長島充-工房通信-THE STUDIO DIARY OF Mitsuru NAGASHIMA

画家・版画家、長島充のブログです。日々の創作活動や工房周辺でのできごとなどを中心に更新していきます。

144.プロ野球セ・パ交流戦が始まっています。

2014-05-27 22:17:16 | 野球・スポーツ

今月、20日からプロ野球の『日本生命セ・パ交流戦』が開幕した。これから約1か月間、12球団が熱戦を繰り広げていくのだが、普段リーグ戦では対戦することがないチームやなかなかお目にかかれないスター選手との対戦が見れるのでプロ野球ファンとしては毎年、楽しみな期間となっている。

僕が応援している地元パリーグの『千葉ロッテマリーンズ』は,リーグ戦開幕前の関係者筋のゲバ評では「2位以上」という予想が出ていたのだが、初戦からいきなり出端4連敗をくらい、厳しいゲームが続いていた。ここまでの対戦成績は17勝19敗1引き分け、パリーグ4位。ファンとしては期待を膨らませていただけに「あれあれあれ…!?」というところである。まぁ、勝って、負けて、また勝ってを繰り返すのが勝負の世界。ここは監督や選手だけではなく、ファンも辛抱しなければならない。

という流れの中、20日のQVCマリンスタジアムで開催された交流戦初戦の対ヤクルト戦に参加してきた。先発投手はロッテが今期からFAで西武から移籍してきた沢村賞受賞の大物投手、涌井秀章。ヤクルトが打たせて取る右腕、古野正人。打線の方はロッテはここまで中軸に快音が聞かれず、あまり調子が良くない。対するヤクルトは3割打者がゾロゾロとならびセリーグで6連勝中と好調。昨年の交流戦での対戦成績は1勝3敗とこれもロッテが分が悪い。つまり、ヤクルトはロッテというチームを得意としているというわけだ。家を出る時から、いやな予感がする。

予想は外れて、両チームの打線が火を吹いた。取っては取り返し、また取るという打ち合い。9回裏まで来て5-6と1点差。「このまま逃げ切られて負けるのかぁ…」 ロッテの攻撃、さらに2人の打者が倒れ、3人目はベテランスラッガーの井口資仁。今夜は大入り、球場中のロッテファンの視線が井口のバットに集中する場面。さらに2ストライクと追い込まれる。ところがここで目を覚ますような同点のホームランが出たっ!!ベテランの意地の一発である。 6-6とゲームはまた振出。試合は延長戦に突入する。「長い試合になったなぁ」家に帰宅が遅くなるメールを打つ。10回表はロッテの救援投手がヤクルト打線をなんとか0点で抑える。裏の攻撃、さらにさらに期待がかかる回。ランナーが2人出たところで不調の打線の中で元気な若手の外野手、加藤翔平の登場。球場内は「翔平!翔平!」の大声援となった。ファンの誰もが期待している場面。甘く入った高めの球を赤いバットがきれいに捉えた。カーンッ!ヤクルトファンでいっぱいのレフトの応援席に打球は真っ直ぐに吸い込まれて行った。「やったーっ、見事な3ランホーマー!!!」 9-6でロッテが交流戦初戦に劇的な勝利をした。球場中のロッテファンはお祭り騒ぎとなった。僕も周囲の人たちとハイタッチの嵐、手のひらが真っ赤になっていた。

こんなにいい試合はそう見られるものではない。球場に通い出してからのベスト3に入る好試合だった。千葉ロッテマリーンズ、この勢いに乗り交流戦を制覇してください。1ファンとして陰ながら応援しています。画像はトップがバックネット裏のこの日のスコアボード。下が左からこの日のロッテ先発、涌井秀章、ベテラン内野手の井口資仁と球場風景。

 

         


143.手動活版印刷機

2014-05-19 20:40:41 | 日記・日常

数年前、版画仲間のM氏より画像の機械を譲ってもらった。手動活版印刷機という機械で印刷業界では『テキン』と呼ばれている。

…と、言っても知らない人の方が多いだろう。現在はもう製造していない。今から数十年前までは街中の小さな印刷屋さんでもお目にかかることができた。中央の四角いプレートに「活字」を組んでから手動ハンドルを動かして、インクをつけ、印刷物を刷る機械である。印刷屋さんを覗くと、この機械のそばには数えきれない量の活字を並べた棚が並んでいた。「手動活版校正機」とも呼ばれているらしい。大量印刷をする前に活字の組み方を確かめるためにも使用されていたとのことだ。

