何となく奈伽塚ミント・純情派

不覚にも連続更新ストップ。
少々夏バテ気味だったし
定期更新に切り替えかも?

そんなこんなで奈伽塚ミント

「大切なウタ」

2006-06-30 21:37:57 | 詩のような物
 歌を歌おう
 他の全てに届かなくとも
 隅っこで隠れんぼする
 君にだけ伝える歌を。

 詩を詠おう
 他の全てに笑い飛ばされるとも
 端っこで震えてる
 君にだけ伝わる詩を。

 君を謳おう
 他の全てが否定しようとも
 私に意味をくれた
 私の大切な君を謳おう。

 声が枯れるまで歌を歌うよ。
 声が枯れても詩を詠うよ。
 どんなときも君を謳うよ。

 沢山の絶望と
 沢山の恐怖で
 枯れるほど涙を流しても
 私は絶えず君を謳うよ。

 だからほら手を出して
 私の手を握ってよ。
 お互い小さな手だけれど
 重ね合わせれば強くなるから。

 共に歌おう枯れない歌を。
 共に詠おう消えない詩を。
 共に謳おう二人の意志を。

 ウタヲウタオウ
 誰もが思わず聴き惚れるような
 ここにしかない
 私たちのウタヲウタオウ。

「アタリマエ」

2006-06-29 22:10:40 | 詩のような物
 太陽は東から昇るとか
 一日は二十四時間とか
 地球は丸いとか
 世界はいつもアタリマエでできている。

 それは定まった枠組みで
 壊せない固い鉄檻で
 千切れない頑強な鎖で
 私をがんじがらめにしようとする。

 一般論は嫌いです。
 固定観念は嫌いです。
 強気で言ってはみるけれど
 打ち破れないよ常識の壁。

 非現実に憧れたり
 非日常を待ち望んだり
 そういうつもりはさらさらない。

 アタリマエのこの世界には
 それなりの平和があって
 それなりの自由があって
 それなりの幸せがある。

 そこに大きな不満はない。
 だけれど時々少しだけ
 刺激の風を待ちたくなる。

 たまには北から太陽が昇ってもいいじゃない?
 たまには一日二十五時間でもいいじゃない?
 たまには地動説が現実化してもいじゃない?
 アタリマエに定休日があってもいいじゃない?

 アタリマエに青い空
 アタリマエに白い雲
 流れていくのを見つめながら
 アタリマエに生きる私の
 戯れ言戯れ事暇つぶし。

「最終電車」

2006-06-28 12:38:23 | 詩のような物
 真実不可能なことなど存在しないと
 私にそう教えたのは誰だったろう。
 純粋に信じていた
 糧として素直に生きてきたつもりだった。

 その言葉が偽善で詭弁で仮初めの嘘だと
 私がそう気づいたのはいつだったろう。
 純粋に信じすぎた
 砕け散ったものはそう簡単に直せなかった。

 光の全てを捕食せんと闇が襲い
 逃げ惑えば惑うほど
 楽しむように蹂躙していく黒い影。

 狂った羅針盤はもうどこも示してくれず
 荒れ狂う大海のど真ん中で
 船は見る間に蝕まれていく。

 私の力じゃ出来ないことは多すぎて
 今や徐々に出来ることまで出来なくなって
 物語は急速に結末へとページを繰る。

 どこから間違っていたのだろう。
 思い返して思い出せず
 あるのはただ色褪せた記録だけ。

 明日への定期券は期限切れらしく
 もう空席には座れない。
 私を置いて旅立っていく人々に
 精一杯の作り笑顔で手を振った。

 静まりかえったホームに残され
 思い立って線路へと飛び降りてみた。
 立っていることにさえ疲れてきて
 ばたりと仰向けに倒れ込んだ。

 星一つ無い夜空を見つめ
 無気力を体中に溜め込んで
 全身の力を抜く。
 遠くからがたがたと空気振るわす音を聞いた。

「ドッペル」

2006-06-27 20:52:51 | 詩のような物
 両手を目一杯広げてみても
 抱える量には限度がある。
 どれだけ力を込めたって
 抱える量には限度がある。

