何となく奈伽塚ミント・純情派

不覚にも連続更新ストップ。
少々夏バテ気味だったし
定期更新に切り替えかも?

そんなこんなで奈伽塚ミント

今日の連絡事項

2004-06-25 23:28:11 | 雑記
 一時更新停止するよん♪実は現在テスト週間。今回は結構まじめに取りかかってるので,とても更新してる余裕がないんだよねぇ。……やる気になれば別に更新できるんだけど,私はテストで一杯一杯なんだよぉ。――もう少し頑張れ,私!って思うんだけどねぇ。こればかりはどうにもならないのだぁ!
 7月1日がテスト最終日。その日の更新に向けてちゃんと書いてるからねぇ。見てくれてる方ゴメンなさい。その日まで待っててほしいよん♪……って今,どれだけの人が見てくれてるんだろう?って思う私。
 ――ということで,連絡でした。また1日に記事であいましょうねぇ。
 

とある雑談から生まれた企画(6)

2004-06-23 22:58:36 | 『テーマ小説』
 私は一人,街を歩いていた。
 冬空の下。外気は凍えるほど冷たい。唯一温かさを感じるのは頬を伝うもの。
 この時間,人の往来は決して少ないわけではなく普通ならば視線が気になっているだろう。けれど今の私にすれば,そんなものはどうだってよかった。

 緩慢な動きで,しかし一歩ずつ進んでいく。その分だけ私は恭一から遠くなっていく。体だけじゃなく,心までも離れていく気がした。何度引き返そうかと思ったけれど,その度に自分に言い聞かせた。

 ――もう取り返しがつかないんだ,って。

 恭一と私は所詮ただの同級生なんだ。最後の最後,その一瞬まで。私の言葉を否定してくれるんじゃないか。「違うよ」って言ってくれるんじゃないか。私のことを引き止めてくれるんじゃないか。そんな淡い期待が胸にあった。けれどもそもそもそんなはずはないんだ。私が勝手に恭一を好きになって,勝手に付き合ってるような気になって……ただそれだけの話。今更そんなこと言えない。

 ――私は。私は恭一と,これ以上離れたくなかった。友達でかまわない。そう思った。

 だけど涙は止まらない。寂しいのか? 苦しいのか? 悲しいのか? 痛いのか?
 ――多分全部だ。
 恭一がいなくて一人きりで寂しい。
 私の思いが恭一に伝えられないことが苦しい。
 恭一とこんなことになってしまって悲しい。
 胸が――だから胸が張り裂けそうなほどに痛い。

 そんな弱い私。弱いから,強く見えるように振る舞うことしかできない。
 あの時も,私自身のポリシーなんかより大切なものがあったはずなのに……。――(続く)
(7)へ

実は――

2004-06-23 16:29:18 | 雑記
 約四日間にわたって更新が停止していたよ~。理由は,はにゃんのコメントで見たかもしれないけどPCがおかしくなってたから。日本語入力ができなくなってたんだよ……。
 昨日,どうにか手助けをもらって回復したんだよん♪ということで久しぶりに更新。
 ようやく短期連載小説が終わったよん♪夜にはテーマ小説も更新できるといいけど――。まぁ,今後また更新していくのでよろしく。ではでは。

『短期連載小説』始めました!(4)

2004-06-23 16:17:37 | 『短期連載小説』
     「Dear My Hero」
              (第四回)

 目が覚めると,夕陽が沈もうとしていた。
 どうやら泣き疲れて眠ってしまったらしい。
 教室に一人きり……彼は行ってしまったみたい。
 私はそっと胸の上で両手を重ねた。
 目を閉じる――。
 再び開いた時,何かが変わっていた――なんてことはない。
 それでも時は流れていく。

 私のヒーローは行ってしまったけれど,魔法使いは消えてしまったけれど,彼はここにいないけれど,私は今,ここにいる。
 人に話しても,到底信じてもらえないだろうけど私は知っている。確かにこの三年間が現実だったことを。
「……また,言えなかった」
 次に会う時には,ちゃんと彼に伝えられるように私は向き合って生きていこうと思う。
 私は彼の代わりになることなんてできないけれど,彼の思いを誰かにつなげることはできる。
 私が誰かのヒーローに,誰かの魔法使いに,私が私にとっての彼になれるように――。
 すぐには変わることなんてできないかもしれない。だから一歩ずつ踏みしめて歩いていこう。後悔しないように,彼が後悔しなくていいように。
「……よしっ」
 扉を開けて私は新しい一歩を踏み出した。
「りょうくん……ありがとう」
                                                  (fin)

