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社外取締役、なぜ“ちゃんとした人”は選ばれない

2014年08月17日 23時45分33秒 | 学習支援・研究
社外取締役、なぜ“ちゃんとした人”は選ばれない?
“お飾り”人気、日本企業の悲しき実情

ビジネスジャーナル
2014年8月12日 00時03分
(2014年8月12日 10時40分 更新)


筆者は企業再生の仕事を通じて、
数多くの経営者やビジネスパーソンとの協働を続けてきました。
企業再生というのは、会社にとっては別として、
個人のレベルでは否応がなく取り組むという状況が多いです。
そうした局面になると、社員個々人の隠していた本音が露呈していきます。
そうした合理と非情理が入り混じるのが企業変革の現場です。
 
最近、ビジネス系出版社の人に聞いたところ、
同じ週刊誌でも景気動向や人口減少など
マクロ経済系の特集号はあまり売れずに、
スキル系だけでなく相続税対策やお受験系など
個人に関する特集を組むとよく売れるそうです。
「アベノミクスで好景気」という新聞報道が真実かどうかより、
自分と家族を守る、幸せにすることに集中したい
ということなのでしょうか。
 
一方でネットメディアの人によると、
マクロ系の時流モノがよくクリックされるそうです。
なかなか興味深い現象ですね。そこで今回は、
マクロ系の経済関連テーマとして
最近話題に上ることも多い社外取締役について考えていきたいと思います。

人選に手間がかかる理由
ご存知のように、海外投資家への対応、
政策としての成長戦略の推進、
企業の経営力そのものの向上などを目的として、
上場企業の社外取締役採用が
政府等によりあの手この手で促されています。
実際に東京証券取引所が今年6月に発表した社外取締役の選任状況によると、
社外取締役がいる東証1部上場企業は1345社、
全体に占める割合は74%でした。
昨年8月時点から253社増え、
導入企業の比率も約12%上昇して過去最高に達したようです。

この動きを先読みして人材紹介・仲介各社は、
通常の経営幹部や社員の紹介に加えて、
社外取締役の紹介にも乗り出していました。
数カ月前にたまたま、
そうした企業の担当者に話を聞く機会がありました。
まず、クライアント企業から
社外取締役候補者を紹介するよう依頼を受けます。
そこで要請内容に加えて相性などを推測しつつ、
ニーズに応じて立派な候補者を順次紹介していきます。
ところが紹介すれどもすれども、
なかなか決定しないそうです。
紹介企業としても採用が決まらないと報酬がもらえませんので、
粘り強く紹介し続けても、まだ決まらない。
業を煮やし「私たちのネットワークでは、
もうほかにいません」という状況になってようやく、
本当のオーダーが出てくるそうです。
「親和性を」「歩調を合わせていける」など聞こえの良い言葉を使うものの、
要するに「“ちゃんとした人”だと困る」
ということが大半だそうです。…

歴史の長い上場企業ともなると、
取締役会の椅子に座るまでには数々の難しい局面を
30-40年と乗り越えてこなければなりません。
ただしその“難しい”局面というのは
カッコいいビジネスジャッジだけではなく、
内向き論理の最たるもの、市場原理や
世間から見れば間違った判断であったり
くだらない内輪もめのようなものでも、
当事者にとっては会社員人生がかかった
重要な問題であるケースも多い。要するに、
お互いにスネに傷を持っていることは認めつつ、
それぞれの専門領域については尊重し合うようなメンバーで構成されています。
それが正しい流れなのかどうかは、
日本経済の流れが物語ってきたでしょう。
 
是非はどうであれ、その取締役会に
“ちゃんとした人”が入ってきて、
組織内調整がすっかり済んだ方針について、
「え? そんなの市場原理からすると、おかしい判断ですよ」
と指摘されたところで、説明するのが面倒ですし、
きちんと説明しようと思うと、自分たちが
わかってはいるけどあからさまには認めたくない恥ずかしい部分を
露呈させなければなりません。
決して「問題の先送りになるけど、
俺や部下たちが、今までの責任を取らなくて済むんだよ!」とは
叫べないわけです。同席している担当外の取締役にしても、
「確かにオカシイでしょう。やり直しましょう」と言ってしまうと、
いつやり返されるかわかったものではないので、
ヒヤヒヤしながら静観してしまいます。
 
そんな事態を招いてしまわないよう、
そうした胆力や嗅覚を持っていなさそうな人、
でも対外的な説明がつくよう、
表面的な経歴等は見栄えが良い人が
社外取締役として理想的と考える上場企業は、
多くあるようです。

