日本の農業が危機に瀕している。生産性が低く後継者が育たない。
なぜ、ここまで落ち込んでしまったのか?
理由は、単に日本の農業が大規模経営に向いていなかったというだけではない。政治システムが日本農業の近代化を遅らせてきたという側面がある。
戦後、自民党は農業を手厚く保護をしてきた。だから、農業が盛んな地域はどこも自民党王国になった。日本列島の地図に自民党王国の選挙区を色塗りしてみれば、そのことは一目瞭然である。
農家にとって政府から補助金をもらえることはありがたい。一方、農林族と呼ばれる国会議員も、補助金によって農村票を確保できるならこれも有難い。彼らにとって農業は水田ではなく票田なのだ。
政治家にとって、農業を近代化することは自分の首を絞めることにつながる。なぜなら、近代化によって今まで100人でやっていた農業を一人でやるようになっては、自分が当選できなくなる。だから、農業は非効率のままがいい。近代化しようというインセンティブは政治家には皆無であったといっていい。こうしたこともあって農業の近代化は遅々として進まなかった。
ようやく政府が重い腰を上げたのは、アメリカの外圧が強くなった1990年代に入ってからである。1995年には食糧管理法が廃止され、2009年には農地法が改正され株式会社の参入が可能になった。2018年にはようやく減反政策が廃止された。
さて、この後日本農業はどこへ向かうのか? 少なくとも「技能実習生」などという安上がりの労働力を海外から導入して零細農家の延命を図るという愚策は早急に終わらせる必要がある。