My Life After MIT Sloan

組織と個人のグローバル化から、イノベーション、起業家育成、技術経営まで。

小学校から大学教育まで英語で学習できる授業動画サイト Khan Academy

2011-12-11 13:21:46 | 6. 英語論・英語学習

今日は米国で最近話題のオンラインの教育動画サイト Khan Academy をご紹介します。留学が出来ない環境の人でも、無料で、英語で小学校の算数から大学教育レベルのファイナンス、化学、生物、歴史、美術、GMAT対策まで、ありとあらゆる分野の教育を受けることが出来る優れたサイトである。

こんなサイトが、留学したくても家庭の事情で出来なかった高校生や大学生のときにあったら良かったのに、と本当に思った。もちろん留学で得られるのは英語で勉強することだけではなく、実際に多国籍の人々と触れ合って文化の違いを学び、そこでリーダーシップをとったり何かを成し遂げる大変さを学ぶこともあるが、近づくことは出来る。しかも無料で。これからグローバルに働こう、なんて思ってる高校生は、数学、化学、生物、世界史など世界共通の教科については、日本語に加えて英語でも、こういうサイトを補助教材として使って勉強するのが良いと思う。私は大学4年生で初めて海外に出たときから、それまで自分が習ってきたことが日本語であるために、全て理解していても通じず、苦労したことか。今の私が高校生に戻れるなら、このサイトで勉強したと思う。

英語で教育を受けたいと思っている人、または留学を目指している人もその対策に非常に使えるサイトだと思う。ファイナンスや経済学だけなら、MBA1年目で習う内容すら、全てカバーされている。TOEFLやTOEICのリスニングで扱うような学術的内容が多いから、そのままリスニング対策にも使えそうだ。

Khan Academyには、オンラインのドリルや学習状況を把握するためのソフトウェアなどがあり、実際の学校教育で補助教材として使うことを目的とした、サポートツールもいろいろある。高校や大学における授業でこれらを補助教材として活用したい、教育者の皆様にも非常にお薦めだ。

まずはこちらをご覧ください。最近は日本でも話題のTEDにて、Khan Adademy主催者のSalmon Khanが講演した映像で、このサイトの概要を解説している。

 

 

日本語字幕がついているTEDの映像はこちら→サルマン・カーン「ビデオによる教育の再発明」

バングラデッシュからの移民でシングルマザーの母を持ち、MIT、ハーバードMBAを卒業したKhan氏。ボストンのヘッジファンドでアナリストをしていたときに、従兄弟たちに家庭教師をすることになり、その補助教材として作った動画をYoutubeにアップし始めたのがKhan Academyの出発点だという。いまや米国では36もの学校が、この教材を公式に授業に取り入れて使っている。米国中が注目する教育NPOであり、GoogleやBill Gates財団などから合計1650万ドル(約13億円)もの寄付を受けている。

Online Learning, Personalized - New York Times (2011/12/4)

黒い画面に、Khan氏がいろんな色のペンを使って、授業をする。英語は比較的聞き取りやすく、説明が明快で非常に分かりやすい。もともとKhan氏が家庭教師の補助教材として始めただけあって、「優しいお兄ちゃんが教えてくれてる」感じがまた良い。

Khan氏のバックグラウンドから、数学、化学、生物、物理、統計学、コンピュータサイエンスなどの理系分野、ファイナンス、経済学などが非常に充実している。加えて、SAT(米国のセンター試験的なもの)やGMAT(MBA受験者必須)の対策などもある。最近は、外部の専門家を雇って、美術史などの新たな分野を次々に増やしているようだ。

とりあえず、私が見ていていくつかお勧めの動画をご紹介。どの授業も面白くてお薦めなので、実際に自分でサイトを訪れて選んでほしい

Khan Academyのサイト: http://www.khanacademy.org/
Youtubeの専用サイト: http://www.youtube.com/user/khanacademy

追記:Khan Academyのホームページ上の動画では字幕をつけることが出来ます。動画の左下でSubtilteを選びます。ものによっては日本語字幕もあります。

Finance (ファイナンス理論)

Introduction to Present Value (現在価値入門)

ファイナンスで最初にやる概念である「現在価値」の解説。MBAのファイナンスで最初の日にやる授業と内容が同じだ。今日100ドルもらうのと、1年後に110ドルもらうのと、どっちがいい?というファイナンスの根本的な問いから解説が始まる。もしドルが不安定な通貨で、来年には価値を失ってしまうようなものなら、絶対に今日100ドルもらうほうが得だろう、とか、安定して年金が入る生活をしていて投資は全く興味ないし、という人は今日100ドルもらっても使い道がなく、1年後に110ドルもらうほうが得だ、と思うだろう。このように、その人が感じるリスクによって、現在価値というものは違ってしまうのだが、それを分かりやすく英語で解説してくれている

このIntroduction to Present Valueをパート4まで見ると、Discounted Cash Flow法という、企業価値を計算するときに使われる一般的な手法まで理解できるようになっている。

追記: 英語字幕のあるバージョンはこちら。動画左下でSubtitleを選べます。→http://www.khanacademy.org/video/introduction-to-present-value?playlist=Finance

Renting vs. Buying a Home (家を借りるのと買うのはどちらが得か)

世の中には、ローンを組んで家を買うほうが得だ、という人が多い。しかし、ファイナンス理論をやったことがある人は常にこういう。
「どんな場合でも、家は買うより借りるほうが得である」。
何故、借りるほうが得なのか、をファイナンスのリスクの考え方を活用しつつ分かりやすく解説する10分間のビデオ。

まあ、実際には家を買うのは、持ち家を持って安心したいとか、所有欲とか、そういうのにDriveされるわけで、ファイナンスの理論だけじゃ常に語れないんだけどね。

追記: 英語字幕のあるバージョンはこちら。動画左下でSubtitleを選べます。→http://www.khanacademy.org/video/renting-vs--buying-a-home?playlist=Finance

 

Current Economics (現代経済学)

Economics of Cupcake Factory (カップケーキ工場の経済学)

ミクロ経済学の基本的な概念を、カップケーキ工場のケースを使って理解するもの。3回コース。MBAのミクロ経済学の授業もこのくらいのレベルから始まる。もちろんMBAなどでは、授業中に学生が生の面白い事例を紹介したりして、それらについて考えるから面白くなるのであって、全然違うけれども、そこに至るまでのミクロ経済学の基礎を勉強するなら、この教材は最適だと思う。

追記: 英語字幕バージョンはこちら。動画左下でSubtitleを選べます。→http://www.khanacademy.org/video/economics-of-a-cupcake-factory?playlist=Current+Economics

Inflation and Deflation 3: Obama Stimulus Plan (インフレとデフレ3: オバマの経済高揚策)

2009年にオバマ大統領が就任した際に行われた、Stimulus Planはどのような効果をもたらすのかをマクロ経済学を活用して解説している

追記: 英語字幕バージョンはこちら。動画左下でSubtitleを選べます。→http://www.khanacademy.org/video/inflation---deflation-3--obama-stimulus-plan?playlist=Current+Economics

 

Venture Capital and Capital Market(ベンチャーキャピタルと資本市場)

Raising Money for Start-up(スタートアップのための資金調達)

こんなの、MBAでも履修しなければやらないだろう。米国でベンチャーをやりたいと思っている人たちのために、資金調達の仕方の基本を解説する。このシリーズには、IPOの仕方、ベンチャーキャピタルの投資の考え方、そして倒産の仕方まで解説がある。企業に興味がある人にはお薦め。

http://www.khanacademy.org/video/raising-money-for-a-startup?playlist=Venture+Capital+and+Capital+Markets

 

Biology (生物)

Parts of a Cell (細胞の組織)

たしか、私は高校の生物の最初の授業で、細胞の組織の名前をやったのを覚えている。教科書に、細胞の拡大図が載っていて、ゴルジ体とか、リボソームとか、何をやっているんだか良くわからない組織の名前を覚えさせられたものだ。

このビデオでは、細胞膜(Cellular Membrane)から始まり、細胞膜の中にDNAが出来て、その周りに核(Nucleus)が出来て・・・と生物の進化に合わせて説明してくれる。そして、DNAの周りに核があるのは真核生物(Eukariyotes)で、ないのは原核生物(Prokariyotes)だよ、と教えてくれる。ゴルジ体やリボソームなんかが、細胞の中でどんな役割を果たしてるのかも説明してくれる。こんな授業、高校一年のときに受けたかった。米国だと、大学1,2年レベル。約20分間の授業。

追記: 英語字幕が選べるバージョン。左下でSubtitleを選択→http://www.khanacademy.org/video/parts-of-a-cell?playlist=Biology

DNA

DNAの解説。DNAの化学的性質、どうやってたんぱく質に転写されるか、たんぱく質が作られることで遺伝子が発現することなどを約30分の授業でカバーしてしまう。米国でも日本でも大学3年くらいのレベルだと思われる。
これ見てると、日本語でチミン、シトシンなどと習ってたDNAの塩基が、米語ではダイミン、サイドジン、などと発音するのが正しいんだと分かり、ちょっとショック。

追記: 英語字幕が選べるバージョン。左下でSubtitleを選択→http://www.khanacademy.org/video/dna?playlist=Biology

 

Chemistry (化学)

Introduction to the Atom (原子入門)

化学の授業の最初にやる、原子とは何か、という話。そもそも原子とはどういうもので、どのような仕組みになっていて、どんな種類の原子があるのかを解説する授業。日本なら高校1年レベル、米国なら大学1年レベルでもやる。

追記: 英語字幕が選べるバージョン。左下でSubtitleを選択。何故か韓国語、中国語があるのに、日本語がない!→http://www.khanacademy.org/video/introduction-to-the-atom?playlist=Chemistry

 

Cosmology and Astronomy (宇宙論)

Big Bang Introduction (ビッグバン理論入門)

宇宙がひとつの特異点が不安定になり、爆発することで始まったという、ビッグバン理論の解説。数学出身のKhan氏だけあって、解説がやたら数学よりだ。Newtonみたいな科学雑誌のビジュアルから、ビッグバン理論に入った私から見ると、ああそういう解説の仕方もあるんだとちょっと感心したので紹介。

追記: 英語字幕が選べるバージョン。左下でSubtitleを選択。→ http://www.khanacademy.org/video/big-bang-introduction?playlist=Cosmology+and+Astronomy

Hubble Image of Galaxy(銀河のハッブル望遠鏡像)

おそらく、Khan氏がNASAのハッブル望遠鏡の像をみて、相当感動して作ったんじゃないかと思われる動画。写真の細かいところを拡大しても、たくさん銀河系があり、いったいこの宇宙にはどのくらい大量の銀河系が存在するんだろうと気が遠くなる。

追記: 英語字幕が選べるバージョン。左下でSubtitleを選択→http://www.khanacademy.org/video/hubble-image-of-galaxies?playlist=Cosmology+and+Astronomy

 

History (歴史)

US History Overview 1: Jamestown and Civil War(アメリカ史1:ジェームズタウンから南北戦争)

私は歴史が好きで、高校では理系なのに世界史も勉強していたほどだったが、海外に行くようになって、外人と歴史の話をしたくても、単語が分からないから話せない、というつらい思いをたくさんしてきた。前にも書いたが、エカテリーナ女帝とかエンリケ王子とかが普通に通じなくて悲しい思いをしたこともある。だから、米国に留学したときから、何とか歴史の授業を履修しようとしていて、結局いい授業がなくて出来なかったのだが、こういう教材があれば、別に授業を受ける必要もなさそうだ。非常に面白い。

追記: 英語字幕が選べるバージョン。左下でSubtitleを選択→http://www.khanacademy.org/video/us-history-overview-1--jamestown-to-the-civil-war?playlist=History

 

Khan Academyのビデオ教材は、2011年12月現在で2,700本もある。だから実際にサイトを訪れて、自分が興味のある授業を選んで勉強するのが非常に良いと思う。どなたかもTwitterでつぶやいてくださったが、あくまでも英語は、何か新しいことを勉強するための手段に過ぎない。手段として英語を活用しているうちに、本当に英語力というものがついてくるようになるものだと思う。


英語力のためにフォローしたい、ビジネス英語ニュースTwitterアカウント8選

2011-12-03 21:26:25 | 6. 英語論・英語学習

最近、仕事で英語のドキュメントを書くことが増え、英語力の落ちを痛感しているLilacです。2年間米国留学して、毎日あれだけの英語にさらされていても、やはり20代以降に覚えた言葉は、読んでいないと単語や表現をどんどん忘れるし、ワードチョイスの正しい感覚も薄れる。しかし忙しいビジネスマンだと、なかなか英語の文章を意識的に読む時間が取れないもの。そこで、最近は英語ニュースをTwitterでフォローし、仕事の合間などに面白そうなのを拾って読む、面白かったら簡単な日本語をつけてRTする、というのを開始した。今まで英字新聞を購読、iPadでエコノミスト購読、などいろいろやってたけど、Twitterでフォローして読むほうが断然面白くてはまっており、順調に英語ニュースを読む時間を取れているところ。おすすめです。

何故Twitterの方がはまるのか、というと、複数ソースから読みたいものを選んで読めるのが一番のメリットだと思う。英字新聞を購読したり、ネットのアプリでも、読めるのはその新聞の情報だけ。Twitterで複数をフォローしていれば、全体像も把握しつつ、いろいろなニュースソースから本当に読みたい記事を読める。それからオンラインのニュースサイトやiPad・iPhoneのアプリって、自分から開こうと思わないといちいち開かない。でもTwitterだと、PCでも携帯でもどこでもTwitterを開けばニュースが流れてくるので、自然と読むようになるしね。

というわけで、はがれかけている英語力を強化したい、と思ってる人のために、フォローをお勧めする英語ニュースアカウント8選。
私が経済・ビジネス系が好きなので、そちらに偏りがちだけど、参考にしてください。

米国系ビジネス紙

1. New York Times (@nytimes)

いわずと知れた米国の総合紙、New York TimesのTwitterアカウント。時差に関係なく一日中Tweetが流れてくる。一時間に2-5本のTweetで一日のTweet数は50-60。内容は米国の政治、経済、社会ニュースが満遍なく。nyti.ms/で始まる短縮リンクをクリックすると記事へ。

NYTimesのお勧めなのは、分からない単語を選択すると出てくる?マークをクリックすると、英英辞書のサイトをポップアップしてくれること。社会系ニュースだと結構難しい単語が出てくることもあるので、参考になる。