社外取締役として人気のプロフィール
お飾り取締役として人気があるのが、
まず官僚や銀行のOBです。
彼らは文句なしで見栄えが良い一方で、
ビジネスに深く入ってきません。
これは知識や能力面で不足しているということではまったくありません。
減点主義と上司絶対主義文化に順応して30-40年生きてきた人が多いので、
条件反射として「自分の意見が間違っている可能性があることは、
一言も発しない」「自分の人事権を持つ人間には
一切逆らわない」といった癖がついています。
仮に何か言っても、社長が
「判断は私たちにお任せください」と一言言えば、
以後ずっと黙ります。自分の意見が通らなくとも、
本人たちも副収入と取締役という名前によって
名誉欲が満たされる状態を維持するために、大人の対応をします。…
こうして双方の思惑が一致します。
 
次いで、弁護士、会計士など士業です。
分をわきまえてカネを稼いできていますので、
専門領域については的確なコメントをすれど、
他のことには一切口出ししません。
顧問で雇うのと同じ感覚です。
もともと顧問でいた、勝手知ったる間柄である先生に座っていただくこともあります。
 
そして、大学教授。会社経営が
完璧な理論に基づいた戦略を実行しているかのような印象を抱かれ、
見栄えが良いです。ただ、
当該ビジネスのことを深く知らなくても
積極的に何か意見を出そうとするような煩わしさがあります。
しかし会社から見れば“替え”はたくさんいます。
気に入らなければ任期満了で退任してもらい、
次を探します。学識者としての
ハクつけのためにタダでもやりたいという人はたくさんいますので
すぐに見つかります。
 
最近はそれに加えて、「女性か外国人なら最高に良い」ということもあるようです。
政府からは女性登用のプレッシャーが出ていますが、
古い会社ほど旧態依然とした男尊女卑のカルチャーが
脈々と残っていますので、
現場に中途採用で女性ミドルを採用したりすることを望んでいません。
組織の下から女性を押し上げるなど、
男性社員から起こる不協和音が面倒です。
そもそも、だいたいにおいて日本の大企業で
経営に携わる立場にいる年配の人は、
働く女性が苦手です。しかし、
国の意向に応えているように見えなければなりません。
そこで、社外取締役として女性に座っていただけることが
一石二鳥だと映るようです。外国人も同様です。
しかし当然、そうした場面に推薦されるに至る女性や外国人は
“ちゃんとした人”が多いので、
なかなか決まりません。
 
すると今度は、誰も文句を言えない立派な人、
イコール多忙な人を選任すれば、
他が忙しくて自分の会社への意識割合、
関与は少なくなり、結果として名前だけ残って取締役会では
ただ座っているだけ(なんなら座ってすぐに次の予定のために退出したっていい)
という発想に切り替わってきたりもします。
たまにたくさんの立派な会社の社外取締役を
いくつも兼務する方がいらっしゃいますが、
それは本人の意思とはまた別に、
そうした力学も作用してしまっていることの表れではないでしょうか。
頭の良い人たちが少し頭をひねれば、
制度を骨抜きにして運用するのはたやすいことです。

社外取締役の成否は、日本経済の将来を占う?
筆者は経営コンサルタントとして雇われる立場と、
コンサルタントを使う立場と双方を経験していますが、
コンサルタントを活かすも殺すもクライアント次第だと思っています。…

無責任かもしれませんが、まずクライアントの会社や社員に、
課題を解決したいという動機と意思がないと、
絶対に物事は動きませんし、変えられません。
上司や本社への説明材料をつくりたいのか、
物事を動かしたいのか、クライアントと
コンサルタントの目線が最初に一致していないと、
報酬の無駄遣いに終わるだけです。

社外取締役も、ほぼ同じことです。
その点、上場会社でもマザーズのベンチャー企業などで
純粋に自分たちの議論の活性化や
その知見を活かしたいと思って社外取締役を登用している企業などは、
非常にうまくその枠組みを活用しているケースも
たくさんあります。
 
外部環境の悪化は業績不振のきっかけとはなれど、
不振が継続する要因になることはあまりありません。
その要因は、ほぼ間違いなく内部要因にあります。
そして内部要因の中で最大の要因は、
人間の感情にあります。経営幹部も人間ですので、
みっともない思いはしたくありません。
会社のためであっても自分が割を食うのであればやりたくないと、
つい思ってしまいます。そうした感情と向き合って
乗り越えて全体最適の合理的な判断ができる
立派な経営幹部がいるのが、立派な会社です。
 
人間は本来的に変わることが億劫であり、
大変なことです。年を取ってくるとさらに、
今までの自分を否定される気分になってしまうため、
腰が重かったり、変えることを促す人間や状況に対して
嫌悪感を抱いたりしがちです。
自分で自分を律する、他人に律してもらうことは大変ですが、
その先には必ず何か得るものがあります。
 
今は一服しているかのように見える日本経済の「失われた20年」ですが、
それが30年になるのかどうか。
日本経済の中心を担う上場大企業が社外取締役を利用して、
どう活性化していくのか、
それともただのお飾りとなって当事者だけ満足したかたちで終わるのかが、
1つの象徴になると思います。
(文=中沢光昭/経営コンサルタント)

http://www.excite.co.jp/News/society_g/20140812/Bizjournal_201408_post_5684.htmlより

スカイマークは破綻寸前か?

