昨日から引っ張っていたアップルのタブレット新製品の発表があったのでそれだけ更新。
なまえはiPadと言うらしい。
最初に念押しすると、私はアップルファンでは全く無い。
iPhoneはアメリカにいる間、仕方なく使っているが(他のものがダメすぎ・・・)
普段はマイクロソフト帝国にそれなりに満足して住んでる住民なのであった。
実はスティーブ・ジョブズが苦手。
しかし、イノベーションネタには事欠かない企業なので、見守ってる、と言う感じ。
(あと指導教官がAppleIIからのファンなので、多少影響された)
米国でのニュースソース(英語)
CNNブログ 記者会見のログ。Twitter形式、っていうかTwitterで書いて送ったのをそのまま記事にしたんじゃないか?
Bloombergの記事 価格は499ドル。
Mashable iPadに関するブログ記事一覧(英語)
さて、「iPad」の発表があったとき、私はちょうど買い物に行くために車を運転していたから、概要はラジオで聞いた。
スペックの概要と価格を聞いて、ネーミングセンスは悪いと思ったけれど、
「ああこれが、アップルのネットブックへの答えだったか」と思った。
2008年頃からネットブック市場が拡大。
300ドル程度と驚く低価格で、既存のラップトップ市場を下から脅かした。
私も昨年四月に「ネットブックは破壊的イノベーションだ」と書いたけれど、
ラップトップ市場だけでなく、ソフトウェア(クラウド)、チップも含め、業界構造全体を変え、人々のパソコンのつかいかたをも変える動きで、まさに「イノベーションのジレンマ」だった。
市場が侵食されて伸び悩んだのは、一般のラップトッププレーヤーだけでなく、アップルも同様。
Macユーザもかなりネットブックへ移動した、とも言われていた。
業界のアナリストは「アップルはイノベーションのジレンマに陥っている」などと評していた。
ネットブックをどうするのか?
それがこの2年間、アップルが株主と業界に問われ続けていた問いだったわけだ。
その答えが、電子書籍、ゲームなどのエンターテインメントと携帯電話機能を融合したタッチパネル式の小さいラップトップ(見た目はiPhoneの大きいの)だったわけだ。
また、価格も、先週くらいまでは「1000ドル越え」などと噂されており、
「それじゃネットブックに勝てないじゃん」と私は思ってたんだけど、結局500ドルとのこと。
この価格設定なら、タッチパネルのプレミアムを考えれば、ネットブックに勝てる。
今ネットブックを使ってないウィンドウズユーザも、セカンドマシンとして引き寄せられる。
既存のネットブックをはるかに超えるデバイス機能とアプリケーション。
(追加)電子書籍はもちろん、携帯ゲームの機能も持ち合わせ、更にはフォトフレームにもなる。
ネットブックとしてネットにつながる簡易PCとしても使えるし、電話にもなる。
これで「ネットブック市場」を越える、複数の市場に参入することが可能になるだろう。
ネットブック市場は、所謂「ドミナントデザイン」(注)が決まりかけていた感じだったのだが、これでまた黎明期に戻ったかもしれない。
Blackberryによって決まりかけていたスマートフォンのデザインをiPhoneが大きく覆し、
大きく市場を拡大したように、ネットブックもiPadが覆すのかもしれない、と思った。
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(注)ドミナントデザイン:ひとつの製品・サービスが産業となり始めてしばらく経つと、
その製品・サービスが当たり前に持つべき基本的なデザイン、スペックなどが決まってくる。
これをドミナント・デザインと呼ぶ。
例えば、車なら「鉄鋼で閉じられた車体、4輪、前後左右に窓ガラス、トランクあり、エンジン駆動、ブレーキシステム・・・」といったところ。
ドミナント・デザインが決まると、スペック以外の要素が競争要因になり、
それ以外の機能、またコストやサービスによる競争が激しくなる。
参照過去記事:
ネットブックの未来 (ネットブックがどう人々のPCのつかいかたを変え、破壊的になるかを描写)
どの事業に参入すべきかを簡単に見極められる方法 (Sカーブとドミナントデザインまとめ)
