長島充-工房通信-THE STUDIO DIARY OF Mitsuru NAGASHIMA

画家・版画家、長島充のブログです。日々の創作活動や工房周辺でのできごとなどを中心に更新していきます。

357.真岡市 井頭公園・探鳥記

2019-01-19 17:47:55 | 野鳥・自然
今回も年末、年始のドサクサで遅れてしまった投稿内容である。昨年末、12月某日。栃木県真岡市にある井頭公園に冬鳥の取材に行った。ここ数年、冬の越冬の小鳥類の取材は北関東と決めている。あまり山間部でも小鳥たちが平野に降りてしまっていないし、まったくの平野部では当工房のある千葉県と鳥相に変わりがないと判断しているからだ。

「山梨も行ったし、群馬も行った…今冬の小鳥類の取材地はどこにしようか」と迷っていた。いろいろと検討していて「そうだ栃木県の真岡市に日本野鳥の会栃木県支部が観察地としている井頭公園という場所がある、樹木も多いしカモなどの水鳥も入る池もあり変化に富んでいるから良いかもしれない」ということで井頭公園に決定した。

8:40分に連れ合いと2人、家を出た。関東と言っても栃木県、茨城県を超えて行かなければならない。途中、高速道やら圏央道をいくつか超えて行かなければならない。結構遠いのである。千葉を出る時には曇っていたが、途中、茨城に入ってからは晴れ間がのぞいてくる。筑波山がしばらく見えていて方向を少しづつ変える度に形を変える。単調な道が長く続いて真岡インターチェンジを出たのは10:50となっていた。ここから数分で井頭公園の駐車場に到着した。

入り口から池の近くまで下りて行き「鳥見亭」というロッジ風の施設に入館する。ここの二階は池が一望できる観察スペースになっていて野鳥観察用の望遠鏡も数台セットされていた。ここには野鳥の会栃木県支部の方がボランティア・ガイドをしているので、この時期の野鳥情報を聞いたほうが良いと事前情報で聞いていた。窓口に女性のガイドの方が1人いらしたのでいろいろと尋ねてみることにした。
最近の野鳥の会、栃木県支部主催の探鳥会では山野の小鳥、池の水鳥を含め、1日で50種以上の野鳥が記録されたということ、小鳥類は池の東側の林縁に多く出て現在、キクイタダキの小群やニシオジロビタキが出ていることや、ここの池の名物であるカモの仲間のミコアイサはまだ定着していないということ等々、詳しく話てくれた。しばらくここの2階から池のカモ類を中心に観察する。ヨシガモ、ヒドリガモ、カルガモ、オナガガモ、マガモ等、カモ類の他に近年、どこの水辺でも増えているオオバンや色彩の美しいカワセミなどが観られた。

「鳥見亭」を出発。林に沿った園路に入る。さっそく出迎えてくれたのはジョウビタキの♀、しばらく進んで林床にの美しいブルーのルリビタキの♂が1羽、ヤマガラ、コゲラ等の小鳥類が次々に登場する。園路をふさいで野鳥カメラマンの人たちがなにやら上方を動く小鳥を撮影をしている。双眼鏡でレンズを向ける方向を追うと針葉樹の葉先にキクイタダキがいた。頭頂の特徴まで連れ合いが観るとどうやら♀のようである。このあたりで池に目を移すと先ほど「鳥見亭」では観られなかったカモ類のコガモ、ハシビロガモが観られた。

先ほどガイドの方に池の北側にある釣り堀周辺にはベニマシコなども観察されていると聞いていたので、足を延ばすことにした。途中、林の中などを探すが小鳥類は少ない。釣り堀の入り口の手前に開けた草原に小鳥が立っている姿を発見。大きい。双眼鏡で観るとヒタキ科のトラツグミだった。割合、距離が近く、人をを恐れない個体だったにでカメラで楽に撮影することができた。釣り堀に入ると" キィーッ、キキキキキッ" という声と共に、いきなり目の前の横枝にカワセミが飛んで来てとまった。これも距離が近くこちらを恐れない。カメラでゆっくり撮影する。しばらくして池の水面に飛び込んだかと思ったら赤い金魚を捕えて林の奥へと飛んで行ってしまった。落ち着いた場所で獲物をさばくのだろう。
釣り堀の奥のハンノキやヨシ、セイタカアワダチソウが繁る場所でベニマシコやマヒワの出を待つが声すら聞こえなかった。「今年の冬は小鳥類はハズレかもね」連れ合いがポツリと呟いた。

