随所随縁

所に随(したが)い、縁に随い、時に随い、想いに随い、書き留めていきたい。

今週のNEWSWEEK誌より~インド(第二弾)

2005-11-24 23:11:10 | NEWSWEEK日本版



今週のNEWSWEEK(日本版)の表紙は「インド(第二弾)~超大国の誇りと野望」でした。先週の第一弾では、インドの経済成長の部分にスポットを当てていましたが、今回は、政治・軍事の部分の特集でした。

インドは、ちょうど中東からの石油の輸送ルートに位置しているため、地理的にも重要な国になっています。隣国のパキスタンとは領土紛争や宗教紛争を抱えていますし、隣国のネパール、スリランカ、バングラディシュは内戦が続いており、それが飛び火しかねない状況です。国内でもヒンドゥー教とイスラム教の宗教戦争が続いており、そして極めつけとして、インドの大国化を牽制したい中国が、「敵の敵は味方」とばかりにパキスタンやミャンマーと協力してインド洋に進出しはじめています。

これだけの問題点を抱えながら、国内と、石油輸送ルートを何とか安定させているのは、大したものです。この安定を支えているのはやはり軍事力なのでしょう。インドの総兵力は132万人で、たぶんこの地域では軍事超大国でもあると思われます。日本もほとんど全ての近隣国と外交問題を抱えていますが、国際紛争(戦争)に発展する可能性という観点で見ると、インドの状況とはレベルが違います。このような状況を見ると、やはり大国=軍事大国=政治大国、という法則は今も昔も変わっていないようで、日本だけが軍事大国でも政治大国でもない大国という、「例外」になるのだろうか、と考えてしまいます。また、このような地理的・政治的な要衝にあたる国は軍事大国にならざるを得ないのかもしれません。

今週号は、この特集以外にも、興味深い記事がいくつかありました。日本でも貧富の差の拡大が言われ始めましたが、インドや中国などの一部の例外を除き、多くの国で、中流層の没落が始まっているようです。また、「富裕国」と「貧困国」との格差も広がりつつあり、「富裕国」の数が減り、「中間の国」が「貧困国」へ転落している、という内容です。「国内での富裕層と貧困層」と「国際間の富裕国と貧困国」がそれぞれ存在するわけですが、これは非常に複雑な問題になりそうです。この記事でも、「国内」と「国際間」をごっちゃにしていて、双方が連動しているのか、個別の問題なのかもわかりにくくなっています。「国際間」の方の「貧困」の原因はやはり「内戦」や「戦争」ですが、「国内」の方は、先に富裕になったエリート層が、他の層にチャンスを与えようとしなかったからだと論じています。エリート層を作ること、そしてエリート層が国全体の所得を上げることは容易ですが、貧困層を中流層に引き上げるのは、なかなか困難なようです。

これに関連して、フランスの暴動についての記事もありました。この暴動は、「キリスト教対イスラム教」の宗教対立が原因ではなく、やはり「失業問題」が真の要因のようです。フランスは手厚い労働者保護制度が有名ですが、この「保護されている人々」にとっては結構だと思いますが、この制度から外れてしまった人々は、どうにもならないようで、これがEUの平均値を上回る失業率、特に若い男性の失業率に結びついています。資本主義社会にも、いろいろなやり方がありますが、「アメリカ式」「フランス式」・・・そして「日本式」、どれが一番優れているのか、そもそも優れている方式があるのかないのか、まだまだ答えが見つからない感じがします。

今週のNEWSWEEK誌より~インド・動き出す巨象経済

2005-11-18 22:59:27 | NEWSWEEK日本版



今週のNEWSWEEK(日本版)の表紙は「インド~動き出す巨象経済」でした。中国の高度成長に目を奪われている間に、インドも驚異的なスピードで台頭しはじめ、2050年には中国、アメリカと並ぶ超大国になる、と言った内容になっています。