ようやくですが

2004-06-19 02:26:41 | 雑記
 例の企画(ここで言えばテーマ小説)の第一回,二回分反省+第三回企画会を実行できそうだよん♪一応今晩10時,私のところのチャットルームを予定してるよん♪第一回,二回で書いた人はもちろん,そうでない人もどんどん来てくれていいよん♪まぁ,私自身はっきりその時間に来れるとは言い切れないので無人でも待っててくれるとうれしいよん♪こんなに遅くなったのは,私がいつまでも終わらせないからなんだよね,はい。結局原稿用紙で20枚を突破してしまいまして……まぁ,長く書いたから遅いなんてのは言い訳にならないんだけどね。ほんとゴメンなさい!急いで第二回にとりかかるよん♪今度は遅くならないように――。
 ついでにその他の報告。
(1)『短期連載小説』
 もうすぐ終わりだよん♪多分第四回で最後まで行くよん♪その後も,第二弾として別な小説を公開するかもしれないよん♪期待はしないほうがいいけどねん。
(2)雑文
 公開が滞りがちな雑文。その他の書いてると結構大変。けど以前に書いたものがあるので,時間を見てまた公開するよん♪その時にはよろしくねん。
(3)『連載シナリオ』
 一応私のところのメイン企画(のつもり)の『連載シナリオ』。現在停滞前線真っ盛り!――ダメね,うん。いい加減公開しようよ,私。ほんとゴメンなさい。頑張って書いてます。ちゃんと継続していきます。決して終わったりはしないので,温かく見守ってやって下さい。
(4)その他
 二瓶さんのとこのは,現在「タイトル」「構成」「キャラクター」等が決まってきて,そろそろ書き始める予定。あと1ヵ月半……終わるかな。うん,終わるかなじゃなくて終わらせるんだよ,私。
 後は企画として,以前に私が書いた微妙な長編,原稿用紙150枚くらい,のものを公開しようとしてるとかいないとか。けど,内容は――どうだろ?まぁ,機会があれば公開します。
 
 ――ふぅ。とりあえずこんなところです。今日は日中用事があるので,公開とかはできないんだよん。ちょっと残念。まぁ,夜にでもまたチャットルームで会いましょうねん♪。ではでは。

とある雑談から生まれた企画(5)

2004-06-19 01:31:20 | 『テーマ小説』
 僕たちはどこで間違ってしまったのだろう? 麗奈の去った店内で一人。そんなことを考えていた。

 選択肢はきっと無数にあって,その中の一つの道を僕らは進んできた。もし他の道を進んでいたら――。そうしていたらきっと今頃は――。

 そこでふと,テーブルの向かい側を見やる。
 ――当然のように無人のその席。つい先程までは麗奈がいたその席。今では誰もいないその空間を眺めていると,何故だか寂しさを覚えた。その寂しさという想いは,僕の胸の奥底。僕という一人の人間の根底を強烈に,猛烈に,痛烈に揺さぶった。僕の中で一番大切な,欠けることの許されないネジが外れかかっているようだった。

「あぁ,そうか」

 その瞬間に。その瞬間になってようやく。僕は外れ落ちそうなネジに気づいた。今,自分が失いかけているものの大切さを知った。

 ――そう。いつの間にか僕は,麗奈をこんなにも必要としていたんだ。

 どうすればいい? なんてこと,考えるまでもなく分かっていた。
 麗奈が店を出てからどれくらい経ったのだろう? 急がないと今度こそ手遅れになる。
 一本のネジが抜け落ちてしまったなら,拾い上げてはめ直してやればいい。たとえすぐに見つからなくて,拾い上げられなくても。その時にはゆっくり時間をかけて探せばいい。
 ――だけどこればかりはそうはいかない。失くしたら二度と見つけられない。一度抜け落ちてしまったら,はめ直すこともできずに全てが崩壊してしまう。

 言葉ってものはあまりにも脆く,儚く,曖昧で。突然天空より現れては天空の彼方に消えていく。消えた後には当然影も形もなく,その存在そのものがあやふやで。
 だけど今。僕は麗奈にその言葉で伝えたい。伝えなくちゃいけない。そのあやふやな存在に『想い』という形を乗せて。

 僕は街に飛び出した。麗奈のもとへと駆け出した――。――(続く)(6)へ

『短期連載小説』始めました!(3)