ベニマシコをあきらめて元来たルートに戻りかけると14:00を過ぎていた。小腹も空いてきたので、ガイドの女性が薦めてくれた公園内の南側にあるレストラン「陽だまり亭」へと向かう。途中、林縁でカケスを1羽見かけた。左手の明るいアカマツ林の林床に3羽の小鳥が動くのが見えた。双眼鏡で観るとセキレイ科のビンズイだった。撮影しようとソロリ、ソロリと音をたてずに近づくと2羽が飛んで目の前の横枝にとまった。そのうちの1羽が羽繕いを始めたのでジックリと撮影させてもらった。さらに先ほどキクイタダキが出た場所辺りで再び5羽の小群が出現。この辺りで出現しているというニシオジロビタキを探すが見つけられなかった。

14:27、レストラン「陽だまり亭」に到着。平日といいうこともあり空いていて料理は素朴な味だがとてもおいしかった。15:13、再び出発。「さて、園内は一通り観たけれど、ここからはどうしようか」と言うと連れ合いが「ベニマシコをもう1度探そう」ということになり、元来た東側の園路を観察ポイント戻ることにした。途中、池のカモ類を撮影したり、人を恐れない午前中とは別個体のカワセミを撮影したりしながらゆっくりと戻って行った。ベニマシコ・ポイントの草薮に到着。ベンチでペットボトルのお茶を飲みながらしばし待つがいっこうに現れない…どころか声もしない。スマホを見ると、いつのまにか16:00を過ぎていて日暮れ時となっていた。ここでタイム・リミット。

戻りしな、池越しにロッジ風の「鳥見亭」には明かりがともり夕刻の時間にまるで山間部の湖畔の宿のような雰囲気に観えた。「鳥はイマイチだったけど、いい場所だね」と連れ合い。「鳥見亭」の入り口に到着すると先ほどのボランティアの女性がちょうど出てきた。呼びとめて観察できた鳥の種類の報告と情報の御礼を言って駐車場まで戻った。
ここからは、本来た長~いルートを千葉まで戻ることになる。車に乗ると2人とも自然と溜息が出るのであった。



画像はトップがトラツグミ。下が向かって左から井頭公園風景2カット、人に慣れたカモ類、池の木の枝で休息するマガモ、カワセミ、ビンズイ、夕方の鳥見亭。



                  




356.『木の鳥グランプリ』の審査員をしました。

2019-01-12 18:06:56 | イベント・ワークショップ
年末年始が慌ただしくて投稿が遅れてしまったが、昨年末12/21~12/23にかけて東京、足立区の千住ミルディスで開催されたバードカーヴィングのコンペティション『2018 木の鳥グランプリ』の審査員として参加してきた。

昨年から新しく始まったこのコンペの趣旨は「この大会は、バードカーヴィング(鳥の彫刻)を愛好する者が一堂に会してその作品を発表し、芸術性を競う場です。この大会を通じ、バードカーヴィングの普及と技術や表現力を高めることを目的とします」と開催要項に書かれている。

バードカーヴィングはアメリカを始めとして英語圏、カナダ、イギリス等の国々で盛んな立体アートの分野で、名前の通り野性鳥類を題材とした木彫刻作品である。特にアメリカでは歴史が古く19世紀の中ごろに発祥した。元々は、狩猟の囮としてのデコイ(カモの形をした木彫の浮き)から始まり、野生生物の保護上から狩猟対象としてではない鳥の写実的な木彫刻として発展してきたようである。つまり剥製の代わりのアート作品として生れたというわけである。1970年代後半以降、日本やアジア圏でも紹介され、制作者も増えつつある。

バードカーヴァーではない僕がこのコンペの審査員として呼ばれた理由は声をかけていただいた主催者の方々の話では「鳥の木彫刻以外の作家の目からみてどう見えるか、どう評価されるか」ということだった。当然、審査委員の中にはプロのカーヴァーも入るのだが、できるだけいろいろな観点から総合評価をしたいということである。
審査委員のメンバーとしては、叶内拓哉(野鳥写真家)・川上和人(鳥類学者)・鈴木勉(バードカーヴァー)・長島充(版画家)・松村しのぶ(造形作家)・松本浩(バードカーヴァー)の6名となっている。

応募部門は、①ステップアップ部門(初心者対象)、②コンペティション部門(上級者対象)、③ウッドスカルプチュア部門(自由な発想の木彫刻)という3部門に分かれていて、それぞれにライフサイズとミニチュアサイズのカテゴリーがある。僕が担当したのは②の上級者対象部門であった。12/21の夕刻には審査前のオープニングセレモニーがあり、このセレモニーと12/22の審査会に出席させていただいた。

