My Life After MIT Sloan

組織と個人のグローバル化から、イノベーション、起業家育成、技術経営まで。

またもエロス。そして圧巻の常設展示-ティッセン・ボルミネッサ美術館-マドリッド(4)

2010-01-13 19:26:32 | ●スペイン旅行

それじゃ本日はまずスペイン更新から。
この手の記事を楽しみにしてらっしゃる方もいらっしゃると思うので・・
時間があったら技術系の記事も一本アップします。

さて、マドリッドではプラド美術館に次いで超有名なティッセン・ボルミネッサ美術館にも行ってきた。
ティッセンって、もしやドイツの製鉄コンツェルンのティッセン・クルップ(Thyssen-Krupp)の財閥関係者だろうか?
つづりも同じだし、と思い、後で調べたら本当にそうだった。

Wikipediaによると、ティッセン・ボルミネッサ男爵父子が、1920年代から親子二代で買い集めたコレクションだそうで、
個人のコレクションとしては英国王室に次いで世界第二なのだそうだ。
一体どんな金持ちなんだ、と思うでしょう?
だから、ティッセン財閥の関係者じゃないか、と思ったわけ。

ティッセンクルップってのは、ドイツでは最大の鉄鋼メーカーで、日本の新日鉄みたいなもんです。
もともとはティッセンとクルップっていう別の鉄鋼会社だったのが1999年に合併。
で、そのティッセン財閥
を創業したAugust Thyssenは、かつては世界を代表する大金持ちの一人。
息子のFritz Thyssenがナチスを助けた政閥として有名。

全くの余談だけど、第二次産業革命のころに事業に成功した人って超お金持ちになった人が多いよね。
ロックフェラー(石油王)然り、カーネギー(鉄鋼王)然りね。
ビルゲイツなんか、とても敵わないほどの金持ちになった人が、当時は世界中にいたわけだ。

何故か、というと、石油、鉄鋼、化学といった重化学工業分野は、
規模の経済(Economy of scale)がどこまでも成り立ち、規模が大きいほど儲かる分野だったから。
で、一部の人たちは一人だけで成功させ、超がつく大金持ちになった。

前の株式会社の記事に関連して言えば、残りの多くは国営か(日本)、株式公開して大規模な資本を集めることによって成功。
成功した株式会社が個人の投資家に分配することで、(一部で)冨の分散が起こったわけですね。
だから、何度も言うけど、株式会社って別に社会にいろんなメリットがあるのよ。

もちろんこの重化学工業株熱が過熱して、大恐慌が起こったのだけれども。
余談終わり。

で、このティッセン・ボルミネッサ男爵ってのは、ティッセン創業者August Thyssenの次男らしい。

なるほど、超大金持ちの次男と孫のコレクションかぁ。
長男は事業を次いで(ナチスを助け)、次男は世界を代表する美術蒐集家になった、というわけですね。

そんなわけで、Banco de España駅から徒歩10分ほどで、ティッセン・ボルミネッサ美術館にたどり着く。
と、またもエロス。

Lágrimas ってのはスペイン語で「涙」のこと。
だから、Lágrimas de EROS というのは「エロスの涙」といったところか。
バルセロナのピカソ美術館の「春画とピカソ」展についで、またエロス。
スペイン人、エロス好きだね・・・。
いえ、別に私も好きですけど、美術館の特別展示がエロスばかりってのがすごいよ、うん。

早速中に入ってみました。

「エロスの涙」展は、人気殺到のため(汗)、一回で入れる定員が決まっている。
しかし流石にクリスマス・イブの神聖なときにエロスを見に来る人も少ないようで、(この日はイブだった)
すぐに入れた。

要は、色々な「エロス」の形が、どのように美術では描かれてきたか、というのを、いくつかのテーマに沿って解説している。

最初はアダムとイブ。
ルネサンスのころの作品から、20世紀の大写真家の一人であるRichard Avedonの作品で、
裸身のスーパーモデルに蛇が絡まってる写真まで。
蛇ってのが、要は人間に「エロス」という知恵を授けたわけで、蛇はエロスの象徴なわけだ。

それからセイレーンと人魚姫。
セイレーンとは、ギリシャ神話の嫉妬深い水の女怪物なのだが、
その女の魅力に負けてずるずると河や湖におぼれていく男性多数、と言う話。
で、それが描かれてる絵画や写真作品が集まってる。
「美しい女性に溺れ、我を失い、全てを失ってしまうのは、昔から男が持つ恐怖のひとつ」という音声ガイドの解説。
確かに、傾国の美女とか、伊勢物語に出てくる帝の寵姫を愛して都から追放された若い男の子とか、我が国にもそういう話は尽きない。

いつもは冷静な男が、我を忘れるほど、女を愛する。
うーん、エロいね。

聖セバスチャンをテーマにした絵画と写真はちょっと驚き。
古代ローマで、キリスト教に殉教して、木に縛られ、槍で射られても死ななかった若い聖人なんだけど、
美術の世界ではGay iconとして使われてるそうな。

これがエロス?

で、有名なグイド・レーニのセバスチャンがあったんだけど、
この絵の解説の中で「日本のミシマユキオが、この絵に影響されて写真を作成し、話題になった」とか言ってて、えぇーっ!
調べたらありましたよ
これはすごいね~、三島由紀夫。
海を越えてヨーロッパでも話題になってるなんて!
残念ながら、私には全然エロいと思えないんだけれども、分かる方には分かるのでしょう。

生贄になるアンドロメダをテーマとした絵画と写真もたくさんあった。
ギリシャ神話で、海の怪物の生贄として、波が押し寄せる岩に裸で縛り付けられた若い女性の話は、
小学生の頃からお話として読んでいたが、それに「エロス」を感じようと思ったことは一度もなかった。
寧ろ、彼女を助けるペルセウスが、すごい、と思ったものだよ。

ま、でも、今言われて見ればたしかに状況的にエロい。
若くて美しい処女。生贄。縛られる、と。

聖セバスチャンとアンドロメダ関連には、未成年の少年少女の裸としか思えない絵画や写真の展示もあって、
こういうの訴えられないの、ヨーロッパらしいな、と思ったりした。
アメリカだったら一瞬で「児童ポルノ法」違反でしょう。
昔、ムートンのワインもそれで出荷できなかったことがあったくらいだしね。

他にも色々テーマがあって、色んな種類のエロスを堪能できる(?)仕組みになってました。
日本と違って良いのは、誰も恥ずかしがりなどせず、まじまじと顔を近づけたりしながら皆見てることだね。

「エロスの涙」は面白かったけど、ティッセン・ボルミネッサは、常設展示の方が実は圧倒的。
こっちのほうが素晴らしかった。
モネやピサロ、ルノワールなどフランス印象派も、「あ、この絵、ここにあったの」というような超有名な絵がたくさん所蔵されていた。
イギリスやアメリカ近代美術なんかもかなり多い。

