南英世の 「くろねこ日記」

政治の裏側

40年間、政治経済という科目を教えて飯を食ってきた。最近、政治の裏側を知るにつれ、本当に真実を伝えてきたのだろうかという疑問を強く抱くようになった。ロッキード事件にしても真相は闇の中である。アメリカから情報がリークされたというのもいかにも胡散臭い。教科書に書いてあることは、戦前の「大本営発表」と同じなのではないかという気すらしてくる。

かつて田中角栄が首相をしているとき、新聞記者に「君たちの仕事は政府を批判することである。どんどん批判してくれ。ただし私は新聞は読まん。なぜなら、真実を知っているのは私だけだからだ」と語ったといわれる。

そもそも日本はアメリカの何なのか。多くの人はアメリカが日本を守ってくれているように思っている。しかし本当のところは、アメリカが自国の国益を最大化するために、日本を利用しているだけではないのか。実際、アメリカにたてついた政権は短命に終わり、アメリカを喜ばせる政策をとった政権は長く続いている。

かつて、外務省には「対米自主独立派」と「対米追随派」が存在した。しかし、1990年代には対米自主独立派が一掃され、対米追随派一色になってしまった。その結果、「アメリカが喜ぶかどうか」が日本の外交政策の基本になっている。「外交は自分が正しいと思ったことをやるところではなく、力の強い者につくところだ」と外務省では教えているらしい。確かに、日本の政策を見ているとその通りだと思う。湾岸戦争(1991年)以降、自衛隊と米軍の協力関係は進む一方である。

日本でアメリカを批判することはタブーになっている。日本政府だけではない。マスコミも学者もみんな黙っている。イラク戦争でアメリカが大失態を演じた際も誰も批判しなかった。ウクライナ戦争にしても、西側のマスコミはどこまで真実を伝えているのか疑わしい。アメリカを批判するには相当の覚悟が必要である。これまでアメリカに批判的であった多くの政治家や官僚・学者が潰されてきた。

最近、面白い本を読んだ。

この本に書いてあることが本当かどうかは知る由もない。しかし、かなりの説得力があることは確かである。それによると、日本はアメリカ政府というよりアメリカ軍部に支配され、占領中の関係がそのまま維持されているのだという。具体的には日本の官僚(外務・防衛・法務・財務など)と在日米軍幹部による「日米合同委員会」が月に2回程度行われ、そこで多くの密約が交わされるのだそうだ。

第一に、裁判権に関する密約が交わされる。1959年の砂川判決により、米軍に関することは憲法の適用範囲外とされた(この判決の背後にはアメリカの圧力、したがって日本政府の意向があったとされる)。米兵が犯罪を起こしても日本で裁判が行われた例はほとんどない。オスプレイが墜落事故を起こしても、日本の捜査権は及ばない。

 第二に基地に関する密約がある。旧安保条約には「米軍を日本国内およびその周辺に配備する権利を日本は認める」とあり、アメリカは日本中どこにでも自由に基地を作ることができる。実際、北方領土問題が解決できないのも、プーチンが返還後の北方領土にアメリカ軍基地がおかれることを懸念するためであるといわれる。

 現在日本には、沖縄、横田、横須賀、岩国に米軍基地がおかれている。アメリカ軍は日本の上空を優先的に使用する権利を持ち、日本の民間航空機に対して多くの飛行禁止区域を設けている。

例えば、米軍基地が集中する沖縄では、旅客機は那覇空港に着陸する手前30キロメートルから高度を300メートに下げなければならないらしい。本当かどうか、今度沖縄に行くときに確かめてみようと思う。また、レーダーにつかまらない訓練をするために、日本の山間部を超低空飛行をしているのは有名である。

終戦から78年がたった。しかし、日本は政治的にはいまだに半主権国家である。 かつて中曽根首相が日本列島はアメリカの「不沈空母」であると発言し批判された。しかし、その通りになっている。

現在、アメリカの力が衰え、中国の力が大きくなってきている。それだけにアメリカが日本の軍事力に期待するところは大きい。いまのまま日本が「金魚のウンコ」のようにアメリカにくっついていっていいのか。戦争を知らない世代が政治の中心を占めるようになると、自分は戦場に行かないくせに勇ましいこと言いたがる政治家が増えてくる。

ここは慎重に考える必要がある。せっかくアメリカさんが作ってくれた憲法9条があるのだから、憲法9条にしがみついて生きるというのも一つの方法ではないか。しかし、そういう根性のある政治家が今の日本にいるのだろうか。

 

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