昨日25日、山梨県甲州市と埼玉県秩父市の県界尾根上にあり、多摩川水源域の最高峰でもある唐松尾山(からまつおやま・2109.2m)へ、登山イベントの仕事で行きました。昨年に続き2回目。
交通アクセスに恵まれていないため、幸か不幸か?訪れる人が少ない山ですが、2000m級の静かな稜線歩きを楽しめるとともに、南面は東京都の水道水源林、北面は荒川水源域と国有林としても保護され、自然度の高い亜高山性の針葉樹林を見ることができる名峰です。
コースは山梨県側、
<一ノ瀬林道・将監(しょうげん)峠登山口(標高1270m)-七ツ石尾根-午王院平(ごおういんだいら)-御殿岩(ごてんいわ・2075m)-唐松尾山-笠取山分岐-黒エンジュ分岐-中島川口>
約8時間、10kmの健脚向きです。
7時半に登山口を出発。高原の、朝の冷気が心地いい。
標高1700m付近までの森林(もり)は、ミズナラ(水楢/ブナ科)が中心の落葉広葉樹林。
標高1850mの午王院平を過ぎると…
その山名の由来になったとも言われる自生のカラマツをはじめ、コメツガ、ウラジロモミなどの針葉樹にダケカンバなどが混じる、亜高山性の森林に変わります。こちらも快適。
しかし、ここでも…
シカによる樹皮剥ぎが痛々しい…特にウラジロモミ(裏白樅/マツ科)の被害が目立ちます。シカのお好みなのでしょうね。
その他にカラマツ、広葉樹ではリョウブ、ナナカマド、サラサドウダン系のツツジの仲間もかじられていました。
御殿岩へ向かう途中の岩場にダイモンジソウ(大文字草/ユキノシタ科)が可憐な花を咲かせていました。「花が大という字に似ている」ことからの名です。
出発から約3時間、コース中唯一展望が開ける御殿岩(2075m)へ到着です。西側に目指す唐松尾山が見えます。(写真右上のピーク)
そして東側には、東京都最高峰・雲取山(2017.1m=写真真ん中の一番奥)。積雲湧き立つ中に佇む姿には、どこか威厳が漂います。
360°のパノラマが楽しめるはずの御殿岩ですが、昨年に続き今回も、南面と北面は雲に覆われて望むことができませんでした。特に南面は、富士山から南アルプスの眺望が素晴らしいそうです。
しばし休息のあと、唐松尾山へ向かいます。途中で…
ハコネギク(箱根菊/キク科)
アキノキリンソウ(秋の麒麟草/同)
夏~秋の花が出迎えてくれました。下界では連日の猛暑が続いていますが、山の上では少しづつ秋の気配が漂い始めています。待ち遠しいですね。
それにしても、花の種類と数が少なく感じたのは私だけではないようです。数十年来、奥多摩・奥秩父を歩かれているインストラクターの方も同じ感想で、やはり「シカの影響」を指摘されていました。
11時半、三等三角点のある唐松尾山へ到着。手作り標識のある地味な山頂は、樹林に囲まれて展望もありません。この場所で昼食としました。
気温は18℃。曇り始めたこともあり、じっとしていると汗が冷えて肌寒く感じるほどでした。
12時過ぎ、唐松尾山を出発。さらに西側にある笠取山直下まで約2.5kmの尾根歩きです。亜高山帯の針葉樹林の下、歩道脇にはアズマシャクナゲも群生しており、5~6月のシーズンにはさぞ美しいことでしょう。アップダウンと変化もあり結構楽しいコースですが、やはり健脚向きと実感しました。
予定より少し早い15時40分、参加者16人全員、頑張って歩いて無事に下山。と同時に、雷鳴が轟きどしゃ降りの雨に見舞われました。待ち合わせのバスに逃げ込み、ホッ…。予想はしていましたが、今夏、関東地方では激しい夕立が多いです。気が抜けません。
(平日ということもあるのでしょうが)今年も、一人の登山者にも出会いませんでした。百名山ブームとかで特定の山に人が殺到している最近、少し視点を変えて、不便さもちょっと受け入れれば、こんなにも静かで心豊かな山旅を味わえるんだ…と実感させてくれる‐唐松尾山はそんな山です。
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