よしだハートクリニック ブログ

 院長が伝えたい身近な健康のはなし

マイ腸内細菌を大事に育てよう(1)

2016-07-16 08:08:15 | 健康・病気
 最近、テレビの健康番組でもしばしば取り上げられている腸内細菌。皆様も、腸の善玉菌や悪玉菌の話は聞かれたこともあるのではないでしょうか。今回は、最新の研究が明らかにしつつある腸内細菌パワーをご紹介します。

 腸内細菌は、小腸から大腸にかけてヒトと共生して棲む細菌で、数は1000兆個(重量にして1.5~2kg)とヒトの細胞(37兆個)の十数倍も存在しています。種類は約3万種で、多くは酸素のない環境を好む嫌気性菌です(したがって、酸素のある小腸よりもほとんど酸素のない大腸に棲む腸内細菌が圧倒的に多い)。
 ヒトの腸は出生時は無菌ですが、以後様々な菌を取り込み、生後1~3年かけて自分の腸内細菌叢(これは腸内のお花畑に例えられており腸内フローラと呼ばれます)を作ると考えられています。その後は、その細菌叢のバランスにより腸内環境が決まります。一般的には、善玉菌(ビフィズス菌、ラクトバチルス菌など 約20%)、悪玉菌(クロストリジウム、腸球菌など 約10%)、日和見菌(バクテロイデス、大腸菌など 約70%)に分けて考えられますが、時と場合によりその分布、働きは変わっていきます。

 さて、腸内細菌の働きとはどのようなものでしょうか。
 まずは、食物とともに体に入ってくる病原菌の排除です。ヒトの細菌叢はお互い縄張り争いをしてバランスをとっているため、外部の菌は定住できず排除されます。
 次に、ヒトが作れない各種ビタミンを合成したり、ヒトが吸収できないセルロース(食物繊維)を分解してエネルギー源となる脂肪酸を合成してくれます。 また鉄の吸収力アップにも関与しています。 活性酸素によって酸化された組織をもとに戻す「水素」を発生させてくれるのも腸内細菌の働きです。
 さらには、「幸せホルモン」とよばれるドーパミンやセロトニンの前駆物質を作り脳へ送ってくれる働きもあります。
 腸にある免疫細胞を活性化して、がんを防いでくれる免疫力を高める重要な働きもあります。

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