夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『ジャッジ!』

2014年02月05日 | 映画(さ行)
『ジャッジ!』
監督:永井聡
出演:妻夫木聡,北川景子,リリー・フランキー,鈴木京香,豊川悦司,荒川良々,
   玉山鉄二,松本伊代,志賀廣太郎,柄本時生,福本清三,竹中直人他

前述の『黒執事』を観て、みのおキューズモールから車を一旦出庫。
Uターンしてもう一度入庫。
駐車場代がかからない劇場はとてもありがたいですが、
ハシゴするときにはこうした出入庫作業が必要となります。

この日の本命はこちらでした。
レイトショーの時間帯ではなく、その前の回を観るつもりだったのですが、
『黒執事』も観る気が起きてしまったので、
翌日の仕事がツライがなと思いつつ、やっぱり観たくて。

大手の広告代理店に勤める太田喜一郎(妻夫木聡)。
クリエイターとしての夢を持ちながら、いまは完璧な落ちこぼれ社員。
同僚の大田ひかり(北川景子)と比べられ、「オオタ」と呼ばれて振り返れば、
「おまえじゃない、出来るほうのオオタだ」と言われる始末。

そんな彼のことだから、会社でもいいように使われてばかり。
キツネの着ぐるみをかぶって出演させられた「きつねうどん」のCMでは、
クライアントの宣伝室長(あがた森魚)がネコ好きだからという理由で
キツネをネコに変えろと指示される。
ありえない要求なのに、上司の大滝一郎(豊川悦司)はそれを断れず、喜一郎に丸投げ。

続いて大滝が受けてきたのは、クソCMと言ってよい「ちくわ」のCMに、
世界一のテレビCMを決定する“サンタモニカ広告祭”でグランプリを取らせろという指示。
ちくわのCMをつくったのは、大事なクライアントの息子なのだ。
大滝は“サンタモニカ広告祭”で審査員を務めることになっており、
このCMにグランプリを取らせることができなければクビだと社長(風間杜夫)から言われる。

クビなんてまっぴらごめんだと考えた大滝は、喜一郎に審査員代行を命じる。
別人が行くなんて無理でしょうと驚く喜一郎に、
「おまえとおれは、カタカナで書けば同じオオタキイチロウ。だからバレない」と。
ちくわのCMの件を知らない喜一郎は、責任を転嫁されてクビ確実とも知らず、
アメリカ・ロサンゼルスへ向かうことに。

英語に自信のない喜一郎は、ひかりに同行してくれるように頼み込む。
また、英会話のことなら鏡さん(リリー・フランキー)に相談せよと大滝から言われ、
いったい何の仕事をしているのだか謎の鏡を訪ねると、
鏡が教えてくれるのは役に立たないと思われることばかり。
不安いっぱいのまま、喜一郎は現地に到着するのだが……。

さて、本作も賛否両論、「こんなの映画じゃない」という酷評も目にしました。
私が思うに、『謝罪の王様』(2013)がOKだった人はこれもOKなんじゃないでしょか。
私はもちろん、そっちもこっちも大好きです。

デコの生え際が気になりはじめたとともに、
映画の出演も減っていた印象のある妻夫木くんですが、
山田洋次監督のお気にいりに入ったと見えて、『東京家族』(2012)以降いい感じ。
本作では生え際はしっかりカバー、母性本能をくすぐる好青年。
彼がクリエイターを目指すきっかけとなった海外のCMをひとりで見るシーンなどは、
その切なげな表情に胸がキューンとなります。

メタボ一直線、もう綺麗な役はできないであろうトヨエツも、
本作ではちゃらんぽらんすぎる上司がハマってサイコー。
妻夫木くんとの掛け合いは漫才のようでワラかしてくれます。

自社が制作したCMに賞を取らせるために画策する審査員たち。
買収合戦の模様はどこまでが真実に即しているのか不明ですが、さもありなん。
裏事情を見せてもらっているようで、ヒドい面白さ。

正しいことをしたくても、組織の中にいればそうも行かない。
それでも自分の信念を曲げず、クビを覚悟で初志貫徹する喜一郎。
綺麗事かもしれませんが、映画なんだもん、そのほうがイイ。

「経理のおばさん」呼ばわりされる松本伊代、
なんぼ美人でも北川景子と並べば年齢は隠せない鈴木京香などなど、
女性には目に辛い箇所も多々ありますが、ここは素直に年を認めましょう。

エンディングのリリー・フランキーもバッチリ。
サカナクションの“アイデンティティ”もハマっています。
私にはこのうえなく楽しい1本でした。

『地獄でなぜ悪い』(2013)の「全力歯ぎしりレッツゴー」の次に
頭から離れなくなったのは「コンコン、コンコンコン、コシ♪コシ♪コシ♪」。

逆風も、振り返れば、追い風になる。

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