2. Wall Street Journal (@WSJ)

米国の代表的な経済紙、Wall Street JournalのTwitterアカウント。一日のTweet数は少なく、10-20くらい。もうすこしTweetしてくれれば良いのにと思うけれど、会員限定記事はTweetしない方針なのだと思う。内容は米国経済が中心。EconomistやFTと比べて、国際的な記事よりもやたら米国の国内企業の記事が多かったりなので、これ読んでると、米国って結構内向きなんだな、と思う。

余談だが、WSJはiPadで購読でき、その電子新聞の質がすばらしいので、iPad持ってる人は是非一度試してみてください。米国版、欧州版、Asia版の三種類から好きな紙面を選ぶことが出来、記事の内容や配置や優先順位がそれぞれ異なっているのが面白い。

3. USAToday(@USAToday)

かつては米国で最も購読者が多い新聞(それでも200万部とかなんだが)だが、最近はWSJに抜かされて全米2位になってるらしい一般大衆紙のTwitterアカウント。一日のTweet数は20くらいだろうか。日本で言うと読売新聞の位置づけに近いかも。NYTやWSJなどに比べて英単語や英文法が難しくないのだが、米国事情を知ってないと話題についていくのが難しいこともある。NYTやWSJにくらべ、スポーツや芸能の話題も満遍なくカバーしてるので、読む記事を選べるTwitterではもってこいな感じ。

4.Krugman's blog on NY Times (@Krugman_blog)

新聞ではないけれど、ノーベル経済学賞受賞者で、いくつものベストセラーでも知られるKrugmanがNew York Times上で一日に1,2回更新しているブログのTwitterアカウント。一応NYTimesってことで御紹介。最新の経済ネタに対して、彼独特の非常に分かりやすい解説と彼個人の主張を織り交ぜており、非常に面白い。

#米国系では、Time (@Time) もFollowしても良いかもしれない。ただ開くと、広告の方が多い紙面が出てきたりして読みにくく、最初の頃フォローしていたのだが結局やめてしまった。

#WSJよりアクセス数が多いインターネット新聞、Huffingtonpost(@Huffingtonpost)は、本当にTLを英語だらけにしたいとか、米国文化にどっぷりつかりたいという人にはオススメ。ただし、一日のTweet数が200とかなので、その量の多さを覚悟すべき。私はTwitterを始めた頃フォローしてましたが、そのTweet数のあまりの多さにUnfollowしました・・・。記事は非常に良いのですが。

#ちなみにWashington Post (@washingtonpost)は同じく一日のTweet数が100を超える多さで多すぎるし、日によってばらばら、しかもすぐに読まないと記事へのリンクが消えてしまう特性があり、個人的にはあまりお勧めしない。

イギリス系ビジネス紙

5. Financial Times (@FT)

米国がWall Street Journalなら、イギリスはFinancial Timesが経済紙の代表。個人的にはFTのほうが扱う話題がグローバルで広範囲にわたるので面白い。同じ話題に対して、WSJとは異なる立場で書いていることが多く、両方読むと面白い。Tweetは一日に20くらい。会員登録しないと記事が全文読めないことがあるので、会員登録してから読む。

経済学や金融について前提とする基礎知識が、日経新聞よりも多いことも特徴。だから最初は難しいと思うかもしれない。

6. Economist(@TheEconomist)

イギリスの経済週刊誌。国際政治、経済のほかにも科学など広範な話題を取り上げる。売り上げの半分を北米が占めるだけあって、北米視点の記事も多く、また日本も含めてアジア各国も取り上げられることが多い。Tweet数は一日20くらい。

#イギリスだと、通信社のReutersがやはり外せないのでは、と言う声もあるかと思うので一応御紹介しておきます。
Reuters Top News (@reuters)

私も一応購読はしてますが、一日のTweet数は30-60。New York Timesよりは少な目。ただ、配信されるのがトップニュースだけで、かつリアルタイム性がない。これは彼らはそもそも新聞社にニュースを配信する通信社であってB2Bのビジネスが主だから、B2Cで読者に直接Twitterでニュースを配信すると言うことには熱心ではないからじゃないかと勝手に推察。英字系の新聞を上の量だけ読んでれば、必要ないかな、という気がしないでもない。

#あとTwitterによるとBBCが好きな方が多いようですが、政治、国際、経済系のニュースって意味では重要性を感じないため、私もFollowをやめており、今回は紹介しませんでした・・・。イギリス社会の状況を理解するって意味では面白いんだけどね。

その他

7. Der SPIEGEL 英語版 (@SPIEGEL_English)

最近、面白くて個人的に非常にはまってるのがこれ。ドイツを代表する雑誌DER SPIEGELの英語版。一日のTweet数は10くらい。

何が面白いかというと、上に挙げてきたような英字紙は、米国的な視点、またはグローバルな視点でものを語り、経済や国際の問題を取り上げているのに対し、SPIEGELは、ドイツの視点で、ドイツの問題を取り上げているということ。その視点が非常に日本人の感覚と似通ったことがあり、普通の英字誌よりも共感が持て、面白いと思うことが多い。ローカル紙を英語で読んでるわけだから、当然と言えば当然なのだが、新鮮な感じ。

たとえば最近だと、ユーロ崩壊の危険性に対して、ドイツ国民がどう捕らえているかを描いた記事が面白かった。ドイツの多くの一般市民は、ユーロが崩壊しても生活には特に支障がないだろうと考えていて、あまり興味がないのだと言う。現在、メルケル首相の支持率は6割近いのだが、これはメルケルがドイツ主導でのユーロ危機解決に大きなリーダーシップを発揮しているかのように国民には見えるから、という。国際的な見方と国内的な見方はこのように違うのだな、と言うところが面白い。また、ドイツではドイツマルクに戻ったらどうか、と言う議論も行われているが、日本と同じ技術輸出国であるドイツは、ドイツマルク高になると苦しいので、今のユーロの方が良いと思ってる人が経済界には多いなど、国際的な経済紙ではあまり論じられない話題であり、非常に新鮮。

Germans Remain Unflappable During Euro Crisis - Der SPIEGEL

米国的な視点、イギリス的な視点とはまた異なる見方が分かるニュースとして非常にお勧め。本当はフランスの経済紙Les Echos(レゼコー)なども読めれば面白いんだけど、Twitterの英語アカウントはまだない様子。残念。

8. Tech Crunch (@TechCrunch)

これだけビジネス系じゃないんだけど、技術系のニュースで、一個だけ選択せよ、と言われたら、迷わずTech Crunchを選ぶのでノミネート。Webサービス、携帯電話、通信業界、家電など、テクノロジー系のニュースを、企業の買収合併から新製品紹介、ちょっとした小ネタにいたるまでさまざまにカバー。一日のTweet数はNYTimes並みに多く、40-80件。

 

以上。英語ニュースを読む時間を増やし、習慣をつけるためのTwitterアカウント8つ、ご紹介してみました。今回は、新聞や雑誌など「読む」のが中心になるメディアを御紹介したんだけど、これ以外にも、CNNとかアルジャジーラとか、映像系でお勧めしたいところも他にもあります。
これ以外にも、お勧めな英語ニュースTwitterアカウントがあれば、是非コメント欄で教えてください。

私がTwitterでフォローしている英語ニュースは、私のアカウント @Lilaclogのリスト、Lilac-newsを参照。
それから、私が読んだ英字記事でお勧めのものは、私のアカウントから日本語の短い解説付きでRTするので、興味がある方は是非@Lilaclog もフォローしてみてくださいね。

過去の参考になるかもしれない記事

英語をモノにしたい人のためのお勧めYoutube動画。-My Life After MIT Sloan (2011/05/07)
エンジニア向けオススメ英語ブログ-My Life After MIT Sloan(2010/02/15)
留学を目指す人のためのTOEFL iBT攻略まとめ-My Life After MIT Sloan(2010/01/24)
英文を読むのが苦痛な人はまずは単語力を身につけよう-My Life After MIT Sloan(2010/01/15)


英語をモノにしたい人のためのお勧めYoutube動画。

2011-05-07 23:36:38 | 6. 英語論・英語学習

私は今でも、英語はまずは最低限の単語力を身につけること、
それから英語を読んで、書くことが最も効率がいいと思っている。
(特にある程度の英語力が身につくまでは必須。
 参考記事:英文を読むのが苦手な人はまずは単語力を身につけよう (2010/01/15))

しかし、留学したいとか、仕事で使うとか、余程の動機がなければ、なかなか続かない。
でも、人間楽しいことなら続けられる。
そして、やっぱり生の英語を聞くのは楽しい。

というわけで、Youtubeの英語コンテンツで、英語の勉強に役に立ちそうなものとか、
単に面白いから、英語やりたいなと思いそうなものとかを紹介しておく。
長かったゴールデンウィークもあと一日で終わり、最後にこれらでも見て楽しんでください、という意味もこめて。

1.ABC News または好きなニュースコンテンツ@Youtube

英語を勉強するにあたって、英語系のニュースを聞くってのは鉄板でしょう。
ニュースで英語を勉強する場合、テレビを視聴するより、Youtubeを使うほうが圧倒的に適している。
まず、テレビと違って(録画しなくても)聞き取れなかった部分は何度も繰り返し視聴できる。
気に入ったニュースは「お気に入り」などに入れておけば何度も見られる。
しかもCNNやBBCなどの番組と違い、タダ。

ここでは、Youtubeでチャンネルを持ってるメディアの中でも、ABC Newsを紹介しておく。
米国以外の多くの国で全コンテンツが視聴可能であり(CNNなどと違い視聴制限を設けてない)、
真面目な国際・経済系だけでない、社会・生活系のニュースも充実してて、
英語としても聞きやすいものが多いからだ。

興味があれば、ABC NewsのチャンネルをSubscribe(購読)するのをお勧め。
(ABC Newsの iPadのアプリも秀逸。持ってる人は試してみてください)

こちらのニュースは、明日の母の日を迎えるにあたっての心温まるストーリー。
(5/8追記:
さきほど突然ABC NewsのEmbed機能が廃止されて、見られなくなりました。
ので、こちらで直接ご覧ください→ http://youtu.be/KUmaxlgGqf8 
この記事が原因なのかはちょっとわからないですが、既に2万件近いアクセスがあるので、アクセスが集中したかもしれません。
ABCNewsとしてはあくまでYoutube上のチャンネルとして見て欲しいという方針なのかも)

 

要約すると、
お母さんの価値っていくら?と街頭で男の子に聞くと、5ドルって言われてしまう(かわいい)。
一方、Insure.comの試算では、育児や料理、車の送り迎えなどお母さんの1年間の仕事の価値は、貨幣にして$61,436(日本円で約490万円)とのこと。
そして何より77%のお母さんは、外で仕事も持っており、これはカウントされていない。
でもインタビューでは多くの人たちは「お母さんの価値なんて、お金じゃ測れない」と答える。
そう、お母さんの愛情は、Pricelessだよね、というベタだが心温まる内容。

他に、ちょっと高度だが、中東状況を正確に知りたい、という人にはAlJazeera(アルジャジーラ)英語版のチャンネルが絶対にお勧め。
そのうち書きたいと思ってるけど、先日の中東の革命も今回のビン・ラディン殺害にせよ、
日本じゃ十分に情報が入らないし、英語系チャンネルは内容が偏ってる中、
このAlJazeeraが一番真実に近い情報を流してくれてると思う。

2. Obama大統領のスピーチ

もうひとつ、英語学習で使える私のお勧めは、Obama大統領のスピーチだ。
ニュース以外では、ほかのどんな人のスピーチよりも絶対にお勧め。

その理由は三つ。
まず、2008年の大統領選の頃から言われていたように、ObamaのSpeechは、英語として文法や用法が正しく、かつ非常に内容が優れているものが多い
教材として、これほど優れたものはないということだ。

二つ目は、Obama氏自身の英語の発音が非常にわかりやすいことだ
彼自身、両親がネイティブではなく、マイノリティであることもあり、誰もが聞きやすい英語を話す。

三つ目は、Obamaのスピーチは全て、世の中にScriptが出回っていること
もし、動画だけで聞き取れなかったら、こういったScriptを参照して聞けばよい。
ホワイトハウスのページに必ずScriptがあるし、または単純にGoogleで、Obama, speech script, "該当演説名" で検索すればよい。

こちらは、5月1日のBin Ladin殺害時の大統領声明。
個人的に面白いかというと微妙だが、一応時事ものなので載せてみる。

そしてこの記事も、Whitehouseのブログに原稿全文が掲載されている
(そしてYoutubeへもリンクされてるので、最初からこちらを見ればよい、という話もあるが)

個人的にお勧めなのは、大統領就任時の演説や、先日のエジプト革命終了時のもの。
Whitehouseのブログを見るか、YoutubeでObama, speechで検索のこと。
またはYoutubeでWhitehouseをSubscribeする。

中にはこういう政治系には拒否反応示す人もいるかもしれない。
まあ洗脳されない程度に、あくまで英語の勉強道具として使ってください。

3.Steve Jobsのスピーチ関連

テクノロジー系コンテンツの中でも、Steve Jobsは特にスピーチが上手で、面白く、わかりやすいのでお勧め。
(個人的にBill Gatesは好きだが、彼の英語ははっきり言ってわかりにくい)
特にTech系が好きな人は、単語も内容もわかるので、英語がそこまで得意じゃなくても楽しめる。
特にチャンネルとかはない。YoutubeでSteve Jobsで検索すればたくさん出てくる。

こちらは、iPadが初めて紹介されたときの、Youtubeの使い方を解説しているもの。
私も以前の記事で、iPadというネーミングセンスは酷い、と書いたけど、
同じように思っていた人はたくさんおり、米国ではさんざん非難されていたころのこと。
要するにPadって、英語では女性用の衛生用品(生X用品)のことです。
(参照記事: iPad - 英語のネーミングで気をつけること (2010/01/30) )

だから、かなり自虐的で、爆笑モノである。

テクノロジー系では、こちらもお勧め。
ビル・ゲイツとスティーブ・バルマーの爆笑ビデオ集 (2010/05/05)
私ったら毎年ゴールデンウィークになると、Youtube動画の紹介やってるのね・・・

もういっちょ、テクノロジー系でお勧め。
Michael Jacksonの”Beat it"のパクリで"Tweet it"というもの。
iPhoneユーザとiPadユーザの仁義なき戦い。
とはいえMichael役が「一部にFlashサポートしてないデバイスもあるのを覚えとけ」なんて、両方を落とす突っ込みも。
オリジナルのPV(こちら)が良く再現されてるし、テッキーなネタの歌詞も面白い。

