鴎に飛び方を教えた猫

平凡で冴えない毎日の中でも千葉ロッテマリーンズを応援するブログ。

【乗り鉄日記】 篠ノ井線姨捨駅で降りてみた。

2007-12-23 | 日記その他雑記とか

ということで、大糸線で松本駅までやって来た。そして寒さに耐えながらホームで16時13分長野行きの篠ノ井線を待っていた。ちなみに次に乗る篠ノ井線は茅野駅発の列車であり、この駅始発ではない。自分がこの駅に到着した頃には人もまばらだった篠ノ井線のホームだったが、16時を過ぎた頃から何だか少しずつ混んで来た。もしかしたら座れないのかと少し心配になってきた。ホームにはすでに並んでいる人もいたので念のため自分もその列に並ぶことにした。



ホームに入ってきた電車はたしか3両編成だったと思う。ここまでは乗車した列車は写真を必ず撮っていたのだが今回は忘れてしまった。というよりは撮るタイミングを逃したと言う方が正解かもしれない。ドアが開きホームで待っていた人たちが一斉に乗車して行く。乗ってみると車内はやはり混んでいた。といっても座れないというほどではなかったのだが、自分が座ったクロスシートには、制服姿の高校生の女の子とそのお母さんの二人が座っていた。彼女らは底の広い大きな紙袋を持っていた。どうやら結婚式の帰り道のようである。


松本から長野までは13駅ある。この列車に乗っていれば17時36分には長野駅に到着するのだが、自分は途中の姨捨駅でいったん下車すると決めていた。松本を発車した頃には日が落ちきってはおらず、まだ車窓を楽しむことも出来たのだが、徐々に暗くなりやがて外は真っ暗になってしまった。そして17時09分に無人駅である姨捨駅に到着。ちなみにここで降りたのは3両ある列車の乗客の中で私ただ一人だった。席を立ちドアの方へ歩いて行く時には周りからの「えぇ~!この時間にここで降りるの!?」みたいな空気も感じた。特に私の隣りに座っていた高校生のお母さんはかなり驚いている様子だったように思う。これには正直少し恥ずかしくも感じた。



ホームに降り立つと辺りは真っ暗だった。しかもかなりの寒さだ。駅舎の周りの照明だけが辺りを明るく照らしていた。 松本方面のホームには貨物列車が停車していた。そしていよいよスイッチバックが始まる。自分は目の前でスイッチバックを見るのは恥ずかしながらこれが初めてである。しばらくして今まで乗ってきた列車がバックを始めた。そしていったん引込み線へと入って行きいったん停車。その後は勢い良く走り出し松本方面行きのホームのさらに下にある本線に入り、そのまま長野方面の暗闇へと消え去って行った。そして停車していた貨物列車も松本方面へと走り去り、いよいよこの駅にいるのは私一人だけとなってしまった。


さてと、夜景を見るぞー!
姨捨駅からの夜景を今夜は独り占めだー!
果たして日本三大車窓と言うほど素晴らしいのか!?
対面式のホームとホームをつなぐ通路を渡って反対側のホームへと向かった。



たしかにそれは素晴らしい景色だった。一言に夜景と言ってもここのそれは奥行きがあってどこまでもそれが続いていると表現すれば良いのだろうか。上手く表現出来ないが地球は丸いと感じることさえ出来る見事な夜景であった。



ちなみにこの駅の松本方面のホームのベンチは線路に背を向けるようにして通常とは逆方向に向いて設置されている。要するに「ここへ来たら必ずこの景色を眺めてみなさい!」ということである。



再び通路を渡って今度は長野方面行きのホームからも撮ってみた。徐々に寒さで手がかじかんできた。カメラのシャッターを押すのも一苦労となってきた。駅舎の中は少しは温かいのかと期待したのだが入ってみたら全然寒かった。



駅舎は木造で温かみがあり味のあるつくりだった。



その小さな駅舎を出るとそこは街灯もない真っ暗な道路が通っていた。そして何やらやたらとタクシーがこの駅にやってくる。しかし客を乗せてくるという訳ではなく、どうやらタクシーの運転手が駅舎の隣りにあるトイレを利用しに来ているのである。日本三大車窓を眺めることが出来る姨捨駅も地元のタクシーの運転手にとってはトイレ代わりということか。私がこの駅にいた一時間弱の間にも数台のタクシーがやってきてクルマを止めては駅のトイレで用を足して、すぐにまた走り去って行った。トイレの横には姨捨という地名の由来となった年寄りが大嫌いな信濃の国の殿様と年老いた母を持つ青年のあの有名な昔話が記してあった。


駅舎内のベンチで今度は17時59分発の次の普通列車を待っていると、年配の女性が一人でタクシーから降りてきた。静まりかえった駅舎の中で声をかけてみようかとも思ったのだが、普通に地元の方のようである。しばらくの間、その女性と二人きりだったのだが、結局言葉を交わすことは一度もなかった。そして予定通りに長野行きの普通列車に乗車した。わずか一時間弱の姨捨駅での滞在はあっという間だった。ここへはぜひ機会があれば今度は日があるうちにも来てみたい。


今度の列車もそこそこの乗車率で空いていたロングシートになんとか座ることが出来た。そして途中の篠ノ井駅だっただろうか。私の前に座っていた女性らの一人が突然「ねえ、すごーい、すごーい!見て見て~!」と目を輝かせながら私の後方の窓の外を見ている。いったい何事かと思い、自分も思わず窓の外を見てみると、なんてことはなかった。駅前の広場に電飾を施した小さなクリスマスツリーが立っていた。だいたいこれくらいのツリーなら都内、いや私の家の近辺にだっていくらでもある。別に田舎者扱いしている訳ではないが都会の女性たちはこれくらいの光景にはもはや感嘆の声などあげないであろう。これには正直微笑ましい気持ちにもなり、また些細なことでも感動出来るという点で羨ましくも感じた。


やがて列車は18時30分に予定通り長野駅に到着した。

 

たぶん、まだつづく。