2014年08月17日 11時05分56秒 | 学習支援・研究
スカイマーク破綻寸前?国管理も
2014.08.11
企業・業界 企業・業界
スカイマークは破綻寸前か?巨額賠償で望み薄の銀行融資、無借金経営が仇に 国管理も
文=須田慎一郎/ジャーナリスト
【この記事のキーワード】エアバス, スカイマーク, 航空

スカイマークの旅客機(「Wikipedia」より/坂部 秀治<G-TOKS>)

国内第3位の航空会社、スカイマークが苦境に立たされている。
7月、国際線参入に向けて発注済みの大型機について、
欧州エアバスがスカイマークに契約解除を通告するとともに、
巨額の損害賠償を請求する方針が明らかとなった。
その影響もありスカイマークは、
同月31日に発表した2014年4~6月期の単独業績決算で、
事業継続に「重要な疑義」があると開示。
その翌日から同社株価が続落した。
 
さらに8月6日には、成田空港発着の国内線を10月下旬に運休する方針を固めた。
国際線参入をにらみ11年に成田空港へ就航したが、
エアバスから巨額損害賠償を求められる可能性も重なり、
これ以上、不採算路線を維持するのは困難と判断したとみられている。

一連の事態を受けスカイマークは、
場合によっては経営破綻に追い込まれる可能性すら
取り沙汰される事態に陥っているが、
そもそもエアバスとのトラブルのポイントは、
スカイマークが支払い資金の調達のメドも立てないまま、
航空機購入契約を交わしてしまったことにある。
しかもスカイマーク社が支払うべき購入代金は、
契約締結時で約1,900億円という巨額なもので、
そのうちの約265億円を手付け金として前払いしていた。
 
ところがスカイマークは残金の確保がままならなくなったため、
エアバスに対して当初購入予定だった6機のうち2機については
納入時期を先延ばしした上で購入し、
残り4機についてはキャンセルというかたちでの契約見直しを提案したのである
(今月、スカイマークは全機の購入を断念したことが判明)。
 
この提案をエアバスは拒絶し、
手付け金の全額没収と700億円の違約金の支払いを
スカイマークに対して求めることになったのだ。
「いくら一方的なキャンセルとはいえ、
この種の契約で手付け金の全額を没収するというのは普通では考えられない。
にもかかわらずエアバスがそれを強く主張してきたということは、
契約上具体的な取り決めがあるとみていいだろう」
(メガバンク役員)

厳しい資金調達
では、もし実際にスカイマークが違約金を支払うことになった場合、
果たして財務的に耐えられるのであろうか。
「銀行借り入れなどが可能であれば、
なんとかしのげるだろうが、
果たして今のスカイマークに融資する銀行があるかどうか」
(前出のメガバンク役員)
 
そもそもスカイマークは、これまで無借金経営を
セールスポイントにしてきた。

しかしこれは、裏を返せば、同社には
メインバンクが存在しないということにほかならない。

「こうした状況下でメインバンクを持っていないということは、
どの銀行もスカイマークを相手にしないでしょう」(同)

さらに金融マーケットから直接資金を調達するのは、
今のスカイマークが置かれている状況を考えると、
銀行からの借り入れ以上に困難だろう。
まさにスカイマークは、経営破綻寸前の状況に
追い込まれた感も否めない。
 
そこでスカイマークにとって最後の頼みの綱となってくるのは、
国内大手2社の日本航空と全日本空輸だが、
両社関係者はともに
「今のところ当社にはなんの話も来ていないし、
スカイマークについては興味もない」と口を揃える。
 
さて次なる注目は、監督官庁の国土交通省がどう動くかだが、
遠からずスカイマークが国交省の管理下に置かれる日が来る可能性もある。
(文=須田慎一郎/ジャーナリスト)

http://biz-journal.jp/2014/08/post_5672.html

こんな記事も
スカイマーク、平均搭乗率74・4%…7月
2014年08月11日 19時10分
国内航空3位のスカイマークは、
7月の利用実績を発表した。


夏休みの繁忙期を迎えていることなどから全路線の平均搭乗率は
74・4%と、全体としては堅調だった。
しかし、路線によって好不調の差が大きく、
羽田発着の6路線が70~90%台と好調な一方、
地方路線は苦戦が目立った。


羽田空港を発着する6路線では札幌線が90・9%に達し、
座席の大きさに余裕を持たせたエアバスの旅客機「A330」を
6月から導入した福岡線は73・1%だった。
撤退を検討している成田―新千歳は77・2%、
成田―那覇は76・4%と比較的堅調だった。

一方、米子空港発着便は成田線が30・9%となるなど、
羽田線を除き、30~40%台と低迷した。
茨城―中部(名古屋)線も24・3%にとどまった。

2014年08月11日 19時10分
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