今週のNEWSWEEK(日本版)の表紙は「0歳の超脳力~最新研究で分かった脅威の知能・感情と学習のメカニズム」でした。
科学技術がどれほど進んでも、最後の最後まで未知の領域であり続けるのがわれわれ人間自身のような気がします。特に赤ちゃんが見る「世界」はどのようなものなのか、何を考えているのか、自分では経験できない(というか覚えていない)ため、実に興味のあるテーマだと思います。
赤ちゃんは、生命体の面で見ると、まさに成人のミニチュアで、成人が持つ内臓や体内器官は全て揃っているし、足の小指の爪もちゃんとあります。そうなれば、意識や感情の面でも、われわれ成人の持つ能力の全てをミニチュアとして持ち合わせているのではないかと思えてきます。この特集では、最新の実験で明らかになった内容が紹介されています。
たとえば、赤ちゃんが最も早くからみせる感情のひとつが「他者に対する共感」だそうです。これは赤ちゃんが、他の赤ちゃんの泣き声を聞くと、自分も泣き出す、というものです。他人の泣き声を録音したテープを聞かせても泣き出すのに、自分の泣き声を録音したテープを聞かせても、ほとんど泣かない、というデータが出ているようです。
さらに、赤ちゃんは「周囲の人の表情から感情を見分ける能力」を持っているようで、「いないいない、ばあ」の「ばあ」の時の表情を、「満面の笑み」→「悲しげな顔」→「怒った顔」と変化させると、それぞれ違った反応を見せるようです。また、赤ちゃんにも「嫉妬」「独占欲」などといった複雑な感情を持っていることも分かってきました。
もう一つ興味を持ったのが、「赤ちゃんには外国語の特殊な学習能力がある」という説です。それを聞いた、親たちが、盛んに外国語のテープを赤ちゃんに聞かせたのですが、効果がなかったそうです。それはなぜか、という問題で、まだ、最終的な答えは見つかっていないようですが、やはり、人間がしゃべる外国語でないと、つまり赤ちゃんが、感情的につながりのある「言葉」でないと効果がないようです。赤ちゃんの感情と結びつかないテープの音は、雑音にしか聞こえないようです。
いろいろ読んでみると、当たり前のことですが、赤ちゃんの感情や社会性、学習能力などは、「親との対話や感情の交流」により発達する、つまり全ての出発点は親子のふれ合いにある、という昔ながらの知恵に落ち着くようです。