随所随縁

所に随(したが)い、縁に随い、時に随い、想いに随い、書き留めていきたい。

未開封のジャズCDについて。

2007-03-25 20:50:21 | 音楽など

昨日、今日のような荒れた天気の日には、外に出ようという気が起こらず、家で仕事などをしていましたが、ふとジャズのCDを聴く気になりました。私のCDコレクションは、ほとんど10年以上前に買ったものばかりですが、何故か未開封のCDが2枚あったので、さっそく聴きながらこのブログを書くことにします。

1枚目は「特選JAZZシリーズ-28 BigBandJazz」。カウント・ベイシーやデューク・エリントンなどのビッグバンドの名曲が12曲も入ってなんと980円!というCDで、「\953」なるシールが貼ってありました。どこかの駅構内で買ったものだろうか?今ではこの手のCDは100円ショップでも売っており、ずいぶん「名曲」の価値も下がったものですが、ジャズの入門編としては良いのかもしれません。
解説書も入っており、冒頭に「・・・・・11人から上の編成をビッグ・バンドという。編成はトランペットが4人、トロンボーンが3人、サックスが5人、リズムが4人というのが標準である。・・・・」 ・・・・わかりやすい!
内容は、カウント・ベイシー楽団が4曲、ジーン・クルーパ楽団が3曲、ディジー・ガレスピー楽団が2曲、デューク・エリントン楽団が3曲という構成ですが、どうもこのようなCDは、「特選」というにはビミョーな選曲が多く、やはり値段相応なのかと思ってしまいます。有名な曲としては「エイプリル・イン・パリ(カウント・ベイシー)」と「A列車で行こう(デューク・エリントン)」でしたが、後者はわずか34秒の「曲」で、おかずの美味しいところだけをつまみ食いするつもりが、ツマや添え物でおなかいっぱいにさせられた感じでした。

2枚目は、「Miles Davis Super Hits」でこちらは「$9.99」のシール。ジャケット表紙には
FEATURES:
SO WHAT
SOMEDAY MY PRINCE WILL COME
SUMMERTIME
とあり、この3曲なら「SUPER HIT」の名に恥じないのかもしれません。その他の曲は「抱き合わせ」かと思いきや、私が10数年前にたった一度だけ「生マイルス」を見て、そして聴いた時の曲、C.ローパーの「Time After Time」とM.ジャクソンの「Human Nature」の2曲が入っていたのはうれしい誤算でした。もしかしたら、この2曲を見て衝動買いしたのかもしれません。古典的なスタンダードを吹いても、M.ジャクソンを吹いても、さすがはマイルス、切々と心にしみます。こちらは私個人としては「当たり」でした。長いこと未開封ですみません。


チックコリア~「SPAIN」「La Fiesta」など

2005-05-03 23:53:19 | 音楽など

もう二昔ほど前の話になってしまいますが、私は高校でJAZZのビッグバンドに入り、トランペットを吹いていました。ビッグバンドに入った当初、その年の学園祭で演奏する曲を集めたカセットテープを渡されました。早速聴いてみたのですが、JAZZやフュージョンのことなど全く知らない当時の私も、このテープの最初の2曲「SPAIN」と「La Fiesta」には強い印象を受けました。そして高校3年間、ずっと聴き続けました。また、毎年必ず学園祭で発表するほど、ビッグバンドの他のメンバーもこの2曲が気に入っていました。

あれからウン十年。去年の夏、選挙の投票で久々に母校に行った際、昔と変わらぬ練習場で、わが後輩たちが練習しているのを見ました。そして、あの懐かしの「SPAIN」の演奏が聞こえてきたときの何とも言えぬ感慨・・・・高校卒業後、東京へ出てしまい、すっかり疎遠になってしまいました。それでも、あの「SPAIN」は毎年学園祭で演奏されてきたに違いない、そしてこれからも・・・。今年の夏はぜひ、学園祭に行こうと思いました。

今でもたまにこのテープを聴きます。このテープの元のCDなりレコードなりが欲しいのですが、なぜか演奏しているビッグバンド名やCDのタイトルを聞きそびれてしまい、わからないまま現在に至っています。しょうがないので、せめてテープがすり切れる前にパソコンに録音して聴いています。「SPAIN」は、トランペットのエキゾチックなイントロと曲の中盤でのブリリアントなソロが印象的です。あまりに高音が多いため、いくら練習しても真似をするのは無理と、最初からあきらめていました。しかし今でも全てのフレーズを口ずさめますし、聴くたびに背筋がゾクゾクしてきます。また「La Fiesta」は独特の3拍子のリズム、単調なコード進行・メロディーラインとサックスの長いフリージャズ風のソロ、そして「お祭り」らしく最後はドラムのソロで締めています。

この2曲はピアニスト「チック・コリア」の代表曲と後で知りました。アコースティック・バンドのCDなどでこれらの曲を聴くのですが、やはりビッグバンドの演奏の方が好きです。

この時期に良く聴くジャズ

2005-04-06 22:21:55 | 音楽など

毎年この時期は、花粉症(重症)にかかるため、鼻水は止まらず、目はかゆく、頭も痛くなり、何事にもやる気がなくなる、怠惰で憂鬱な日々を過ごします。そんな時には、ぼけっとしながら、こんな曲を聴いています。

