新しい年を迎え、七草に鏡開きを済ませて、
そろそろ節分、立春とは言え、まだまだ春の気配は感じられない。
だけど、なんとなく小さな春をみつけたくなる。
北の丸をお散歩していたら、
「ひな人形・五月人形」初春市に in 日本武道館(設計・山田守1964)
無料だったのでつい入場したくなった。
会場に入ると、そこには華やかで煌びやかな世界が繰り広げられていた。
有力メーカー勢揃いとあって、見事で立派な人形たち、より取り見取りなのだ。
つるし雛や可愛らしい市松人形、羽子板飾りも並んでいた。
どれが一番か目移りする、ひとつに決められない。
昨今の住宅事情から、赤い毛氈の七段飾りを買い求める方は少ないようだ。
なのでお内裏様とお雛様、三人官女ぐらいのコンパクトなものが主流。
昔ながらの古典的なものからパステルカラーの今どきモダンまで、
これだけ種類がたくさんあれば購入するまでは迷うだろうな、
でも、最後の決め手はやっぱり人形は顔が゛いのち゛、
見つめあって、ピピッとくるのがきっとあるだろうなって、思う。
女の子のお節句、子どもの頃、おひなさまを飾るのはワクワクした。
段をネジで留めて組み立てるのはお父さんがやってくれる。
部屋の電気を消して雪洞に灯りがともると、こども心にとても幻想的に感じた。
その私の大事なひな人形は故郷の淡島神社で既に流しびなとなった。
おひな飾りに比べるとどうしても五月人形は見た目には地味に思える。
この鎧兜は某の重要文化財の模写、写しとの説明書きがあったり、
それなりに立派でシブイこだわりがあったりするようだ。
竜頭にホンモノの瑪瑙あるいは翡翠、伊達政宗光モデル・・・。
武道館は熱気にあふれていた。
ふと人形たちから視線をはずして見上げると、
無人の観客席を取り囲んだガラス窓から光が射し込んでいた。
(なるほどここに窓を持ってきたのね、守さん。)
さらにその頭上を互い違いの八角形のライトがまぶしく照らしている。
ベビーカーの赤ちゃんの小さな泣き声もほほえましく、
(おばあちゃんおじいちゃん、どれでもいいから早く決めてよって感じかな)
なんとなく一足早い春を味わった日曜日ののどかな昼下がりだった。
★「討ち死にを覚悟した良人の出陣を送る妻が兜の中へ香を焚きしめる」 →