日本が日本らしさを捨てていく時代 (日本企業がドミナントデザインにどう対処してきたか、そして現在)
あと、このニュースを聞いたとき、「AppleはやっぱりiPod touchから撤退するつもりなんだろうか」と何となく思った
Appleはシャッフルだけ残してiPod、特にiTouchを撤退してiPhoneに集約するのでは?というのは以前から言われている
追記)時間がなくて20分で書ききった「感覚的」な記事なので議論が甘いのはご容赦を。
過去記事参照してください。
追記2)早まったな・・私。iPadはネットブック代わりには使えない致命傷がいくつかあるようです。
一日経って、ネット上に色んな批判記事が出てきました。こちらの記事が参考になります。
What we didn't get?、8 Things suck about iPad
・マルチタスクが出来ない。
・カメラがついてない(Webチャットが出来ない)
・Cloud-baseサービスへの対応がない(要はChromeやOpen officeをインストールすることも出来ない)
ネットブックはたくさんの台数が売れている割には儲からないとも聞くし。そもそもネットブックは使い古された技術を使って安く仕上げているので、イノベーションというより、単なるコモディティ化でしょう。
わたしも別にソニーファンて訳じゃないのですが、ウォークマン・VAIOユーザーとして国内産業を草の根で応援してます笑
来年度の交換留学の際に、現在使用中の教科書を持って行きたいのですが、おっしゃる通りめちゃくちゃ重いですし、かといって1年なのに買うのも微妙だし、でも図書館じゃなくて手元において勉強したい派なので困っているんですが
こんなデヴァイスがあったら便利ですね~わたしもアップルファンじゃないんですけど米国行きが決まったら買い換えるかもしれないです^^;;;
個人的にはめくったり書き込んだりできる紙の書籍が好きなんですが、やっぱり持ち運びやコピーなどを考えると、電子の方が便利ですよね・・・
確かにアプリぐりぐりしてるのは見てて羨ましい。
iPad良いですね。コンサバな私はMacbookにこの機能が搭載されたらそっちが欲しいかも。とイノベーティブでない反応です。はは。
iPadが便利だと感じる瞬間は、雑誌、書籍、ブログなどを読むときだと思うんです。その点だけで、いろいろなデバイスを比較した場合、ライバルはKindleだと思うんですね。
Lilacさんが以前の記事でも書いておられたように、Appleのねらいは電子書籍だと思います。そこにKindleデバイスにはない付加価値(メール、ビデオや写真)を付ける。いわば、色気のあるKindleですね。
iPadに欠けている機能(Flash, USB etc)や、独自Processorなどを考えると、ネットブックへの回答にはなってないなぁ、と感じました。iPod touchの後継機という印象です。
>たこはちさま
>そもそもネットブックは使い古された技術を使って安く仕上げているので
まさに、使い古された技術でアーキテクチャを変更(ネット中心)するイノベーションが「破壊的イノベーション」なわけです(Christensen教祖の本参照)
一方で、ネットブックはラップトップのS字カーブを塗り替えるのに至らなかったので、タタの自動車と同じくただの廉価版、とする学者もいることは紹介しておきます。
まあ最も何度も言うように「イノベーションかどうか」は学術上の議論なのでどうでもいいっちゃいいんですが。
>古都さま
いやいやいや、まだネットブック使えますよ・・大丈夫。
>やっぱり持ち運びやコピーなどを考えると、電子の方が便利
全くその通りなんですよね。
そして私たちみたいに海外に住んでる者には、日本の書籍が手に入ると言うのも嬉しい。
新聞はすでに起こってますが、雑誌・書籍も早く対応して欲しいな、と。
>大手町さま
私も日本のガラパゴス携帯でアプリやゲーム、電子コミックなどに慣れてきた人間なので、iPhoneしかないと今は思ってます。
おさいふケータイが恋しいです(笑)
>Pandyさま
「ネットブックどうするの?」とずっと言われていて、ネットブックをはるかに凌駕するAppleらしい回答で「これでどうだ、ネットブックなんて箸にも棒にもかからないでしょ」と言ってきた、ということかな、と思ってます。