2004-06-19 00:40:48 | 『短期連載小説』
    「Dear My Hero」
              (第三回)

 迎えた卒業式。私は泣くまいと心に決めていた。
 ――だけど最後の最後で涙は零れた。

 一度零れ出した涙はいつまでも止まらなくて,まるで今まで泣かずに溜まっていた分が流れているみたいだった。

 泣いているうちに最後のHRは終わってしまっていた。
 気がつけば教室には,私と長野君が二人きり。
「――ゆうちゃん」
 すぐ傍から長野君の声がした。
「泣かないで。ずっと傍にいるから」
「え?」
 私をゆうちゃんと呼ぶのは……そして,その言葉は……
「りょう,くん?」
「――覚えててくれたんだ」
「忘れるわけ,忘れられるわけ,ないじゃない」
 そう,あれは小学校に入学するほんの少し前のこと――

 その頃の私は,母親が死んだショックからふさぎ込んでしまっていた。
 ことあるごとに泣いていた私。
 そんな私に優しく声をかけてくれたのがりょうくんだった。
「ゆうちゃん,泣かないで。ずっと傍にいるから」
 そう言って,私が泣きやむまで本当にずっと傍にいてくれた。

 ……何で今まで気づかなかったんだろう。
 でも,りょうくんは……りょうくんはあの日……

「……だってりょうくん,りょうくん私のせいで――」

 あの日も私は泣いていた。
 だから,目の前に車が迫っていることに気づかなかった。
 ……その時,何があったのか正直私にはよく分からない。
ただ,気がつくと血まみれで倒れていたのは……
        りょうくんだった。

「うん。でもゆうちゃんのせいじゃないよ。気にしないで――」
「何で? どうして? どうして笑っていられるの?」
 気がつけば私は,怒鳴っていた。
「だって……だってりょうくん……」
「分かってるよ。でも,過ぎてしまったことはどうにもならないんだよ」
 あぁ,どうして彼はこんなにも優しいのだろう? その優しさが私には痛かった。
「――ゆうちゃん。僕は後悔はしてないんだ。少なくともあのことは,ね」
 だけど――彼は言った。
「僕のことでゆうちゃんが前を向けないのなら,きっと後悔する」
 あぁ,そうだ。私が冷たくなってしまったのは,向き合うことから逃げていたからなんだ。
 彼は全てお見通しだった。
「だから僕は,君に会いに来たんだよ」
 そう言って彼は寂しげな笑みを浮かべた。
「でも,もう行かなくちゃ」
「待って」
 このままじゃいけない。
「ゆうちゃん?」
 このまま彼を行かせちゃいけない。このままじゃ私も彼も何も変わらない。
「ごめんね,りょうくん。私,逃げてた。そのせいでりょうくんを後悔させてたんだね。……私,別れたくない。本当に行っちゃうの? 行かないといけないの?」
「ゆうちゃん」
 彼は笑顔でこう言った。
「卒業は別れじゃないよ。思いはずっとつながってるから。願えば必ずまた会える。だって人は一人じゃない。みんなつながってるんだから」
「うん,また……また会えるんだよね?」
「絶対だ」
「絶対だよ」
 私は,また泣き出していた。私ってなんて泣き虫なんだろう。せめて今ぐらい泣かずにいられないのだろうか?
「ご,ごめんね。私最後までこんな風で」
 ううん――彼は首を振った。
「今ぐらい,泣いたっていいよ」
 彼は最後の最後まで優しい彼だった。
 ――私は彼の胸で思い切り,泣いた。――(続く)

(4)へ

チャットルーム♪

2004-06-18 11:43:39 | 企画告知
 何となくチャットルームを作ってみたよん♪コメント合戦は面倒だからね。こっちの方が見るのにも楽だよね?と,いうことでよければ来てねん♪私がいないこともあるのであしからず。ちなみに未来投稿でトップに上げておくよん♪別に雑談でも何でもいいので,暇な人向けかもね。
ということでチャットルームへ行ってみようかな?

