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南英世の 「くろねこ日記」

総取りの世界

 勝負の世界は厳しい。一番強い人が勝って優勝賞金を独り占めする。囲碁、将棋、テニス、ゴルフなど、みなこの総取りの世界である。何億も稼ぐ人がいる一方で、プロといえどもその道一本では食っていけない人が大勢いる。

 絵の世界も同じである。ごく一部の有名作家の作品は高額で取引されるが、大半の画家の作品はほとんど二束三文だ。たとえば、東山魁夷の「残照」という作品(上)は複製でもものによったら100万円以上、本物なら9桁?はする。一方、以前購入した雨晴海岸と立山連峰を描いた生絵は1万円もしなかった。いい絵だとは思うのだが。



 購入する側からすれば10万円は大金である。しかし、作家側からすれば完成までの時間給で考えると安すぎる。とてもじゃないが生計を維持できない。日本画を習い始めてから特にそう思うようになった。ましてや1万円なんて・・・

 先日、ネットオークションで落札した平山郁夫の「日本の道を描く」という作品の複製(中古)が届いた。日本のあちこちの風景の素描画15枚が収められている。売れっ子作家だから定価は高い。ただし、オークションで購入したから実際に払った金額は定価の1割ほどである。総取りの現実に疑問を感じながらも、いい絵はやっぱり欲しくなる。



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