ところでこの曲、サビで Tweet it, Tweet it, Justin Bieber gets defeated って言ってるんだけど、
もうJustin Bieber叩きって既にネタの領域に入ってるのね・・・
(参照記事:Justin Bieberは何故米国匿名掲示板で叩かれるのか (2011/05/04))

4. Ellen DeGeneres Show

英語力がついてくると、それ以上の意思疎通には文化の理解ってものが大事になる。
日本語もそうだけれど、その言葉をしゃべる人たちが、どういうものの考え方をし、どういう価値観を持つのかがわからないと、理解できないことは多い。
「通じる英語」が出来るようになった人が、その上のステップを目指して意思疎通するうえで、文化や価値観を共有するというのは非常に大事だと思う。

そういう意味で、現在その国で何が流行ってるかわかる上、人々のものの考え方が如実に現れてくるインタビュー番組、というのは非常にお勧め。

まあ歴史的にはTonight Showとか、有名なインタビュー番組は色々あるんだけど、
個人的には、こちらのEllen DeGeneres Showをお勧めしておく。
Ellenはピンのコメディアン&司会者で、まあとにかく面白いし、質問が常に本質を突いている。
Ellen DeGeneres Showもチャンネルを持ってるので、気に入ったらSubscribeすると便利。

こちらは先週行われた、Lady Gagaへのインタビュー。
「有名になるっていうのと、成功するって言うのは必ずしも同義じゃない。特に若いときは葛藤があり、常にInsecurity(不安)を抱えていることが多いんじゃないか」とか
「こんなに成功しているのに、あなたは自分はLoserと思っているというけど、どうして?」
などアーティストに切り込んでいる。

ちなみにEllenは、自身が同性愛者であることをOpenにしてることもあり、
それがネタになるインタビューでは冗談交じりの激しい討論が行われることもあり、面白い。
自身がマイノリティであることの苦労が、様々なIntervieweeに対する思いやりにつながっているのかな、という気がする。

5.英語版アニメ

日本のアニメは世界中に輸出されており、米国など英語圏で放映されているものも多い。
アニメの英語は、基本子供向けなので英語が聞きやすいし、そのアニメが好きならなおさら。
出来ればEnglish subtitle(英語字幕)ではなく、English Dubbed(英語吹き替え)のものを探して視聴するのが良い。
ただ、著作権違法コンテンツが多いのも確かなので、そこのところはちゃんと個人の判断に基づいて視聴してください。

昔、漫画「のだめカンタービレ」の主人公ののだめが、
全て台詞を暗記しているアニメ「プリごろ太」のフランス語版を見て、フランス語を習得した、というストーリーがあったけど、それに近いかも。
私も学生の頃、全ての台詞を暗記するほど好きだったBack to the Futureの英語版を見て、英語表現を習得した想い出があります。

6.Niga Higa

紙面が尽きてきたので、ハワイ出身の日系人Ryan Higa君がやってるコメディを紹介して終わりにしておく。
ハワイ島のヒロ出身の日系人高校生、Ryan HigaとSean Fujiyoshiの二人がやってたコメディなのだが、2009年位には全米で話題で、「みんな見てる」みたいな感じになっていた。
アメリカの個人がやってるチャンネルでは一番有名なんじゃないかと思う。

内容としては、大人が見て面白い、というよりは、若者向け。
ただ、そのくだらなさのなかに、アメリカのコメディの典型パターンがいくつも見られるので、
たぶんこれを見慣れると、アメリカのコメディを見ても面白いと思うようになるんじゃないかと。

これはたぶん一番話題になったんじゃないかと思う、How to be Ninja

最近は、Ryan君がラスベガスの映画の学校に進学したとかで、
昔ながらのSean君との絡みが余り見えないのは残念な一方、動画作成スキルは上がっている。
NigaHigaのチャンネルはこちら

それぞれ、私の個人の趣味で偏ってるものが多かったかもしれないけど、自分の好みに合いそうなのを使って役立ててください。

英語動画コンテンツについてまとめてる方もいらっしゃるようなので、こちらもご紹介。
英語動画で無料リスニング学習

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「通じる英語」でいいんですよ

2010-06-22 04:04:04 | 6. 英語論・英語学習

先日書いた「日本企業は「社内公用語=英語」しないと世界でもう生き残れない-My Life in MIT Sloan」について。
私も完全に納得してこう書いてるわけではないが、ポジションを取った以上、主張は正しく理解されたいと思うので、書いてみる。

まず文中でも書いているように、「日本企業」といっても、日本市場だけでは食っていけないような産業や、日本人以外を積極的に採用しないと10年、20年後には困る産業における日本企業を対象に書いている。
これは大企業に限らず、中小企業でも当てはまるところは沢山あると思うが、全ての日本企業がそんな状況に直面している、とは全く思っていない。
ましてや「日本という国で英語を公用語化する」というのはまったく別の話だ。

しかし、それ以前に重大な誤解がある様子。コメント欄や下記のようなエントリを読んで思ったのだが、「社内で英語を公用語化する」ということ自体に誤解があるように思えたので、補足しておきたい。

死ぬほど英語を勉強してきたから分かる、英語学習の限界

筆者の方(米国でPh.D取得後、日本の大学教員)は、要約すると次のような主張をされている
a. 俺は今まで死ぬほど英語を勉強してきた。
b. そんな俺でも英語ネイティブ並になるのは無理だった。ネイティブ並に「英語の力」を駆使し、人を説得したり、納得させたり、楽しませたり、という分野で勝負は出来ない。
c. だから、「日本人は英語が出来るようにならないと、グローバル化できない」なんておかしい。

a.b.とc.の間に圧倒的な論理のギャップがある。
頑張ってきた自分がネイティブ並に話せないからということが、なぜc.の結論につながるのか。

日本人や日本企業が、ビジネス面でグローバル化する上で、全員がネイティブ並の英語を使える必要は全く無い。
この筆者の言う「通じる英語」が出来れば十分である。
実際に、ネイティブ並の英語の力が必要な段があるなら、ネイティブを活用すればよい。
しかし企業のシニアポジションの大部分が「通じる英語」を話せ、日本語が出来なくても優秀な人材を国内外で雇え、力を発揮させられる状況にしなければグローバルに競争に勝てない時代は、上に書いた分野の多くでやってくるだろう。

ついでに言うと、英語で人を説得したり、楽しませるのに、ネイティブ並の英語力は全く必要ない。人にもよるが、大切なのは、話し方や熱意、ユーモアのセンス。(有名な例ではソニーの盛田氏の英語スピーチ)

「通じる英語」「使える英語」で十分なのは、目的を考えれば分かる。
ちなみに「通じる英語」とは自分のイイタイコトを意思疎通でき、主張でき、反論できる英語。
日常会話レベルの英語ではない。
それは結構な英語力ではあるが、全くネイティブ並である必要は無い。

日本企業で「社内で英語を公用語にする」ことの目的は、前にも書いているように
1. 海外支社と本社の言語による情報格差や不信感を排除。支社のガバナンスを強化
2.日本語は話せないが優秀な人材を、(本社でも)より活用する

副次効果として
3.社員が英語の情報源を日常茶飯に触れることで「最初から世界を目指せるようになる」
の3つだ。

目的は、英語が話せない日本人をいじめることではなく、日本語が話せない外人が壁を感じずに力を発揮できることだ。
で、それを目指すことで、日本人自身も海外情報との壁をなくしていく、というのがあるべき姿である。

このために必要な「社内公用語」のレベルは以下の通り。

社内で頒布される公的な連絡や社内報、社内Web、社内の公式な会議は基本的に全て英語

目的は、海外支社との情報格差を作らないことだ。
海外支社が抵抗無く、日本の本社と全く同じレベルの情報を同時に得ることが出来ることが重要。
具体的には、社内のイントラネットは英語。
Emailで送られてくる「社内公示」や社内報が、全て英語で書かれている。
部内全員に部長が口頭で告知したりする場合は英語で行われる。
「公式な会議」の基準が問題だが、「海外支社との距離を作らない、日本語が話せない人材が距離を感じない」ことを目的に、状況に応じて決めれば良いと思う。

「公式な会議」以外のミーティングでは、日本語が話せないメンバーが入ってきたら、すぐに英語に切り替えて議論を続ける

たとえば日本人の開発メンバーだけのブレストやミーティングで英語でやる必要は無いと私は思う。
ただ、そうでないメンバーが入ってきたらすぐに切り替えるのが大事。

ほかにもあるかもだが、「公用語化」のあるべき姿はこの程度の話だと思う。
海外とのリエゾンが重要な外資系企業で必要とされるレベルに近いだろう。
このために必要な英語とは「通じる英語」であり、ネイティブ並の英語など全く必要ない。
(ただし、ネイティブ並の人が有利なのは確かである。)
TOEFLなどのテストも基準にはならない。
そして、決して「日本語狩り」「日本語禁止」をすることではない。

それから、この目的を達成する分には、別にヒラである分には、英語で読んだり聞いたり出来れば問題ない、ということになる。ただし役職が高くなるほど、人前で話をしたり、他とコミュニケーションをとらなくてはならなくなるので、英語でのコミュニケーション力が重要になってくる、という仕組みだ。だから、役職に見合った英語力が無いと、出世は出来ないことになる。

(追記:前の記事のコメント欄にも書いたが、このヒラの人たちが英語を読むことも出来ず、日常の業務に差し障るなら、英語を公用語としつつ、日本語でも発信すれば良いだけの話と思うが、どうだろう?この場合、目的を達成するにはあくまで英語が第一、日本語が第二の公用語で、公的な場で発言する人は英語で話せるというのは条件となる。)

そして、前の記事でも書いたように、皆が英語を必死に勉強することで、英語の情報を苦なく自然に取り入れられるようになり、世界でどのような情報が流通しているかを把握し、グローバルな視座を身につけていくこと、これが非常に大切に思う。

まずは英語で意思疎通が出来る(通じる)こと。
英語でも情報を取り入れ、世界で何が起こり、どのようなニーズがあるのかを把握できること。
そして、次にビジネス上のネゴシエーションや説得も英語で出来るようになること。

ネイティブ並の英語を身につけることなど、全く目的にする必要は無い。

追記:「日本人だけの会議を英語でやる」べきかについて

http://news.www.infoseek.co.jp/society/story/30gendainet000114490/

諸所からやってくる情報によると、楽天では「一般業務の日本人どおしの会議でも英語を徹底」しているということだ。ちょっとやりすぎのように思えるが、これは移行段階だからじゃないか、と私は思っている。実際には、どんなに英語が話せる人ばかりだったとしても、日本人だけで英語でやるのは効率が悪いことが多い。前の記事のコメント欄にもあったように、「英語でやるほうが無駄が省けて、効率的に会議が出来る」場合もあり、そのときは英語でやるのが良いと思うが。

推測だが、三木谷さんは、日本人の社員にこの「無駄を省く」感覚を理解してもらいたくて、英語の徹底をやってるんじゃないか、と思う。英語力を徹底させたい、という目的もあるだろう。
ここは各企業の判断だと思う。

また三木谷さんがやろうとしているのは、これを機に巨大化した「楽天」という企業の価値観や文化を変える、というのもあるだろう。
大企業化した企業が、グローバル化に向けて社内の人たちの意識を変えるのは一筋縄ではいかない。
極端かもしれない方向に振り、結果一部の優秀な人材が辞めたとしても、ある程度の犠牲は仕方ないと思っているのかもしれない

大事なのは達成したい目的の方なので、上の目的が達成されているなら、普段の日本人どおしの会話が日本語だって全く問題ないと私は思っている。

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日本企業は「社内公用語=英語」しないともう世界で生き残れない

2010-06-19 16:44:52 | 6. 英語論・英語学習

昨日、東洋経済のサイトに載っていた、楽天の三木谷社長のインタビューを呼んで、これはすごい、と思った。

「三木谷浩史-英語が出来ない役員は2年後には首にします」-週刊東洋経済インタビュー

実は私も以前から、「ものづくり」の品質では勝てなくなってきた分野では、日本以外の市場でのプレゼンスをもっと確立するために、組織全体が英語を当然のように話し、日本人以外の視点で当たり前のように考えられるようにならなきゃだめだ、と思っていた。でも、本当にこれを実践する企業があるとは、と驚いた。
三木谷氏には、約2年前にボストンで直接お話しする機会があり、そのときも「この会社は日本以外の市場に本格的に展開しないとヤバイと思ってるんだな」と感じたが、この記事からはその本気度がひしひしと伝わってきた。

この10年、20年のうちに、日本企業は日本本社内でも英語が飛び交っているのが当然になるようになっていないと、「ガラパゴス化」を脱し、グローバルに勝ち残っていくのは難しいかもしれない、と私も思う。
理由は以下の4つだ。

1. 日本語が公用語のままでは、海外からの一流人材は集まらない。

海外進出して、その国でプレゼンスを高めようと思ったら、その国の一流人材を採用する必要がある。特にサービス業ではその傾向が高い。そんなとき、日本語が公用語の会社に、知名度も高く英語が公用語の米企業を差し置いて、優秀な若者が就職するだろうか?

例えば、中国で、楽天とAmazonが採用活動しているとする。もし楽天の本社で日本語だけが話され、「本社で何話してるかわからない」という不信感があったら、優秀な中国人の若者は、楽天では中国支社では偉くなれても、日本の本社まで行って偉くなれないかもしれないと思うだろう。でもAmazonなら、そのうち米本社に行って、もっと偉くなるチャンスもあるかもしれない。そう思ったら、中国の優秀で野心的な若者はAmazonに就職するんじゃないだろうか?