常設展示の入り口はこんな感じ。

フランドルもファン・ダイクなどはこの美術館に所蔵されてる作品が最も多い、というくらい。
確かにベルギーやオランダにはあまり無かったような・・
ルーベンスも結構ある。

それから息子が集めたという、現代美術もかなりの量。
ピカソなどのスペイン現代美術だけでなく、アメリカのものもかなりあった。

ものすごい量で、じっくり見て回ったら1日かかるんじゃないかな、という量。
もう長くなってしまったんで、このくらいで終わりにするけど、常設展示が素晴らしかったんです。

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スペイン中央郵便局と中央銀行-マドリッド(3)

2010-01-09 16:32:37 | ●スペイン旅行

前日バルセロナからの夜行バス強行軍でそのままマドリッド観光に突入していた私は、プラド美術館を3時間見て回ったら力尽きてしまい、結局レイナ・ソフィア美術館には行かずにホテルに帰ることにした。

それで明け方まで12時間近く寝てしまい(美味しい夕ご飯も食べずに・・・失敗した)、朝早くからレティーロ公園を観光することにした。

駅はプラドと同じ、Banco de España (スペイン銀行)駅で降りる。
この駅だけど、出るとこんな壮麗なお城のような建物が建っていてびっくりするんだよね。

何かと思ってガイドブックを見ると、「スペイン中央郵便局」とか書いてあって更に驚き。
なぜ郵便局がこんなエラソーな建物に入ってるのか。
ヨーロッパって、郵便局系で成功してるのってドイチェポスト(DHLなど)と、せいぜいラ・ポステ(フランス)くらいじゃなかったっけ?
後は、民間サービスのほうがよっぽど素晴らしく、信頼できるために、競争に負けてしまったところが多い、という記憶だったが・・・

と思って友人のスペイン人のMariaに聞いてみると、
「ん?スペイン郵便局なんて何にもやってないよ。民間のサービスを皆使ってるし。
 あー、建物ね、あれね、来年からスペイン中央銀行になるのよ。」
と言っていた。

どこの国も郵便は大変ですな。

で、現在のスペイン中央銀行はこんなの。

かっこいいよね。

正面玄関入り口にはスペインの国旗がはためいています。

彫刻が精細で美しい。

ついでに、近くのレティーロ公園の近くにある独立記念門はこちらです。

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ゴヤの絵画の軌跡に感動したプラド美術館-マドリッド(2)

2010-01-06 22:16:49 | ●スペイン旅行

スペイン王宮を見終わり、プラド美術館へ向かう。
本当は翌日はクリスマスで休業のレイナ・ソフィア美術館に行く予定だったのだけど、寝ぼけていて間違った駅で降りてしまったのだった。
面倒だったので、そのままプラドに行くことにした。

プラド美術館に行くには、Banco de España (スペイン銀行)、という駅で降りる。
そこから歩いて10分くらいのところにある。

かなり遠いので、道を間違えたかな、と思うほど。
途中で案内板が途切れたりするので、不安になるが、一本道なので、間違えはしないはず。

この5月2日の塔が見えたらもうすぐだ。

間違えなければ(だから一本道だから間違えないって)、この外観の美術館にたどり着くはず。

正面の階段の下のところに、入り口が三つあるように見えるのがチケットカウンターで、こちらでまずはチケット購入。
そのチケット売り場の向かいにはゴヤの像が立っている。

19世紀のスペイン王室の宮廷画家だったゴヤ。
描かれる人の性格や内面まで映し出すような画法で有名だが、個人的には絵のタッチがそんなに好きではなかった。
それが、プラド美術館に所蔵されている大量のゴヤ作品から、彼の系譜が見えてきて、ちょっと好きになった。
詳しくは後ほど・・・

入り口は二つあって、上の写真の階段を上がって、中央入り口から入る方法(ベラスケス門)と、
写真の左側にあるグラウンドフロアの入り口(ゴヤ門)から入る方法と二つある。

ベラスケス門から入ると、多分「巨大な美術館に迎え入れられたー」という感覚が味わえるでしょう。
ガイドブックなどに写真が載っているのはこの入り口から見た写真。

左側のゴヤ門の入り口は、リニューアルしたばかりなので、クロークなどの設備が新しく、使いやすい。
カフェやショップも近いので、クロークに預けたまま、すぐに使える、と言う意味ではこっちの入り口が便利。
これがゴヤ門の入り口。

午前中、王宮に3時間も粘ってしまってすっかり疲れていた私は、まずは栄養補給から。
プラド美術館のカフェは新しくて、しゃれててとっても素敵。
色々と美味しそうなプレートがあって、迷う。

結局、アジのマリネとローストビーフを頂くことに。
当然昼からビールも・・・

個人的にまず驚いたのが、ルーベンスなどフランドル絵画がたくさんあったこと。
絵画鑑賞好きから見れば、プラドにフランドル絵画が所蔵されてるのは当然なのかもしれないけど、
私は普通の人なので、スペインでオランダやベルギーの絵画が見られることは全く期待してなかった。
よく考えたら、スペイン王室はフランドル地方を領有していたことがあったんだった。
それで、ルーベンスはスペイン王室の宮廷画家だったんだよね。
たくさんあるのは当たり前か・・・

以前、オランダ・ベルギーを一人で旅したことがあったので、そこで大量の美術館に行って、フランドル絵画は相当数見ていた。
(当然第一の目的はベルギービールやオランダビールを楽しむこと、第二は大好きなゴッホとマグリットを見ることだったけど、ついでにフランドル絵画もたくさん見た)
結構特徴的なので、なんか懐かしい感じ。

例えば、フランドルを代表する画家の一人であるボッシュの「快楽の園」という有名な作品がプラドにある。
裸の男女が酒池肉林していたり、まるで巨大な果物のような乗り物に乗っていたり、群がって変な格好をしていたり、かなり奇怪で、見ていて飽きない絵。
それぞれの部分が、当時の世相の風刺画になっている、というのだけど、今となっては何の風刺だか分からない。
これだけの奇怪な想像力でそれぞれ細かく書ききってることに、単純に感銘を覚える。

それからルーベンスも。
最も所蔵数では、ベルギーの美術館が上だけど、ここには美術史の教科書にも載ってるような有名な絵がたくさん所蔵されている。

そしてスペイン絵画のコーナーへ。
El Grecoというあだ名の(スペイン語で「ギリシャ人」意味)初期スペイン画家の絵が大量に所蔵されている。
エル・グレコは光の使い方がとても特徴的な画家で、一発で見て「あ、エル・グレコだ」と分かるくらい特徴的。

そしてベラスケス。
私はこの時代の画家ではベラスケスが圧倒的に好き。
彼の絵を見るのは座禅を組んでるみたいで、無駄に心を乱されないのが好きなのだ。
ゴヤに見られるような豊かな感情表現とかは無いけれど、それがいい。

