションをお楽しみください。」 以上、展覧会DM解説文より。

・その他:入場料無料

※今回、長島は木口木版画コラージュと水彩画によるオリジナルカバー作品計3点と木口木版画作品3点の合計6点の作品を出品しています。初日3/13の16:00頃から在廊する予定です。京阪神方面の本好き、版画好き、アート好きの方々、この機会に是非ご高覧ください。よろしくお願いします。

画像はトップがグループ展DMの表面部分(オリジナルカバーの集合写真)。下が向かって左から今回出品している文庫本カバー作品からレンチェル・カーソン著「沈黙の春・Silent Spring 」のオリジナルカバー表面と裏面。


   
 
 

282. この冬はアトリのアタリ年・小根山森林公園探鳥記 その二 

2017-03-03 19:01:26 | 野鳥・自然
2月15日。カラス「カァーッ」で群馬の夜が明ける。安中市での冬の小鳥類の写真取材日2日目である。昨晩、泊まった宿はJR横川駅のすぐ近くにある「東京屋」という旅館。何故、横川で「東京屋」なのかと宿のおかみさんに尋ねると明治時代に先祖が東京から移住して来たのだという。昨日は日暮れまで寒い中の撮影取材だったので疲れも出たのか入浴後、この土地の山菜やら山女魚などのおいしい夕食で一杯やるとバタンキューと一気に眠ってしまった。

今日の荷造りをして食堂に朝食を食べに行く。朝ごはんもこの土地で取れる山菜などを中心とした郷土料理。とてもおいしい。さすがに評判の宿だけのことはある。食堂にはご主人の趣味なのだろうかモダン・ジャズのピアノトリオの曲が流れていた。食後にお茶を飲んでボーッと窓の外の妙義の山々を眺めていると山の尾根スレスレに大きな黒い鳥のシルエットがゆうゆうと飛翔している。すぐにピンときて首から下げた双眼鏡で追うと「イヌワシだっ!」日本の猛禽類の王者である。どうやら下面の羽の特徴から成鳥のようだ。しばらく尾根上を飛翔していたがそのうち尾根の裏側へ飛んで行ってしまった。今日は朝から縁起がいい。

家を出てくる時の計画では2日目は妙義湖の方面に行ってみようと思っていたのだが、昨日の小根山森林公園で出会った地元の野鳥カメラマンが「去年の暮れから林道が工事中でコースが荒れているのでやめた方がいい」とアドバイスしてくれたので今日も小根山での小鳥の取材と決定した。8:57、おかみさんに昼食のおにぎりを作ってもらい宿を出発する。昨日と同じ矢野澤の沢沿いのコースをとる。今回撮影機材が重く最後の急登で息がきれてしまったので「夕方に取りに寄りますから」という約束で取材に不必要な荷物を宿に預けて行った。おかげで身が軽くなって山道をスイスイと登っていける。地蔵堂を通り過ぎた頃、沢が二股に分かれている場所があるのだが、その右側の薄暗い沢を双眼鏡で丁寧に探していく。実は昨日の下山の時に中型のシギらしきシルエットが飛んだのである。周辺環境から見て珍鳥「アオシギ」ではないかと期待していたのだが…見つからない。沢を登ろうと思っても足場がヌカっていて進めない。あきらめて元のコースに戻る。

高速の下、「山吹の郷」と進んで行く。途中、2羽のアトリ、マヒワやミソサザイの声、カケスも飛んだ。そして最後の急登に入る。昨日と違って荷物が軽いのと足が慣れてきたせいもあってたちまち森林公園のゲート入り口に到着する。上空をタカの仲間のノスリがハシブトガラス2羽に追われて飛んでいた。10:30、鳥獣資料館に到着する。すでに30羽ぐらいのアトリの群れが飛び交っていた。駐車場では昨日と違い6-7名の野鳥カメラマンが大きな望遠レンズをセットして構えている。中で休憩させてもらう。今日は昨日世話になったY館長は休みでSさんという男性の当番の日だった。Yさん同様この人も定年組で安中市役所の任期を終えてからこの施設に入ったと言っていた。明るくてよく笑う、話好きで気さくな人だった。

さっそく撮影取材。いいカットをものにすることが良い「野鳥の版画作品」を制作する第一歩である。気を引き締めていかなければならない。今日はアトリと合わせてミヤマホオジロ(ホオジロ科 深山頬白 英語名は Yellow-throated Bunting)、そして2羽ほど来ているというマヒワ(アトリ科 真鶸 英語名は Siskin)の美しい雄を狙ってみることにした。寒さの中、待つこと一時間弱で幸運にも両種とも給餌場に出現してくれて撮影することができた。僕はカメラマンではなくあくまで鳥の絵を描く資料写真として撮影しているので普通は撮らない後姿や背面が見える角度のカットもなども撮影する。「横、正面、後…こっち向いてくれ!」などと独り言をぶつぶつ言いながらシャッターを押すのである。今日もアトリは多い。時間と共にどんどん増えてくる感じである。給餌場近くの木の枝に群れで待機していて頃合いを見て降りてくる。鳥たちもマンウォッチングしているのである。するとその木の中の大きな群れに小型のタカが僕の背後から低く飛んできて突っ込んだ。大きさからしてハイタカかツミだろう。その瞬間、驚いたのはアトリたちでザーッっと羽音をさせて一斉に飛び立ったのである。「こんなに木の中にいたのか!」ほうぼうに飛んでいる群れをざっと数えて150羽前後はいたと思う。そのようすは千葉の干潟でシギやチドリたちがオオタカやハヤブサから逃げ惑う姿によく似ていた。食うか食われるか「弱肉強食」の自然界のドラマである。

12時前、座りっぱなしなので途中散歩がてら近くの展望台を訪れた。移動の途中、アトリ、キクイタダキ、アカゲラなどが観察された。展望台は見晴らしがよく高速道路の上越道や妙義の山並が良く見えた。資料館に戻ってから昼食を済ませ、また撮影取材。訪れる野鳥のメンツも固定されてきた頃、日が陰ってきたので早めに切り上げてS氏と雑談をする。この森林公園での四季の野鳥の変化に富んだ情報をうかがう。「何の仕事をしているのか」と尋ねられたので正直に絵描きであることを話すと「毎年、年末に安中市の観光課主催による小根山森林公園の自然をテーマにしたフェスを開催しているのだが、ここの野鳥を画題とした鳥を版画で制作したら是非出品してほしい」という話になった。やたらと素性を明かすものではない。でも、昨日のY館長といい今日のS氏といいとても人間が良い人たちですっかりお世話になったのでお礼の意味で「解りました出品しましょう」ということで約束し資料館を後にした。

それにしても森林資料館の人たちと、地元バードウォッチャーの人たち、宿の人たち…上州人は人情が厚いというか暖かい人が多かった。鳥と人。鳥が人を結び、人が鳥を結ぶ、また訪れてみたいと思ったフィールドである。

横川の街に下山し宿に戻ったのは16:50 だった。預けていた荷物を受け取り、礼を言ってから駅に向かった。帰りの電車の中での夕食は当然、横川名物「おぎのやの釜めし弁当」である。昔から変わらぬ懐かしい味を楽しみながらフィールドノートを整理すると今回の一泊二日の取材でトータル32種の野鳥を観察していた。画像はトップが給餌場でのミヤマホオジロの雄。下が左から宿から見た早朝の妙義・相馬岳、ミヤマホオジロの雌、マヒワの雄、アトリの雄、アトリの雌、展望台から見た上越道と妙義の山並。