何となく奈伽塚ミント・純情派

不覚にも連続更新ストップ。
少々夏バテ気味だったし
定期更新に切り替えかも?

そんなこんなで奈伽塚ミント

チャットルーム♪

2004-06-18 11:43:39 | 企画告知
 何となくチャットルームを作ってみたよん♪コメント合戦は面倒だからね。こっちの方が見るのにも楽だよね?と,いうことでよければ来てねん♪私がいないこともあるのであしからず。ちなみに未来投稿でトップに上げておくよん♪別に雑談でも何でもいいので,暇な人向けかもね。
ということでチャットルームへ行ってみようかな?

とある雑談から生まれた企画(4)

2004-06-18 10:58:13 | 『テーマ小説』
 <今>
「――もともと考え方が違ってたんだわ,きっと。今までこういうことがなかった方が偶然だったのね」

 麗奈の声が耳に届き,思考から現実へと引き戻された。ずいぶん長く思考していたようだが,実際には会話と会話の間。その一瞬にすぎなかったのだろう。
 麗奈は僕の返事を待っているように見えた。半ば冷めてしまっているだろう紅茶に口をつけながら,こちらの様子をうかがっている。

「――そう……だな」
 どれくらい時が流れたのだろうか? 一瞬だったのか,それとも永遠だったのか? とにかく僕が口にしたのは,そんな一言だった。

 ――それは気のせいだったろうか? 僕には麗奈が,その言葉でひどく傷ついたように見えた。

「そうよ。だからこれは出会った時から決まっていた運命。仕方のない結論よ。……別れましょう」
 一瞬の後。麗奈は笑ってそう言った。
 半ば予測していたものだったからだろうか? 僕は妙に落ち着いていられて。

 だから,それに気づいてしまった。麗奈の笑顔がどこか悲しさを秘めていることに。――そう。それはまるで,涙をこらえて無理に笑っているようだった……。

「――ううん,違うわ。別に私たち付き合っていたわけじゃないものね。別れるもなにも,もともとただの同級生。……そう。ただ少し他よりも親しかった。ただそれだけ」

 麗奈の言葉には自嘲の色が含まれているようだった。

「大分時間喰っちゃったわね」
 窓の外はいつの間にか,漆黒の闇に包まれていた。
「買ったものは全部持って帰っていいわ。恭一が全部払ったんだし。代わりにここのお金は私が払っておくから」
 そう言うと麗奈はおもむろに席を立った。
「帰るのか? 家まで送るよ」
「別にいいわ。歩いて帰れるから」
「そう……か」
 それきり顔を背けると,会計へと向かっていく。
 ――と,何か思い出したかのように立ち止まると決して振り返ることはなく一言。
「……また来年,キャンパスで会いましょう」
「あぁ」
 僕はその後ろ姿に気の利いた言葉をかけることさえできなかった。

 それきり麗奈は何も言わなかった。そのまま会計を済まし,この場から去っていった。
 僕はただ,その姿を見つめるだけだった。
「――ありがとうございました」
 店員のいやに明るい声が響く。

 そんな中,扉から出る最後の瞬間。微かに見えた麗奈の横顔は,なんだか泣いているようだった……。――(続く)
(5)へ

『短期連載小説』始めました!(2)

2004-06-18 02:24:26 | 『短期連載小説』
    「Dear My Hero」
              (第ニ回)

 その日私は,彼を待っていた。
 自分から行動する勇気は持てなかったけど,彼を待つことぐらいならできた。
「おはよう,瀬戸さん。……あれ。今日は本読んでないんだね」
「……おはよう」
 私が初めて彼に言った言葉は,とても小さくて,平凡で,ほんの些細なものだったけれど,
「うん,おはよう」
 彼は笑って答えてくれた。

 それから私は少しずつ彼と話をするようになった。
 ……と,いっても今までロクに人付き合いもしてこなかった私。何を話せばいいのか――なんてことすら分からなくて,それは本当に少しずつだった。だけど自分でも何かが変わってきていると思い始めていた。

 彼と過ごす時間が増えていくにつれて,私は一生懸命に物事に取り組むようになっていった。
 クラスメートとも話をするようになっていって――
 気がつけば私は,クラスに溶け込めていた。

 あまりにも長いと思えていた中学校生活も,彼やみんなと過ごすならあっという間に過ぎてしまうのかな。
 そんなことすら思えるようになっていた。
 全部彼のおかげ。彼がいたから。
             彼は私のヒーローだった。