今後、日本市場だけでは食っていけない、日本以外の市場でプレゼンスを確立しないとならない分野ではこの発想は不可欠だ。楽天のようなサービス業だけでなく、製造業でも重要になるだろう。
今までは、日本の技術者が生んだものを世界に出荷していた製造業も、今後は少子化で技術者の数はずっと減る。企業が同じ開発の組織規模を持ち続けるには、当然日本人以外の有能な技術者を採用しないとならなくなるだろう。そのとき、例えば中国の優秀な技術者がトヨタとVWのどっちを選ぶか、ソニーとアップルのどっちを選ぶか、東芝とGEのどっちを選ぶか、という話になるわけである。

2. 日本より人材コストの安い新興国市場が拡大してるからこそ、英語化が必要

ちょっとまて、今までだってソニーとかトヨタとかホンダとか、別に本社英語化なんてしなくても海外でプレゼンスも確立してきたでしょ。何で今更、海外で採用する人材にあわせて、本社まで英語化しないとならないの?と思うかもしれない。

それは新興国の市場が大きく拡大していることとも関係する。
今までの「海外進出」は、日本からアメリカやヨーロッパなどの、日本より人件費が高い国に進出することだった。よって、日本から英語の割と話せる日本人を派遣し、高い駐在コストなどを支払っても、元が取れた。中国とかタイなどの人件費の安い国にも、高い駐在を送っていたけど、そんなの、他のどの先進国の企業もやってることだから、問題なかった。

ところが、今後は新興国の市場が、先進国の市場を上回るほどに拡大していく。そこには、英語の話せる日本人を送るより安く、優秀な人材を採用できるようになってるのだ。そして、他の先進国企業も、人を送らず、現地で優秀な人材を安く採用している。新興国市場が大きいから、ここでの競争力が、企業全体企業全体としての競争力に大きく影響する。だから、現地で優秀な人材を採用し、本社側ではその人たちを本社でも受け入れる体制を整えることが不可欠になっているのだ。

また新興国の支社のガバナンスを考えても、本社の経営陣が当然のように英語で話せることは重要になるだろう。
かつて日本企業が、米国に進出した際、本社経営陣が英語で十分ガバナンス出来ずに、組織が失敗したメーカーの例なんて山のようにあるだろう。
今後はそういう話が新興国で起こるようになるだろう。
新興国支社が力を生かせるよう、ある程度自由を与えつつも、手綱を緩めず上手にガバナンスするためには、三木谷さんのいう「英語の出来ない執行役員はクビ」というのは非常に納得がいく結論だと私は思う。

3. 最初から自然と世界を目指せるようになる

英語を公用語にすることで、日本人自身が、最初から自然と世界を目指した開発が出来るようになるというメリットがある。
英語を話す、というのは、単に会話をする言語が英語になるということではなく、情報源や視座がグローバルになることを意味するからだ。
例えば、英語を勉強するために、毎日CNNを聞いたり、Financial Timesを読んだりするようになる。
ネット上などで、日本人以外の人と話す機会も自然と増えるだろう。
そうしたら、世界の中で日本はどう見られているか、日本以外の色んな国の人達が、どんな情報に接して暮らしているのか、ということが自然と頭に入ってくるだろう。

そうすることで、日本のニュースしか読まず、日本人の特殊なニーズだけしか知らないので、それに閉じた製品・サービスを開発してしまう、ということは起こらなくなるだろう。

「ほんとに英語を公用語にしただけでそんな効果あるの?」と思うかもしれない。私はそうなると思う。
これは実際に英語で交渉したり仕事をする英語力を身につけた人にしかわからない感覚かもしれないが、こういう英語力っていうのは単に「英語」を勉強して身につくものではない。英語で流通しているあらゆるニュースを読んだり、考え方を身につけないと、「英語力」はつかないのだ。本当に国際的に仕事が出来る英語力を身につける過程で、自然と視座がグローバルにならざるを得ないのである。サービス開発も、営業も、全ての人がこの視座を身につけたら、ガラパゴス問題の多くは自然と解消するだろう、と私は思っている。

4. 外資系ではなく、日本企業だからこそ英語公用語化が必要。

Twitterで「楽天では日本人だけの会議でも英語でやってるようです」とつぶやいて下さった人がいるが、多くの人は「本当にここまでやる必要があるの?効率悪いじゃん」と思うかも知れない。

実際、日本に支社があるAmazon、Google、IBMなど外資系メーカー、外資系コンサルティングや外資系投資銀行、PEなどの日本支社でも、日本人だけの会議で英語で話すなんてことをやってる企業はほとんど見かけない。(もちろん一人でも日本語が話せない人がいれば、英語になる。)
理由は、日本人だけで英語で会議するなんて効率悪いからだ。それなのに何故、日本企業の楽天が「日本人だけの会議でも英語で話さないと」ならないのか?

これは日本企業だからこそだと思う。外資メーカーも外資コンサルも、その組織で偉くなろうと思ったら、英語で自分の役職の業務がこなせることがおいおい必要になる。会社の中心、っていうか、エライ人たちは英語だから、自然と英語が必要になるからだ。よって、別に日本人同士で英語でしゃべらなくても、皆言われなくてもやるのである。
しかし日本企業は本社が日本だから、別に英語で話さなくても、エラくなれるし、エラい人と会話できる。
英語を話さなければ、というインセンティブは特に生じないので、放置すれば、本社で日本語しか話さないひとは増えるだろう。

以上。
日本企業で、社内の公用語を英語にするなんて、ほんとにやるの?やりすぎじゃないの?と思う人は多いと思うけど、私はそうは思わない。
韓国企業や台湾企業が次々に社員をMBAに送り、アメリカ人を含む大量の「ガイジン」MBAを採用し、本社で英語がしゃべれるのが当たり前になってきてるのを、私はMITにいて目の前で見てるから、日本企業も10年のうちにはそうなる必要があるだろう、と普通に思っている。

(追記)
タイトルは若干ポジション取りましたが、正確には本当に全員が英語が話せる必要はなく、海外人材が違和感無く英語で仕事ができ、特に優秀な海外人材が他社に逃げない程度に、英語が「当たり前」になっている状況を作ることが大切と思います。
ただ、組織として例外ばかり許してたら示しがつかず、徹底されませんからある程度縛りは必要、ということ。
下っ端も英語が話せる必要あるのか?→ 別にいいけど、いつまでも下っ端で手足のままだよ、ということ。

なお、上記は今後も日本市場中心で生きていこうと思っている企業には、その限りではありませぬが。

はてなで「何で日本企業に限定するの?」と言ってる方へ。
→いや別に限定する必要ないけど、他に対象になりそうになる国ってありますかね?
  自国市場が減り始め、人口も減り始め、自国市場だけをターゲットにしても企業の成長が見込めない国って・・・。
  韓国?台湾?もう彼等はやり始めてると思うよ・・。「公用語」とまでは行かないけど。

本エントリーの続き記事→ 「通じる英語」でいいんですよ

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英語で通じないと思ったときは「説明的に」考えるのがコツ

2010-06-18 16:08:05 | 6. 英語論・英語学習

今日は英語の話を。

単語力や英語表現が身についても、「日本語なら何となく伝えられることが、英語だと伝えられない」と苦労する人は多いと思う。
日本語で考えたことを、そのまま英語に訳そうとして、変な英語を勝手に作って相手に通じなかったり、
対応する訳語が無いので詰まってしまったり、とか。

この場合、「英語でモノを考えろ」とアドバイスする人は多いのが、いきなり英語でモノを考えようなんて無理に近い。
どうすればいいか?
ということで、私が普段英語を話すときに気をつけてることを紹介。

私は2年前にアメリカに来て、初めて英語100%の環境になった時に気づいたのは、
日本語って余り説明しなくても、擬態語とかで何となく通じてしまったりするが、英語ではそうは行かない、ということ。
それで「英語で考える」とは、日本語で何となく言える内容を説明するべく考えることなのだ、と気がついた。

具体的には、
1. 日本語の表現を直訳しない。要するに何が伝わればよいのかを考え、説明的に考える
2. 自分の話す内容が、日本の文化・社会でしか通じないことかを考える。そうであれば、日本とその国の違いを背景として説明する

という二つ。2は応用編なので、ここでは特に1を説明してみる。

1) 日本語の動詞表現を直訳せず、説明する
2) 日本語の擬態語や感覚的表現を説明する。get/bring/take などの動詞が使える
3) 5W1Hを考えて、主語や目的語を補う

1)日本語の動詞表現を直訳しない

日本語は何でも動詞に出来ちゃう言語で、一つの動詞が表す意味も幅広いと思う。
ところが英語の動詞は日本語と同じ発想とは限らないので、相手が分かるように説明する必要がある。

例えば、焼肉のときに「この肉、私が育ててるの」など、肉を焼くことを「育てる」と表現する人がいる。
先日、韓国人の友人と焼肉に行ったとき、その友人が「Are you developing this?」と私の焼いていた肉を指して聞いてきた。
(このときは、韓国でも日本人と同じモノの発想するんだな、と感心した。)
しかし日本人の私には通じたが、この英語はネイティブの英語スピーカーにはほとんど通じないだろう。

「肉を育てる」という言葉を普段使っていたとしても、「育てる」をそのまま「Develop」と訳してはイミフメイである。
こういうときは、自分の言っている「育てる」とはどういう意味か、を一瞬考える。
「調理する」だと気づけば、「Do you cook this meat?」となってまだマシな英語が言える。
非常に不自然な英語だが、Cookという動詞なら誰にでも通じる。

更に「結局私は、これがあなたのか私のなのかを聞きたいんだ」と質問の目的まで考えれば、
「Is this yours?」と聞けるだろう。
これなら、とても自然な英語だ。

そういえば、「英語が通じない」も日本語独特の表現だ。
日本語では「通じる」という自動詞があるが、英語ではこれは英語を主語とした自動詞では表現しない。
辞書を調べると「通じる」=「Get through」などと出てくるが、My English does not get throughとか言われてもイミフメイである。

ここでも、「通じない」とは一体どういうことか考えるのだ。
「私がイイタイコトを十分に表現できない」ということで、私に原因があるのか?
であれば、I cannot express myself fully in English となるだろう。
更に説明的に言うなら、I cannot express what I am thinking exactly in English となるかもしれない。
どちらも、若干不自然な英語ではあるが、これなら100%通じる。

更に、英語がちゃんと話せない、ってことを言いたいんだ、ってとこまで気が付けば、
I don't speak English となって、より英語らしい表現となるだろう。

同じ「英語が通じない」でも、「この地域の人は英語を話さない」であれば、People in this area don't speak English となる。

このように、日本語の動詞表現と同じ発想を英語が持っているとは限らないので、
自分がイイタイコトは何か考えて、説明するのが、通じる英語を話すのに大事だと思う。

2) 日本語の擬態語を説明する-be動詞のほか、get/take/bring などが使える

日本語は、これまた擬態語が多くて、これまた感覚的に話せる言語なんだけど、
当然英語にはこんなに無いから、考えないとならない。

たとえば「わくわくする」。
そのまま英語にはならないので、状況を説明する形に言い換える。
「私が」(Who)、興奮しているということなので、I'm excited! とか I'm getting excited となる。

「どきどきする」 これも意味を考える。
「緊張する」という意味であれば、I'm get tensed と表現できるし、
もっと説明的に「私の心臓の鼓動が早くなる」と考え、My heart is beating と言っても意味は通じる。
(ちょっと歌の歌詞みたいでキザだけど)

「しわしわになる」
「しわ」という名詞はwrinkleだから、It gets wrinkled といえば「(それが)しわしわになる」と言う意味に出来る。

このように擬態語は、もとの意味を良く考えて、より説明的に表現を加えることで、英語らしくなると思う。

3) 5W1Hで文章を補う。

更に、日本語の文章はハイコンテクストで、文脈を読ませて、主語や目的語をハッキリさせなくても、通じることが多いが、
移民国家のアメリカではそのような発想では通じない。

この場合、5W1Hを使い、「いつ、どこで、誰が、何を、何故、どうした」のか、ハッキリしない部分を説明する。

完全な文章が話せなくても、カタコトでも正しい単語が入っていれば、ネイティブの人には英語は通じる。
カタコトの日本語でも私たちが相手が何を言いたいのが分かるのと一緒だ。
逆に通じないときは、5W1Hがちゃんと説明されてなくて、話の状況が読めないから、だと思う。
5W1Hの全てを説明する必要は無いけど、WhoとWhereだけ説明するとか、いくつかの要素は説明して分かりやすくすると、通じやすくなる。

以上、英語を話すときに気をつけること-説明的に話すように心がけること。
ここに挙げた例以外にも色々あると思うんだけど、通じないときは「説明しよう」と心がけると、通じるようになることが多い。
そしてそれが自然に出来るようになってくると、英語で考えるのが苦ではなくなってくる。

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じゃあ中高の英語教育をどう変えるべきか考えてみる

2010-03-28 16:46:22 | 6. 英語論・英語学習

前回の記事「日本の中高の英語教育がマイナスにしかならない件について」は、すごい反響でした。
コメント欄、Twitterともに反響や情報をくれた人は有難う。
ブログってメディアは、みんながコメント書くことで、全体として考えるネタを提供する「集合知」のひとつだと思ってるから、何にせよ参考になります。

さて、私の唯一の反省は、
現場で英語の授業改善を頑張ってる先生方がこれを読んでどう思うか、を余り考えずに書いたこと。

私は「問題がある側も頑張ってるはずなので、出来ないのは何か別の理由があるはずだ」というスタンスだ。
このブログでも、常に問題のある側にも共感し、建設的な問題解決を示していく、というやり方を取っている。
以前の記事でも書いたけど共感がなければ、本当の問題にたどり着かないので、問題は解けない

それが、この記事ではそのスタンスを破って、学校の英語の先生を浅く批判してる部分が多かった。
意識の高い先生方から見れば「そんなの言われなくても分かってるよ!」って感じであっただろう。
そこだけは大変申し訳なかったと思っている。

「日本人が英語が出来ない」理由は、中高の英語教育のためだけではない。
ただし他の部分は解決するのは難しく、中高の英語教育を変えていくのが、一番やりやすく効果的な解だと思っている。

簡単に中高の英語教育以外の他の理由も見てみよう。

1. 日本語は英語と全く文法構造が異なる言語である

しかし、こればかりは言ってもどうしようもないし、韓国などを見るとこれを言い訳には出来ない。
韓国語は日本語と非常に言語構造の似た言語であるが、
彼等の中のエリートと呼ばれる人たちは、日本人ほど英語が出来ない人は余りいない。
これはむしろ、次の2、3の理由によるものだと思う。

2. 日本語とは、大学院の専門教育ですら英語を必要としないような、成熟した優れた言語である

日本語は非常に成熟した言語だ。
大学院の社会学、経済学、物理学、化学などといった専門的な分野ですら、日本語で議論が可能なほど、
専門的な概念すら、日本語が存在する。
結果として、英語が出来なくても、各分野でそこそこのレベルまで勉強することは可能だ。

