今週のNEWSWEEK(日本版)の表紙は「英語は誰のもの?~発音や文法を無視さいた『方言』が増殖中」ということで、背景として、現在は「英語を母国語とする人(ネイティブスピーカー)」よりも「外国語として英語を話す人」の方が圧倒的に多くなっているということがあります。過去にはこのようなことはなかったそうで、世界が初めて経験する事態になりました。当然のように、それぞれの国の母国語と英語がミックスされた「独特の英語」をしゃべるようになります。「日本語+英語」の「ジャパングリッシュ」だけでなく「イングログ(タガログ語+英語)」や「ヒングリッシュ(ヒンディー語+英語)」などが誕生し、氾濫しています。
NEWSWEEKの論調としても、英語の重要性はこれからも増していきますが、世界中の人が正統的イギリス英語の発音や文法にこだわる必要はないという考え方が広まっている、としています。「近頃の日本語は乱れている」という嘆きこそ、日本語が生きている証拠だと言えるように、英語も生きた言語として、世界中に広がっていく中で、発音や文法もより「ブロークン」になっていくのではないかと思います。
英文法といえば、悪名高き「shallとwillの違い」や「thatとwhichの違い」あるいは「数えられる名詞と数えられない名詞」などがなければ、そんなことは気にしなくてもすむのなら、どれだけ英語の敷居が低くなることでしょう。そして日常の会話や文章程度ならコミュニケーションに問題がなければ、どんどん簡略化していって欲しいと思います。同じく発音も、日本人がイギリス人のようにLとRを区別して発音するのはあきらめて、LaもRaも「ラ」でいいのではないかと思います。
スペリングでも、かの有名な「rough、through、though、lough」など、直感的・本能的に発音できないスペリングはやめて、「ruff、thru、thoh、luff」くらいにしてほしいと思います。アルファベットは「表音文字」といわれていますが、前記の「ough」は、ちっとも「表音」じゃないので、なんとかしてほしいです。
ふざけたことばかり書いているようですが、英語にもこのような「簡略化」は何度も起こっています。今のドイツ語は、定冠詞だけでも6つの格変化「der、die、das、dem、den、des」があるのに対し、英語はたった一つの「the」で済ませています。昔は英語もドイツ語のような「格変化」があったのではないかと思います。きっと6つもの格変化をつけるのがめんどくさくて、すべて「der」だけで発音しているうちに、格変化などなくても問題がないことがわかり、「der」が「the」に変化したのではないでしょうか。(これはほとんど冗談ですが。)
今後、「英語」は「ヒングリッシュ」や「ジャパングリッシュ」などの世界中の「ミックス英語」との融合・変化を続け、やがてアメリカ人やイギリス人が、必死になって「英語」を勉強しなければならない世の中がくるのではないかと想像しています。また日本でビジネスをしたい人は「ジャパングリッシュ」を勉強し、インドへ行きたい人は「ヒングリッシュ」を勉強するようになるかもしれません。ただイギリス人が日本語を学ぶより、日本人がヒンディー語を学ぶより、よほど簡単に意志疎通ができそうな気がします。どうも英語にコンプレックスを抱いたのですが、この記事を読んで、やや気分が楽になりました。