中国が人口13億、インドが人口11億で、ともに面積も広く、人口も多い大国、という面ではそっくりですが、中国が、政府の積極的な支援により成長を遂げたのとくらべ、インドは、政府の規制緩和により成長している、という違いがあるようです。人口が多いというのはすごいことで、インドでは、中流階級は、全国民の10%程度だそうですが、それでも1億人以上というすごさです。一億人がテレビやエアコンやパソコンを買い始めたら、ものすごい経済成長になることは間違いありません。経済が成長すると、必ず貧富の差が発生します。今まではこの貧富の差を無くそうとする方向に進む国が多かったようで、全て国営化して全国民を国家公務員にしてしまう方式や、金持ちから税金を取り立てて、貧しい人に回す方式などがありました。どちらの方式も、「貧富の差が生む社会の混乱」を恐れるが故の方策であると思っています。しかし、現在のインド、中国などを見ていると、「貧困層が80%いてもかまわない、20%は中流階級以上になればそれでよい」という考え方のようで、これもある意味で、見切りの良さというか、「貧富の差」を恐れなくなったのでしょう。数億人の中流階級というのは、すごいパワーであり、そのパワーで、残りの80%もなんとかなるのかもしれません。

一昔前までは、資本主義というのは、資本だけではダメで、「資本主義の精神」が根付いていなければ、資本主義社会は成立しないと言われてきました。確かに、ODA等で資金をつぎ込んでも、なかなか、うまくいかない国があります。その原因は、技術、教育、設備の問題ではなく、その社会がもつ「精神的なもの」にあるというわけです。勤勉とか、禁欲とか、経済的な合理性とか、職業的な倫理観といったものが社会に根付いていなければ、資金は賄賂となってしまい、設備は放置され、なかなか社会が豊かにならない、という結果になります。資本主義が発生・発達したのは、キリスト教世界であり、その他の宗教には、そのような「資本主義の精神」に通じる「要素」は少ないと言われています。たまたま、日本には、江戸時代を通して、独自にその「要素」をもつ社会を作り上げており、文明開化により急速に資本主義を発展させることができました。

インド・中国は、ヒンズー教や儒教といった、キリスト教とは全く異なるベースの社会であり、「資本主義」に通じる「要素」はほとんどなさそうに思われます。とくにインドは、「悠久のインド」などといった、働きバチのとは正反対のイメージですが、ここまで発展してきているのは、どういうわけなのだろうか。現代ほどグローバルな社会になると、宗教などにかかわらず、「資本主義の精神」が根付きやすくなっているのか、それとも「資本主義の精神」がなくても資本主義が発展できる環境になってきているのか、などと考えさせられます。

コネタのニュースについて

2005-11-16 23:44:09 | Weblog

最近、コネタのニュースのページを愛読しています。陰惨な事件が多い近頃ですが、このニュース欄を見ていると、ちょっぴり微笑ましい気分になります。

例えば「海外のなんちゃって日本語、日本のなんちゃって英語」なるニュース?では、中国や韓国で見つけた食品のパッケージに、日本語が印刷されているのですが、それが「トマトレヤートケッキー」・・・・・。「ケッキー??」ですが、その上に「Tomato Layer」とあるので、レーヤーケーキのことだとわかるのですが、トマトを挟んだケーキ??と謎は深まるばかりです。もし海外でこの商品を見つけたら絶対に土産に買うだろうと思いますし、案外、その辺をねらってわざと「なんちゃって日本語」を入れているのではないかと疑ってしまいます。

もう一つのコネタは、「昼寝屋 一休」なるお昼寝スポットのニュース。ベッドやリクライニングシートでちょっと寝ることができるお店だそうで、主な顧客は中年サラリーマンだとか。今まで、「人前で寝顔を見せる」ことを恥ずかしがるタイプだったせいか、人前で寝ないよう無理をしてきましたが、やはり教室やオフィスでの昼寝の気持ちよさは何ともいえません。わずか30分机に突っ伏すだけで、どうしてこんなに疲れがとれるのか、不思議です。また客先へ向かう電車にもお世話になりました。昼食後、太陽の光が降り注ぐ車内、しかも座席の暖房の暖かさがお尻に伝わり最高の昼寝タイムとなりました。「昼寝屋 一休」のニュースを読むと、夜に寝る施設はさまざまありますが、昼寝専門の施設があまりないのが残念です。きっと昼寝に最適な寝具、室温、明るさ、BGMそして睡眠時間などがあるはずです。それらの全てを押さえていて、かつコーヒー代くらいの料金で利用できる「昼寝屋」があれば、ぜひ通いつめたいと思っています。

最後に「オトナでも楽しめる「大玉送り」、お値段は?」とのコネタ。そういえば小学校の運動会では「大玉送り」をやった記憶があります。なんか玉に手をふれないうちに自分の上を通り過ぎてしまったような、はかない思い出があります。きっと、全国の小学校の用具置き場にはあの、紅白の大玉があるのでしょう。あれはいくらするのか、ということは考えたこともありませんでした。しかし全国の小学校にあるのだから、マーケットも大きいはず。いまでは、この大玉をレンタルできるようで、1個一泊2日で7000円弱だとか。企業の運動会などで利用されているそうです。しかもレンタルだけでなく、会場設営から運営までやってくれるとのこと。世の中、いろいろなニーズがあるものだと感心しました。