正直「電子書籍狙い」というのは難しいかな、と。
ゲームやネットブック的つかいかたを含め、「総合エンターテインメント」市場を狙ってきたんだと思います。
>iPadに欠けている機能(Flash, USB etc)や、独自Processorなどを考えると
今までのAppleの製品戦略どおり、ミニマム・デザインで必要なものはアダプタで、ということなんでしょうね。
http://www.crunchgear.com/2010/01/27/apple-has-a-solution-for-the-ipads-missing-sd-card-slot-and-usb-port-adapters/
でもSDはともかく、何でUSBつけなかったのか、というのは私も正直疑問。
それくらいつけりゃいいのに・・
正直「電子書籍狙い」だけではないのかな、でした。
私も発表までは、ただのEbookリーダーかなと思ってましたが、発表記事を見て、ああこれはそれだけじゃなくネットブック的用途やDS/PSPなどの携帯ゲーム市場も狙ってるんだな、と思ったわけです。
そうですね。総合エンターテイメントの方がしっくりきますね。ただ、ネットブックを凌駕するか、というと、うーん、という気がしましたね。
出先で"見る"という行為には素晴らしいと思いますが、ちょっとした作業を、となると、機能として弱いのではなく、機能としてない、というのがiPadの辛いところかと。iWorkが使えるなど、一般的なネットブックと同等の機能を有してるとは思いますが。。
最近のネットブックは性能も向上したこともあり、ブラウジングとメールを中心とした使い方から、Office文書の作成やその他アプリケーションの利用というラップトップ同等の使い方になっていると思います。ネットブックでできることをiPadでカバー出来ないところがつらいなぁ、と思いました。
結局、母艦となるPCが必要なので、ネットブックのような力不足だけどその気なれば自立できるんだ!という生意気な子どもような側面はないですね。結局、お母さんが助けてくれるんだ、と期待してる甘えん坊の秀才という感じでしょうか。
ゲーム機という点では、ジョブスは"iPod touchをゲーム機であることをユーザが教えてくれた"と言ってましたね。そういう意味でも、Lilacがおっしゃるように、iPod touchがなくなる可能性はありますね。
iPadも、発売後にその使い方をユーザがAppleの教えることになるんだと思っています。半年後、1年後に、「iPadはXXXXであることをユーザが教えてくれた」とジョブスが言ってる気がします。
個人的には、色気のある多機能KindleDXかな、と思っています。だらだらすみません。
私も少し大きすぎると思いますが、iPhoneも日本人には大きすぎると思っていましたが、見慣れたらそれほどでもないように思いますので、iPadも慣れたらちょうどよいと思えるようになるかも。
ネットブックとは全く別のものとの認識は必要だと思います。ネットブックはあくまでパソコンですから。
USBをつけなかったのはiPadはやはり電子書籍の市場をメインユーザーととらえていて著作物のコピーの問題をクリアするためにそうしているのではないでしょうか(もしかしたらどこかの出版社との何らかの約束(契約)があるかもね)。
追記2にも書きましたが、ネットブックとしての使用は難しそうでした。残念。
>iPadも、発売後にその使い方をユーザがAppleの教えることになるんだと思っています。半年後、1年後に、「iPadはXXXXであることをユーザが教えてくれた」とジョブスが言ってる気がします。
まさにそうなのでしょうね。
実際現在も仕様が全て公開されてるわけでは無いので、市場の声を聞いて、クリティカルなところは取り入れるのかも。
市場ではAppleの株は8ドルも下げ、代わりにAmazonが4ドル近く上げてましたね。
海外ブログ等見ても、昨日夜(アメリカ時)以降の記事はかなり批判的なものも多く、disappointedだったというのが大方の反応っぽいです。
>はかたっこさま
インタビュー頑張って!!