22日、審査会当日の午前中、審査にあたっての注意事項の説明があり、昼食を挟んで、整然と多くの出品作の展示される広い会場に移動し審査会となった。各部門3名づつが審査する形式だが、僕が担当したコンペティション部門は他に野鳥写真家の叶内氏とプロカーヴァーの鈴木氏の3人で審査にあたった。鳥の生態、形態に詳しい叶内氏が実際の羽衣や羽の枚数、周囲の環境との整合性等を、僕が作品構成や美術造形物としての完成度を、鈴木氏がプロのカーヴァーとして専門的な技術面を主にチェックし総合的に上位作品を絞り、受賞作品を決定して行った。今回、出品作の合計は100点弱であったが力作、労作が多く、なかなか最終的な判断を決め兼ねる場面もあった。上位5-6名を選出してからの絞込みには時間がかかったが、審査員、スタッフ一同、納得できる作品に入賞を決定できたと語っている。ほぼ差がないところまで絞られ、最後に決め手となるのは結局はちょっとした「運」ということもあるのだなとつくづく感じたのだった。

僕はバードカーヴィングの審査というのは今回が初めてだが、平面作品(版画)とはいえ同じ野鳥をモチーフとして写実的に表現、制作している立場から参加させていただき、たいへん」刺激となり参考となる部分のある体験となった。
まだ日程は調整中だが今月か来月には審査員、スタッフ全員が出席する反省会もあり、次回に向けてのビジョンなども話し合われる予定である。このブログをご覧いただいている方々の中でバードカーヴィング作品をすでに制作されている方、あるいはこれから制作してみたいと思っている方がいらしたら是非、次回の「2019 木の鳥グランプリ」に揮って出品していただきたい。 


画像はトップが審査会場風景。下が向かって左からコンペポスター、審査会場風景、コンペティション部門のライフサイズ、ミニチュアサイズの各グランプリ作品とそのアップ画像、審査委員5名のスナップ(叶内氏は野鳥写真の講演会の最中で写っていない)。



                  


355.2019年、新年明けましておめでとうございます。A Happy New Year !!

2019-01-01 06:10:40 | 日記・日常
2019年、平成31年、新年明けましておめでとうございます。今年も昨年に引き続き大晦日のご挨拶から続けて画像投稿いたします。ブロガーの皆様、SNS友達の皆様、本年もどうぞよろしくお願いいたします。今年もマイブログやSNSに画像投稿を続けて行きますので変らずお付き合いください。

皆様にとって新たな年が明るく良い年となりますようお祈りいたします。大晦日のブログにも書きましたが、もう一度。どうか、この小さな青い星『宇宙船地球号』の自然環境が全ての生物にとって良好に保たれていきますように。そしてこの地球上のすべての人々が争いごともなく平和で幸福に過ごすことができますように。

I wish that your 2019 becomes a good year. And wish that all people on this earth can live happily and paecefully.

今年は日本も5月に新元号に変る年です。平成生まれが今年で30才となります。僕が子供の頃、大人たちがよく口にしたフレーズで「明治、大正、昭和の三つの時代を生き抜いてきた明治生まれの人は気骨がある」などと言われていました。他人ごとだと意識もしないで生きてきたらいつの間にか僕らの世代も「昭和、平成、〇〇を生き抜いてきた人」と呼ばれようとしています。この気骨という言葉は「自分の信念を守って、どんな障害にも屈服しない強い意気」を現わす美しい日本語です。今年は新たな時代の幕開けでもあります。昭和の戦後生まれも明治の人たちに劣ることのない信念を持って生きようではありませんか。

今年は僕も4月から5月にかけて故郷の公共美術館での個展を予定しています。初めての公共美術館での個展です。美術家人生の1つの節目ともなる展覧会です。普段、画廊などでの個展ではできない内容の展示をしようと計画を進めています。また会期が近づきましたらブログやSNSでお知らせしようと思っていますので、詳細はその時までお楽しみに。そしてどうか個展会場でリアルでご高覧ください。

今年の新年の画像も工房に近い、名刹、成田山新勝寺の境内で撮影したものです。昨年暮れの28日『納めの不動』という法要に参列してきました。そしてすでに画像のように新年に備えたお飾りも観ることができました。

では、皆様、どうか穏やかで素敵なお正月をお過ごしください。

画像は新年のお飾りをした成田山新勝寺。