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『アンコール!!』

2013年07月25日 | 映画(あ行)
『アンコール!!』(原題:Song for Marion)
監督:ポール・アンドリュー・ウィリアムズ
出演:テレンス・スタンプ,ヴァネッサ・レッドグレーヴ,ジェマ・アータートン,
   クリストファー・エクルストン,アン・リード,ジャメイン・ハンター他

休みを取って、高校時代の友人とのランチ前にTOHOシネマズ梅田にて。

平日の初回、私がいちばん若いんじゃないかと思うほど客の年齢層高し。
毎度思うことですが、この年齢層はやはり共感能力が豊かで、
笑い声も涙もごくごく素直に出るようです。
しかもこの日の客は『インポッシブル』のときのように
「泣きすぎやろ!」とツッコミたくなるほどでもなくて、
隣席の他人につられて普段以上に泣いてしまった箇所もいっぱい。
おかげで腫れぼったいまぶたのままランチに向かうはめになりました。

ロンドンに暮らす気むずかしい老人、アーサー。
対照的に明るく社交的な妻のマリオンを心から愛しているが、
それを口に出して表現することは到底できない。
息子のジェームズに対してもやはり同様で、
まだ幼い孫娘のジェニファーは、そんな祖父と父の関係がちょっぴり心配。

アーサーの介助もあって、普通に暮らすマリオンだが、実は余命わずか。
彼女の楽しみは歌うことで、地元のシニア合唱団“年金ズ”のメンバーだ。
練習場所への送迎はアーサーの役目。
歌の指導に当たるエリザベスやメンバーは、アーサーも加わればいいのにと思うが、
アーサーは建物内に入ることを頑なに拒否、外でマリオンを待ちつづける。

あるとき、“年金ズ”がコンクールに参加することに。
審査員がこちらに出向いて参加希望団体をチェック、それをクリアすれば本選に出場できる。
“年金ズ”は無料コンサートを開催、そこへ審査員を招待する。
地元の住民たちもたくさん訪れて、コンサートは大成功、本選出場が決まるのだが……。

その昔、ナナゲイで観た『私家版』(1996)が懐かしい名優テレンス・スタンプ
『ジュリエットからの手紙』(2010)の粋な婆さま、ヴァネッサ・レッドグレーヴ。
冒頭、「キスして。明日はもう目覚めないかもしれないから」というマリオンの言葉が、
暗さのかけらもない言い方で余計に切なくなります。

音楽教師のエリザベスが“年金ズ”のために選ぶ曲は、ポップス、ロック、ヒップホップ。
彼女が「もっとモーターヘッドに」などという台詞も笑えます。
マリオンが歌うシンディ・ローパーの“トゥルー・カラーズ”は心に染み、
原題の“Song for Marion”どおり、アーサーが歌う曲にはボロ泣き。
人の胸を打つ歌ってこういうことなんだぁとジワ~ン。
『言の葉の庭』といい、本作といい、返歌にやられました。

アメリカではエンディング曲と同じ、“Unfinishd Song”というタイトルで公開。
人生はいつも、未完成の歌。まだまだこれから。

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