一方、韓国などでは大学レベルからは英語の教科書で英語で議論するのは一般的らしい。
東南アジア各国も同様。

では日本はどうするか?
「高校からサイエンスを中心として、英語でやればいいのでは」という人がいるが、私は賛成できない。

「ものを深くじっくりと、突き詰めて考える能力」も教育の大切な目的だ。
しかし高校生だと、母国語の日本語でさえ、「深く考える」ことが出来てないだろう

それを考えると、まずは母国語でしっかりものを考える習慣を高校までに付けさせるのは大切だと思う。

同じ理由で、小学生に英語を教えるのは良いが、母国語でモノを考えさせる時間を減らすのには反対である。
(よって英語を増やすために授業の時間数を増やすのは良い)

大学辺りからの専門教育を、もっと英語でやる、という方法はあるかもしれない。
ただし、それまでに日本語で「深くものを考える」習慣が付けられていることが条件だ。
それが出来ていれば、英語でも深くモノを考えることは訓練次第で出来るようになる。

3. 日本では、英語が話せることや留学などが必ずしも立身出世につながらない。
  受験英語を制覇して、いい大学に入る方が、個人レベルでは正しい戦略となっている。

  (モチベーションの問題)

再度、おとなり韓国を見ると、この国は、留学することがサイエンスでもビジネスでも出世の条件になる。
従って、教育熱心な親たちは、子供を留学させるべく、必死に教育する。
留学の条件は、英語圏でも問題なく読め、聞け、話せ、書けることなので(まさにTOEFL)、そういう子供たちが育つ。
結果として留学しなかったとしても、サイエンスやビジネスのエリートが、英語が話せるようになるのはこのためだ。

しかし、これって「社会に変われ」と言ってる訳で、これを変えるのは中々難しい。
(これがすぐできるなら、起業家の問題だってすぐに解決するわけで)

4. ローマ字とカタカナ表記、和製英語などの問題

ごもっともだが、和製英語を禁止できるとも思わないし、全ての英単語を英語表記したからって問題が解決するとも思えない。

 

さて、こうやって見ていくと中学高校の英語教育と、大学受験のあり方を変えていくほうが、
ずっと問題を解決しやすいのではないか、と思うのだ。
では、どう変えるか。

まず私は今の英語教育の問題点は、
1. 和訳中心教育のため、英語でモノを読み(聞き)、英語で考える習慣がいつまでも身につかない。
   その結果、英語で聞いて話す、ということにものすごい苦労する
2. 全体として、インプットの量が圧倒的に少なくて、語彙も少なく、正しい英語の言い回しなどが感覚的に身について無い。
  結果としてアウトプットが出来ない。
  少ないインプットで、アウトプットを出させようとするから「英語構文」などの弊害が出る。
3. (受験英語でなく)コミュニケーションの道具としての英語をやるモチベーションが沸かない

の3つだと思っている。(発音については前記事コメでも揉めてるので、後で別途記事にしたい)
ここから出てくる解決法はつぎの3つ。

1. 和訳はやめる。「英語で読む・聞く→理解度を確認する」を繰りかえす。小学校の国語と一緒。
  何度も言うように、和訳中心の教育は、英語を速く読み、英語で考えることの妨げにしかならない。
  初歩の英語だけは和訳でも良いのでは、という方もいるが、一度その癖がついてしまうと、なかなか戻すのは大変なのだ。

  学校の先生には、生徒の理解度を確認するのに和訳はいい方法だ、という方もいるだろう。
  しかし、本当に逐語訳レベルで理解度を確認する必要があるだろうか?同時通訳じゃないのだ。
  小学校の国語を考えてみればよいと思うが、他の方法で理解度を確認していたと思うし、
  その理解度で文章を読むには十分なのだ。
  それと同じことが出来ないか、と思うがどうだろう?

2. 和訳をやめるかわりに、リーディング、リスニングなどインプットの量を現在より増やす
  
全ての言語が上達するには(日本語も)、インプットをある閾値以上に増やすしかないが、
  現在の中高の英語はそれに達して無いと私は思う。 

  逆に言うと、インプットが足りて無いのに、アウトプットを出させようとするから
   「英語構文丸暗記」のようなことが起こるのだと思っている。
   暗記の効用は私も認めるが、基本的な文法や言い回しは、丸暗記しなくても自然に思えるほど、
  身につくくらいに、インプットが必要だと思っている。

   賛否両論あると思うが、私は日本語の小学校の国語は非常に優れていると思っていて、
  その一番の理由は、大量に読む、ということだと思っている。
   その結果、日本人は世界で最も本を読む人種に育っている。(確か一人当たりの本の消費量が世界で最大)
  そして、日本語でしっかり考えることが出来るのだ。
  日本人が英語が下手なのは、日本語でしっかり考えることに、日本人が慣れてるから、と言えるからかも知れないのだ。

  だったら、英語も同じような状態に持っていけばよい、と思うのだ。
  せめて、高校を卒業するときには、アメリカの中学の子が考えられるくらいのこと、考えられるようになりたいと思いませんか?
   そうしたらその程度のインプットが必要ってことですよ。
   それからのアウトプット。
   インプットなくしてのアウトプットは無いと思っている。

3. ネイティブによる少人数英会話を取り入れた、今の中高の教育は続けていくべし
  これは、正しい英語発音や表現を覚える、というのもあるが、
  英語を学ぶモチベーションを高めるのに大切だと思うからだ。

  すでにやられてると思うけど、生の英語の教材への活用も、モチベーションを上げるのに役立つよね。
  例えばオリンピックやってたら、浅田真央は世界でどういう報道のされ方されてるのかとか。
  上に書いたように、日本語が優れていて、ほとんどのものが日本語で手に入るので難しいのだが、
  英語でしか手に入らない、面白い情報があることを中学、高校のうちから教えておきたい。

くらいしか今の私には思いつかないのであるが、基本的には
今の英語教育の何が問題か→それを解決するにはどうすればよいか、で考えていきたい。
提案募集中。

さて、もうひとつ影響が大きいと思われる、大学受験のあり方については考え中。

大学受験をTOEFL的にするのは一案だが、結局「英語しか出来ない」人が受かることを恐れて、
良い大学からこの方式を辞退していくことになりかねないのは問題。
日本では今のところ、「英語が出来る人」と「モノを深くじっくり考えることが出来る、大学が欲しいエリート」が重ならないのだ。
ヨーロッパなどと違って。

あるいは、大学受験から英語をなくす、というのも極論だがひとつありえる。
これで中高の英語が、受験英語から開放されるから。

以上。
考えるための参考になれば幸い。

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日本の中高の英語教育がマイナスにしかならない件について

2010-03-26 13:33:32 | 6. 英語論・英語学習

日本人が英語が出来ない、というのは、実は世界中でネタにされている、ということが意外と知られていないらしい。
ということが、おとといTwitterで英語ネタで盛り上がったときにわかった。

英語がちょっと出来るだけで、海外で、
「日本人でこんなに英語で話せる人、初めて見ました」
「日本人にしては英語すごい上手ですね」
と驚かれるひとは世の中には多い、ということで経験談が色々Twitterでシェアされた。

私もそうだ。
私、渡米前はTOEFL8回受けても、Speaking22点が最高点でしたから、正直大したことは無い。

押し出しの強い性格だからイイタイコトはちゃんと言えるけど、別に超ぺらぺらなわけではない。
しかし、その(程度の)英語力のせいで、海外で日本人だと思われたことはほとんど無い。

で、日本人だ、というと、「えー、でも移民でしょ?」とか言われる。
アメリカ人が聞けば、訛りがあるので長くアメリカに暮らしてるわけじゃないのはすぐ分かるのだが、
にしても、日本人にしては英語がしゃべれる、ということで、MBAの後輩にはフランス人かスペイン人だと思われている。
この程度の英語で、それかよ。
日本人の英語力をバカにするな、と腹が立つわけですよ。
この手の話は幾らでもあり、話しはじめたら一日中語れる。

定量的な話で言うと、2005年のTOEFLの点数の国際比較で、日本はアジアで最下位だったなんて話もあり、
でも、あれは受験人数が他国より圧倒的に多く、ネコも杓子もでも受けてるせいだ、なんて話もあり。

しかし実際に海外によく行く人や、海外に住んでる人なら、日本人の英語がバカにされてる感覚は、
TOEFLの点数なんか持ち出さなくても、はっきり分かる。

何で、日本人はこんなに英語が出来ないことになってるのか?
奥ゆかしい、思ってることを中々言わない、日本人の性格によるところも多々あるが、
しゃべれないだけでなく、アレだけ英語を勉強してるのに、読むのも書くのも苦手な日本人は多い。

私はハッキリ言って、大学受験の英語、そしてそれを念頭にした中学高校の英語教育が悪いのだと思っている。

もちろん、良い点もある。
特に中学でやる英文法とか、どこの国よりもしっかりしていると思う。
NHKラジオとか、市販の教材にも良いものがたくさんある。

しかし、最終的に英語圏で留学したり、仕事したりするレベルになることを考えると、
ハッキリとこれはマイナスにしかならない、と言えるものが、次の四つだ。

1.和訳中心の勉強法

大学入試の問題を見ても「和訳せよ」、中高のクラスでも「○○さん、和訳してください」
おかげで市販の英語の問題集も和訳ばかりだ。

この、和訳ばかりさせて勉強させる、というのは日本独特の、まさにガラパゴスな英語勉強法だ。
恐らく漢文の素読の慣習から来ているのではないか、と推測するが、
ハッキリ言うが、和訳は無駄であるどころか、マイナスにしかならない。
最終的に英語だけ読んで理解し、大量の情報を英語で処理し、英語で考えられるようになるには、
和訳していてはダメなのだ。

ところが中学・高校で和訳をする癖がついていると、中々英語で読んで英語で考える癖はつかない。
こういう癖がついてると、英語だけで理解し考えるための新たな訓練が必要になる、と言う意味で、
「マイナスだ」と言うわけである。

和訳の癖の一番悪いのは、まるで漢文のレ点のように、言ったり来たりしながら日本語の語順で読もうとしてしまうことだ。
こんな読み方をしていたのでは、いつまでも速く読めるようにはならない。
和訳して日本語で考えていたのでは、英語で考えられるようにはいつまでもならない。

2. 間違った発音教育

在米30年以上の日本人の友人の、アメリカで生まれ育ったお子さんが、中学のとき日本に帰ったのだそうだ。
で編入時に、特にアメリカ育ちだと言うことを申告しなかったためか、
日本の中学の英語の先生に、「あなたの発音は意味が分からないから、直しなさい」といわれ続けたそうな。
恐らくボストン訛りだったので、せいぜいCNNなどのキレイな英語しか聞いていない日本人の先生には、分からなかったのだろう。
(注:これって例えば博多弁しゃべってる人が「あなたの日本語間違ってるから直しなさい」って言われる感覚よ)
本人が気にもしなかったのが幸いだが、2年目に、ネイティブの先生がフォローしてくれ、漸く解決したそうだ。

Twitterでもこんな経験談をコメントしてくれた人がいた。
「小学生のときはずっと英会話塾に通っていたので発音は良かったのですが、
 Doctorを「ダクトゥァー」と発音したところ、先生に「ドクター」ですね、と直されてトラウマになった」

この手の話も尽きない。
要は、中高の日本人の先生で、英語の発音に間違った認識をもっており、
間違っていても直してくれないどころか、正しい発音なのに日本語発音に直してしまう、
という人が存在することから起こる問題だが、
こんなのも、一度通過すると、変な癖がついてしまうので、マイナスにしかならない。

これも、全ての先生がそうであるわけでは無いし、最近はネイティブの先生が増えてて、
クリティカルな間違え(RとLなど)は直してもらえるようになっていると思う。

英語の発音は、ネイティブに直してもらえるような環境になければ、
自分の耳を研ぎ澄ませ、ラジオや音声教材などのネイティブ発音と、
自分の録音したものを何度も聞き比べて、直していくのが最良の方法だ。

一番大切なのは、LとR、EやAEやOEの発音、Wの発音など、
日本語に存在しないために、日本人には発音しづらいのだが、ネイティブが聞くと混乱するようなものを、
しっかり学校でも指摘し、早い時期から直すことである。

ちなみに、こういう発音は子供に戻った気持ちで訓練するしかない。
小さいとき、「でんしゃ」のこと「れんしゃ」とか言って、「で」が言える様になるまで何度も練習したでしょ?
それと同じ。
頭の固い大人なんだから、もっともっと練習しないと、発音が出来るようになるわけないのだ。

3. 英語構文なる間違った英文法

高校生になると、「英語構文」なるものをやらされ、受験前に問題集一冊やったりするが、これが曲者だ。
ここで覚えさせられる英語構文のうち、三分の一くらいは、文法的に間違っていたり、ネイティブが使わない用法だったりするのだ。

例えば、So as to とSo as not to。
これは米文法では、間違った用法だが、高校の英語構文ではSo as (not) to + 動詞、で覚えさせれる。
(So as to 大学受験、でGoogleっただけでも大量に出てくる)
しかしこれは、正しくは、So + 形容詞 + as to + 動詞。
それ以外の用法は間違ってることになっている。
その上、この熟語は、数学とか法律とか契約などでしか使わない表現で、日常生活では絶対に使わない。
(→→米国でも文章書くときにたまに使う人はいます。が、「ら抜き」と一緒で間違えは間違えだそうです)

ということを、MBAを受ける時にGMATのために勉強をして始めて知ったりするのだ。

Different than -これは英文法として明らかに間違ってるのだが、大学受験には出てきたりする。
正しくはDifferent from。比較級が無いのにThanは絶対に使わない
(
→→other thanはあるじゃん、と言う指摘が。確かに。
 →→そんなの大学受験でも「間違え」とされてる、とのこと。日本の受験英語の名誉のために訂正。
 またコメ欄では、英国英語の辞書では正しい表現として載っているという意見も。)

日本人が大好きなSo thatですら、超学術的文章でしか使わないそうだ。
私はこっちに来てから、非ネイティブながらチームを代表して文章を書いたり、とよくやらせてもらったが、
So thatは「何それ?こんなの使わないよ」と笑われながら何度も直された。
というわけで、契約とか論文でも書いてるならSo that を使ってもいいが、そうでないならやめましょう。
ついでに、Such thatなんて出てくるの、数学の教科書だけです。

そんなわけで、こういう大学受験のための、英語構文に出てくる英語表現に、
文法的に間違っていたり、絶対に使わない表現が出てくるわけで、こんな間違ったの覚えても、
マイナスにしかならないのだ。

そんなことよりも、日常的に使う、Take a lookとか、make a turnとか、普通の熟語を覚えた方が1000倍役に立つ。

4. 文学部に行く人間しか使わないような英単語

そして、日本の中学高校の教育では、習う英単語すら、日常とかけ離れたものが多い。
特に、難しい評論や小説なども読むようになる高校では、かなり高度な文学的表現や単語を習ったりする。

その割には、Sewer(下水)とか、Bail out(救済する。銀行などを。)みたいな、
普通に日常会話やニュースで出てくる単語が全く出てこなかったりする。

これも、結局中高の英語教育を、英文学科の教授とか、そういうところを出た先生がやってるからではないのか?