 何かを拾えばその分何かが落っこちて
 手にした分だけ失って
 また手にしては失って。

 全てを拾ってあげたくたって
 それは土台無理な話さ叶わぬ理想。
 だから選んで切って捨てて
 痛みを殺して置いてきた。

 ゴメンねゴメンね
 忘れるつもりはないけれど
 君のこと忘れるよ。

 振り返ったら壊れそうで
 追いかけてしまいそうで
 それがどうしようもなく怖くて。

 固く心に鍵を掛けて先に進むよ。
 本当は今すぐにだって
 君のところまで駆け戻ってあげたいけれど
 それじゃあダメなんだ。

 君と二人きりで居られたら
 どんなに素適なんだろうと
 思い浮かべてみるけれど
 そうしてしまっちゃダメなんだ。

 ゴメンねゴメンね
 忘れるつもりはないけれど
 君のこと忘れるよ。
 サヨナラ大切な人
 サヨナラもう一人のボク。

「白の画板」

2006-06-26 20:07:45 | 詩のような物
 真っ白な画板に何を描こうか。
 右手に夢色の筆を握りしめ
 左手には可能性のパレットを。

 そこには自由があって
 そこには希望があって
 どこへでもどこまでも
 飛んでいける気にさせる。

 塗り散らすべきは自分色。
 誰かの色を借りてみるのも
 時には悪くないけれど
 染まりきっては芸がない。

 一枚しかない絵を描こう。
 他の誰にも真似できない
 他の誰にも真似されない
 世界に一枚だけの絵を描こう。

 画板は待っている。
 君が色を筆に乗せて
 真っさらな空間に新しい宇宙を
 未知の大地を
 創造するのを待っている。

 焦ることはない
 悩むこともない
 失敗さえもない。

 時計の針に騙されなければ
 素直な瞳で見つめていれば
 信念の槍をくくっていれば
 いつか必ず筆は思うがまま走る。

 だから忘れないことだ。
 筆を強く握ることを
 パレットに色が溢れていることを
 画板はいつだって君を
 君だけを待っていることを。

「その日まで」

2006-06-25 16:16:44 | 詩のような物
 咲き誇る素適な花々たちも
 やがては散ってしまうように
 生まれ出でた私も
 やがては儚く散り行くのだろう。

 夜空を彩る輝く星々も
 やがては無に帰るように
 生まれ出でた私も
 やがては零へと帰り行くのだろう。

 そこに永遠は存在せず
 終わりと始まりの絡み合う鎖が
 どっしりと其の身を横たえている。

 限りある時間限りある命。
 永遠は確かに求めたくなるけれど
 終わりあるからこそ精魂尽きるまで
 全力を尽くせるんじゃないのかな?

 やがて散り行く定めなら
 多くの視線を集めるように
 精一杯咲き誇ろう。

 やがて無に帰す定めなら
 多くの光を残せるように
 精一杯輝こう。

 身は散れども
 咲き誇った記録は残る。
 身が消えども
 輝き放てば記憶に残る。

 終わりと始まりの鎖の中に
 自分の欠片を刻み込もうと
 燃やし続けてみようと思う。
 蝋が溶け消えるまで
 精一杯に命の炎を。

「空模様」

2006-06-24 21:05:36 | 詩のような物
 ある日の夕方
 綺麗な綺麗な橙色が
 あまりに突然泣き出した。

 初めはぽつぽつ
 続いてざぁざぁ。
 降り注ぐ大粒の雫
 あっという間に染まってく
 涙の香りに埋まってく。

 大変大変どうしよう。
 何がそんなに悲しいの?
 どこか痛いの大丈夫?

 いくら訊いても返事はなくて
 救急箱は出してみたけど
 どうしたらいいか分からない。

 だんだん私も悲しくなって
 次第にぽつぽつ
 やがてはざぁざぁ。
 歪んだ視界で見上げてみれば
 滲んだ橙止まない涙。

 いつしか疲れてこくりこくり
 泣き顔の誰かがそこでしゃがんでた。
 怪我をしてるの? 待っててね
 そっと包帯巻いたげた。

 その子はにっこりほほえんで
 お礼を残して行っちゃった。
 仕事があるのと行っちゃった。

 はっと気づけば薄闇で
 見上げてみたらきらり輝く
 光の洪水星の海。

 涙が止まって良かったよ。
 今日もお仕事ご苦労様
 寂しくなったら遊びに来てね?

