竹中工務店GALLERY A4(Aの4乗)で、
安田泰幸スケッチ紀行の展覧会と講演会に参加しました。
とにかく圧巻、見事です。
「上手だなぁ。」と、じっと見入ってしまいました。
安田さんは大阪生まれで、京都教育大学特修美術科をご卒業、
ハガキによるスケッチの活動は30年ほど前からだそうです。
当時は、会社にお勤めしながら絵を描いていたので、
大きなスケッチブックではなく、ポケットに忍ばせられるサイズ、
つまりはハガキサイズをいつも持ち歩いていたというわけです。
安田さんの絵のタッチはスピーディな感じで、色使いはまろやかです。
対象物への真剣で奥深いまなざしがどれもうかがえます。
ちゃんとみていないと、あれだけは描き込めないですもの。
それぞれディテールも正確でしっかりとしています。
景色や建物の他にも訪れた先の食べ物、乗り物など、
とにかくワクワクするほどたくさんのスケッチ作品が並んでいました。
国内、海外問わず、私の知っている建物も好きな建物もたくさんありました。
東京駅など赤煉瓦シリーズや横浜の街並み、川に架かる橋など。
なかには芦屋アンリシャリパンティエのクッキー缶のスケッチまで。
かわいらしいクッキーの配列にさえもきっと心が奪われたのでしょうね。
ハガキは現地から実際に投函されたものもあり、スケッチ内容と記念切手の
組み合わせもやはり関連性があるようで、それを読み解くのも楽しいです。
実は私もよくやります。絵葉書や内容にあわせた切手を貼るのです。
安田さんは、絵を描くことを通して実は学んでいるのだと、
対象物を真剣に観察することは、自分の人生を見つめることになるのだと
お話しされていました。なるほどそうですね、納得です。
最後にステキな
リルケの手記から一節を紹介してくださいました。
「一行の詩のためにはあまたの都市、あまたの人々、
あまたの書物を見なければならぬ。」
歴史家の重鎮・坂本勝比古先生の建物のお話も、安田さんのスケッチとあわせて、
丸の内、上野、横浜と実際に訪れているようで楽しかったです。
安田さんの絵は後世に対する貴重な資産であり、街を考え、都市空間を考え、
数多くの人々の生きざま、歴史、文化を読みとることができると語られました。
坂本先生は80歳を過ぎていらっしゃいますがお元気です。
どうぞお風邪などお召しになりませぬように。
またぜひどこかで建築に関するお話をうかがわせてください。
銀行協会保存に関して、先生が三菱地所に掛け合ったエピソードも興味深かった。
良い絵と時間、ありがとうございました。私も何か観るものに対して、
心に絵を描くほどに、よりしっかりとより深くまなざしを向けたいと思いました。