お久しぶりです!
長らくの休眠をフォローすべく色々と考えている間に時が経ってしまいました。
3年に一度の世界バレエフェスティバル。
思いおこせばわたくしが本格的な(笑)バレエファンとして過ごしてきたのも、
1997年の第8回世界バレエフェスティバルのBプロで、思い立ってNBSに電話してチケットを問い合わせ、ちょうどタケノコ席1列目のお席を頂いたのがきっかけで・・・。
観るべきダンサーを新書館の書籍で事前にチェック、当日も参考書籍を膝に、幕間にメモを取りながらの鑑賞でしたが、ベジャールの「バクチ」をシルヴィー・ギエムとローラン・イレールで観たのがある意味決定的瞬間、でしたね。
あれから20年、NBSさんにはずっとお世話になりっぱなし。
会場で故・佐々木忠次氏の名インプレサリオとしての生涯を描いた桜沢エリカによる「バレエで世界に挑んだ男」を購入して読みましたが、今度お墓参りに行かなくては!と思うレベルで感謝しています。
さて、初日8月1日(水)と千秋楽5日(日)に観ましたAプロ、ざっと感想を。
2018/08/05(日)
【第15回 世界バレエフェスティバル】Aプログラム
― 第1部 ―
◆「ディアナとアクテオン」
振付:アグリッピーナ・ワガノワ
音楽:チェーザレ・プーニ
エリサ・バデネス
ダニエル・カマルゴ
引き締まった体躯とシャープな面立ちが黄土色のギリシャ風衣装にぴったりのカマルゴと
アップヘアを数本のカチューシャを重ねたようなヘッドドレスでまとめたアレンジが白い薄物のディアナの衣装にぴったりのバデネス。
二人ともそれぞれに資質にあった役を軽快かつダイナミックに踊りこなし、二人の美しいプロポーションと疾走感のある演技で一気に引き込まれました。
今回はギエムを始め、常連メンバーがごっそり抜けて世代交代を感じさせるラインナップで、ちょっとテンション低めスタートだったのですが、期待値あがります!
◆「ソナタ」
振付:ウヴェ・ショルツ
音楽:セルゲイ・ラフマニノフ
マリア・アイシュヴァルト
アレクサンドル・リアブコ
白のゆったりとしたシンプルなブラウスにライトグレーのタイツのリアブコ、淡いピンクのちょっと長めのフレアスカートのお衣装のアイシュバルト。シンプルの極みのようなお衣装ですが、心技体揃った二人には音楽さえあればよい・・・といった極めて純度の高い美しさを堪能させていただきました。
初登場からその精緻な踊りであれは誰?となり、その後どのパフォーマンスにおいても期待を裏切ることのないリアブコと、シュツットガルト随一の演技巧者にしてミステリアスな小鳥のような存在感が際立つアイシュバルト、この二人のPDDが見られるというのもバレフェスならでは、ですね。
今回はアイシュバルトのパートナーとして予定されていたマリイン・ラドメーカーが休場という残念なニュースからの急遽のペアでしたが、思いがけず、ファンとしてはたまらない天からのご褒美のようなプログラムでした。
Aプロ全体を振り返ってみても、この演目が一番心に残りました・・・・。
◆「ジゼル」より 第2幕のパ・ド・ドゥ
振付:ジャン・コラーリ、ジュール・ペロー
音楽:アドルフ・アダン
マリア・コチェトコワ
ダニール・シムキン
シムキンくんも大人になりました・・・。
金髪で小柄な均整のとれたスタイルゆえなんとなく童顔なイメージのあるシムキンくんですが、幕切れの、ジゼルとの別れのシーンゆえ終始沈痛な表情。テクニック的にも体型バランス的にもベストパートナーと思われるコチェトコワのジゼルも申し分のない出来で、新境地開拓?