 一筋零れた流れ星
 それはきっとあの子のお礼。
 「ありがとう」が聞こえたみたい。

「シャドウ」

2006-06-23 20:17:48 | 詩のような物
 振り返ればいつも
 誰かが私を見ていると
 そんな気がして。

 全てを見透かされている。
 後ろの影に怯えて
 いつも自信が持てなくて。

 困難から逃げ出して
 努力を投げ出して
 隅っこで丸まって
 小さく小さくうずくまる。

 何もかもが侮蔑と嘲笑に聞こえて
 何も聞きたくないと耳をふさぐ。
 誰も彼もが敵に見えて
 誰も見たくないと目を閉じる。

 居場所がきっと大きすぎた。
 弱くてちっぽけな私には
 手に余る広い荒野。

 皆が自分と戦って
 必死で必死で駆け抜けて
 それでも掴めぬものがあるというのに。
 私が来るには早すぎた。
 夢を見るには遠すぎた。

 帰ろう帰ろう元居た場所へ。
 帰ろう帰ろう全てを置いて。
 帰ろう帰ろう尻尾を巻いて。

 去り際に声が聞こえた気がして。
 振り返ってみた。
 誰の姿もそこにはなく
 影だけが独り笑っていた。

「言霊」

2006-06-22 16:42:16 | 詩のような物
 言葉はナイフ
 鋭い切っ先光る刃。
 私怨を込めて振るうなら
 傷つけいたぶる凶器となる。

 言葉はトリック
 タネを隠して深謀遠慮。
 詐欺師が調理をしたならば
 騙されるだろう毒入り料理。

 言葉は薬物
 効能様々処方箋。
 配合一つ誤れば
 破壊を生み出す危険極まる副作用。

 言葉には力があるし
 言葉には自由がある。
 身近にあって誰もが気軽に使える
 魔法のような言葉たち。

 ただ忘れてはならない。
 どう扱うか委ねられているからこそ
 裏道に外れぬよう誘導していけるのは
 自分たちしかいないということを。

 言葉は傷つけるもの?
 言葉は騙すもの?
 言葉は破壊するもの?
 そうじゃないきっと違う。

 言葉は誰かを救えるよ
 言葉で誰かを救えるよ。
 全てを救うことは出来ないかもしれないけれど
 何かを救える力があるのなら
 使ってみてもいいんじゃないかな。

 底知れぬ言葉の力
 宝の持ち腐れで終わらぬように
 未来への扉を開いていこうよ。
 鍵はもう手中にあるんだからさ。

「恋色雷撃」

2006-06-21 13:23:59 | 詩のような物
 君と私
 ココロ離れてしまわぬように
 強く抱きしめて。

 降り落ちた稲妻
 この想い君にだけ
 注がれる熱い光線。

 ほとばしる輝く雫は
 澄んだ恋色。
 君まで続けとそっと並べる。

 凍える冬を激しい夏で彩って
 一瞬を無限の果てまで引き延ばして
 終わりを感じさせないように閉じこめて
 ココロの温度は加速する。

 私の寂しさも
 私の哀しみも
 私の辛さまでも
 君はすくい上げて癒してくれる。
 君となら癒していける。

 私の喜びを
 私の幸せを
 私の笑顔も全て
 君は自分のことのように受け止めてくれる。
 君となら共有していける。

 私を私以上に分かってくれている気がする
 そんな君だから
 私のココロは日記帳を埋めるたびに高鳴るの。

 明日のページはどんな色
 夢見て踊り出すココロ。
 願いは恋色
 尽きない想い愛のプラズマ。

「スケッチ」

2006-06-20 16:33:00 | 詩のような物
 秒針が旋律を奏で
 短針と長針がリズムを刻む。
 移り変わる季節の中で
 不変の静かな交響曲。

 大気は時に激しく時に穏やかに
 ステップを重ねていく。
 草木がそよぎ花が舞う。
 太陽と月が代わる代わる彩るダンスホール。

 流麗華麗なハーモニー。
 思わず耳が傾く調べ。
 惜しむらくは随所に混じる
 誰が鳴らすか不協和音。

 例えば其れは破壊の音。
 例えば其れは紛争の音。
 例えば其れはエゴの音。

 自然の優しき調和を知ることもなく
 おごりたかぶりのさばって
 全てを手にせんとするが如く
 片っ端から奪い尽くしていく。

 美徳を忘れ
 協調を無くし
 尊厳を見失い
 何処へ往くとも知れぬ暴走機関車。

 強さをはき違えてはいけないよ。
 弱きを挫き切り捨てていくならば
 真実は現れないはずだから。

 落とし物を拾うのに
 きっとまだ遅くはない。
 本当に手遅れと診断されるその前に
 もう一度周囲に目を向けてみてよ。
 気づけずにいた景色を映し出せるように。

「リスク」

2006-06-19 20:54:57 | 詩のような物
 自意識と他意識の境界線
 細い蜘蛛の糸を渡り歩く。
 自我と世界を繋ぐ手掛かりを
 逃さぬよう慎重に辿っていく。

 無個性を恐怖の対象に
 閉じられた枠組みから漏れないように
 安全装置を強く握りしめる。

 誰も気づきやしない。
 外れることを拒みすぎた没個性
 安全装置は甘く誘う危険な罠。

 流行り廃りに右往左往
 好意悪意に四苦八苦
 羅針盤は同じ方を指し続ける。

 存在主張を求める一方
 飛び抜けすぎると潰される。
 奇妙奇天烈物語。
 それが世界の仕組みかい?