最初はブッカー・リトルというトランペッターの代表作「ブッカー・リトル」。ドラムス、ピアノ、ベースのリズムセクションにブッカー・リトルのトランペットだけという、シンプルな曲が続きます。とくに最初の2曲「OPENING STATEMENT」と「MINER SWEET」あたりのトランペットソロは、独特のフレーズを、切々と歌い上げるように吹いていて、こちらのアンニュイな気分とよくマッチします。マイルス・デイビスやクリフォード・ブラウンなどといった大御所の陰に隠れてしまい、また、活動期間も短かったブッカー・リトルですが、このCDは独特の味わいがあり、名作だと思っています。

お次は、マイルス・デイビスの「カインド・オブ・ブルー」。これはマイルスの最高傑作と言われている作品あり、また、ジャズの歴史の中でも、「ハード・バップ」から「モード・ジャズ」に切り替わる、時代の転換点にあたる作品のようです。その辺の理論は私にはよくわかりませんが、CD全体を通して、少し寒気を覚えそうな、張りつめた清涼感、静寂感が漂っていて、この時期に聞くのが最適かなと、思います。特に3曲目の「Blue in Green」のマイルスのトランペットなどはシビレます。真冬に聴くと、体も、心も寒くなります。

最後はリー・モーガンの「リー・モーガン・ボリューム3」の中の「I Remember Clifford」。天才トランペッター、クリフォード・ブラウンの死を悼んだ名曲ですが、モーガンのソロは、録音当時、とても10代のトランペッターとは思えないほどの美しい音とフレージングです。また、バックのアンサンブルもモーガンのソロを暖かくくるむようで、何度繰り返し聴いても飽きません。

新入生や新社会人が街に溢れ、桜も咲いて、日差しも暖かくなり、プロ野球も開幕し、世の中全て活動的になるのに、私はなぜか憂鬱になるこのごろですが、花粉症さえなければ、もっと違った気分で新年度を迎えられるのに、と思うこのごろです。

クリフォード・ブラウン・ウィズ・ストリングス

2005-02-10 23:42:15 | 音楽など

先日エントリーした、クリフォード・ブラウンの記事にトラックバックをいただき、その記事を読んでいるうちに、ブラウンを聴きたくなり、立て続けにアルバム2枚聴ききながら、この日記を書いています。

最初に「CLFFORD BROWN AND MAX ROACH」。こちらについては、ramenyaro777さんのBLOGにある通り。「パリジャン・ソロウフェア」と「ザ・ブルース・ウォーク」の2曲はお酒のグラスがスッカラカンどころか、心臓の鼓動も2曲なみに早くなり、酔いの回りも早くなります。

お次は「CLIFFORD BROWN WITH STRINGS」。全体として、甘ったるい50年代アメリカのバラードを、ブラウンが「せつせつと」トランペットで歌い上げたといった感じの名曲ばかりです。ブラウンも、バックのストリングスも抑えめの演奏で、ほっとくつろげるような、幸せな気分を味わえます。きっと、これらの曲は、アメリカ人にとっての「子守歌」なのだろうと思います。曲は歌い継がれてきたスタンダードナンバー、アレンジも奇をてらわず、真っ向から勝負しています。特に「MEMORIES OF YOU」から「SMOKE GETS IN YOUR EYES」あたりにかけてのブラウンのトランペットは、心にしみいるような音色・フレージングで、まさに純粋なトランペットの演奏を味わえました。やはり、寝る前に聴くのがいいかも。

うーん。今時、CDを1枚ずつ入れ替えているのが面倒ですね。CDチェンジャーがほしくなりました。

クリフォード・ブラウンとマイルス・デイビス

2005-01-13 22:52:35 | 音楽など

夜、部屋にいて、ふと音楽でも、と思ったときはジャズを聞きます。このときは、他の作業はいっさいやめて、フレーズの一つ一つをじっくりかみしめて聞きます。電車の中で、とかカーステレオで聞くにはそぐわない音楽ですが、夜、部屋にいるときには最高です。

よく聞くのがクリフォード・ブラウンと、マイルス・デイビス

ありきたりですが、ブラウンの「スタディ・イン・ブラウン」の中の「チェロキー」のソロは完璧なピックアップとメロディラインで何度聞いてもシビレます。これまたありきたりですが、事故で亡くなる直前のライブ録音である「ビギニング・アンド・ジ・エンド」の「ウォーキン」「チュニジアの夜」などは(後知恵ですが)死の直前の演奏、という思いこみがあるので、命を燃焼し尽くすような、鬼気迫るものを感じます。

マイルス・デイビスでは「スティーミン」の中の「サムシン・アイ・ドレムト・ラスト・ナイト」。夏の暑い日についうたた寝をして、汗をかきながらふと目が覚めたときのようなけだるさがあります。あとは「ラウンド・アバウト・ミッドナイト」や「リラクシン」など・・・。長くなりそうなのでとりあえず以下省略。

世間での流行のサイクルは「モード(前衛的)」→「ファッション(最新流行)」→「スタイル(ねこも杓子も)」→「クラシック(古典的)」と変化していくと言われています。バップ、モダンジャズ、フュージョン、フリージャズと発展してきたジャズは、確実に1960~80年代までは「モード」であり「スタイル」であり、JAZZ喫茶などは「うさんくさい、退廃的」といったイメージがありました。しかし、今ではしゃれたバーやレストランではだいたいBGMにジャズが流れているように、もはや発展をやめ、「クラッシック」の領域にはいっていることを感じます。

そういうわけで、発売当初はもっとも前衛的・冒険的な音楽であったジャズを今、古典の名曲を聴くように聞いていると、自分が年をとった気がして(実際とっているんですが)少しメランコリックな気分になります。