My Life After MIT Sloan

組織と個人のグローバル化から、イノベーション、起業家育成、技術経営まで。

英語で固有名詞や専門用語が通じなくて苦労したことってありません?

2009-10-09 17:37:15 | 6. 英語論・英語学習

私はたくさんあります。
数え切れないほど。

昨日、ノーベル化学賞の記事を書いていて、
「あ、そうそうリボソームって、アメリカじゃ「ライボソウム」って言わないと通じないんだよね」
と思い出す。
もちろん、スペイン語やイタリア語の人なら、「Ribosome」は「リボソメ」とか発音するだろうから、
まあこれはアメリカ人との発音の違いだ、と言っちゃってもいいんだけど・・・。

ただ、それ以外にも、学術用語や固有名詞を、どういうわけか、日本人は色々と日本風にアレンジして、名前を変えてしまったり、カタカナにしたり、通じない和製英語を作ったり・・・
もちろん、中には歴史的に、海外から取り入れようと苦労した痕跡が見えるものもあり、日本人の創造性の表れといってもいいのだけど・・・単に日本語発音のため、というのがあるからね。

英語が世界の共通語となった現代人に何かと苦労を残しております。

分類すると、日本人の話す用語や固有名詞が通じないが軽い順に次の4つがあるように思う。
1) 正しい英語を、日本人がローマ字読みしているために、通じない
2) 元が英語ではないもので、日本人は元の言語から引っ張っているため(そちらが正しいとも言える)、それが英語と異なっており、通じない
3) 日本人が勝手に和製英語を作ってしまったために通じない
4) 日本語訳が完全に意訳になっているために通じない

1) はいわゆる「マクドナルドはマッドーノーといわないと通じない」てやなつ。
英語のつづりを、日本人がローマ字読みした上、更に母音が無いところに母音を足しちゃったりするので、全く通じない。

「リボソーム」もそうで、i や y を日本人は「イ」と読むが、アメリカ人は「アイ」と読むし、
o を日本人は「オ」と読むけど、アメリカ人は「オウ」と読むんで通じない。
「エチルアルコール」は「エタイルアルコホール」、「セミコンダクター」は「セマイコンダクター」だし。
国際基準では、アメリカ人の読み方の方がマイノリティなのだが、科学やビジネスではこの人たちがドミナントだからね・・・

まあ、でもそんなのはまだ良くて、固有名詞が通じなくて悲しい思いをしたことは沢山ある。
私なんて、「フルブライト奨学生です」と言うのが通じなくて何度言わされたことか・・・

人物名だと、ケネディとかブッシュとかオバマとかは絶対通じる。
でも、パウエル(パウウェル)とかオルブライト(LとRが問題)とか意外と通じなくて、何度も言わされたりする。

国名ではスウェーデン(スウィードゥン)とかね・・・。

2) は、国名とか歴史上の人物とかに多いよねぇ。
私が一番悲しい思いをしたのは「カール大帝」かなぁ。

大学生のとき、ドイツの研究所でインターンをさせてもらったのが私の初めての海外経験。
そのとき、一緒にインターンしていた他国の学生たちと皆で博物館に行くことになった。
一人のインド人が私に「博物館は今はシャルルマーニュの展示をしているらしいよ」と話しかけてきた。
私はシャルルマーニュが分からなくて、思わず「シャルルマーニュって何?」と聞き返してしまう。

「えー何で知らないのー?有名じゃない。歴史でやらなかった?」と言われて、
「そんなのやったかなあ?」と思ってたら、
「日本人は、余り世界の歴史はやらないんだね。」とインド人に言われてしまう。
私が一人知らないだけで、日本人がバカみたいに言われるのは嫌だなあ、と思ったが、そのまま博物館へ。
博物館に行ったところ、シャルルマーニュはカール大帝のことだと判明。
知ってるよ!と思ったが、もう遅い。

日本語の「カール大帝」はドイツ語のKarl der Grosse を直訳しているんだよね。
インド人など英語圏の人は、フランス語のCharlemagneで習うわけだ。
まあ、大学受験でちゃんと世界史をやる人なら習うのかもしれないけど。
あるいは、今みたいにワインに詳しかったら良かったんだけど、ね。

同じ系統では、エカテリーナ女王(キャスリーン)、エンリケ航海王子(ヘンリー・ザ・ナビゲーター)、アンリ(ヘンリー)、なんてのもある。
ホントに通じないので、身近に(それなりに知的な)アメリカ人がいる人はやってみましょう。
「はぁ?誰?」と言われて、めちゃくちゃ悲しいです。

日本語の方が、原語の発音や文法に忠実なわけで、寧ろエカチェリーナを「Catherine」と教える英語圏教育っておかしくないか(つづりも違うし)、と思うが、英語が世界の共通語になった今は仕方が無いのか?

