白堊スポーツ - since 2004.09.18

母校・盛岡一高や岩手のスポーツ情報、読書感想、盛岡風景などをお伝えします。

地下鉄に乗ってー浅田次郎

2022年12月21日 | 読書
評価4

再読(前回2017年8月10日)。
日本を代表する実業家の二男に生まれた男性が地下鉄に飛び込んで自殺した兄とその兄を追い詰めた父に出会う旅をして、家族のあり方を問い直す物語。そして、妻子を捨てる覚悟までした女性との関係が明らかにされる驚愕のラスト・・・浅田次郎、まさかのタイムスリップ物。

男性は地下鉄の出口を出るたびに、1964年の東京五輪から戦後の闇市、戦前のモダン風情溢れる時代まで父の生きた時代を遡る。

東京の学生時代を思い出しつつ、地下鉄の路線図を見ながら読み進んだ私であった。

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鉄道員(ぽっぽや)ー浅田次郎

2022年12月20日 | 読書
評価4

再読(前回2018年5月10日)。
第117回直木賞受賞作品。表題作を含めて8作品からなる短編集。時代背景が古いと言えなくもないが、著者の生い立ちを反映した物語が散りばめられて浅田次郎を知るには格好の作品集。中でも「ラブ・レター」は秀逸、「うらぼんえ」も捨てがたい。「鉄道員」は・・・?

①鉄道員
②ラブ・レター
③悪魔
④角筈にて
⑤伽羅
⑥うらぼんえ
⑦ろくでなしのサンタ
⑧オリヲン座からの招待状

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ナミヤ雑貨店の奇蹟ー東野圭吾

2022年12月18日 | 読書
評価4

再読(前回2019年3月4日)。
悪事を働いて、かつて悩み相談を請け負っていた雑貨屋に逃げ込んだ3人の青年は次々と舞い込む相談事を記した手紙に戸惑うものの、返事を書いてしまう。そして、この手紙を通して30年以上も前の人々との不思議な交流が始まる。SF手法を駆使した人情物語。

先日、映画を見たので原作を読み直してみた。
児童養護施設をキーとした登場人物の意外な関係性に現在と過去が重なって、人物を整理しないと初読ではなかなか頭に入りにくいかもしれない構成なのだが、画像での予習(再読だし・・・笑)が効いてスッキリ!

しかし「よくも、ま~ こんなストーリー考えるもんだ」と今さらながら東野圭吾の凄さを実感。

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あの家に暮らす四人の女ー三浦しをん

2022年12月15日 | 読書
評価4

再読(前回2020年1月17日)。
古い洋館に住む母娘と娘の友人二人の女性四人の共同生活を綴った谷崎潤一郎の名作「細雪」をベースにした物語。幼き娘を残して家を出て他界してしまった父親は幽界に身を置きながらも、地場を睥睨するカラスとともに娘を見守る。心温まる一作。

父親とカラスの語らいが物語にリズムを与えている。女性四人のキャラクターがはっきりしていて読みやすいことこの上ない。2度読んでもやっぱり面白かった!

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人質の朗読会ー小川洋子

2022年12月12日 | 読書
評価4

山岳地帯のゲリラによって人質となった日本人旅行客8人と救出部隊の兵士1人が自身の過去を振り返って語ったテープが公開された。どんな人、どんな人生にも物語がある。市井の名もなき人々の小さな出来事を真綿で包み込むようにすくい上げる小川洋子の世界。

事件の設定は、小川さんがエッセイで何度も取り上げているミュンヘンオリンピック(1972年)のテロ事件(黒い九月事件)を彷彿とさせ、各人が自身に起こったことを読み聞かせる展開はポール・オースターの「ナショナル・ストーリー・プロジェクト」に近いような気がする。

私の好みは、危機言語を救う友の会、運針倶楽部が登場する「B談話室」。「槍投げの青年」も捨てがたい。運動選手の躍動感の表現が秀逸。いつか小川さんにスポーツ物書いて欲しいな~♪

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みぞれー重松清

2022年12月10日 | 読書
評価3

再読(前回2017年6月4日)。
仕事、学校、家族、友達、みんなそれぞれ悩みや喜び、いろいろな思いを胸に秘めて限られた生を生きている。そんな出来事を優しい眼差して綴った11作品。驚くほどの物語はないけれど、じわっと心に浸みてくるようなそんな一冊。

★=私の好み度
①拝啓ノストラダムス様
②正義感モバイル
③砲丸ママ
④電光セッカチ
⑤遅霜おりた朝 ★★
⑥石の女
⑦メグちゃん危機一髪
⑧へなちょこ立志編
⑨望郷波止場 ★
⑩ひとしずく
⑪みぞれ ★★

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深い河ー遠藤周作

2022年12月08日 | 読書
評価5

再読(前回2021年2月11日)。
ガンジス川のほとり、ヒンズー教の聖地ヴァーラーナスィへ足を踏み入れた5人の日本人の「死と転生」「神の存在」にまつわる物語。混沌としたインドの大地を舞台に、巧みな構成とドラマティックな展開力で読者をひきつけてやまない著者70歳時の力作。

生々しいまでのガンジス河畔での葬送の模様と各人が背負った人生との重層的な交感がなんとも言えないシンフォニーを奏でている。異端としてキリスト教から排除されてインドの貧しい人々に寄り添う道を選んだ大津という男の存在が影でストーリーを支えている。神の存在とガンジスとのシンクロだ。

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舟を編むー三浦しをん

2022年12月04日 | 読書
評価3

再読(前回2020年1月1日)。
出版社による国語辞典編纂の模様を描いたお仕事小説(本屋大賞受賞)。「辞書は言葉の海を渡る舟」「海を渡るにふさわしい船を編む」という意味で、その辞書は「大渡海」と命名された。誰しも知らない辞書作りの過程は興味深いが、テーマが地味だけに感動はイマイチ。

ず~っと小川洋子ワールドに浸っていたせいか、普通の小説に入り込めなくなっている。軽く感じられてしょうがない。かなり重症かも⇒小川洋子中毒(笑)。

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アンネ・フランクの記憶ー小川洋子

2022年12月01日 | 読書
評価5

再読3回目(前回2021年4月16日)。
小川洋子さんが自身の原点とする「アンネの日記」の足跡をたどる旅。隠れ家や学校を訪ね、アンネの友人のジャクリーヌさん、献身的に家族を支えたミープさんと言葉を交わす。小川さんの静謐な文章と視線がアンネの生き様を蘇らせてくれて涙を誘う。

小川さんの、何気ない日常の出来事や風景に向ける優しい眼差しと想像力がいかんなく発揮されている紀行文。「アンネの日記」の追体験には欠かせない一冊!とにかく素晴らしい!

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アンネの日記ーアンネ・フランク

2022年11月30日 | 読書
評価5

再読3回目(前回2021年4月15日)。
ナチスの手から逃れるために隠れ家生活を余儀なくされた少女による1942年6月12日から1944年8月1日までの日記。15歳の少女など8人は1944年8月4日に密告により連行される。その日が近づくにつれ胸が締め付けられる。作家小川洋子の原点。

何度読んでも13歳~15歳とは思えない人間観察力と自己分析力、文章力・ユーモアのセンスには驚かされる。私の中では、小川洋子さんの「アンネ・フランクの記憶」と対になっている永遠の記録。

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