よしだハートクリニック ブログ

 院長が伝えたい身近な健康のはなし

心筋梗塞について(1)

2013-11-18 17:06:43 | 健康・病気

 冷汗を伴う胸痛に突然襲われ、手当てが遅いと死に至る可能性もある心筋梗塞。厚生労働省の死亡統計によると、昭和60年から現在までほぼ一貫して日本人死因第2位を占めるのは心疾患(第1位は悪性新生物、第3位は脳血管障害)ですが、このうち突然死のほとんどが急性心筋梗塞と考えられています。 今回はこの恐ろしい病気についてお話します。

 心臓は、基本的には筋肉(心筋)でできており、1分間に6080回規則正しく収縮し、全身に血をめぐらせるポンプの働きをしています。この心筋を養っている血管のことを冠動脈といい、大きな血管3本により十分な酸素、栄養を運んでいます。

 この冠動脈が何らかの原因により、狭くなったり詰まったりすることにより十分な血液を心筋に送れなくなり生じる疾患のことを虚血性心疾患といいます。冠動脈が狭くなり、一過性に心筋に血が足りなくなり胸痛が生じる病気を狭心症、冠動脈が閉塞して心筋が壊死する病気を心筋梗塞といいます。

 では冠動脈が狭くなったり閉塞したりする原因はなんでしょうか?

1番の原因はいわゆる動脈硬化です。高血圧、糖尿病、脂質異常症、喫煙、虚血性心疾患の家族歴、肥満、高尿酸血症、加齢などが危険因子と考えられています。もう一つの原因は血管の攣縮です。これには、飲酒、喫煙、体質などが関与していると考えられています。

 かつては、動脈硬化により徐々に冠動脈が狭くなって最後に閉塞して心筋梗塞になると考えられていました。しかし最近の研究で、血管内径がまだ狭くなくても脂質をたくさん含むプラーク(粥腫=動脈硬化の一種)が破綻して血栓が生じ急速に冠動脈を閉塞し急性心筋梗塞になりうることが明らかにされました。このことは、過去に一度も胸痛がない人にもいきなり心筋梗塞が生じることを示しています。


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