「ラス・メニーナス」をはじめとする彼の著名な作品が十数点所蔵されていて、ゆっくり見た。

そしてプラド美術館が圧倒的な貯蔵点数を誇るフランシスコ・デ・ゴヤ。
「裸のマヤ」「着衣のマヤ」などの有名作品は、皆が通る一階に展示されてるんだけど、
今回感銘を受けたのは、2階にある、彼の若い頃の作品だった。
2階はほとんどゴヤだけで、何十点と所蔵されている。

ゴヤは、絵画を見ただけで、被写体の性格や心理まではっきりと分かるような、心理描写が特徴とされる。
ところが、若い頃の作品を見ると、その特徴がまだ完全にマスターされてないのだ。
それよりも若い頃の人物画を見ると不自然な印象を覚える。
口角が異常に上がって、不自然な笑みを見せたり、不自然に目が大きかったり、顔のパーツが強調されていたりする。
なんか、風刺画を見ている気分だった。

年をとり、宮廷画家になったころの彼の作品には、もう不自然さは無く、ゴヤらしい、細やかな心理描写が完成している。

それで気付いたのだが、若い頃のゴヤは、まるで風刺画を書くように、必要以上に被写体の顔のパーツや表情をデフォルメすることで、心理描写を試みようとしていたのではないか?
新聞に載ってる風刺画や似顔絵って、本人の顔をデフォルメして強調することで、本人らしさを出すでしょ?
それと同じように。
あくまで仮説だけど。

で、宮廷画家になったあとのゴヤは、そのデフォルメが不自然じゃない程度になるように調整していったのではないか。

そう思って、もう一度下の階に後年のゴヤを見に行くと、
確かに
「着衣のマヤ」では、目玉が普通の人間よりなんとなく大きく明らかに焦点が合わないように描かれていて、緊張感が伝わってくる。
これに対し、「
裸のマヤ」では、目玉が同じ方向を向いて視点が定まっており、口角も極端に上がっていて、自信があるように見える。
この、異常な口角の上がり方は、若い頃の彼の作品に見られたものに近い。
もう不自然ではないけど。

そうか、ゴヤは風刺画と同じデフォルメをつかっていたのか!

というひとつの仮説を得て、意気揚々とプラド美術館を後にしたのだった。

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スペイン栄光の五百年が感じられる王宮-マドリッド (1)

2010-01-05 22:18:55 | ●スペイン旅行

11時バルセロナ発の夜行バスに乗って、マドリッドに向かう。
マドリッドには朝7時に到着予定。
いつもは夜行バスの中では熟睡モードで、気付いたら着いてた、という感じなのに、今回は疲れてるのにもかかわらず4時間くらいしか眠れなかった。
年だろうか・・・

マドリッドの南バスターミナルに着いたのが朝7時過ぎ。
地下鉄や鉄道の駅に直結していて、とても忙しい駅。
なんか、歩いてる人たちが、バルセロナより都会的だ。
エスカレーターを人を押し分けて登っていく人がたくさんいる。
歩き方もせわしないし、着てる服も何となくセンスがいい。

とりあえず夜に泊まる予定のホテルに電話してみる。
状況をスペイン語で一生懸命伝えると、朝8時過ぎには受け付けを開けるというので、まずはホテルに直行することにした。

シャワーにだけ入らせてもらい、荷物を預けて外に出ると、安心したのか無性におなかがすく。
ホテルの横にあるバルが開店してたので、入ってみる。

サンドイッチを食べる。
美味しい。
トマトと卵とレタスとマヨネーズが挟まっただけのシンプルなサンドイッチなのに、美味しい。
パンが美味しいからだ、と気が付いた。
スペインって、パン美味しいんだよね。
どこで食べてもびっくりするほど美味しいんです。

コーヒーも美味しい。
別にどうってことの無い、普通のエスプレッソマシーンで作るコーヒーなのに。
南の国はいいね!

さて、まずはマドリッドの王宮へ行ってみることにした。
結構な観光名所が、明日はクリスマスイブでお休みなので、今日中に行かなければ・・・というところのひとつ。

地下鉄のOperaという駅を降りて、王立劇場を越えると、王宮が見える。

今日は雨。
スペインについてからほぼ毎日のように雨が降ってる。
地中海性気候だから、夏はからからに乾いて、冬場は結構雨が降るんだよね・・・。
(別に自分が雨女だからとは思わない、科学的なワタシ(笑))

9時に開く、という王宮に到着したのは9時15分くらいだったのだけど、ドイツ人と日本人観光客ばかり。
ザグラダ・ファミリアもそうだったけど、朝早くから観光してるほかの国の人は少ない。
やっぱり世界的に真面目な国民性なのかしら、この2カ国は。

入り口が分からなかったので、その辺にいた警備員のおばさんに聞くと、
「パラパラッツィオ?」
と聞かれて一瞬意味不明で、「は?」とか聞き返してしまった。
ああ、Para Palacio (For palace) 王宮に行くの?と聞かれたのだと分かり、Siと答える。

ここの王宮は、ハプスブルグ家の作った王宮が消失した跡地に、ブルボン家のフィリペ5世が建てたのだそうだ。
約2700室もの部屋があり、それぞれの部屋が驚くほどの装飾に彩られている。
今は人は住んでないようだけど、スペインに関する公式の行事に使われてるそうだ。
例えば最近だと、皇太子の結婚式とか。

建設には30年を費やしたというが、中に入ってみて、なるほど、と思った。

まず現れるのが大階段。
彫刻もすごいけど、天井のフレスコ画がこちら。

絵の周囲の陶器の細工が素晴らしい。

写真禁止だったので、これ以降の写真は無い。
でも、このあと出てくるどの部屋も、この装飾よりもずっと凝りに凝った彫刻と細工。

壁も天井も部屋中が金メッキした陶器の細工に覆われた部屋。
ゴヤやベラスケスのフレスコ画に飾られる部屋。
次から次と、全く違うコンセプトの、鮮やかに豪華に飾られた部屋が現れる。
一体、いくらお金がかかってるんだろうか、と気が遠くなる。

シャンデリアも「こんなに色んなデザインを人間って考え付くものなんだ!」と思うほど、唯ひとつも同じものが無い、部屋ごとに違うデザイン。
また、どの部屋にも時計が置いてあるのだけど、これも部屋のコンセプトにあわせたデザインとなっていたり。
実際に見えるのは20部屋程度なのだけれど、この調子で、2700部屋が存在すると言うから驚きだ。

一体どれだけ富があれば、こんな豪華な王宮が作れるのだろう。
正直、イギリス王室なんかより、ずっと金持ちなんだなー、と思った。
これだけの富を蓄えられるとは・・と素直に感動した。
18世紀に産業革命を向かえて、初めて植民地などを開拓しはじめたイギリスと異なり、スペインは15世紀から植民地を持って繁栄していたのだ。
ハプスブルグ家からブルボン家、と家の交代などはあったけど、豊かな植民地から生まれた財は蓄え続けられたのだろう。