とある雑談から生まれた企画(4)

2004-06-18 10:58:13 | 『テーマ小説』
 <今>
「――もともと考え方が違ってたんだわ,きっと。今までこういうことがなかった方が偶然だったのね」

 麗奈の声が耳に届き,思考から現実へと引き戻された。ずいぶん長く思考していたようだが,実際には会話と会話の間。その一瞬にすぎなかったのだろう。
 麗奈は僕の返事を待っているように見えた。半ば冷めてしまっているだろう紅茶に口をつけながら,こちらの様子をうかがっている。

「――そう……だな」
 どれくらい時が流れたのだろうか? 一瞬だったのか,それとも永遠だったのか? とにかく僕が口にしたのは,そんな一言だった。

 ――それは気のせいだったろうか? 僕には麗奈が,その言葉でひどく傷ついたように見えた。

「そうよ。だからこれは出会った時から決まっていた運命。仕方のない結論よ。……別れましょう」
 一瞬の後。麗奈は笑ってそう言った。
 半ば予測していたものだったからだろうか? 僕は妙に落ち着いていられて。

 だから,それに気づいてしまった。麗奈の笑顔がどこか悲しさを秘めていることに。――そう。それはまるで,涙をこらえて無理に笑っているようだった……。

「――ううん,違うわ。別に私たち付き合っていたわけじゃないものね。別れるもなにも,もともとただの同級生。……そう。ただ少し他よりも親しかった。ただそれだけ」

 麗奈の言葉には自嘲の色が含まれているようだった。

「大分時間喰っちゃったわね」
 窓の外はいつの間にか,漆黒の闇に包まれていた。
「買ったものは全部持って帰っていいわ。恭一が全部払ったんだし。代わりにここのお金は私が払っておくから」
 そう言うと麗奈はおもむろに席を立った。
「帰るのか? 家まで送るよ」
「別にいいわ。歩いて帰れるから」
「そう……か」
 それきり顔を背けると,会計へと向かっていく。
 ――と,何か思い出したかのように立ち止まると決して振り返ることはなく一言。
「……また来年,キャンパスで会いましょう」
「あぁ」
 僕はその後ろ姿に気の利いた言葉をかけることさえできなかった。

 それきり麗奈は何も言わなかった。そのまま会計を済まし,この場から去っていった。
 僕はただ,その姿を見つめるだけだった。
「――ありがとうございました」
 店員のいやに明るい声が響く。

 そんな中,扉から出る最後の瞬間。微かに見えた麗奈の横顔は,なんだか泣いているようだった……。――(続く)
(5)へ

『短期連載小説』始めました!(2)

2004-06-18 02:24:26 | 『短期連載小説』
    「Dear My Hero」
              (第ニ回)

 その日私は,彼を待っていた。
 自分から行動する勇気は持てなかったけど,彼を待つことぐらいならできた。
「おはよう,瀬戸さん。……あれ。今日は本読んでないんだね」
「……おはよう」
 私が初めて彼に言った言葉は,とても小さくて,平凡で,ほんの些細なものだったけれど,
「うん,おはよう」
 彼は笑って答えてくれた。

 それから私は少しずつ彼と話をするようになった。
 ……と,いっても今までロクに人付き合いもしてこなかった私。何を話せばいいのか――なんてことすら分からなくて,それは本当に少しずつだった。だけど自分でも何かが変わってきていると思い始めていた。

 彼と過ごす時間が増えていくにつれて,私は一生懸命に物事に取り組むようになっていった。
 クラスメートとも話をするようになっていって――
 気がつけば私は,クラスに溶け込めていた。

 あまりにも長いと思えていた中学校生活も,彼やみんなと過ごすならあっという間に過ぎてしまうのかな。
 そんなことすら思えるようになっていた。
 全部彼のおかげ。彼がいたから。
             彼は私のヒーローだった。

 “ありがとう”そう伝えたかった。
 だけど,気がつけばヒーローはどこにもいなかった。
 私の前から彼は消えた……。

 私は彼を探した。
 クラスメートに,先生に,手当たり次第に彼のことを訊いた。
 ……誰も“長野 遼”という人物を知らなかった。

 私はまた,以前のような冷たい人間に戻っていった。
 そして,進級した。

 そこで私は,また長野君と出会った。
 彼は,また私を変えてくれた。
 ――きっと彼は魔法使いなんだ。
 そんなことを本気で思ってしまうぐらいに彼は不思議だった。

 だけど魔法はとけてしまった。
 彼は一年前と同じように,誰の中からも消えた。私以外の……。

 私は三年生になった。
 ヒーローは,魔法使いは帰ってきた。
 私は三度,長野君に巡り合った。

 私は,また変わっていくにつれて,長野君がまた消えてしまうと思った。そして今度は,もう会えないとそんな確信めいた気持ちがあった。
 だから私は彼に言った。
「ねぇ,もう消えたりしないで。私と一緒に卒業して」
 彼は寂しげな笑みを浮かべた。それはなんだか,いつもの彼とは違って儚げで今にも消えてしまいそうだった。
「分かった。一緒に卒業しよう」
 でも彼はそう言った。そう言ってくれた。

