夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『パピヨンの贈り物』

2004年12月02日 | 映画(は行)
『パピヨンの贈り物』(原題:Le Papillon)
監督:フィリップ・ミュイル
出演:ミシェル・セロー,クレール・ブアニッシュ,ナドゥ・ディウ他

元時計職人の老人ジュリアンの住むアパートに、
若い母とその娘が引っ越してくる。
25歳の母親は看護師で、夜勤に遊びにと忙しい様子。
8歳の娘エルザはちっともかまってもらえない。

下校時間になっても親が迎えに来ることはない。
家の鍵も持たされていないエルザは、近所のカフェで母親の帰りを待ち続ける。
そんなエルザの姿を見かけたジュリアンは、放っておけずに自分の部屋へ連れ帰る。

ジュリアンの趣味は蝶の蒐集。
美しい標本にエルザは魅入られるが、
禁断の部屋に勝手に立ち入り、ジュリアンの怒りを買う。

ある日、ジュリアンは幻の蝶“イザベル”を探すため、南部の山へ向かうことにする。
留守中の猫の世話を管理人に頼んでいるところを
偶然耳にしたエルザは、ジュリアンの車に忍び込む。
途中で気づいたジュリアンはエルザを追い返そうとするが、どうにも帰ろうとしない。
仕方なく、文句を言わない約束で一緒に山に入る。

アパートではエルザの誘拐騒動に発展。
ジュリアンが容疑者として報道される。
そんなこととは思いもよらず、ジュリアンはエルザを連れてイザベル探しを始める……。

エルザはとても小憎たらしい。
ジュリアンに向かって「子どもの扱いが下手だ」とか
「名前が年寄りくさい」だとか、言いたい放題。
お弁当を開けば、「全部嫌い」。
ジュリアンが食べるセロリのマヨネーズ和えを見て、
「私、それ、大好きなの」。

でも、16歳で自分を産んだ母のことを
「恋愛と妊娠をいっぺんにしちゃったの」と精一杯想う。
彼女の言葉は愛らしい。
「名前は“エリザ”になるはずだったのに、役所がまちがえたの」と淋しそうに語る。
後で“エリザ”は“エリザベス”の略だとジュリアンから聞き、
「何の略でもない“エルザ”でよかった」とニッコリ。
彼女の疑問も愛らしい。
「なぜ“恋に落ちる”って言うの?“恋に上る”でもいいのに」。

同じく幼い女の子が出演するフランス映画、
私の大嫌いな『ポネット』(1996)とはえらいちがい。
子役に罪はないけれど、『ポネット』みたいに
子役で泣かせたい計算見え見えな監督のあざとさを
この作品には感じないのが好きです。

エルザ役のクレール・ブアニッシュは
『千と千尋の神隠し』(2001)のフランス語版で吹替を担当。
聞いてみたいかも。

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