実際、展示されていた美しい装飾品の中には、ハプスブルグ家時代に買い込んだものもたくさん見られた。

同時展示していた19世紀、20世紀の彫刻類も素晴らしい。
こちらは現在の王家であるブルボン家が買い集めたものなのであろう。

外に出ると。

あ、晴れてる!
朝はあんなに雨が降ってたのに、キレイな快晴に。

バスの中で余り眠れなかったので、疲れてるものの、次の観光先、プラド美術館へ。

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シーフードいっぱいの庶民の台所-バルセロナ(7)

2009-12-27 10:27:28 | ●スペイン旅行

衝撃的なピカソ美術館見学を終えて、閉まりかけのサンジュセップ市場へと急ぐ。
これが本日の最後の見学先だ。
音楽堂を除く、バルセロナの見所を全て一日で見終わった格好だ。
大変だけど、やれば出来るのだね。

サンジュセップ市場は、バルセロナに住む市民が普通に買出しをするための市場。
上野のアメ横に雰囲気がそっくりだった。
特に魚を売ってるところとか、売り子に女性が多いところを除くと、商品の並べ方とか、売り方とかが良く似てる。

しかしここはスペイン。
市場に入って最初に迎え撃つのは、ハモンやチョリソーたちです。

これは美味しそう・・・

さて気になるお値段ですが、スーパーと同じく、1キロ20ユーロくらいの生ハムも結構多いけれど、高いものは高い、と言うことも分かった。
キロ170ユーロ近く(約2万5千円)のもある。
こういう高いハモンは、肉の色が光っていて、とてもきれいだ。
おなかがすいていたので、耐え切れなくなり、「一キロ欲しいな・・・」と思ったが、こんなに高いのを買っても日本には持って帰れないわけで、断念。

それから果物。
日本では余り見ないような、ドラゴンフルーツなどいろんな南国の果物が売られている。

そして魚介類。
種類も豊富で、ここばかりは日本を思い出す。
(日本にはいないかな、という魚も結構ある)

売り子さんは女性がほとんど。
だから、日本の魚市場みたいに、男の人が声を裏返して「らっしゃいらっしゃい」って叫んだり、というのは無い。

もう市場自体が終わりかけだったので、お客さんとの掛け合いなどは見られなくて残念だったけど。。。

こちらは、いろんな種類のえびを売ってる店。

おなかがすいてたまらなくなってきたので、市場のそばにあると言うバルに行ってみることにした。
「地球の歩き方」にも載ってる「イラティ」というバスク系のタパスのお店に行ってきました。

外見はこんな感じ。
夜9時近くともなると、この通りは多少人通りが少なくなるので、注意は必要。

店内はこんな感じ。

フランスパンの上におかずが乗ってる、という形のもので、それだけでひとつ1.5ユーロくらいだから、高いっちゃ高い。
でも7,8個食べただけでも結構おなか一杯になる。

私は、アジっぽい魚を軽く酢で閉めたものが乗っているもの、ハムとチーズ、サーモン、など計7つをピックアップ。
アジかと思ったのは、味が秋刀魚っぽかったけれど、新鮮で非常に美味しかった。
サーモンや他の魚も、オリーブオイルと塩コショウ、ハーブとにんにくで味付けがしてあるだけなのだが、美味しい。
生ハムは、やっぱり美味しい・・・。
それから、何よりパンが美味しいので、何でも美味しく感じられるのだ。

これにビールを3杯飲んで、全部で15ユーロ(22ドル)。
やっぱりバルで食べる方が安いね・・・。

食べ終わってから、ホテルに行って預け荷物を受け取り、マドリッド行きの夜行バスが出る北バスターミナルへと向かう。

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ピカソ美術館が前衛的過ぎる件について-バルセロナ(6)

2009-12-26 00:55:56 | ●スペイン旅行

さて記事の続きですが、カテドラルも見終わって、漸くこの日の最後の目的地、ピカソ美術館に向かう。
私はパリのポンピドーの現代美術館に行くまでは、ピカソってそんなに好きでもなかったが、
そこで衝撃的な作品に出くわして以来、結構好きだ。

でもこのピカソ美術館で受けた衝撃はもっとすごかったね。

「ピカソと春画」-特別展示で、ピカソが日本の春画にどのように影響を受けたか、というのをやっていたのだが、その展示内容もだけど、主張が前衛的過ぎて衝撃。
こーゆーの、美術館でやっちゃうんだ、スペインってすごい・・・と思ったし、同時に美術館の社会的役割について考えさせられた。

それから、観衆のスペイン人たちもすごいよ・・・。
結構恥ずかしい絵たちを、食い入るように鑑賞し、会話するスペイン人の男女。
R指定なんか無いから、子供まで入場して鑑賞しとるよ。
フランスがアムール(愛)の国なら、スペインはエロスの国なんだな、って思ったね。

詳細は後述するけど、今日はブログの内容も前衛的すぎるから、そーゆーのが好きじゃない人は読まないことを推奨。
または心の準備をして読むべし(笑)
まずはピカソ美術館の行き方から。

ピカソ美術館はカテドラルから歩いて10分ちょいのところにある。
大通りから、若干細めの道に入ってしばらく歩いて右折し、路地みたいなところをちょっと歩くと到着。
地図がなくても、標識が出てるのでたどり着けるはず。
こういうところで地図広げてるのは危険だからね。

なんか、普通の家みたいなところがそのまま美術館になってる感じ。

チケットオフィスから中に入ると、素敵な感じのカフェがあったので、そこに入る。
空腹と疲れが最高に達していたので、腹ごしらえをしようと思い、胡桃のケーキとエスプレッソを頂く。
エスプレッソがとても美味しくて、2杯も飲んでしまった。
アメリカから来た人間からすると、考えられないほどのコーヒーの美味しさ。
一杯1.5ユーロ(約2.2ドル)という、美術館コーヒーとしては考えられない安さも魅力。

そこで改めてパンフレットの表紙を見て、ぎょっとする。
このパンフ。(PDFに外部リンクされてます)
日本の春画が表紙になってるわけだけど、男と女のその器官が細かく描かれてるという。
何でこんなものが公共のパンフに・・・。

真面目なキモチで美術鑑賞しようとしてるときに、こんなものが出てくると、心の準備が出来て無さすぎて、通勤電車の中で、いきなり露出度の超高いヌードの中吊り広告に出くわした気分である。

ま、でも気分を取り直して、エスプレッソを飲み干し、鑑賞に備える。
最初は常設展示から、と思ったが、成り行きでこの特別展示から見る羽目になってしまった。

展示では、ピカソがいつから春画の影響を受け始めたか、どのように受けたか、ということを分かりやすく「検証」していた。
この「検証」の仕方が科学的なのも、とても面白いと思った。