 それからの一年は本当にあっという間だった。
 卒業が一日,一日と近づいてきて――私には何となく分かっていた。彼との別れも一日,一日近づいていることが。――(続く)
(3)へ

ダメだろ~的な近況報告

2004-06-18 01:31:46 | 雑記
 前の雑記で「明日公開しますので」と公言していた『連載シナリオ』現在停滞前線なのです。――ダメですね,ちゃんと約束は守ろうね,私!近日中には公開できるはずですので……。どうか暖か~い目で見てくれると幸いです。
 で,現在は『テーマ小説』第一回分完成に向けてラストスパートってなとこなんだよん♪ 早くしないとね~,みなさんはもう第二回のアップしてるからねぇ。
 で,報告ですけど,第一回,第二回の反省+第三回の計画を私の第一回分全てがアップされたら行いたいな~,と考えてます。とりあえず予定です,はい。正式に決まったら,また報告します。とりあえず私のところのコメント欄でやればいいかぁ,って思ってるんですけどどうです? 時間とかも希望あればコメントしてねん♪ 私的には夜12時前後だと助かるんですね。まあ,とりあえずコメント待ってるよん♪
 さて,そろそろ『テーマ小説』仕上げるかな。他に『連載シナリオ』,二瓶さんのとこのやつ,その他にあと2つ,3つ書かないといけないのがあるんだよん♪ よん♪って言ってられる場合じゃないんだよね,実際。ということで,頑張れ私。

とある雑談から生まれた企画(3)

2004-06-18 00:40:33 | 『テーマ小説』
「じゃあ……。これ,これ。これにしなよ。うん。これがいいって」

 僕は『メロンあんパン』を棚に戻すと,再びパンの山に目を走らせた。そしてすぐにまた,一つの袋を選び出した。――不自然なまでに明るさを前面に押し出して。
 とにかく早く,穏やかでなくなりかけた空気を元に戻したかった。

「……ねぇ。私はメロンパンを探してるんだけど?」
 僕が手にした袋を一瞥。麗奈は怪訝そうな表情になる。
「何,言ってるんだよ? ――ほら,ここにちゃんとメロンパンって書いてあるだろ?」
 確かにこの袋には『メロン果汁入りメロンパン』と印されている。まさか見えていないわけではないだろう。
「それじゃあだめなの」
「どうしてだよ? 別にどれだって大して変わらないだろ? いい加減にしないと本当に暗くなるしさ。帰ろう」

 ――緩やかに,しかし確実に進んでいったズレ。その瞬間に,ネジは外れて落ちていった。ついに歪みが表面化した。

「……変わるわよ!」
 突如として麗奈は声を荒げた。傍目にも怒っているのは明白だった。
「いい? メロンパンってあの網目があるからメロンなのよ! 果汁入りなんてナンセンス! そんなものメロンパンとは呼べないわ!」
「……何だよ。そんなことか」
 僕は思わず笑い出してしまいそうになった。笑いをこらえて口にしたその言葉。それに麗奈は過敏ともとれるほどに反応した。
「そんなこと!? えぇ,確かに恭一にすればそんなことなんでしょ。けどね,私にとっては大事なの! ポリシーなのよ!」
 その怒り烈火のごとく。その怒り鬼神のごとく。それは気圧されるくらいに気迫に満ちていた。
 穏やかにことを済まそうと思っていた。けれど気がつけば僕も声を荒げていた。
「そんなこと……そんなこと分かるわけないだろう!? 何だよ,それ!? それならそうと初めに言ってくれればよかっただろ!?」
「最初に,『分かった』って言ったじゃない! 言わなくても分かってると思ってたわよ!」
「「……」」
 一転して互いに無言。視線のみがぶつかり合う。

 ――それから数瞬。
「ねぇ?どこかでゆっくり話し合いましょう」
「それがいい。喫茶店にでも入ろうか」

 そうして今,僕らはここにいる……。――(続く)
(4)へ

とある雑談から生まれた企画(2)

