随所随縁

所に随(したが)い、縁に随い、時に随い、想いに随い、書き留めていきたい。

今週のNEWSWEEK誌より~TOYOTA

2005-05-27 21:25:55 | NEWSWEEK日本版



今週のNEWSWEEK(日本版)の表紙は「TOYOTA~『アメリカ化』と『Jファクター』世界ナンバーワンへの最終戦略」でした。トヨタがいよいよGMを抜いて世界一の自動車メーカーを目指すようです。

アメリカの議員がトヨタ車をハンマーで壊すパフォーマンスをしたのが25年前。あれから、トヨタもアメリカ化を進め、北米に11ヶ所の工場を持ち、3万7000人以上を雇用するようになり、アメリカで、「移民2世のようにアメリカに溶け込んだ」と言われるほどになりました。昔はトヨタは「日本株式会社」の代表のように言われ、「アメリカでトヨタ車を買う=アメリカの貿易赤字が増える=アメリカ人の雇用が失われる(アメリカのGNPが減る)」という公式がありましたが、今ではこの公式は成り立たなくなってきているということでしょう。

アメリカ化の一方で、昔からの「トヨタらしさ」も健在のようです。有名になった「カンバン方式(ジャストンタイム方式)」は今でも完璧に実施されているのかどうか、本誌には載っていませんでしたが、これはトヨタがえらい、というよりも、トヨタの要望にきちんと応えている部品メーカーや運送会社のえらさを感じさせます。しかし、世界中のトヨタの工場がモデルとする、豊田市の元町工場では、昨年だけで54万件の改善提案があり、その90%が実行に移されたとのこと。提案する方も、そして実行する方もすごいとしか言いようがありません。この「カイゼン」に対する継続的なこだわり、熱意はどこから来るのか、企業風土なのか、従業員の能力の高さなのか、経営者の強力・持続的な意志によるものなのかわかりませんが、とにかく圧倒されました。「プロジェクトX」などという番組がはやるのは、「プロジェクトX」的な精神が現在では失われつつあるからだと思っていましたが、元町工場ではまだまだ健在のようです。どのような業界でもトップにいる企業の話を聞くと、いつもこのような、派手ではないが、品質を高め、コストを下げるための取り組みを地道に、継続的に続けている話が出てきます。「基本に忠実であること、そしてあり続けること」が経営の王道ということなのでしょう。

もう一つ気になった記事が「成功する組織の法則」なるものです。ブッシュ大統領が、アフリカ系アメリカ人の女性を国務長官に据えた人事が、多様な人材を登用する手本として評価されているようです。多様な人材が集まれば、それぞれのアイディアがぶつかり合い、新しいアイディアが生まれるということで「多様性大=創造性大=組織の成功」という公式が成り立ちます。この記事は、どのような「多様性」が有効なのか、というアメリカの大学の研究結果なのですが、どうやら「民族や人種、性別の多様性」は創造性にはあまり影響しないようです。成功した組織は、「若手とベテランを織り交ぜている」「気心の知れないベテランが複数人いる」という2点の特徴があるとのこと。わかりやすい事例として、1920年代のミュージカルは才能に溢れた人材が多かったが、制作チームがほとんど固定されていたため、75%の作品が失敗作だったようです。日本的な感覚では、気心の知れた仲間が「あうんの呼吸」で進めるのが理想のように感じますが、創造性に関する限り、「あうんの呼吸」ではだめそうです。成功する組織は全て、ハリウッドの映画式(監督は○○で鮮烈デビューしたA、脚本は◆◆でオスカー6部門受賞のB、主演は××でトップスターとなったC・・・のコラボレーション!)になってしまいそうです。この記事について、内容はまことにごもっともなのですが実感としては正しいのかどうか、よくわかりませんでした。