1. ピカソが春画の影響を受けたのは、10代後半から20代前半のかなり若い時期らしい

これが、複数の証拠によって「検証」されてるのが面白かった。
20代前半のピカソの写真に、部屋の後ろに春画が写ってるものがあることから、この頃には既に所有していたと分かること。
ピカソの友人の日記で、ピカソに春画を買ってきて渡した、という記述があること。
青の時代のころのピカソの習作に、春画の影響を受けたとしか思えない作品がいくつかあること。

メッセージがあり、それを複数の証拠によって検証する、というピラミッドストラクチャー。
なんちゅー科学的な。

2. ピカソの絵の構図やアイディアには春画の影響を受けたものが多くある

影響を受けた、とされる春画と、対応するピカソの複数の絵が並べて検証されており、面白い。

最初は、春画の構図をそのままに、西洋風に書き換えただけの習作。
少し構図を変えたり、女の人数が増えたりする複数の絵。
女の胸とその部分だけが強調されていて、というか、それだけの絵、みたいなのもあって、ここまで来ると「何だこれ?」って感じで何のエロスも感じない。
それが最終的にピカソらしいキュービズムへとアレンジされていく。

こうやって見ていくと、確かに春画の影響を多大に受けてるのが分かる。

中でも面白かったのは、北斎が描いた、大きな蛸が複数の触手を使って裸の女性を犯している絵で、これはピカソだけでなく、当時の様々な画家に影響を与えたらしい。
(追記:葛飾北斎「
蛸と海女」。Wikipediaにリンク。リンクには性的な記述が含まれます。)

北斎は全く狙ってなかったと思うが、蛸はキリスト教文化では、背徳の象徴。
その蛸が女性を犯す、という発想は、デカダンス全盛の当時の画家たちにはもうドンピシャだったことだろう。

北斎の絵は極めて日本的な絵だが、複数の画家がこれを西洋的なエロスに転換していて、それがいくつか展示されていた。
西洋のポルノ文化に慣れてる現代の日本人からみると、正直春画より西洋版の肉々しいほうがエロく思える。
が、元のアイディアは日本にあるわけだ。

ここである芸術家の言葉が引用されていた。
「春画は、全ての男の心の奥深くにある、暗い欲望を覚醒させ、それが芸術を新たな境地へいざなう」
(だったかな?細かい言葉は忘れたがそんな感じ)

他の国の人たちにそこまでの影響を与えられる大衆文化って、すごいと思うよ。

3. そもそもキュービズムという思考自体が春画の思考に発してるのではないか(仮説)

更に展示では、構図だけではなく、春画の「描きたいところだけ描くために自然法則を曲げる」という思想そのものが、ピカソに大きな影響を与えたのではないか、という仮説を披露。
(追記: 展示では、その検証を試みる書籍も展示されてました)

確かに春画って、背景や人物に比べて、女や男の目的の部分だけ精細に描かれていてすごく不自然。
また、人間の体はそのようには曲がらないだろうという不自然な構図のものがたくさんある。
「描きたい部分を描く」という目的を達成するために、多少の統一性や物理法則を無視してるわけだ。。

その考え方自体が、ピカソに大きな影響を与えたのではないか、と言われてみれば、確かにピカソのキュービズムってそういう考え方で描かれてるわけで、納得感がある。
でもその仮説はすごいよ。

もちろん「ゴッホの画風は浮世絵から来ている」という説も、今じゃ当たり前に受け入れてるけれど、最初はかなり抵抗があったと聞く。
もしかしたらそのうち「ピカソのキュービズムは日本の春画から来ている」なんて言われるようになるかも?
そしてピカソ美術館のこの展示が、そのきっかけになるかも?(若干飛躍気味)

こういう主張を、特別展示でやってしまうピカソ美術館ってすごい!と思ったね。
学会でもまだ全面的には受け入れられてない主張を、展示で主張し、科学的に検証してしまおうという美術館。
前衛的過ぎる。

4. 「見せる」だけじゃなく「メッセージを出す」美術館が面白い。

日本もそうだけど、現代の多くの美術館は、大衆の啓蒙を目的として建てられている。
もともと美術品コレクターなどが、所蔵してるだけじゃもったいない、ということで始めたのが美術館の始まりなわけだが、
その後大量に建てられた公共の美術館は「素晴らしい芸術に一般庶民が触れるための場」として設計されちゃってるし、展示の多くもそうだ。
例えば、「オルセー美術館展」みたいに西洋の美術館に所蔵されている美術品を拝むためのものなど。
もちろんパリに行かずしてオルセーを見れるのはすごいことだと思うけど、ただ海外の美術品を運んできて見せるストローのような役割を果たすだけいいのかねえ、と思うわけだ。

こういう美術館に慣れちゃった私たちには、「美術館って、すごい、ということになってる美術品を見るだけのところ」という何となくつまらないイメージが出来上がってしまっている。

そこにおいて、「見せる」から一歩先を行って、「メッセージを出す」「何らかの仮説を伝える」美術館って、新しいし、面白い。
美術館の新たな一形態になるかもしれない、と思った。

さて、ピカソ美術館には常設展示もあって、特に青の時代・赤の時代など若い頃の作品と、晩年の作品が所蔵されている。
一番活躍していた時代の作品は、ポンピドーを初めとして世界の美術館に分散してるからほとんど無いのだが。
でも、ピカソの若い頃の作品の軌跡を見るには、ここに来るしかないだろう。

あの特別展を見た後だと、どの作品も「このころから春画の影響を受けてるのか!」という気分でしか見られないんだけど(笑)

美術館がこんなに「面白い」経験は初めてでした。

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カテドラル/カタルーニャの大聖堂-バルセロナ(5)

2009-12-25 15:33:08 | ●スペイン旅行

さて、モンジュイックの丘からは「フニクラ」と呼ばれるケーブルカーに乗って、地下鉄L3の駅まで降りてきて、そのまま地下鉄に乗ってカテドラルを目指す。
時刻は5時15分。
ランチを食べる暇も惜しんで観光にいそしむ私。

でもカテドラル、すごかったよ。
やっぱりカトリック系の国に来たら、歴史を感じさせるカテドラルには必ず行かないとね。

事前にネットで集めた情報によると、修復中、とのことだったが、修復はかなり終わっていて、こんな感じ。

カタルーニャ美術館で見てきたロマネスク様式とは全く違って、幾何学的で精細なデコレーション。
いわゆるゴシック様式ってやつだけど、模様が若干丸みを帯びていたりして、ちょっと独特。

ちょっと明るさ(露光)を上げて、明るめの写真を撮ってみた。
特にファサードの辺りが、フランスやイタリアの大聖堂のゴシック様式とはちょっと違ってるのが分かるでしょ。


余談だけど、サイバーショットって、高くないカメラながら、明るさの調節とか色々微調整きくのが良い。
世の中には色々なカメラが出ているけれど、一眼レフじゃない普通のデジカメだと私はサイバーショットが一番使いやすいと思ってる。
余談終わり。