それから、中国人や韓国人の人名。
これは、日本語読みしてるのは、世界でも日本人だけだからね・・・。
毛沢東は「マオ・ツォー・トン」と言わないと、世界で通じない。
このあたりも、歴史談義をしているとき、「人名をなんと発音すればわからなくて」話せなかったことが多々ある。
頭の中のある、膨大な中国の歴史人物データが、英語じゃ全部使えないんだもんなぁ、と思うと悲しい。

追記(2010/04/20):ちなみに「レヴィ・ストロース」は、英語だと「リーヴァイ・ストラウス」になるようです。
フランスの構造主義が、アメリカに行くと労働者のジーンズに!
@dankogaiさんの指摘によると「リュードベリ定数」のRydbergは「ライドバーグ」になるそうな。

3) 和製英語は、いろんな分野にあるけど、日本人が一番通じなくて恥ずかしい思いをするのは、野球用語じゃないか、と思う。
「ナイター」(正しくはNight Game)が通じないのは有名な話だけど、「ツーベースヒット」とか、無駄に英語になっているものを何とかしたい。
(ヒットはSingle、二塁打はDouble、三塁打はTriple、と呼ぶ)

この辺は、インターネット上にまとめサイトが沢山あります。
これとかこれなどがお勧め。

ビジネスの現場で、日本人が良く使うが、恐らくガイジンにはちゃんと通じていない英語ナンバーワンは、最近では「コンプライアンス」だと思いますね~。
(Regulatory complianceと言わないと通じない。)

4) 完全に意訳されて全く違う名前になっていると、英語に直すことも出来ないので、困るんだよね。
映画や小説のタイトルなどに多いかなあ・・・

最近だと、「ナイロビの蜂」が全然通じなくて、悲しかった。
好きな小説なのに。
調べたら、英語の原題はThe Constant Gardnerなんだもの・・・

これからは、好きな映画や小説は、原題も含めて覚えないとダメだな~、と心に誓った。

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3 Comments

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 (Willy)
2009-10-10 03:32:06
ありますね。逆に、日本語の上手い欧米人も、ヨーロッパ言語由来の単語が出てくると、油断して母国語の発音になることが多いし。一方、バイリンガルのキャスター等はカタカナの単語と英単語を完璧に区別しますね。
結局、英語で情報をインプットしていないから、ちゃんと出てこないんだろう、と自分は思っています。
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サン・ピエトロ大聖堂 (freedom)
2009-10-10 04:22:33
日本語では特にややこしいことがありますが、この問題は大なり小なり各国にあるのでしょうね。
おっしゃっているようにペーター、ピョートル、ピエール、ペドロ、ピエトロ、ペテロ、ペトロはみんなピーターですからね。(大元は綴りと音の変化ではなく意味訳でのケファだったりするからややこしい。)
日本ではイギリスの王様の場合はチャールズ、フランスの王様の場合はシャルルと教えていますが英語ではどちらもチャールズで教えているのかな?そうだったらかなりややこしいでしょうね。
英語系やラテン語系のものはまだ日本語で使っているものから想像できる場合も多いかと思いますが、中国語を英語で何と言っているかは知らないと全くわかりませんよね(毛沢東と小平はこの問題でよく知られているので知っている人も多いが)。中国人には漢字という技が使えますが他にはだめだしお手上げになるかな。
ちなみにインド人にはバラト(バラット)(Bharat)がどこにあるか訊いてあげましょう。喜んでもらえるかも。
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覚えるしかない? (Lilac)
2009-10-10 17:51:19
>Willyさま

>結局、英語で情報をインプットしていないから、ちゃんと出てこないんだろう、と自分は思っています。

結局ちゃんとインプットしなおすしかないってことですね・・・
この頭の中に大量にある、三国志人物データベースを何とか中国人との会話に生かせるようにしたいです・・・

>Freedomさま

確かに、使途系の名前は面白いですよね。
パウロ(ポール)も、パブロ、パブルスなど色々だし、
ヨハネ(ジョン)も、ここまで多様化するか、という感じ。http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A8%E3%83%8F%E3%83%8D

>日本ではイギリスの王様の場合はチャールズ、フランスの王様の場合はシャルルと教えていますが英語ではどちらもチャールズで教えているのかな?そうだったらかなりややこしいでしょうね。

少なくとも、私の周りのアメリカ人たちはどっちもチャールズな教育みたいです。

一番驚いたのはHenryですけどね。
日本なら、イギリスの王はヘンリー、フランスはアンリ、ポルトガルはエンリケで教えるわけですが、英語圏だと全部ヘンリー。
フランスのアンリをヘンリーと教えるのは、つづりが同じだから、仕方ないとしても、Henriqueを何故Henryとつづる?と驚きです。
記事に書いたEkaterina→Catherineもそうですが・・・

こういうのは、Willyさんも書いてるように、そういう話をしたいなら、地道に覚えていくしかないのかも。

おーBharatは叙述詩のことだと思ってたけど、そういう意味だったのか!
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