結局、英語を使う現場と言えば、ビジネスだったりサイエンスだったり、政治だったりするわけで、
まずは日常英語と、そっち系の専門用語の方がずっと役に立つ。
TOEFLやGMATの英単語が、実際にアメリカに住んでて役に立つのはそのためだ。

もっとも、シェークスピアやオスカー・ワイルドの名言を知ってるのは、教養としてはとっても大切だ。
英語がある程度出来るようになり、ビジネスをやってると(特にヨーロッパと東海岸の人間には)
こういうことを知ってるのはとても大切になる。

しかし、普通はその前にやるべきことがあるだろう、と思うのだ。

まずは英語の新聞が読め、科学や経済で英語の教科書がすらすら読める英語力。
英文学の教養はその後でもいいのではないか?

以上。
日本の中高の英語教育について、英米各国で英語で勉強したり研究したりビジネスしたりするにあたり、
マイナスにしかならないと思われるものを指摘してみた。

何度も書くが、日本の中高の英語教育にも、もちろんいい面もある。
最近はリスニング力とか強化されたり、どんどんインタラクティブになってる。
でも、上の4つは変わってないマイナス面なのだ。

じゃあどうすればいいかって?

もうこういう教育を受けてきちゃった人は、「今まで習ってきたことはマイナスかもしれない」と覚悟して、
英米系の問題集などを使ってTOEFLやTOEICのために勉強するしかないよ。
別にTOEFLファンとかじゃないけど、日本で簡単に手に入る市販の勉強教材では一番まともだから。

高校生は、市販の受験問題集に余り固執せず、
やはりTOEFLやTOEICで高得点を取ることを目指して勉強する方がいいんじゃないか、と思う。
それから、ラジオの英語とか、興味のある分野の英語の雑誌(World Soccerでも、New Scientistでも)
を読めるように辞書引いて頑張ってもいい。

あとは大学受験を変えていくしか無いんだけど、影響力のある国立大学から変えてくしかないと思うね。
大学の英語の先生が、もっと留学して、苦労して、まともな英語力を身につけるのも大事だ。

この記事の続き: じゃあ中高の英語教育をどう変えるべきか考えてみる

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エンジニア向けオススメ英語ブログ

2010-02-15 09:00:00 | 6. 英語論・英語学習

先週書いた3Gの記事で、私が読んでるブログのひとつFakesteveを紹介したが、他にも定期的に読んでいる技術系英語ブログがいくつかある。
もしかしたら技術系の方が英語を勉強する際の参考になるかもしれない、と思い、ご紹介します。

The Secret Diary of Steve Jobs (またはFake Steve)

まずは既に出したfakesteveから。
シリコンバレーのエンジニアに人気のブログなので、日本でも知ってる人も多いかも。
タイトルは「スティーブ・ジョブズの秘密の日記」だけど、ドメインがfakesteveであることから分かるように、ニセモノが書いてるブログだ。

ニセモノとはいえ、毒舌にユーモアが効いててとても面白いし、結構インサイトあること言ってるので
「一体誰が書いてるのか?」というのが長らく謎だった。
で、結構多くの人が、Fakesteveの正体は誰だ?と正体探しをしまくった。
色んな人の名前が挙がったが、結局2年前くらいにWired Newsの編集者の一人が書いてるってことが判明してしまった。
(追記:すみません。思いっきり大嘘書いてしまいました(笑)
Wiredの人は候補に上がった人の一人で、正しくは当時ForbesのSenior Editorで今はNews Weekの編集者のDaniel Lyonsでした。参照:http://en.wikipedia.org/wiki/Daniel_Lyons

記事はかなり短いものが多く、写真も多いので、読みやすく、RSSするのが全く苦にならない。
アメリカの口語表現を学ぶのに良い。
技術系の人なら、何言ってるかすぐに分かるので、「へえ、こういうときこういう表現するんだ」って勉強になると思う。

最近は、Appleの最大の敵と言われるGoogleに関する毒舌が多いが、
当のApple製品についても誉め殺しが多いのが特徴なので、どちらのファンでもアンチでも楽しめる。

Bits - Business-Innovation-Technology-Society

こちらは昨年9月からNYTimesのオンラインサイトに掲載されてるブログのひとつで、
IT界の評論家や記者、起業家などが交代で記事を書いている。
更新は平日のみだが、一日に2,3本、多いと5本くらい更新される。

新聞なだけあって、IT分野の主要ニュースが大体漏れなくカバーされているのが素晴らしい。
更にニュース+論説、という形で、最新の内容を専門家の視点でそれなりに掘り下げられている、
ブログ記事としては割と理想的な形。
最も、その世界にどっぷりつかってる人から見れば、掘り下げ方が浅い、と思われるんだろうが、
普通レベルの知識の人が、今IT系で起こってることを理解するには最適のブログだと思う。

文章の長さは、どれも300語以内で、割と短いから読みやすい。
英語のレベルは、英字新聞より低いくらいだと思うが、読みにくい人はマウスオーバーすると意味が出て来る辞書などを使って読むのがいいと思う。

NYTimesに収録されてるブログは面白いものが多く、有名なものでは、
昔、本にもなって有名になった「Freakonomics」(日本語タイトル:ヤバイ経済学)とか、
クリュッグマンのブログ(Krugman Blog)などもある。
どれもオススメ。

 

さて以下二つはブログ上級者or 時間のある人向け。
とにかく一日に更新される記事の量が多いので、全部は読んでられない。
ブログ全体をRSSとかすると、一日20本くらいずつ溜まっていく。
どちらも、RSSするなら興味トピックだけ選んでするのがいいと思う。
ただ、世の中には200以上のブログをRSSして毎日読んでるような人もいるそうなので、そういう人なら普通に読みきれるのかも。

GigaOM

これも日本でも有名なブログだと思うから、今更解説する余地も無いが、
IT系の評論家OM Malik氏
を中心にしたブログ記者集団がやってる、ITブログ。

実は私は、去年のMBAの「シリコンバレー・トレック」で、このGigaOMを訪問したのであった。
サンフランシスコの西側、桟橋がたくさん並んでいるPierの倉庫群のひとつに、GigaOMの事務所がある。
OM Malik氏にインタビューしたが、実はITよりもテレコムよりの人で、
サービス・デバイスよりネットワークなどの話にやたら食いついてくること、
抽象的な産業論を論じるのが好きな人だったのが印象的だった。

ひとつの記事の文章はかなり長い。それが一日に20本近く更新される。
しかし、内容は詳しく真面目に分析がしてあるものも多く、ちゃんと読むと面白い。

Tech Crunch

これもGiga OMと同じく、一日に20本近く更新されるブログ。
複数記者が書いている、Tech系では有名ブログのひとつ。

こちらはシリコンバレーのニュースが中心だから、GigaOMのような解説記事とは異なる。
どの会社がどのようなサービスを始めただの、どの会社を買収しただの、という記事が多いので、
しばらく読んでるとシリコンバレー界隈で何が起こってるかは詳しくなれる。

ひとつの記事の文章はそんなに長くない。ニュース中心なので事実だけ。
たまに記者の界隈で起こっている日常の話などが混ざるので、それが面白い。
このブログのファミリーには、Mobile Crunchとか Crunch Gearなど、特化したサイトもあるので、
興味分野によってはそこだけ読むのもアリだと思う。

以上、オススメTech系英語ブログ4本でした。

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iPad - 英語のネーミングで気をつけること

2010-01-30 20:41:45 | 6. 英語論・英語学習

iPadのネーミングがかなり悪いと思った件について「iPadはネットブックへのアップルの答え」にちょこっと書いたけど、誰にも意味が通じてなかったんじゃないかと思って補足。
日本のメディアでも余り言われて無いみたいだし。

iPadのニュースは、車を運転しながらラジオで聞いたんだけど、「えっ(汗)」と思ったもん。
そんなこと思ったの私だけかもと、言うのも恥ずかしいので控えていたが、実は私だけではなかった。
ということがNYタイムズの人気ブログを読んでいて判明。

やっぱ、そう思うようね~。
最初だけ引用。

The iPad Name Makes Some Women Cringe - Bits (NYTimes)
iPadと言う名前に一部の女性はうんざり

When Apple announced the name of its tablet computer today — the iPad — my mind immediately went to the feminine hygiene aisle of the drugstore. It turns out I wasn’t alone.

The term “iTampon” quickly became a trending topic on Twitter because of Tweets like this one: “Heavy flow? There’s an app for that!” A CNBC anchor, Michelle Caruso-Cabrera, said the iPad was a “terrible name” for the tablet. “It reminds me of feminine products,” she said.

“Are there any women in Apple marketing?” asked Brooke Hammerling, founder of Brew Media Relations, a technology public relations firm. “The first impression of every single woman I’ve spoken to is that it’s cringe-inducing. It indicates to me that there wasn’t a lot of testing or feedback.”

It is not just women who were surprised. When Peter Shankman, a public relations and social media expert, saw the name on television, he was taken aback. “I’m waiting for the second version that comes with wings,” he said.

続きは是非リンク先でお楽しみください。
何でAppleがこんな名前付けたのか?女性マーケはいなかったのか?売上げに問題はないのか?なんてことが議論されてます。

訳は敢えて書かないけど、こういう文章って読めちゃうでしょ。
「Heavy flow? There's XX for that」というのは、アメリカでこの製品のTVCFに使われる常套句。
最後の「I"m waiting for the second version that comes with wings(次バージョンは、是非羽根つきで)」というのは笑うところ。

日本でも、製品に英語っぽい名前をつけるとき、他の登録商標を破っていないか、ということとともに、
英語で変な意味にならないか?というのをチェックする人がメーカーなどにはたくさんいるらしい、
と前にメーカー勤務のマーケターに聞いた。
英語含む主要言語で変な意味になるものはつけない。
一部言語で変な意味になるときは、その国だけ違う名前を導入するらしい。

そういうことをよく考えないと、東工大が、M.I.T.にあやかってT.I.T.と略称しちゃった事件みたいなことになるから・・・(東工大の方、ごめん)

さて、これだけ書くと、単にあおって終わりなので、なんか役立つことを書きます。

アメリカ旅行中にこの製品が急に必要になって困った方は、CVS、Walgreenなどのドラッグストアに行けば必ず売ってます。
こういうところは24時間営業だし。
街の中なら、駅のそばやデパートの中に必ずひとつはあります。
郊外だと、カーナビで検索って感じかな・・・でも必ず国道沿いにはなんかあります。

店員に聞くときは、Padはどこかと聞けばいいですが、日本人の発音はだいたい通じないので、
sanitary goods またはfeminine goodsはどこか、と聞くほうが圧倒的に通じます。
(napkinはあまり通じません。でも言葉ってその場の雰囲気で分かっちゃうので分かる人もいるけどね)
Padの正しい発音については渡辺千賀さんの記事が参考になります。

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英語なんて間違えたって自信もって話すのが大事と思う瞬間

2010-01-26 13:47:38 | 6. 英語論・英語学習

本日二本目。

今度、私が部長をやってるワインクラブ(部長は6人いる)で、貴腐ワインのテイスティングイベントをやる。
今回は私が主催者なので、さっきメーリングリストに案内を出したら、ひっきりなしに返事が帰って来る。
定員25人の予定だったんだけど、この調子だと明日には埋まりそうだ。

で、その返事を読んでて思ったんだけど、ワインクラブの会員って、半分以上非ネイティブなんだよね。
特にヨーロッパと南米が多い。
で、アメリカに1年半住んだ私でもすぐに分かるくらいの、ネイティブならやらない文法の間違えやつづりの間違えがあったり、表現が下手だったりする。

そもそも私が最初に出した案内自体、文法やワードチョイスの間違えがたくさんあったと思うんだけどね。

それでも別に、通じ合える。
私の書いた案内が下手な英語でも、このイベント行きたい!と思ってみんなメールしてくれるし、
メールの返信を読めば、みんなの心意気が私にも伝わってくる。

だから、間違えることとか、英語が下手なことなんか気にしないでコミュニケーションするってのが大事だよな、と妙に勇気付けられた。

私の友人のBernardo(ポルトガル人)なんて、未だにDon't forgetto ! とかメールしてくるからね。
forget じゃなくて forgetto.
何てポルトガル的な間違え・・・

MBAの授業とかでも、日本人や韓国人はいい意見を持ってても、遠慮してほとんど発言しない。
しゃべれば英語も結構話せたりするのに、である。

一方ラテン系・ヨーロッパ系は、別に日本人に比べて大して英語がうまい、というわけでなくても、どんどん発言する。
(私はどちらかと言うとラテン系に分類されるので(友人談)、遠慮せずどんどん発言)

「恥ずかしい」と思って遠慮するのは東アジアの美徳ではあるが、英語圏ってそういうカルチャーじゃない。
だから恥ずかしがらずにどんどん前に出てコミュニケートすればいいんだと思う。

以下、私が書いた案内と頂いた返信の一部。
私なんか、いきなり冠詞ミスしてるし(we hope you had a great new-year vacation とすべし)
でも、こんなんでも、出して2時間以内に10通以上返事が返ってきたりするわけです。

Dear wine lovers!

We hope you had great new year vacation and IAP.

Our next tasting event is on Feb XX - it's all about sweet, deluxe and elegant Sauternes wines -- so called Noble rot wines.
Two first growth wine producers from Bordeaux, France will visit us bringing their splendid wines!

Ch.XXX :http://www.....com/
Ch.XXX : 
http://www....fr/

Our guest, XXXX, the current owner of Ch. XXX and Kellogg Almuni 200X will share us the secrets of the sweet wines and also about wine business from MBA perspective.

The cost is $XX per person with 6 kinds of wines (1998/2002/2004 of Ch. XXX and Ch. XXX) and cheeses with crackers.
The amount of wine we serve is not a big portion - but you'll be satisfied because it is so sweet!
I also think it is very reasonable considering that one bottle of their wines normally cost $70-100...

