随所随縁

所に随(したが)い、縁に随い、時に随い、想いに随い、書き留めていきたい。

「歴史に学ぶライバルの研究」について

2005-05-23 23:55:11 | 読書談義

学校などで様々な歴史を学んできましたが、やはり「暗記もの」という域を出なかったように思います。その原因としては、教科書がおもしろくなかった、ということに尽きるのではないかと思います。小学校低学年の頃は、国語の教科書などをもらうと、すぐに教科書を全部(特に小説や童話などの部分を)読んでしまうくらい、教科書がおもしろかった気がします。数学や物理の教科書がおもしろくないことは当たり前ですが、せめて、国語や歴史・経済などは、大河ドラマを見るように、週刊誌を読むように、「読ませる」教科書になって欲しいと思っています。

歴史の楽しみの一つは、無味乾燥の「記録」の中から、その時代を生きた人々の人間性や行動を発見することにあると思っています。それが、今を生きるための参考になればなおのことでしょう。自分自身で発見するのはなかなか難しいでしょうが、他の人が「記録」から読みとり、発見したものを読むのは簡単にできます。そんなわけで、「歴史に学ぶ○○の知恵」とか「戦国武将に学ぶ○○戦略の極意」などといった本を見つけると、つい手に取ってしまいます。

その中の一冊として、会田雄次・谷沢永一の歴史に学ぶライバルの研究があります。ここでは、同時代を生きた「ライバル」を何組かとりあげて、その人間性をわかりやすく解説しています。異なる性格の「ライバル」を比較することで、よりそれぞれの人物や時代への理解が深まります。

第一章が「天智天皇vs天武天皇」。サブタイトルが「独断専行型の兄と人心懐柔型の弟」ということですが、天智天皇=中大兄皇子=大化改新、天武天皇=壬申の乱、くらいしか印象にないのですが、実の兄弟でキャラクターもだいぶ違うようです。
第二章が、「源頼朝vs源義経」。サブタイトルが「政治家と戦術家の宿命的対決」。
第三章が「天才・信長に使えた”芸人:秀吉”vs”教養人:光秀”」
第四章が「糟糠の妻:北政所vs名門出の側室:淀殿」
第五章が「進歩主義者:田沼意次vs保守派:松平定信」・・・・・と続いていきます。サブタイトルのように、簡単にわりきれるものではないでしょうが、それでも、各人の言動から、描き出されるキャラクターは確かに納得するものがありますし、激動の時代というのは、異なるキャラクター同士の熾烈な競争により築かれていくのではないかと感じています。