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『オールド・ボーイ』

2005年04月11日 | 映画(あ行)
『オールド・ボーイ』(英題:Oldboy)
監督:パク・チャヌク
出演:チェ・ミンシク,ユ・ジテ,カン・ヘジョン他

『週刊漫画アクション』に連載されていた同名漫画を
『JSA』(2000)のパク・チャヌク監督が映画化。
柳楽優弥がカンヌ史上最年少で男優賞を受賞した昨年、
審査員特別グランプリに輝いたのがこの作品です。
凄すぎる監禁もの。

酒癖の悪いサラリーマン、オ・デスは、泥酔して警察に連行される。
その日はひとり娘の誕生日。
引き取りに来てくれた友人とともに警察を後にすると、
娘に誕生祝いを述べるために電話をかける。
ろれつのまわらない彼から受話器を取り上げた友人が
「今から彼を家まで送る」とオ・デスの妻に告げ、
振り返るとオ・デスが何者かに連れ去られていた。

オ・デスが目覚めたのは、あるビルの一室。
ベッドと机、テレビも備え付けられているが、
閉ざされたこの部屋から出ることはできない。
いったいここはどこなのか。
なぜ自分はこんなところへ連れてこられたのか。
理由もわからないまま、その後15年間、彼は監禁されることになる。

情報源はテレビだけ。
トレーニング番組を見たオ・デスは肉体を鍛え始める。
そして、食事のさいに付いてくる箸を用いて、
厳窟王さながら、壁を掘り始めるのだった。

壁の外に手が届いた日、部屋にガスが注入され、オ・デスは気を失う。
気がついたとき、彼はビルの屋上に解放されていた。
洒落たスーツと靴を着せられて。

街をぶらつき、鮨屋に入ってみたオ・デスだが、
久々に日光を浴びたせいで倒れてしまう。
女板前のミドは彼に興味を感じて連れ帰る。

ミドの手を借り、オ・デスは犯人探しと復讐にすべてを懸けることに。
なぜ15年もの間、監禁したのか、そしてなぜ今、解放したのか。

凄絶。
この作品や、『悪い男』(2001)は生理的に嫌いだと感じる人のほうが
まともな感覚の持ち主だと言えるでしょう。
でも、話にどんどん引き込まれ、おもしろかったと言わざるを得ません。
「人は想像力があるから卑怯になる」という台詞や、
「傷ついた者にとって、復讐はいい薬になる。
 復讐は健康にいい」なんて台詞も突き刺さります。

15年間食べ続けた餃子の味は決して忘れられず、
あのビルに配達されていた餃子がどこの店のものだったのかを突き止めるため、
吐くまで餃子を食べ続ける様子はまた凄絶。

餃子の味以上に、忘れられない一作に。

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