何となく奈伽塚ミント・純情派

不覚にも連続更新ストップ。
少々夏バテ気味だったし
定期更新に切り替えかも?

そんなこんなで奈伽塚ミント

私という名のノンフィクションVer.2 第二章 『その日』前触れ~喪失

2004-07-21 04:11:44 | 『私という名のノンフィクション』
 ――その日も,始まりはいつもと変わらずごくごく平凡。私の日常は,まだ日常と感じられるものと
してそこにあった。



 ただその日は朝から強い雨が空から降り注いでいた……。



 思えばそれが警告だったのかもしれない。

 思えばそれは忠告だったのかもしれない。

 ――あぁ,そうだ。きっとそうだ。あれが不吉の前兆だったんだ。これから起こることを私に告げて
くれていたんだ。今ならそれに気づくことができる。

 けれどその日の私は気づけなかった。そんな大切なことを見落としていた……いや,違う。雨が降り
注ぐことに気づいても,それが大切なことだなんて思えなかった。あまりに幸せ過ぎた日常に,日和っ
ていたのかもしれない……。

 ――『~かもしれない』で物を語るのは止めにしよう。今更そんなことをしても意味はない。何が分
かったところで,その日に戻ることなんて叶わぬ夢なのだから……。

 そう,あるのはただ事実だけ。その日の私が気づけなかったというただそれだけ。

 だから――だからそれは起きてしまった。





 彼女はあまりにも唐突に――それこそ嘘だと思えるほどにあっけなく,私の前から消えてしまった…
…。





 ――私はそれが夢や幻だと信じた。信じたかった。一度は信じ切った。しかしそれは,残酷なほどに
現実としてそこにあって――。

 その瞬間になってようやく,私は彼女を喪ったことを知るのだった……。

私という名のノンフィクションVer.2 第一章 回想

2004-07-19 01:14:10 | 『私という名のノンフィクション』
       「好きな人を亡くすことは
              なぜ辛いのだろうか」
     
     片山恭一著 「世界の中心で,愛を叫ぶ」より引用




 ――愛する人を失うということは,何故こんなにも悲しいものなのだろうか……?



 私は――私は彼女が好きだった……。愛していた,と言っても過言ではない――そう思う。私のことを「好きだよ♪」と,そう言ってくれる彼女のことが好きだった。そんな彼女が愛しかった。

 今でもその思いは変わることはなく。褪せることもなく。あの日と変わらぬままに,私の心の中で息づいている。

 彼女といる時間。それは私の日常で。それが私の日常で。だから自然に,一片の疑いすらもなく,その時間がこの先もずっとずっと――それこそ永遠と思えるほどに続いていくのだと,そう思っていた……。

 ――いや,そんなことなど頭のどこにもなかった。そのときの私にとって,そんなことを考える必要もないほどそれはごく普通の事柄だった。

 



 それが決して普通の事柄なんかではなくて,とても特別な,とても大切な,とてもかけがえのないものだということを私は失ってみるまで気づけなかった……。





 ――そうしてあの日。崩壊の時は突然に訪れた……。 

私という名のノンフィクション

2004-07-18 23:56:11 | 『私という名のノンフィクション』
 PC点けてると時間の流れが光速に感じられる。
 
 ミントはキーボードの上に指を走らせながら,ふとそんなことを思った。
 
 ――あまりにも早い時の流れ……。それは時に過ぎ去りし過去の記憶を甦らせる……。
 
 ――決して消えない記憶。
 
 ――決して消せない記憶。
 
 ――そして……そして決して消したくはない大切な思い出の欠片……。
 
 あぁ,今もこうして思い出す。あの日の記憶。あの日の思い出。過ぎ去りし時間は取り戻せないが故に,私の心に強く語りかけてくる……。

 もし,あの日が。失ったものが取り返せるというのならば,私は全てを投げ打っても構わない。

 ――例えば信頼。

 ――例えば才能。

 ――例えば……そう例えばこの命までも……。

 そう,一夜限りの夢でいい。そのまま覚めない夢の中で,永遠にあの日のままでいられたら――それはどんなに素晴らしいことだろう。

 未来はいらない。今さえも捨ててしまって構わない。私の瞳は,今もただあの日だけを見つめている。

 私にとってこの世界なんて仮初。私の世界はあの日という時間――そこに全てが収束される。

 



 ――何故だろう?

 ――何故こんなにも世界というものは残酷なのだろう……。