強まるROE重視は株価形成をゆがめかねない
エコノミックニュース
8月17日(日)13時52分配信
株価指数「JPX日経インデックス400」の構成銘柄入れ替えに伴い、
ROEが注目されている。しかし、
ROEは利益成長を伴わない企業でも、
人為的に引き上げることが可能だ。
ROE重視は度が過ぎると
正常な株価の形成をゆがめかねない。
日本経済新聞社と日本取引所グループ <8697> 、
東京証券取引所は共同で開発、
運営する株価指数「JPX日経インデックス400」の構成銘柄のうち
31銘柄を入れ替えると発表したことで、
ROE(自己資本利益率)についての関心が再び強まっている。
JPX日経400は、構成銘柄の選出に資本効率性を示すROEなどを用い、
投資魅力の高い400銘柄で構成しているのが特徴。
毎年8月に定期的に構成銘柄を見直すとしており、
今回が初めての入れ替えとなる。
ROEは純利益を株主資本で割った値で、
資本効率を示す数値とされる。
3期平均ROEがマイナスとなったソニー <6758> などの指数からの除外が決まり、
ROEが時価総額に代わる投資指標として
重みを増したことを印象づけた。
しかし、ROEは利益成長を伴わない企業でも、
人為的に引き上げることが可能だ。
利益剰余金を吐き出して、
株主資本をそぎ落とす一方、
多額の借入金で事業資金を賄って利益を出せば、
理論上はROEがいくらでも大きくなる。
たとえ大幅減益でも、減益率より
株主資本の減少率が大きければ、
ROEは大きくなる。
昨年から「リキャップCB」の発行が相次いでいる。
カシオ計算機 <6952> 、日本ハム <2282> 、
ヤマダ電機 <6392> が発行しているが、
まさにROE重視の流れを反映したものだ。
新株予約権付社債(転換社債=CB)の発行と
自社株買いを組み合わせたのがこの手法。
市場に流通する株式数が減り需給の引き締まりにつながる。
CB発行で負債を増やすと同時に自社株買いで
株主資本を圧縮する結果、資本効率が向上してROEの上昇につながる。
CBは、普通社債と異なり
金利ゼロでも発行できるメリットもある。
利益剰余金の一部を自社株買いにまわせば、
株主資本が減少するとともに1株あたり利益も増えROE向上に貢献する。
年金基金のような長期投資家にとって
好ましいのは、長期的に成長していく企業だろう。
しかし、ROEを重視すれば、
利益剰余金で次世代の成長に向けて設備投資する企業よりも、
自社株買いでROEを引き上げる企業の方が高く評価されることになってしまう。
ROE重視は度が過ぎると
正常な株価の形成をゆがめかねない。
(編集担当:久保田雄城)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140817-00000004-economic-biz
エコノミックニュース
8月17日(日)13時52分配信
株価指数「JPX日経インデックス400」の構成銘柄入れ替えに伴い、
ROEが注目されている。しかし、
ROEは利益成長を伴わない企業でも、
人為的に引き上げることが可能だ。
ROE重視は度が過ぎると
正常な株価の形成をゆがめかねない。
日本経済新聞社と日本取引所グループ <8697> 、
東京証券取引所は共同で開発、
運営する株価指数「JPX日経インデックス400」の構成銘柄のうち
31銘柄を入れ替えると発表したことで、
ROE(自己資本利益率)についての関心が再び強まっている。
JPX日経400は、構成銘柄の選出に資本効率性を示すROEなどを用い、
投資魅力の高い400銘柄で構成しているのが特徴。
毎年8月に定期的に構成銘柄を見直すとしており、
今回が初めての入れ替えとなる。
ROEは純利益を株主資本で割った値で、
資本効率を示す数値とされる。
3期平均ROEがマイナスとなったソニー <6758> などの指数からの除外が決まり、
ROEが時価総額に代わる投資指標として
重みを増したことを印象づけた。
しかし、ROEは利益成長を伴わない企業でも、
人為的に引き上げることが可能だ。
利益剰余金を吐き出して、
株主資本をそぎ落とす一方、
多額の借入金で事業資金を賄って利益を出せば、
理論上はROEがいくらでも大きくなる。
たとえ大幅減益でも、減益率より
株主資本の減少率が大きければ、
ROEは大きくなる。
昨年から「リキャップCB」の発行が相次いでいる。
カシオ計算機 <6952> 、日本ハム <2282> 、
ヤマダ電機 <6392> が発行しているが、
まさにROE重視の流れを反映したものだ。
新株予約権付社債(転換社債=CB)の発行と
自社株買いを組み合わせたのがこの手法。
市場に流通する株式数が減り需給の引き締まりにつながる。
CB発行で負債を増やすと同時に自社株買いで
株主資本を圧縮する結果、資本効率が向上してROEの上昇につながる。
CBは、普通社債と異なり
金利ゼロでも発行できるメリットもある。
利益剰余金の一部を自社株買いにまわせば、
株主資本が減少するとともに1株あたり利益も増えROE向上に貢献する。
年金基金のような長期投資家にとって
好ましいのは、長期的に成長していく企業だろう。
しかし、ROEを重視すれば、
利益剰余金で次世代の成長に向けて設備投資する企業よりも、
自社株買いでROEを引き上げる企業の方が高く評価されることになってしまう。
ROE重視は度が過ぎると
正常な株価の形成をゆがめかねない。
(編集担当:久保田雄城)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140817-00000004-economic-biz