 “ありがとう”そう伝えたかった。
 だけど,気がつけばヒーローはどこにもいなかった。
 私の前から彼は消えた……。

 私は彼を探した。
 クラスメートに,先生に,手当たり次第に彼のことを訊いた。
 ……誰も“長野 遼”という人物を知らなかった。

 私はまた,以前のような冷たい人間に戻っていった。
 そして,進級した。

 そこで私は,また長野君と出会った。
 彼は,また私を変えてくれた。
 ――きっと彼は魔法使いなんだ。
 そんなことを本気で思ってしまうぐらいに彼は不思議だった。

 だけど魔法はとけてしまった。
 彼は一年前と同じように,誰の中からも消えた。私以外の……。

 私は三年生になった。
 ヒーローは,魔法使いは帰ってきた。
 私は三度,長野君に巡り合った。

 私は,また変わっていくにつれて,長野君がまた消えてしまうと思った。そして今度は,もう会えないとそんな確信めいた気持ちがあった。
 だから私は彼に言った。
「ねぇ,もう消えたりしないで。私と一緒に卒業して」
 彼は寂しげな笑みを浮かべた。それはなんだか,いつもの彼とは違って儚げで今にも消えてしまいそうだった。
「分かった。一緒に卒業しよう」
 でも彼はそう言った。そう言ってくれた。

 それからの一年は本当にあっという間だった。
 卒業が一日,一日と近づいてきて――私には何となく分かっていた。彼との別れも一日,一日近づいていることが。――(続く)
(3)へ

ダメだろ~的な近況報告

2004-06-18 01:31:46 | 雑記
 前の雑記で「明日公開しますので」と公言していた『連載シナリオ』現在停滞前線なのです。――ダメですね,ちゃんと約束は守ろうね,私!近日中には公開できるはずですので……。どうか暖か~い目で見てくれると幸いです。
 で,現在は『テーマ小説』第一回分完成に向けてラストスパートってなとこなんだよん♪ 早くしないとね~,みなさんはもう第二回のアップしてるからねぇ。
 で,報告ですけど,第一回,第二回の反省+第三回の計画を私の第一回分全てがアップされたら行いたいな~,と考えてます。とりあえず予定です,はい。正式に決まったら,また報告します。とりあえず私のところのコメント欄でやればいいかぁ,って思ってるんですけどどうです? 時間とかも希望あればコメントしてねん♪ 私的には夜12時前後だと助かるんですね。まあ,とりあえずコメント待ってるよん♪
 さて,そろそろ『テーマ小説』仕上げるかな。他に『連載シナリオ』,二瓶さんのとこのやつ,その他にあと2つ,3つ書かないといけないのがあるんだよん♪ よん♪って言ってられる場合じゃないんだよね,実際。ということで,頑張れ私。

とある雑談から生まれた企画(3)

2004-06-18 00:40:33 | 『テーマ小説』
「じゃあ……。これ,これ。これにしなよ。うん。これがいいって」

 僕は『メロンあんパン』を棚に戻すと,再びパンの山に目を走らせた。そしてすぐにまた,一つの袋を選び出した。――不自然なまでに明るさを前面に押し出して。
 とにかく早く,穏やかでなくなりかけた空気を元に戻したかった。

「……ねぇ。私はメロンパンを探してるんだけど?」
 僕が手にした袋を一瞥。麗奈は怪訝そうな表情になる。
「何,言ってるんだよ? ――ほら,ここにちゃんとメロンパンって書いてあるだろ?」
 確かにこの袋には『メロン果汁入りメロンパン』と印されている。まさか見えていないわけではないだろう。
「それじゃあだめなの」
「どうしてだよ? 別にどれだって大して変わらないだろ? いい加減にしないと本当に暗くなるしさ。帰ろう」

 ――緩やかに,しかし確実に進んでいったズレ。その瞬間に,ネジは外れて落ちていった。ついに歪みが表面化した。

「……変わるわよ!」
 突如として麗奈は声を荒げた。傍目にも怒っているのは明白だった。
「いい? メロンパンってあの網目があるからメロンなのよ! 果汁入りなんてナンセンス! そんなものメロンパンとは呼べないわ!」
「……何だよ。そんなことか」
 僕は思わず笑い出してしまいそうになった。笑いをこらえて口にしたその言葉。それに麗奈は過敏ともとれるほどに反応した。
「そんなこと!? えぇ,確かに恭一にすればそんなことなんでしょ。けどね,私にとっては大事なの! ポリシーなのよ!」
 その怒り烈火のごとく。その怒り鬼神のごとく。それは気圧されるくらいに気迫に満ちていた。
 穏やかにことを済まそうと思っていた。けれど気がつけば僕も声を荒げていた。
「そんなこと……そんなこと分かるわけないだろう!? 何だよ,それ!? それならそうと初めに言ってくれればよかっただろ!?」
「最初に,『分かった』って言ったじゃない! 言わなくても分かってると思ってたわよ!」
「「……」」
 一転して互いに無言。視線のみがぶつかり合う。

 ――それから数瞬。
「ねぇ?どこかでゆっくり話し合いましょう」
「それがいい。喫茶店にでも入ろうか」

 そうして今,僕らはここにいる……。――(続く)
(4)へ