中に入ってみる。
うわぁぁー!(本日二回目) なんだこの大きさは!
ガウディのザグラダ・ファミリアもすごかったけど、こちらも巨大だ。

カテドラルは、中に入れる時間が決まっていて、午前中か、夕方の5時から7時、となっている。
私はこの夕方の回に行ったので、既に外は暗くなり始めていたのだけど、何とかステンドグラスの美しいのを見ることが出来た。

サイバーショットの撮影モードを色々変えて、漸く雰囲気を出すべく取れた写真。
荘厳な雰囲気。
自分で言うのもなんだけど、この写真を見ていても、雰囲気に飲み込まれそうになるよ。

☆コメント色々有難うございます。もうすぐ出発しないとなので、また次にネットにつながったときにお返事しますね~

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モンジュイックの丘の二つの美術館-バルセロナ(4)

2009-12-24 15:29:05 | ●スペイン旅行

この日は美術館だけでも3つ見て回った。
モンジュイックの丘にある、カタルーニャ美術館とミロ美術館。
それからゴシック地域にある、ピカソ美術館。
ピカソ美術館の印象があまりに強すぎて、他の二つの思い出がすぼまってしまうほどなのだけど、取り合えずは二つを紹介。

■ カタルーニャ美術館

グエル公園から、L3(緑の地下鉄)に乗って一本で、Espanya(スペイン広場)に着く。
ちなみにカタランでは、スペイン風にEspañaとつづるのではなく、Espanyaと綴るんだね。
発音は同じだけど、普通はñ(ニョ音)が読めないので、こちらの方がガイジンに優しい。

このスペイン広場がすごい。
またパリに例えちゃうけど、駅を出てすぐに、コンコルド広場を思い出させる雰囲気。

この街は、何でも地下鉄の駅を出てすぐ、のところにすごいものが建っているのがすごいな。

広場から望む向こうに建つのがカタルーニャ美術館。
もう、雨が降ってなかったら本当にすごかったんだろうなーと思う。

まあ、雨のせいで観光客が少ないのは良かった。

カタルーニャ美術館の見ものは、1階にある、古代・中世の教会建築の壁画だ。
スペインの北に位置するアンドラおよびカタルーニャ地方にはあちこちに、古代ローマ時代からの教会の遺跡(ロマネスク教会)が残っており、その遺跡に描かれていた宗教画を移籍してきている。
建築された時代によって違う、建築様式や絵画様式の違いが見られて面白い。

それから、カタルーニャが歴史的に集めてきた数々の名画。
特にイタリア・スペインのものが多く、収容点数もかなりのもの。
19世紀から20世紀にかけての近現代のものも数多くある。
スタコラ見て回っても、一時間は優にかかる。

私は朝から強行軍ですっかり疲れてしまって、美術館中央のロビーの天井を見てるうちに、
気持ちの良いソファーでついうとうと寝てしまった。

起きると、私の周りで寝ている人が数名いた!
やっぱりみんな疲れてるんだね・・・。
で、私がキモチよさそうに寝ているのを見て、耐え切れなくなって寝てしまったと。
いいことをした(?)

カタルーニャ美術館は、建物自体がカタルーニャの王国の伝統と歴史を引き継いでいて面白い。

■ ミロ美術館

そんなわけで途中のお昼寝も含めて2時間くらい滞在しちゃっただろうか。
既に時は3時半。
私の予定では、ミロ美術館を見終わった後、カテドラルに滑り込む予定。
急げ!

ミロ美術館は、カタルーニャ美術館から歩いて15分くらいのところにある。
相変わらずの雨の中、黙々と歩く。

ミロの著名な絵画作品は、パリのポンピドー現代美術館に収容されていて、私もそっちで見たんだけど、
こちらには、余り知られてない初期の作品や、ブロンズ彫刻作品が多くある。

まあ、でもミロを見るなら、やっぱりポンピドーかなー、というのが正直な感想。
絵画点数はこちらの方が圧倒的に多いけれど、これはすごいってのが余りなかった。
時差ぼけと疲れで眠くて仕方なく、眠りながら見たから覚えていない、というのもあるんだけど。

美術館では、クンスト、というミロと同世代の似た画風の現代画家の展示をやっていて、そちらの方が個人的には面白かった。

にしても・・・
このバルセロナ紹介編終わるんですかね?
この細かさで書くと、終わらずメキシコ編の二の舞になってしまうかも??

ちょっと急ピッチで進めますか・・・                                                                                                                                                                                                                       

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グエル公園にガウディを尋ねて-バルセロナ(3)

2009-12-24 15:00:01 | ●スペイン旅行

ザグラダ・ファミリアを1時間半の駆け足で見た後は、バルセロナの街の北側にある、グエル公園に向かう。
グエル公園は、ガウディのパトロンだった実業家グエル氏が建設しようとしていた近代的住宅地域の予定だったが、途中で計画は頓挫し、公園になった、というもの。

実は、小さい頃から家に世界の建築に関する本がそれなりにあった。
親の本棚から勝手に本を出して読み漁る子供だった私は、ガウディの本も発見して読んでいた。
その中にザグラダ・ファミリアやグエル公園がカラーで載っていて、一度は行ってみたいと思って心を馳せた。
海外旅行に行けるなんて、当時は思ってもなかったもの。
お金がなくても、様々な教育と教養を授けてくれたことにはとても感謝してるけどね。

というわけで、今回の旅行は、長年の夢がかなった旅行でもあった。
一人旅だと、いろんなことを考える。一人で来て、良かった。

さて、グエル公園だが、緑の地下鉄三号線(L3)のレセップス、という駅から徒歩10分くらいのところにある。
どの観光ガイドにも地図がちゃんと載ってないのだけど、公園まではずっと標識が立ってるし、観光客らしい人たちがたくさん駅から公園に向かってるので、わかるはず。
途中、坂を上る感じが、モンマルトルの丘を思い出させる。

到着すると、門からして、いきなりアールヌーボー。
これは期待感高まる。

門から見たグエル公園は、こんな感じ。
なんか、お菓子の家に飛び込んだかと思った。
ザグラダファミリアもそうだけど、あちこちに花や樹木から着想を得たデザインがあり、中には美味しそうなのもたくさんある。

階段を登っていくと、美しい単調のフラメンコギターの旋律が聴こえてくる。
旋律自体も美しいが、かなりの早弾き・超絶技巧。
それが、ガウディのデザインした天井に響いて、美しい音になっている。

つい、何曲か聞き入ってしまい、すっかりファンになってしまった私は、CDを購入(10ユーロ)。
こういう単調の美しい旋律って好きなんだ・・・。
加えて早弾きの度合いが、以前好きだったイングヴェイ・マルムスティーンを想い出させる。