このページは、毎日数本程度のコネタがアップされています。コネタだけに、気軽に読み飛ばせますし、たまにはちょっと考えさせらる記事もあります。

今週のNEWSWEEK誌より~おかしいぞ!牛肉輸入再開

2005-11-11 22:21:14 | NEWSWEEK日本版



今週のNEWSWEEK(日本版)の表紙は「おかしいぞ!牛肉輸入再開~ノーと言えない日本 これで魚や野菜の安全も揺らぐ?」でした。記事のトップには、「リスク評価は困難-食品安全委員会の報告は、なぜかそれとは逆の「ゴーサイン」として報じられた」とあります。いつも感じるのですが、なぜ、専門家の調査結果とは逆の結論が出てしまうのか、理解に苦しみます。どんな調査結果が出ようとも「ゴーサイン」を出すつもりでいたような感じで、これでは、専門家に調査を依頼する意味がなくなってしまいます。日本では、いろいろな分野で「専門家」が軽視されているように思われます。調査した専門調査会の座長は「諮問を受ける前に諮問内容自体の妥当性を検討するべきだった」と反省の弁を述べているそうですが、提供されるデータが質・量ともに不十分な状態であれば、たとえ専門家といえど、このような微妙な問題に明確な答えを出すのは無理で、結論としては「リスク評価は困難」ということになってしまうのかもしれません。BSEが人に感染した場合の潜伏期間は10~20年。これから10年以上、どうなるかわからないまま過ごすというのはかなり不安です。

この特集記事の脇に「禁輸を巡る攻防の裏で高まる「和牛・和豚」人気」なるコラムがありました。近頃のアメリカでは高級和牛の人気が高まっているようです。「コーベビーフ」は高級食材店やレストランの定番となっており、アメリカでも「霜降り肉」の人気が出てきたようです。個人的には、牛肉の脂肪はろうそくのような食感で、霜降り肉はあまり好みではありませんが・・・ただ、日本人が霜降り肉を喜んでいるのは「異端」だと思っていたのですが、アメリカ人も霜降り肉を喜ぶということは、日本人の味覚のセンスもなかなかだと感心しました。「コーベビーフ」の次に来るのが「クロブタ」だそうで、日本の「黒豚ブーム」を見ると、これもアメリカで流行そうな気がします。しかし、「霜降り」にしろ「地鶏」にしろ「黒豚」にしろ、希少価値が高かったころはありがたみがあるのですが、どこもかしこも「○○産地鶏」「○○産黒豚」となると、本当に地鶏なのか、黒豚なのか、心配になってきます。

あと、おもしろかった記事が「バグダッドの恋は命がけ」で、イラクでは、イスラムの宗教勢力の影響で、デートもままならないそうですが、携帯やネットの普及で新たな出会いが可能になっているとのこと。日本も戦争中は、デートなどしていると非難・襲撃されたようですが、そんな中でもやっぱり何とかしてデートする人はいたようで、どこも同じです。イスラム教のイラクでも「バレンタインデー」にはギフトショップにお客が殺到したそうで、これまたいずこも同じ、といった感じです。

保育園の新年度用品企画について

2005-11-07 21:51:04 | 仕事・ひと

この時期になりますと、私の勤める会社でもそろそろ、来年3月の新入園児さんむけの販売企画を話し合う時期になります。最近の保育園・幼稚園の傾向としては、①少子化による園児数の減少(マーケットの縮小) ②保育園・幼稚園の園児服・制服ばなれ(私服への移行) のダブルパンチで悪い状況が続いています、そのため、新しい商品を提案や、新しい顧客の開拓が必要となっています。

新しい商品という面では、いままでもいろいろ努力してきました。園児服が頭打ちということであれば、帽子、遊び着、運動着、かばん、シューズなどを商品ラインアップに加え、園児さんが園生活を送るために必要なアイテムを全て揃えるようにしてきました。園児さんならではの製品もあります。たとえば、「先っぽが危険」という理由で、傘を禁止されている保育園・幼稚園がほとんどですから、当然レインコートを推進しています。しかし、近頃は園児を、車で送り迎えするケースが出てきたため、さすがのレインコートの売り上げも頭打ちとなってきています。そろそろレインコートに替わる雨具を開発する必要がありそうです。