2004-06-17 12:16:05 | 『テーマ小説』
「じゃあ,暗くなっても困るしそろそろ帰ろうか」
 僕は時計を確認して言った。

 免許を取ってまだ日の浅い僕は,夜道の運転には慣れていない。ましてやこの時期。路面の凍結なんかになった日には,とてもじゃないが運転したくない。それでも一人ならまだいい。麗奈が一緒の今日,事故なんて起こしたらどうなることか……。
 そう思うと,早いところ引き上げたかった。

「うん,そうね。帰りましょ」
 ほっと一息。胸をなで下ろしたのも束の間。
「あっ!」
 そう声を上げると,タタタタッと無数に並ぶ棚の一つの陰へと消える。
「お,おい!? どうしたんだよ,突然!?」
 僕も慌てて麗奈の後を追った。

 麗奈のいた棚は菓子パンが並べられた一角だった。
「ちょっと待ってて」
 僕にそういうと,麗奈は菓子パンの間を歩きまわる。
 何やら長くなりそうな気がして,僕は声をかけた。
「何,探してるんだ? 僕も手伝うよ」
「えっとね,メロンパンなんだけど……」
「分かった」
 それを聞いて僕も棚を見まわす。

「――おっ! これなんてどう?」
 たくさんの菓子パンの中から僕は一つの袋をつまみ上げる。
「えっと……新発売! ありそうでなかったコラボレーション!! 『メロンあんパン』。だってさ」

 ――ふと顔を上げると麗奈が僕のことを,何か奇妙なものでも見るようにしていた。そして一言,
「……それのどこがメロンパンなの?」
「――そ,そうだよな。新しければいいってものじゃないな」
 僕は慌てて取り繕おうとした。変に焦っている自分がいた。

 思えばこの時,既にネジは外れかかっていたんだ。僕はそれに気づかなかった。
 たった一本のネジ。ほんの少しの歪み。
 人と人との関係ってものがあまりにも不安定で,不明瞭で,不確定で。ささいなずれでも致命傷になりかねないということを知っていたというのに――。
 鈍感な僕らは,緩んだネジを締め直すことができなかった……。――(続く)
(3)へ

新規企画『テーマ小説』

2004-06-17 03:22:59 | 企画告知
 とある雑談で,砂蜥蜴さんから提案されたこの企画。やってみるとなかなかに面白かったので,今後新たな企画として発足することにしてみたよん♪
 ちなみに「とある雑談から生まれた企画」は,その第一回のテーマで書いたもの。今後続きアップしていくよん♪
 『テーマ小説』(私的命名だけどいいよね?)概要は1.参加者がそれぞれテーマを一つ出す。2.そのテーマを全て使って書く。形式は自由。それだけだよん♪簡単でしょ?
 第一回のテーマは下の記事を見てもらえると分かるよん♪ちなみに第二回のテーマは『初めての○○○だったのに,サボテン,プライド,妹』だよん♪ちなみに,○○○には何を入れてもOK。
 是非そこのアナタも書いてみませんか~?
 以上新規企画の告知でしたぁ。

とある雑談から生まれた企画

2004-06-17 01:48:54 | 『テーマ小説』
テーマ 「ネジ,メロンパン,天空より現れ天空の彼方に消える,喰う」

「――ねぇ,私たち初めからどこかずれてたのよ」
「――あぁ,そうかもね」

 その言葉は僕の本音だったのだろうか?

 駅前のとある喫茶店。窓際の一角で僕たちは話しこんでいた。

(どうしてこんな話になったんだろう?)

 僕は思った。 きっかけは30分ほど前。ショッピングセンターで買い物を楽しんでいた時のこと。
 ――それはネジが一本抜けてしまっただけのような,ほんのささいなずれだった。けど,繊細な僕らにとっては,あまりにも大きすぎるものだった……。

 <三十分前>
「――そろそろいいんじゃないか?」
「――ん? そうね。これだけあれば十分かな?」

 夕暮れ時のショッピングセンター。その喧騒の中に僕たちはいた。

 僕と麗奈が,こうして同じ時を重ねるようになって半年が過ぎた。僕は麗奈のことが好きだし,麗奈のほうも僕のことをまんざらでもない,くらいには想ってくれていると思う。この半年で親密になってきていると思う。
 僕は麗奈を旅行に誘った。ちょうど大学も冬期休暇に入る。――この旅行でちゃんと告白しようと思った。
 麗奈は快くOKしてくれた。

 ――そうして僕らは,その旅行のための買い出しにやってきていたのだった。――(続く)(2)へ