弾いていたのは、こんなおじさんだった。
イケメンじゃないけど、いいんです。

さて、この美しく陶器で装飾された天井の上にあるのが、かの有名なガウディのベンチ。
おおぉぉー。
ついに来たか、としばし感慨。

遠くから見ると、だだっ広いだけで余り美しく思えないのだが、やはりこのベンチはディテールがすごい。

アールヌーボーだけじゃなくて、浮世絵とか、マヤ文明の彩色とか、色んなところから影響を受けてるように思える。

この公園を登りきったところから左右に折れると、それぞれ、まるで古代遺跡に分け入ってしまったかのように装飾された石の建物が建っている。

こちらは左側。

こちらは右側。
ガウディ博物館もこちらの側にある

ガウディ博物館も行った。
これは、このグエル公園に住んでいたガウディ自身の住居を、そのまま博物館にしたもの。
中にある家具が、全てアールヌーボーなスタイルのものばかり。
やはりこういうものから常に影響を受けて、ガウディがあるのだな、と思った。

例えば家の中央の部屋にある鏡。

ランプや、ベンチのような家具も、全てアールヌーボー風のデザイン。
ガウディ自身がデザインしたものも多々ある。

博物館の中には、ガウディのほかの有名建築物の模型などもある。
ガウディはアールヌーボーから影響を受けてるだけでなく、独自の幾何学的な解釈をデザインに多々取り入れている。

例えばこの建物の屋根は・・・

他にも、Hyperbolic paraboloid(双曲方物面)やHyperbolid (一葉双曲面)など、あらゆる双曲面をデザインに用いている。
幾何学が好きな人には、耐え難い魅力があるのもガウディの特徴。

大雨の中のグエル公園だったが、雨もまた奇なり。
結構楽しめた。

楽しくて2時間も過ごしてしまったので、昼食も取らずに駆け足でモンジュイックの丘に向かう。

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ザグラダ・ファミリアはすごかった-バルセロナ(2)

2009-12-24 13:41:44 | ●スペイン旅行

昨日と今日ですごい色々見てきて、何から記事にすれば分からない!
写真も400枚以上。どれをアップするか迷う。

一言で言うと、スペイン、すごい。
500年間の栄光の歴史は只者じゃなかった。
やっぱり来て良かった・・・。

昨日は朝9時前にはホテルを出て、ザグラダ・ファミリアに向かう。
地下鉄に「ザグラダ・ファミリア」という駅があり、そこからすぐなのだとか。

で、駅について外に出て、叫ぶ。
うわぁぁー。
だって目の前にこれが立ってるんだもん。

ザグラダ・ファミリアのうち、ガウディが建設したという4本の塔だ。
いきなりのすごい攻撃・・・。

下側の門の部分はデコレーションが素晴らしく、中に入場するとよく見える。
こんな感じ。
まるで雪の華を見ているような、不思議なデコレーションだ。

さて、団体入り口はこちら側にあり、日本人観光客の集団も続々バスで到着。
個人入り口はこの反対側。

反対側も別の4本の塔が建っている。
日本人の建築家が関わった、というのはこちらの方だよね。

柱のデザインが印象的。
ガウディらしいデザインに、シンプルながら、意匠が凝らされている。

グエル公園のガウディ博物館とセットで13ユーロ(約2000円)のチケットを買う。

中に入ると、先ほどの団体さんに加え、他にも日本人観光客がたくさんいた。
朝9時から観光してるのなんて、世界でも日本人くらいだということか。

中に入ると、高い天井に映える美しいステンドグラスに圧倒される。

まだまだ工事中なのですが、これが大聖堂になってる部分です。
写真じゃ伝わりにくいのだけど、ものすごい巨大。
一体何人収容するのだろう・・・
完成したら、アメリカのメガチャーチなんて目じゃない、と思う。

デザインがとても幻想的・・・。

柱はまるで木が生えているよう。
巨大な木の生える林の中にもぐりこんだ気分だ。・
付設の博物館の情報によると、本当に樹木から意匠を得ているのだそうだ。

天井のデザインも、まるで花のようだが、これも花をモチーフにしているのだとか。

こちらの聖堂はまだ未完成ですが、博物館の方には、これの完成形の縮小石膏モデルがある。

なるほど、あれにそのまま巨大な石のアーチが付くのか・・。
それは作るの大変そう。

石膏モデルによる最も高い部分の天井。

実際にはこのように再現されている。

ものすごい巨大なのに、精彩に作られていて、見るものを圧倒させる。
ずっと天井に見入ってしまい、首が痛くなるほどだ。

2.5ユーロさらに余計に払うと、4本の塔の中をエレベータで昇っていくことが出来る。
もちろん行ってみましたヨ。
普段はものすごい人が並び、1時間待ちなども普通らしい。
しかし年末の朝っぱらから来ている観光客は日本人ツアー客くらいであり、しかも彼等はエレベーター昇らないので、空いており、全く並ばずに乗れた。
らっきー。

恐らく晴れていれば景色がものすごくいいのだと思うけれど、雨だったので景色自体は大したことなかった。
ただ、上の方でもどんどん建築が進んでいる、のを目の当たりに出来るのと、
塔の巨大さを改めて確認できたのは良かった。

景色は良いが、こんな階段を下っていくので、高所恐怖症の人には不向き。

建築中の横っちょの4本の小さい塔。
上にこんな可愛らしい、お菓子みたいなのが付くのか!

最後はこの階段をひたすら降りる。
暗いし、結構長くて怖い。
写真だとうつってないけど、目で見ると、永遠に下まで階段が続いているように見え、気が遠くなる。

ザグラダ・ファミリアは完成まであと200年かかる、という話を以前に聞いたとき、技術が進んでる現代にそんなにかかるわけないでしょ、と思ったが、来てみてその意味が分かった。

既に完成しているところを回るだけでも、考えられないほど巨大だ。
東京に建ってる巨大ビルなんか目じゃないほど。
それをこの精細さで、熟練した彫刻家が一つ一つの部品を手作りでつくっている。
既製品の材料でビル建てるのとは違うのだ。

一体どのくらいの時間がかかるのか、考えただけで気が遠くなる。

ところが今完成しているのは両側の4本の塔と、横に出てる建物だけ。
これから、この写真の赤丸で示された、巨大な塔をまだ2本も建てるのだという。
現在建ってる4本の塔が、とても小さく思える。

もともとは、カタルーニャ地方で独立の機運が高まった際に、建設が始まったザグラダ・ファミリア。
途中戦争や内戦を経て、建築が止まっていたことはあったが、技術も圧倒的に進んだ現代でも黙々と立てられている。
人間って本当にすごいものを作るんだな・・・

正直、言葉にならない感動だった。

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バルセロナ到着!-初めてのスペイン

2009-12-22 10:49:21 | ●スペイン旅行

今日のお昼にバルセロナに到着。
そのままホテルに直行し、チェックインした後、ちょこちょこ歩き回ったのですが、Overnight flight+時差ぼけ、かつ雨で調子が出ず。
午後4時半くらいに、あまりの眠さにホテルに帰って寝てしまいました・・・
(シエスタだ!と言い張る)