帽子ですが、一昔前は、園児といえば「メトロ帽子」でしたが、近頃は紅白帽子→カラー帽子→UVカットカラー帽子、と流行が変化しています。特に園児は大人に比べ肌が弱く、新陳代謝が活発であることから、UV対策に関心が集まっています。結構、当社にも、UVカットカラー帽子の「紫外線カット率」や「紫外線の予防効果(PFA値)」などの問い合わせが来るようになりました。また、一方で健康ブームもあり、UVカット関連はしばらく流行が続きそうです。UVカット園児服なども考えなくてはならないかもしれません。

鞄も従来は横かけ型が一般的でしたが、こちらもリュック型に移行しつつあります。いまでは塩ビ素材の横かけ鞄などは作っているメーカーも少なくなってきており、やがてなくなってしまいそうです。リュック型は、両手が自由になるので良いのですが、未熟児や年少さんだと、リュックを背負うことが難しいこともあり、まだまだ工夫の余地がありそうです。また、シューズはやはりバレーシューズが一般的です。ただ、ちかごろは、足の骨格が安定していない園児むけに、「外反母趾」を予防するタイプのシューズも取り扱うようになりました。

新しい顧客という面では、「園児が減っているなら、先生(保育士や幼稚園教諭)に売り込もう」という発想になります。先生用のユニフォームやエプロン、防寒着などを推進してきました。保育活動は、一般的な作業とは体の使い方や動き方が異なるため、保育活動にマッチしたユニフォームのデザインや選択が必要になります。普通のスモックやエプロンにジャージのパンツ、というスタイルの園もありますし、チノパン・ジーンズにポロシャツというスタイルの園もあります。20代から50代までの年齢層の先生がいらっしゃいますし、まだこのあたりのマーケットは流動的だといえます。近頃は、園を管轄する自治体の方針で、「エコ素材(ペットボトルリサイクル繊維を使った生地)を使用したユニフォーム」を導入するところが出てきています。

このあたりを考えてみると、月並みですが、「安全」「健康」「エコロジー」あたりがキーワードになりそうです。また、保育活動とデイサービスなどの老人福祉サービスは類似する面が多く、福祉関連施設への売り込みもはじめているので、「福祉」あたりもキーワードとして追加できるかもしれません。とにかく、同じことをやっているだけでは、マーケットの縮小により売り上げも減るばかりとなります。逆に新しい製品や顧客で新たなマーケットを創り出すようにしてかなくてはならないと思っています。


今週のNEWSWEEK誌より~それでも中国企業を信じますか?

2005-11-03 20:55:20 | NEWSWEEK日本版



今週のNEWSWEEK(日本版)の表紙は「財務も経営も不透明 最強企業の虚像と実像~それでも中国企業を信じますか?」でした。中国最強のIT企業と呼ばれる企業のリポートですが、売り上げ・利益とも、文字通りの右肩上がり、日本の高度成長期を思い起こさせるような成長ぶりですが、財務や経営の不透明さもあるようです。たしかに、中国はいわゆる資本主義国ではないので、企業経営の不透明さは当然でてくるものと思われます。

日本企業が合理化の切り札として、あるいは売り上げ拡大にむけ、中国へ進出しはじめて20年が経とうとしています。さまざまな成功事例や失敗事例があったかと思われますが、全体的に見て、差引勘定はどうだったのか、興味があるところです。①日本企業だけが儲かった、②中国企業(社会)だけが儲かった、③両者ともに儲かった、④両者とも損をした の4つのケースがありますが、中国経済の成長ぶりを見ると、①や④ではなさそうです。そして今後はどうなるのか、中国の「巨大なマーケット」と「安い人件費」は維持できるのかが興味のあるところです。私の勤めるアパレル業界でいえば、衣料品の生地・素材については、まだまだ日本企業の方が品質が良く、競争力があるのですが、衣料品の縫製技術に関しては、中国企業の一人勝ちの状態になっています。ただし、中国企業の人件費も上がってきており、さらにコストが安いベトナム・インドネシア・ミャンマーなどに縫製を切り替える企業も出てきています。

中国経済の勢いは、数字でみるとめざましいものがありますが、「方向性」についてはどうなのか、日本や世界とWIN-WINの関係になれるのか、注目したいと思っています。