Time: Feb XXX, 8pm
Place: XXXX
Registration: We limit the number of participants to 25 - and it is first come, first served. Please email XXXXXXX at XXX
Preparation: If you're really cares the kind of glass, bring your own glass - we don't have enough amount of glasses and we have to serve by plastic glasses for some people.

ネイティブの返信の例

Count me in!!

Sign me up XXX(私の名前), thanks for organizing!

XXX(私の名前), Liz and I are in!

非ネイティブの返信の例

Im writing to confirm, should i write a check and leave it in your folder?
(やたら丁寧。ネイティブはconfirmとか使わない)

If there is still room, I would like to attend the event
(やたら丁寧。冠詞ミス。attendはこのようなイベントには使わない動詞。joinもしくはbe inでよい

けれど通じるんだから、いいんだって、これで!

追記)私の上に掲載した英文は、いろいろ文法ミスとか、ネイティブらしくない表現が多々含まれてるので、よい子は決してまねをしないように(笑)
こんな文章でも、中身が分かってもらえ(魅力的であれば)、ちゃんと通じて、人が集まって来るんだよー、ということをいいたくて、ヒドイ文章ですが、恥ずかしながら(笑)掲載しました。

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留学を目指す人のためのTOEFL iBT攻略まとめ。

2010-01-24 01:55:47 | 6. 英語論・英語学習

まとめっていっても、自分の過去エントリのまとめなんですけどね。
このブログに英語情報を求めてくる方は多く、コメント欄でも要望が多いんですが、
わざわざ過去エントリに遡る人も少ないと思うので、まとめておくです。

TOEFL iBTは、米国の大学・大学院に留学するにはほぼ必須となる試験。
欧州系・アジア・南米の大学・大学院で課されることも。
Reading、Listening、Speaking、Writingの4パートに分かれ、各30点満点、計120点満点で採点。

個々の大学ごとに必要点数の基準がかなり異なるため、アプリケーションの書類を良く見てください。
ただ一般的な目安は次の通り。
大学:人文・社会科学系80~100点。理工系60~80点。
大学院:80~100点。トップMBAは100点以上のところも多い。

ちなみに私は、最終的には110点。 R30, L29, S22, W29 だったと記憶してます。
8回受験(つまり受験料だけで16万かかってるわけだ。がーん。)

8回受けた中で、各科目の最高点数は、R30、L30、S22、W30でした。
つまりSpeakingが超不得意だったので、Speaking以外は満点を取れる状態にして望んでいたわけです。
TOEFLはスポーツみたいなもの。
コンディションによってうまく行くときと行かないときはあります。
だから何度も受験するのは仕方ない。あきらめずにやるです。

勉強法は以下の通り。
簡単にまとめると、
・Reading・Listeningなどのインプット系は、設問で求められてるもの(アウトプット)だけ意識して、必要なところだけ読む・聞く。それに慣れるため量をやる

・Speaking・Writingなどアウトプット系は、論理的に構造化された文章を話す・書く。書いたものは見直す。それに慣れるために量をやる

って感じでしょうか。

最初に力を入れたのがこれです。
最初は19点、その後3ヶ月で上げて、30点前後が取れるようになりました。

1) ボキャブラリーの強化。

最近何度も書いてますが(英文読むのが苦痛な人はまず単語単語暗記がつらい人には)、
Readingの点数を上げるのに一番効果的なのは、語彙力の強化です。

何故か?
・単語を聞いてくる設問だけで4点程度(目安)確保できる(30点中の4点は大きい)
・単語が分かると読解が早くなる→基本、全問解き終わるようになる
・読解が正確になる。よって歩留まりが上がる。

強化方法については上の記事をご参照ください

2) 設問を先に読み、文章は必要なところしか読まない

TOEFLの素晴らしいのは、設問が段落ごとになってるので、
まず設問を読み、必要な情報だけを読んで答える、ということが可能なこと。

全部読んで楽しんでたら、とても終わりません。
インプットは常にアウトプット思考で。
文章読む前に、必ず設問を読む!

3) とにかく大量に読解問題を解いて慣れる

この「設問を先に読んで、文章は必要なところのみ読む」というのは、意識して訓練しないと難しいです。
なので、とにかく問題量をこなす。

何をやるか、ですが、まずは公式ガイドを終わらせることです。
これだけでも結構量があります。
その上で、紀伊国屋やジュンク堂などの本屋に行くと、洋書のTOEFL問題集がたくさん売ってます。
Readingのみのものを選んでやると良いと思います。
私は、Mastering Skills for TOEFL iBT Advanced Readingという教材を使いました。

Official Guide to the New Toefl iBT With Cd-rom (Official Guide to the New Toefl iBT)

McGraw-Hill
画像クリックするとAmazonのページに行きます。

公式ガイドの日本語版はこちら

自分で言うのも何ですが、過去記事が良く出来てるのでそちらをご覧ください。

コツは、Readingと似てますが、全部は聞かない。必要なところだけ聞く、ということです。
留学してからも思いますが、ディクテーションが出来る必要は全く無い、
相手が話してるところで大事な部分はどれかを選んで聞く能力が問われるのがTOEFLのリスニングだと思います。

それから練習量がやはりモノを言います。
練習するときに、必ず「全部聞く必要は無い」ということを頭に叩き込みながら聞くこと。
過去記事に書いたスキルが使えるように、何度も練習すると、点数が安定します。

私もリスニングは、初期の頃は20点だったり30点取れたりと全く不安定でしたが、
「必要なところだけ聞く」「メモを取るより聞いて理解する」を徹底することで、集中力が持続するようになり、安定して30点近辺を取れるようになりました。

最終的に22点しか取れなかった人間なので、大きいことはいえません。
私はTOEFL iBT元年だったので、Speakingの攻略法が確立しておらず、当時は苦労した人間がたくさんいました。
今は、大分攻略法も整理されてると思います。
2点ほど。

1) 論理構造を持ったテンプレに沿って答える
個人的にはテンプレートを覚える、というのはかなり有効だと思います。
何故なら、文章をどう構造化するか、とか無駄なことを考えず、中身をしゃべることに集中できるから。

テンプレートは色んなものが存在するので、好きなもの・予備校が進めるものを使えば問題ないと思いますが、
必ず英語の論理構造-ピラミッドストラクチャーに沿ったものを使うべきです

・主となるメッセージ
・「理由/例は二つあります」
・一つ目は○○です
・二つ目は○○です
・以上の理由/例から、(主となるメッセージを繰り返す)

この構造は私が現在MBAの授業などで発言するときも今でも使ってます。
話の構造が論理的であれば、多少発音が悪くても、何を言ってるか相手が理解できるから。

2) 自分の発音を録音してネイティブ発音と比較し、悪い癖を直す
それから点を取るには発音も大切で、中身は完璧に話せてるのに点が上がらない人は発音が悪いケースが大半です。

そういう人には、録音して比較することをすすめます。
しゃべってるときは分からないですが、比較すればすぐ何が悪いか分かります。

私がこのことに気付いたのはTOEFLの点数が出揃った後。
留学前にこれを集中的にやって、かなり発音は良くなりました。
あの頃気付いていたら・・・と今は思います。

これも過去記事どおりですが、
1) 論理的に構造化された文章を書く。そのためのテンプレは有効
2) 文法、単語のミスが致命傷なので、必ず見直す。最低5分は見直しに使う
3) これを意識してとにかく量を書く

以上です。
最近英語記事多いですが、留学準備を今始めるって方も多いと思うので・・・
お役に立てれば幸いです。

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「英単語をただ覚える」という筋トレがつらい方へ

2010-01-21 01:41:07 | 6. 英語論・英語学習

時差ぼけ格闘中。
自分の生活を自分でコントロールする学生生活では、ホントに直すのが大変・・・
と言うわけで、今日も小難しくない記事をアップ。

先週書いた「英文を読むのが苦痛の人はまずは単語力を身につけよう」という記事が大ヒット。
やはり皆さんも苦労されてるんですね、英語。
今回は、前記事の補足で、「英単語を覚えるのが大事なのは分かるだけど、出来ないんだよ!」という人向けに、コツなどを補足。

英語力はとにかく大量の英語を読む・聞くでしか身につかないと私は思ってます。
で、そのとき単語も分からず、意味が分からないまま読み・聞き続けるのは効率悪いし、とてもつらい。
だから、まずは語彙力を身につけるのが大切。
語彙力を身につけると、驚くほどすらすら読めるようになって、世界が変わる。

私の経験談を書くと、10年前、大学生だった頃、TIMEを購読していたのだが、挫折した。
辞書片手に頑張って読んで、難しくてなかなか進まず(1時間で2ページ進むか、というペース)
雑誌は毎週来るからどんどんたまる。
途中何度も挫折しそうになりながら、2年くらいは粘ったのだが、
TIMEのコソボ紛争への態度が、余りにもアメリカよりで気に入らないという、もっともらしい言い訳をして購読中止。
要は挫折したのだ。
(あの、ただ購読だけして、読めなかったTIMEがもったいないなーと今でも思う)

科学雑誌ならいけるかも、と思ってNew Scientistを読み始めたが結局挫折した。
TIMEよりは圧倒的に語彙も理解できるんだが、今思うと、やっぱり語彙力が足りなかったと思う。

その後社会人になり、かっこつけて英字新聞を読み始めたときも同様。
TIMEのときと同様で、1時間に2ページも進まない。
よって毎日読めずにたまる。新聞なのに。
仕事が忙しくなったのを言い訳に購読中止。また挫折・・・

現在はウォールストリートジャーナルやファイナンシャル・タイムズのような英語の経済新聞を毎日読んでるけど、さほど苦でなくすらすら読める。
その違いは、知ってる単語が今の方が圧倒的に多い、というだけだ。
留学前にTOEFLやGMATで点数を取るために、大量に英単語を暗記したのが、今の語彙力の基礎になってる。
その基礎をベースに、圧倒的な量の英文を毎日読み続けてるから、単語が徐々に定着してきたんだと思う。

単語帳や単語教材で英単語を覚えるのはあくまで基礎筋力。
基礎筋力があれば、スポーツを続けるだけで筋力がつくが、なければスポーツやってるだけじゃつらいだけでなかなか筋肉がつかない、というのと似ている。
「今読んでる文章に出てくる知らない単語はせいぜい一語くらい」というレベルまでは、
ちゃんと筋トレをしてから望むほうが効率的、と思ってる。
(同じことを何度も書くけど)

前置きが長くなっちゃったけど、「出来ないんだよ!」という方へのメッセージ。

1. 記憶力が悪くて定着しない・・という方へ
→ 四の五の言わずにやれ。やってると自然と記憶力が取り戻される。コツは何度も復習。

人間、どんなに記憶力があった人も20代を過ぎれば衰えます。
私など、中学生の頃は自分で神童かと思うほど好きな歌手の曲の歌詞を次々に覚えていたのに、
高校生くらいから徐々に後退。
最近はお酒の飲みすぎのためか、健忘症のようになり、人の名前すらろくに思い出せない。
(飲みすぎには注意)

そんな私のことだから、勉強を始めて英単語を覚え始めた当初は、全くというほど頭に残らなくて本当に苦労した。
一日に覚えた、と思って次の日覚えてる割合は2割以下だったように記憶している。

ところが始めてから1週間も経つと、意外と頭に残り始めたことに気が付いた。
どうやら記憶力が徐々に戻ってきたようだ。
人間の脳って、特定の部分を使い始めると、神経細胞が強化される、というけれど、まさにこのことか、という感じ。
翌日に5割以上記憶が残ってることが増えてきた。

覚えるコツがつかめてきた、と言うのもあるかもしれない。
復習を怠らない。
仕事の合間にふと時間が出来たら、昨日やった英単語を見直す、勉強を始める前に必ず今までのを見直す。
忘れてもへこまずに何度も覚えなおす。

だからとにかく言い訳せず、続けることです。

2. 単語だけ覚えるのはつまらない、続かない・・という方へ
→ 楽しい教材を使う。具体的な目標を立てる。目標にあった教材を使う

これもその通りで、私も何度も挫折してきた経験の持ち主だから良く分かる。
これを克服するコツは三つ。

1) まずは、やっていて楽しい、と思う教材を使うこと
今使ってる教材が、本当につまらない、と思うなら、思い切って変えてしまっても良いと思う。

私のオススメは、やっぱりオンラインソフトですね。
ゲーム感覚で次々に単語を制覇していく感じなので、やってると時が経つのを忘れてしまうから。
前にも紹介したように、iKnow(現在はsmart.fmという会社がやってる様子)やアルクのPower Wordsがオススメ。

あと、音声教材をオススメするのは、やっぱり見たり聞いたりと五感を刺激して覚えるのは楽しいから、ってのもある。

2) 次に、短期・長期両面で具体的な目標を立てること

英語の勉強をしようと思ってる以上、何らかの目的があってのことだと思うが、
長期的な漠然とした目標だけで、短期の目標が無いと、人間だれやすい。
「TOEFLで○点取る」「来月までにこの単語集を終わらせる」など具体的で短期の目標はあった方が良い

短期目標は「先週より英字新聞をすらすら読めるようになりたい!」みたいなのでもいいと思う。
GMATの単語学習時の私のモチベーションはそれだった。
で、実際に単語学習が進むと、「あーこの単語昨日やったよ!」「なんか先週よりすらすら読めるような・・・」ということが増えてモチベーションも向上。

また、長期的な目標が無いと「私、何のためにこんなことやってるの?」と疑問に思ったり、
仕事など他の大切なことに時間を使って、なまけがちになる。
自分は何のために英語を勉強してるんだろう、留学のためか、仕事のためか、何らかの長期的目標は持った方がいい。

3) さらに、目的にあった教材を使うこと
目標に合う教材を使えば、目標に最短距離でいけるから、成果が分かりやすい。
すぐに成果が分かると、人間やる気をもてるものだ。

例えばTOEFLで点を取るのが目的なら、TOEFL頻出単語のようなものを使う方が良い。
1週間もしないうちに、TOEFL読解問題に「あ、この単語おととい覚えた」のようなものが出てくるはずなので、やる気が出ると思う。

それから、自分の現在のレベルに合った教材であることも重要。
あまりにレベルが高すぎる教材を使っても、大変なだけで、なかなか成果は見えない。
前にも書いたけど「単語集の単語のうち、1,2割は知ってるくらい」がベストのレベルだと思う。

