癒しのランドスケープ

2006-04-12 23:46:00 | ・アート・展覧会
汐留ミュージアムで開催中の
建築家 グンナール・アスプルンド (1885-1940)の
展覧会に行きました。
うーん、まさに癒しの・・と言うとおり、とてもヨカッタです。
雄大な自然に抱かれたような空間体験だった。
ゆったりと気持ちよかったぁ。気が付けば1時間半近くいたかも。

スウェーデンの近代を代表する建築家アスプルンドの作品は、
「北欧モダン建築の原点」と位置づけられている。
やはり、世界遺産に登録された「森の墓地」(1940)は素晴らしい。
自然と建物との一体化、広大な森の敷地の一番奥には゛森の礼拝堂゛
その手前には゛森の火葬場゛そしてそこへのアプローチである゛十字架の道゛

「森へ向かう道を昇る行為は亡くしたばかりの故人を思い、
 やがて死すべき自分の運命を直感的に悟る時間となる」

スケッチブックは彼の発想の源。
世界初公開となる若き日の絵画なども展示されていた。
ナイーブな感受性、色使いがふんわりとやさしい。 
自画像の隣にはあのレンブラントの肖像画が描き込まれ、なんともほほえましい。

映画館や図書館、裁判所といった作品にもそれぞれ知的で味わい深い
あざやかなモダニズムの表現が見られる。

「そこに最もふさわしい空間を与えることを自らの使命として
建築にできることを極限まで追求した建築家の決意を見ることができる。」

趣向が凝らされた会場の展示構成の締めくくりはアスプルンドと日本の関係性。
彼の作品にインスピレーションを与えたのは日本建築であったのではないかと。
日本建築の反映、検討すべき可能性を示唆していた。
テラスと深い軒が生み出す空間。→茶室のぬれ縁の空間。
敷石のパターンなど。→桂離宮のそれと比較したい衝動にかられる。
そこがまた興味深かった。

★1926年 建築家 今井兼次と会う。以後親交を深める。
★1931年 建築家 吉田鉄郎と会う。『日本の住宅』(1935)

ガラスケースのなか、
サイドにリボンのついたアスプルンドの白い帽子が飾られていた。
それがなんとなくかわいくて、繊細な人だったのかなと想像してしまった。
1940年、心臓発作で亡くなった。55歳の若さだった。