My Life After MIT Sloan

組織と個人のグローバル化から、イノベーション、起業家育成、技術経営まで。

楽天の三木谷社長に会う

2008-10-17 14:07:45 | MBA: クラブ活動・講演会

日曜の夜は、2年生から突然召集が。
楽天の三木谷社長が、ハーバード大学のイベントに出席するためボストンにいらしたので、急遽彼を囲んでのディナーが開かれることになったのだ。

HBSから8人、MIT Sloanから15人で、計23人。3つのテーブルに分かれて座り、三木谷社長と、楽天の米国支社の役員が行き来する仕組み。私のテーブルは三木谷社長が最初に座ったテーブルだった。

日本の有名IT起業家では、DeNAの南場さんとサイバーエージェントの藤田晋さんに直接お会いしたことがある。三木谷社長は二人とは、また全く違う雰囲気を持つ人だった。たとえば南場さんは、いつも色んなアイディアに溢れていて、ちょっといたずら好きで、Talkativeな女性。三木谷さんはどちらかというと、人の話をじっくりと聴くほうで、余り自分からはお話にならない。聴きながら頭の中でパズルを組み合わせて、じっくり理解するタイプだと感じた。

一番印象に残ったのは、30種類以上もの事業を抱え、年に10%以上成長し続ける企業を運営するのに必要な、CEOのバランス感覚だ。どの事業に、CEOとして注意を払い、どのレベルまで到達したら、部下に完全に任せるか。
楽天内部にそれを判断するための軸もいくつかあるそうだが、私には彼自身の絶妙なバランス感覚で判断しているように見受けられた。そしてそれは、彼の、人の話をじっくり聴きながら、事業の細部とその人の人間性の両方を理解する、彼のスタイルから生じているように思えた。

楽天の最近の事業展開について。
楽天は一昨年あたりから、積極的に海外展開をしている。昨年は台湾とルクセンブルグへの展開。私としては、このあたり詳しく聴きたかったので、いろいろな方向から質問をしてみたが、彼は余り話したがらない。IP電話のフュージョンの買収についても誰かが突っ込んでいたが、「あれは向こうから来た話で、断れなかったんだ」というだけ。やはり、どちらに転ぶかまだ分からないものに対して、CEOとしてはコメントできないのかもしれない。逆に楽天アメリカの話は割としてくれたので、アメリカでサービスが立ち上がる日は近いのかもしれない。

もうひとつ面白かったのは、楽天の中での新規事業の投資方針。特に、一度通った話は多少うまくいかなくても、割と長いスパンで投資をし続けるとのこと。このご時勢、短期的なリターンが求められることが多い中珍しい。じっくりと情勢を見て判断する三木谷社長のスタイル、ともいえるのかもしれない。

たとえば米国進出は2005年にLinkShareを買った時から始まっているが、3年たった今もまだ楽天モデルの導入は時期尚早と見て、やっていないそうだ。でも投資はし続けている。

多少損が出ても、じっくりと居座り続けて機を見計らい、最後に儲かるポジションを取る。
この会社のスタイルが、CEOの性格に密接につながっているところが見れたのが、一番の学びだった気がする。

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