 掌で転がされるだけで
 意中に従うままで
 何かの影を追い求めるだけで
 充実は湧いてこないでしょう。

 危険を冒さず掴もうなどと
 さすがにそれは
 虫がよすぎやしないかい?

 掌からは転げ落ちて
 思惑に背を向けて
 影を追い越して
 ぎりぎりの死線へと身を投じてみなよ。

 全てを投げ出す覚悟で
 戦場に飛び出した勇者の前に
 新世界が口を開けて待っている。

「つまるところは壱と零」

2006-06-18 20:26:12 | 詩のような物
 富と貧。
 善と悪。
 優と劣。

 ラインを引いて二分化区別。
 相対的に評価して
 勝った負けたの一喜一憂。

 真実の姿はもっと
 違うものだと思わない?
 簡単に選別できる基準など無い
 本当はそう思っていない?

 それでも止まらぬ世の流れ。
 誰かと比べていなくては
 何かと比べていなくては
 保てぬ形脆弱稀薄。

 虐げられる苦しみに
 嘲笑われる哀しみに
 気づきもしないで偉ぶって
 上のものには尾を振って
 媚びて服従くだらない。

 自分らしさを全面に
 押し出してぶつかってごらん。
 本能を剥き出しに
 個性を据えて立ち向かってごらん。
 光は必ずどこかから
 瞳を照らしに射し込むから。

 さよならチープな二元論。
 今までお勤めご苦労様。
 しばしゆっくりお休みよ。
 人が人である限り
 きっとまた君の出番が来るんだから。

「刻々と積まれる時間の中で」

2006-06-17 20:31:00 | 詩のような物
 理不尽さの山に埋もれて
 必死で抜け出そうと頂点に向かって
 悶え苦しむ醜き地獄絵図。

 勝利宣言の裏側に敗者の屍があることを
 頂点に登り詰める過程に多くの礎があることを
 知り悟った上で行動しているのかい。
 そうでなければ報われない。
 散り行く存在が報われない。

 争いの果てに何を見つけるのだろう。
 痛みと犠牲を乗り越えて手にするものに
 いったいどれだけの価値を見出せるのだろう。

 分からない分からない。
 分かりたくないそんなこと。
 仲良く手を取り合って平和主義でいいじゃない。

 所詮偽善者だとしても。
 理解しようとしていない
 それだけのことだとしても。
 言葉に自由がある限り
 声高らかに叫び続けてもいいでしょう。

 現状維持は懲り懲りだから
 改革を恐れないで変動を拒まないで
 新たな風を両手広げて受け止めて。

 過去を改めることなど出来ないから
 過ちを認めて今を創っていくより無い。
 先を切り開いていくより無い。
 それが何より過去に報いることだから。

 地獄絵図に救いの路が
 描き刻まれるその時まで
 理不尽の山は積み上げ続けられていく。
 崩し手が何時現れるのか。
 今は未だ誰も知らない。

「喩えるならば要旨不明の学術論文」

2006-06-16 16:44:51 | 詩のような物
 壱と壱を併せて弐になるとか
 三角形の内角の和が壱百八拾度だとか
 世の中そんな数学の如く
 はっきりした答えでは示せない。

 闇鍋のようにごった煮で
 出口無き迷路のように複雑で
 不格好な賽子のように不規則で
 素適すぎるまでに予測不能。

 壱は全てになり得るし
 無限は零と同義である。
 欠けたり満ちたり月のよう
 光と影のコントラスト。

 変化するから楽しめる。
 見えないからこそ追い求める。
 明確さなど絶無皆無と知りながら
 疾走失踪あて無き明日。

 右手は何かをつかめるだろうか。
 左手は何かを拾えるだろうか。
 分からなくても両手を広げ
 分からないから両手を広げ
 自分なりに答えを導く方程式。

 踏み出す一歩怯えて半歩
 思い直して一歩二歩。
 道が無いから描き出す。
 未知を探しに歩き出す。

 未来と戯れ何時までも続く鬼ごっこ。
 奇々怪々な世の中を咲き乱れた百鬼夜行。
 剥き出しになった感情の片隅で
 ひっそりと手招く絶望。
 誘いに乗ってどうなるか
 それも未知なる摩訶不思議
 曖昧模糊な混沌現世。