で、6時間睡眠後(笑)にさっき起きて、夜中のバルでご飯食べて帰ってきました。
そんな中でも始めてのスペイン、気が付いたことがたくさんありました。

1.バルセロナはカタルーニャだった!という当たり前のことに今更気づく

空港について、案内版を見ていると、見慣れない言葉が・・・
スペイン語っぽいけど、ちょっと違う。
スペイン語ちゃんとやっていたのにおかしーな、と思ってよく見ると2段目に英語、3段目にスペイン語が書いてあるんですよ。

そう、一段目に書いてあるのは、カタラン(カタルーニャ語)なのでした。
もともと、カタルーニャはスペイン王国とは別の国。
1714年にフェリペ5世に負けてスペインに併合されちゃったんだけど、その後も何かと独立機運の強い地域。
今でも多くのカタラン人は、カタルーニャはスペインとは別の国だと思っていることと思います。

普通に話される言葉も、バーとかに言って良く聞いていると、店員とかの話してる言葉はスペイン語じゃない!
もちろんスペイン語も普通に話すし、場合によっては英語も話せるんだけど、日常会話はスペイン語じゃないんだ、というのが驚きだった。

2.やっぱりスペイン治安悪し

南ヨーロッパの治安が悪いっていうのは、旅行慣れしてる人なら常識だと思うが、スペインは特に悪いんだなーと初日から実感。

私は海外旅行はよくするし、一人旅行もするんだけど、いつも旅行するときは、これでもか、と言うほど周りの人を観察してる。
特に初めての国・地域では特に警戒して、定期的にふと後ろを振り返ったり、警戒していることを相手に伝えるようにしている。

でその観察の結果、同じ南ヨーロッパでもフランスやイタリアに比べて、圧倒的に怪しい人が多いなあ、という感覚でした。
「怪しい人」というのは何かというと、特に何も荷物も持たず、行き先も目的も良く分からないでプラプラしてる、周りを睥睨しているような、目つきの悪い人・グループ、です。
こういう人が大通りとかにかなりいる。
(差別するつもりは全くないが、怪しい人の大部分はアラブ系やナイジェリア系移民など、色の濃い人。
 子供のグループも多い。
 しかも、安っぽいジャージの上下などアメリカ人みたいな(失礼)格好してる。
 こういう人のグループを見かけたら、旅行者としては警戒した方がいい。)

それから旅行者も、地図を見て立ち止まってるような人が、東洋人以外にいない。
地図をポケットに入れてる人は結構いるので、旅行者は多いんだな、という感じですが、立ち止まってる人はいない。
これも、相当油断できない地域だと言うことを示してる。
(ちなみに迷ったりしてどうしても地図を見ないとならないときは、近くの店とかに入って、人目のあるところで地図を開くように私はしてます。)

そして、極めつけは、空港からホテルに向かうとき。
重いスーツケースを持って地下鉄を待っていたとき、後ろに怪しいアラブ人女性二人組がいるなあ、と思っていたところ。
地下鉄が来て、私がスーツケースを持って乗ろうとしたところ、うち一人が、私が背負っていたリュックのバックルを開けた!
実は私のリュックはバックルを開けた後、チャックを開けないと中にたどり着かない面倒な構造になってる上、リュックの中には何も貴重品は入ってないんだけど。(残念でした)
「後ろからリュックのバックルを外された」ということが初めてで驚いた。

今後は道中気をつけなければ、と思った次第です。

人のにぎわうポルタル・ダ・ランゲル通り(Portal de l'Angel)。

3.やっぱりハモン(生ハム)の国!

カタルーニャ広場のそばにある、コート・デ・イングレスというデパートの地下にスーパーがあるので、そこに水を買いに行った。
で、驚いたのは、ものすごい数と種類のハムが並んでるんです・・・。

しかも、そんなに高くないのよ・・
1キロで20ユーロ(3000円くらい)。
まあ全てがイベリコ豚というわけじゃないでしょうけど、日本よりは安いね・・

ついでにチーズも。
キロ単位で売るの止めて欲しい(笑)

4.ユーロは高いが物価は安い

私はどの国に行っても、まずはペットボトルのミネラルウォーターを買うんだけど、その圧倒的な安さに驚く。
1.5リットル、37セント(米ドル約55セント。約50円。)

確かに観光客向けと思われる商品は高い。
例えばレストランでも観光客が主に飲むワインや食事は高いし、服なんかもユーロだから高い。
でもビールも安いし(1パイント2.5ユーロ=400円)、普通の食料品は安いので、普通の人が暮らす分には物価は安い国なんだな、と思った。
同じユーロ圏でも、フランスやドイツに比べると圧倒的に安い。

ところが、観光客相手になると途端に高くなる。
例えば、今回私、スーツケースの鍵を忘れて買ったんだけど、15ユーロ(22ドル)のものしかなくて、驚いた。
鍵ひとつ2000円っておい、って感じだが、明らかに観光客向けに商売してるところでは、この値段が普通なのだ、と一日歩いて分かった。

それから、「地球の歩き方」なんかで紹介されてるレストランや見た目こぎれいなバル(居酒屋)などは、
確実に観光客相手に仕事してるので、彼らのオススメとか食べるととても高くなる。
周りの旅なれた(しかもスペイン語が普通に話せる)人たちが食べてるものをまねして安く押さえるとか、
「もうユーロ高は気にしない」と強気で行くかしないと、お金が気になって楽しめないだろう。

「地球の歩き方」にも載ってるレストラン、エヒープト(Egipte)に行ってみた。
味付けがとても濃いのと、魚介類がそんなに新鮮ではなくて、「歩き方」で絶賛されてるほど美味しいとは思わなかったが、
雰囲気がいいのと、ビールが安いのが良かった。

今日はそんな一日でした。
明日は朝早くから美術館やガウディ建築を色々見て回るつもりです。

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吹雪のボストンを脱出してスペインへ

2009-12-21 07:30:29 | ●スペイン旅行

ローガン空港からiPhoneで投稿。
携帯初投稿です。

ボストンは昨日の晩からものすごい雪。
こっちじゃStormっていうんだけどまさに吹雪。
なんでも12月に降る雪としては過去最多だとか。

そんなボストンをいち早く脱出して私はスペインに行ってきます。
ふふふ。
暖かいといいなあ。
搭乗が案の定遅れてて、無事脱出出来るか未だ分からないけど。

 という訳でネット環境になるまで更新お休みしますが、ご了承下さい。

追記)バルセロナ着きました。ボストンほどじゃないけど、こちらも寒い。
全体的に寒波に襲われているのかな・・・?
昨日ボストンで取った写真をアップします。

 

こちら、家から撮った写真。
なんじゃこりゃってほどの雪。

夕方、飛行機が出る頃には西の空は晴れ始めてました。
空港から見られた美しい夕焼け。

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