M氏には「構造的に同じ凸版なので木口木版画の摺りにも使えるかもしれないよ」と言われたので、ためしてみようと譲っていただいたのだが、圧力が強いのと僕の版の彫り方には合わないようでしばらく部屋の隅に放置されたままだった。ところがこの『テキン』最近、印刷好きの若い女子に人気なのだという。テレビで見たのだが、わざわざ廃業した下町の印刷屋さんまで探しに行ったり、外国製のものを取り寄せたりしているらしい。目的はこれで活字を使ったオリジナルなグリーティング・カードなどを印刷するようだ。最近の若い女子は変わったことを考えてブームを起こす。

母校の美術学校のデザイン科に印刷の授業があることを思い出した。さっそく学校の教官に連絡すると即答で「教材にほしい」との返事。僕が使わずに私蔵していてもいずれ屑鉄になるばかりである。毎年、何十人かの学生さんたちの役にたってくれれば機械もM氏も喜んでくれるだろう。いい嫁ぎ先ができて本当に良かった。しばらく部屋の空間を支配していたので、なんとなく寂しい気持ちもあったのでお別れに画像を数枚撮らせてもらった。画像はトップが『テキン』の全体像。下はそれぞれ部分画像。

 

   


142. 新緑の高宕山山行記

2014-05-09 21:32:13 | アウトドア

ひさびさの更新である。ゴールデン・ウィークは仕事三昧となった。その中で一日だけスケジュールが空いたので先月の29日、房総の高宕山に登ってきた。

同行は房総の低山を登る会『Bosso Club』のメンバー、僕とK氏、Y氏の3名である。昨年秋から春にかけて僕が展覧会のはしご状態だったので、空気の澄んだ展望のいい季節に行くことができなかった。こちらの方もかなりひさびさということになる。

登山口である高宕トンネルに着くと新緑が美しい。夏鳥のキビタキが、ピッコロのように美しい囀りで出迎えてくれた。このコースは幾度か登っているが新緑の季節は初めてである。いつものようにいきなりの急登で一汗かく。谷筋が見下ろせる高さまで来た時、夏鳥のオオルリの”ピールーリ、ポピーリ…”という囀りが近い。みんなで声のする方向に双眼鏡を向けて探すと落葉樹の枝先にとまっていた。真っ白い腹部と背中のブルーのコントラストがはっきりと認められた。ここから尾根に出る。『石射太郎』という山のピークまで行くと、足元に青紫色のホタルカズラの花がたくさん咲いていた。ここで小休止。水分などを補給して次のポイントである通称「モミの木テラス」まで急ぐ。いつものようにここで一回目の大休止。コーヒー・タイムとなった。正面にはこれから目指す高宕山がどっしりとした山容を見せている。断崖絶壁から見下ろす谷は眩しいほどの新緑が輝いて見え感動的でさえある。「いつもは冬だったけど、季節を替えて新緑の時期も、ようすが変わっていいなぁ」とK氏がコンロでお湯を沸かしながらつぶやいた。ここは位置的に房総半島のほぼ中央にあたり山が深い。ゆっくりと周囲の絶景を堪能してから一路、高宕山を目指す。ここからは尾根歩き。参道の脇に鮮やかなピンク色の満開のヤマツツジを見つける。K氏もY氏も歩きなれていてグングンと目的地との距離を縮めて行った。今日はピッチがかなり速い。

あっという間に昼食の予定地である頂上直下の高宕観音に到着した。ここは断崖に作られた寺院だが、昔は住職もいて参拝者も多く賑わっていたようである。先着の登山グループや逆コースから来た登山者もここで昼食をとっていた。冬の空気の澄んだ日ならば富士山がくっきりと見える場所でもあるが、さすがにこの季節。ガスっていて遠目はきかない。重たくなった腰を上げて頂上へと向かう。ここからは岩場にちょっとした鎖場やロープがあって、少しスリリングな気分を味わうことができる。周囲の斜面林からはヤブサメやセンダイムシクイといった夏鳥の囀りが聞こえてくる。

頂上に到着すると、360°の絶景。各々、スマホやデジカメで風景の動画や画像を撮影しているうちにポツポツと雨が降ってきた。ここまで天気がもってくれたのに…。 「帰りを急ごうっ!」K氏の一声で下山開始。元来た尾根を走るように下っていく。だんだん雨が強くなってきた。おそらく、Bosso Club 開設以来の新記録ではないかと思われるぐらいの速さで一気に登山口までたどり着いた。仕上げは駐車場の木陰で雨をよけながらのティー・タイム。相変わらず行きにもいたキビタキがさかんに囀っていた。輝くばかりの新緑の中、印象深い山行となった。メンバーに感謝。画像はトップが「モミの木テラス」から見た新緑の山々。下が向って左から高宕山遠景、ホタルカズラの花、ヤマツツジの花。