3. 時間が無い、と言う方へ
→時間は作るしかない。単語学習を楽しくするってのもコツのひとつ

まず「本当に一日30分の時間すら取れないのか?」と自分の生活を見直してみるのがベストだと思う。
それでも忙しくて時間が取れない、というなら、
「英語の勉強をする」というのが、あなたの人生でどれくらい優先順位が高いか考えるしかない。
本当に英語を勉強することが大切なら、ほかの事を少々犠牲にしてでもやるしかないってだけだと思う。

仕事を1時間早く終わらせて帰って来れないか、飲み会に行く回数を減らせないか、
ネットサーフィンの時間を減らせないか、週末に遊ぶ時間をちょっと減らせないか、など。
(睡眠時間を削るのはやめたほうがいいと思うケド。)

もし、一日に30分、1時間という英語の勉強をするより、仕事や飲み会や遊びの方がずっと大切なら、今は英語を勉強する時期じゃないってだけだ。
もしそうでないなら、何とか考えて優先順位を英語に振り分け、時間を作る、これしか解はない。

私は仕事を早く終わらせる、で何とか一時間確保してました。

それから、ゲーム感覚の教材を使うってのも鍵で、楽しいと思うからほかの事より優先してやってしまう。
私はiKnowをやってたころは、パソコンを開けるとメールチェックする前にまずiKnowをやる、と言うほどだった。

4. 文法が分かってないから単語だけじゃダメ、という方へ
→中学レベルは必要だが、それ以上はそれこそ英文を読みながら理解すればよいもの。

もしあなたが中学レベルの文法-進行形、過去形とか完了形が全く分かってない、ということなら、確かに文法からやった方がいいと思う。

でも、高校レベル-現在分詞と動名詞の違いが区別できないとか-いうレベルだったら、文法からやり直す必要は全く無いだろう。
現在分詞だの過去分詞だのを文法的に説明させるのは、日本の大学入試だけ。
この文法の違いが分からないネイティブのエリートはたくさんいますが、彼らは問題なく英字新聞も読めてるわけです。
surprisedは「びっくりする」っていう形容詞だと思えばいいだけのことです。

5. こんな文章で、俺のやりたくない言い訳を封じ込めるのはやめてくれ、という方へ

やる気になったら、また読んでください(笑)

最後に。
何度も言うけど、ここまでして、語彙力をつけることを強調するのは、
英語は大量の英文を吸収することが上達の鍵で、英単語は基礎筋力だから。
そして基礎筋力がないまま、私は色んな英文雑誌や新聞に手を出して、挫折してきた過去があるから。
で、実際英単語が増えたら、世界が変わり、次々に読めるようになってきたから。

というわけで、「まずは英単語」から始めた方。
だまされたと思って、是非2ヶ月くらい続けてみてください。
2000語近く単語力がアップしただけで、見えてくる世界がかなり違ってきます。

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英文を読むのが苦痛な人はまずは単語力を身につけよう

2010-01-15 14:03:21 | 6. 英語論・英語学習

今日は趣向を変えて英語学習について。
何故なら、今日は私が留学を決意して英語の勉強を始めた日だから(笑)。
英語学習の基礎筋力として、単語力は重要って話です。

1. 英文を読むのが苦痛な人は、まずは自分の単語力を疑ってみよう

英語学習に一番役に立つのは、とにかく大量の英語をインプットすることだ。
英字新聞、英語の本などとにかく英文を大量に読む。
Podcast、英語ニュースなどとにかく聞く。
これは正しいのだが、ボキャブラリーが不十分な状態でこれをやるとかなりの苦行である。

英文を読むときは「辞書など調べず、文中から意味を推測しろ」と誰もが言うし、私も今までのエントリでそう書いてきた。
でも、これはある程度単語力がある場合の話である。

もしあなたが今勉強してる英文を読んでいて(例えば試験向けの読解問題集、英字新聞)
一文に一語以上知らない単語が出てくるようであれば、その文章を読むには明らかにボキャブラリ不足だと思う

この頻度で新しい単語に出くわす状態で、「文中から意味を推測する」のは正直難しい。
それなのに頑張って続けてた方、その苦行に耐えられたあなたはすごいです。
まずは単語を勉強すべし。

TOEFLやTOEIC向けに勉強していて、設問で問われる英単語の意味が半分以上分からない、という場合も同様。まずは単語を勉強するのが近道。

2. 英単語は短期間に集中して身につける

で、ボキャブラリを身につけるには、毎日ちまちまやるのは効率悪い。
手早く身につけて、早く「英文読んだだけで単語の意味が推測できる」という状態に持っていく。
「この2ヶ月は単語力のみに集中」てな感じで、短期間に一気に単語力をつけるのが効率的だと思う。

その間は、読解やリスニングの教材などは休めてもいい。
単語力無しで英文を読み続けるのは、基礎筋力のない人がプロとスポーツをやるようなものだ。
筋力をつけてから臨むほうがずっと楽に出来る。
だまされたと思ってやってみてください。

私が留学準備初期にやったのは、「平日は英単語50個、土日は100個」
これを1ヶ月続けて、約2000語近くをカバーしたところ、英文を読むのがとても楽になった。

実はAGOS(元プリンストンレビュー)のGMAT名物センセの中山先生も、同じやり方を推奨していた。
彼の場合は一日100個だったという。

数はご自分で決めればよいが、その数は50個、100個というレベルに設定すべし。
例えば、英語学習に一日3時間以上取れる方なら、100個、というのは妥当。
勉強に取れる時間に応じ、1語あたり1~2分、という計算をする。

3. 英単語=日本語の丸暗記はダメ。目と耳の総合力で。

単語集の選び方は後で書くけど、例文と音声教材がついてるものを選ぶべし。
英単語を日本語に一対一対応する覚え方は忘れやすいし、英文を読むときには使えない。

その英単語を見て、意味が分かる、という状態になるまで、付属の例文を読む。
音声教材を聞いて、意味が分かる、という状態まで、音声を繰り返し聞く。

一単語あたり、1、2分かけて、目と耳を駆使して単語を自分のものにする。

4. 自分を追い込んで、とにかく数をこなす。

で、どうやって一日に50個、100個もやるの?という話であるが、そのように自分を追い込むしかない。
「この1時間で30個覚えるぞ!」みたいに。

私は、コンサルなんて夜中まで働く仕事をしてたし、朝の通勤時間は新聞2誌読むのに使ってたから、
単語を覚えるのは、仕事帰りと夜中に家についてからしかなかった。
「この電車が自分の駅につくまでに20個覚えきろう」とか、
「今日は疲れてるけど、あと30個残ってるから、これを覚えたら寝よう」という感じで自分を追い込んで覚えた。

机に座ってできる人は、一単語に2分、とか時間を設定し、タイマーを掛けて覚え、
タイマーがなったらハイ次、とやるのも効果的だと思う。

5. 翌日はまず前日覚えた単語の復習をする。週末は一週間の復習をする。

こういうやり方では、当然次の日に前日覚えた単語の半分を忘れていたりする。
翌日はまず必ず前日覚えたところを見て、忘れてるものは覚えなおす、というのをやる。
ただし時間を掛ければきりが無いので、「復習は一日20分まで」みたいに、時間制限をすること。

週末など、時間が取れるときには、今まで覚えた部分を見直す。
忘れてるものは、もう一度例文と音声教材を使って頭に入れなおす。
一日50個のペースでやれば、週末には300個ちかくになってるわけで、かなりの量だ。

週末に「これだけ頭に入ったのか~」と見返すのは結構爽快だ。

5. 教材は例文と音声があるものを、自分のレベルに沿って選ぶ

さて、教材ですが、持ってるひとはそれを使えばいいです。
そうじゃない人は、市販のものを買う。本でもソフトウェアでもいいです。

選び方だけど、私のオススメは
・例文とその例文を読んでくれる音声教材がついてるもの
・例文を読んで、分かりやすい、面白いと思う。
・ぱらっと見て、自分の知ってる単語が1、2割であるもの

を選ぶこと。
単語を覚えるのは丸暗記じゃダメで、目と耳の総合力で覚えるのが、読解力・リスニング力向上に役に立つから。
それに、人にもよるけど、ぱっと見て知ってる単語がひとつもない問題集って、萎えませんか?
やっぱ少しは知ってるものも出てくるほうが、続きます。
あんまり難しすぎる単語集って、自分の現在のレベルにも合わないってことだと思うし。

具体的な教材だけど、私が使った教材を本と、ソフトの両方一応書いておきます。
でも、すでに自分に合う教材を持ってるなら新たに買う必要は無いし、自分のレベルにあったものを使うのが常に重要です。

TOEFLテスト完全攻略 英単語(800語収録)
TOEFL向けのとっかかりにはこの単語集はかなりオススメ。
GMAT向けにはこれだけでは不足で、他の単語集を使う必要が出てきますが、最初はこれでいいと思います。
私は約2週間でこの一冊終了。

TOEFLテスト完全攻略 英単語 iBT対応TOEFLテスト完全攻略シリーズ
田中 真紀子/アルク

DUO3.0 (上の教材よりかんたん。大学受験レベル)
大学生・院生の頃、大学受験生を何人も教えましたが、この教材を使って教えてました。
例文が豊富なので、単語の意味・背景を深く知れるのでおすすめです。
教え子のうち二人はちゃんと東大にも受かりましたよー、なんて宣伝したりして・・・

市販のTOEFL用単語集が難しい場合は、まずはこれで基礎力つけるのがいいと思います。

DUO 3.0
鈴木 陽一
アイシーピー

iKnow
オンラインの単語学習教材です。
例文、音声を駆使して、遊び気分で出来るのでお勧め。
間違った単語は、自動的に記録されて、何度も出てきますので、勝手に復習が出来るのもよろし。
クリックするだけで例文を何度も聞けるのが便利です。
GMAT向け、TOEFL向け、などに細かく分かれてるので、自分の目的とレベルにあったものからはじめましょう。
GMATを越えて、FTやWSJを読む人向けの単語集などもあるので、更に学習を続けたいひとも使えます。

・アルク PowerWords Level 1-12
これ今でもまだ売ってるかな?
アルクで出してる、単語学習ソフトウェアで、仕組みはiKnowと全く同じ。
これも、クリックだけで例文を何度も聞いたり、自動的に学習状況を記録してくれるのが便利。
12レベルに分かれてて、1レベル1000語入ってます。
Level 11,12は米国大学院生でも難しいと感じるレベル。

以上。
まとめると、

・英文を読むのが苦痛なら、単語力を疑ってみよう。
・もし一文に一語分からないのが登場するなら、まず単語力をつけることを先決にすべし
・単語力は、短期間に集中して、一日50-100個の単位で覚える
・丸暗記じゃなく、例文と音声教材を駆使して、でも時間かけずに一語2分くらいでどんどん進める
・復習は必ずする。週末は一週間の復習も
・単語集は、1,2割は知ってる単語が入ってるくらいのレベルのもので、例文と音声教材がついてるものを選ぶこと

ってところでしょうか。
単語力をつけると、本当に英文を読むのが楽になって、前より勉強するのが楽しくなると思います。
だまされたと思ってやってみてくださいまし。

追記)日本語に「単語力」などという言葉は本来無く、「語彙力」が正しいと思われます(笑)

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「頑張れ」じゃなくて「Good luck !」

2009-12-16 08:31:12 | 6. 英語論・英語学習

昨日書いた「Sorryと謝る代わりにThanks」の記事の続き。

あ、昨日の追記に書きましたが、日本に来たガイジンに「Thanks」に対応するのは「どうも」だ、と教えると喜びます。
で、教えると、ちょっとした親切でも、すぐ「どうも」と言うので、あー本当にこの人たちは素直に感謝を表すんだなあ、と見ていて和みました。

さて、もうひとつ、アメリカ英語の表現で、私が割と好きなのは「Good Luck」。
試験の前でも、大事なミーティングの前でも、みんな "Good Luck!" "Good luck to you too!" と口々に言い合う。
日本語なら「頑張って」「頑張ろう」に当たる言葉なのだろう。

ところが私はこの日本語の「頑張って」が、昔からど~も好きになれない。
「頑張って」という人には全く悪気がなく、相手を思って言うのは良く分かっているし、
社交辞令として私も使うけど、私は好きにはなれないのだ。

本当に人生の頑張りどこなら別だけど、そうでなければ相手に重荷を与えてるような気がしてしまう。
あるいは、この人頑張ってるかもしれないのに、これ以上何を頑張れと言うのだ・・・と思うと言えなくなる。
よく、うつ病患者の方に「頑張れ!」って言っちゃダメ、というけど、あの気持ちはよく分かるので、なおさら言えない。
知らない人には「頑張って」と平気で言えるが、知っている人ほど、「頑張って」という言葉が出てこない。

そんなときには「Good luck」。
Good luck ! は「うまく行くといいね!」くらいの意味で、この突き放した感じがよろしい。
相手の努力を認め、それ以上の努力を要求しないところが、アングロ・サクソン文化の良い意味での個人主義っぽいと勝手に思っている。

かといって、Good luckを日本語に訳しても使いにくい。
「幸運を」なんて今更訳さないけど、「うまく行くといいね!」も変だよね?、日本語として。
日本語だと、「そんなの失敗したって死ぬわけじゃないんだ。気楽にやんなよ。」とか「きっとうまく行くよ。」という人がいるけど、それが近いかな。

そんなわけで、アメリカではGood luckがとにかくよく使われる。
知らない人にも、近しい人にも、敵にも、味方にも、Good luck!

ところでそんなアメリカでもGood luckと言ってはいけない瞬間が二つある。

ひとつは手術など、人の生死に関わるような場合。
そこはLuck(幸運)じゃなく、医者の努力で必ず生還させてくれ、ということらしい。

もうひとつは、俳優やダンサーなど舞台で活躍する人には言ってはダメなんだってー。
何でも、Good luckと口に出すことで運が逃げていってしまい、足を挫いてしまう、というジンクスがあるそうだ。
で代わりに"Break a leg" と言って悪霊を追い払うのだと、以前どこかで読んだ。
今でもその言葉が使われてるかは不明だが、Good luckと言ってはダメ、というのは相変わらずらしい。
(詳しく知りたい人は、是非Googleってみるよろし)

というわけで。
言葉を見てると、似てるところもたくさんあって、その上で文化や習慣の違いとか、色々見えてきて面白いな~と思います。

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