ただ、世界の名ダンサーの競演の場で選ぶには、最高に似合う演目とは言い難いかも。
Bプロのドンキを楽しみにしています。
◆「アポロ」
振付:ジョージ・バランシン
音楽:イーゴリ・ストラヴィンスキー
オレシア・ノヴィコワ
デヴィッド・ホールバーグ
ノヴィコワがテレプシコーラ。
「アポロ」は演目が、イレールのアデュー公演を思い出させるので、つい比較してしまう・・・。
長身で端正なホールバーグに似合った演目ではありました。
◆「コッペリア」
振付:アルチュール・サン=レオン
音楽:レオ・ドリーブ
サラ・ラム
フェデリコ・ボネッリ
ラムがお人形のように可愛い。
ま、コッペリアはお人形なのですが^^
ほっそりとした長い手足にちょっと目が離れている薄口のお顔立ちに小さなパフスリーブのついた金白のチュチュがとてもお似合い。ボネッリは安定感と温かみのあるパートナー振りで、バレフェスならではの外連味には欠けますがロイヤルらしいほっこりペアでした。
― 第2部 ―
◆「瀕死の白鳥」
振付:ミハイル・フォーキン
音楽:カミーユ・サン=サーンス
ヤーナ・サレンコ
サレンコは観る度に評価の上がっていくダンサー。
常に進化している、という印象があります。
「瀕死」は長身のカリスマプリマがキャリアの後半で演じる演目というイメージがついているので、小柄な赤毛の職人系バレリーナのサレンコが選ぶ演目としては正直意外でした。
・・が。
アームスの動きの微細な震えからすべての作りこみと構成が素晴らしく、とても見ごたえのある美しい白鳥でした。
サレンコ、これからも目が離せません。
◆「カラヴァッジオ」
振付:マウロ・ビゴンゼッティ
音楽:ブルーノ・モレッティ(クラウディオ・モンテヴェルディより)
メリッサ・ハミルトン
ロベルト・ボッレ
とても美しいダンサーによるとても美しい作品。
ボッレの彫刻のような陰影のあるボディと、ハミルトンの金髪夜会巻きに胸元と腰にドレープを入れたシンプルなベージュのレオタードがギリシャ・ローマ彫刻のドレープを想起させ、全体に黄昏時のようなはちみつ色に染める照明の効果と相まって、動きのある絵画作品のような趣のある演目でした。
◆「くるみ割り人形」
振付:ルドルフ・ヌレエフ(マリウス・プティパ、レフ・イワーノフに基づく)
音楽:ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー
レオノール・ボラック
ジェルマン・ルーヴェ
オペラ座の新星。オレリー・デュポン芸術監督により任命された若きエトワールペア。
長身で均整の取れた実に美しいプロポーションの二人。パリオペラ座ならではの豪華なお衣装(男性の胸元のボウの縁飾りの繊細さ、胴着のゴブラン織の豪華さなど)に、この演目には金白の柱とシャンデリアの背景も付き、華やかそのもの。
ボラックの大きなティアラに負けない自信を感じさせる堂々とした演技も良いですが、マチューに似たエレガントなヘアスタイルと細部まで丁寧さを心掛けているのが伝わるフレッシュで誠実感のあるルーヴェのこれからが楽しみでなりません。個人的に無駄に細かい(笑)振り付けのヌレエフ版の全幕が大好きなのでその抜粋が見られただけでも嬉しくて頬が緩みっぱなし。
◆「・・・アンド・キャロライン」
振付:アラン・ルシアン・オイエン
音楽:トーマス・ニューマン
オレリー・デュポン
ダニエル・プロイエット
からの、その芸監ご本人によるコンテンポラリー。
現役時代から、デュポンのコンテンポラリーは絶品で。
個人的に、コンテンポラリー専門のバレエ団によるパフォーマンスより、クラシックバレエの主役を務められる要素を兼ね備えたダンサーによるコンテンポラリーのほうが好みです。
オペラ座のコンテンポラリーのもう一つの楽しみは、普段着設定のときのお衣装がとにかく可愛いこと!
今回のデュポンも淡いピンクに白と赤の柄が入ったフレアースカートにゆったりとした広めのVネックにドルマンスリーブの生成のニット。無造作に頭頂部でまとめたシニヨン。
オペラ座の多様性と魅力をアピールする2演目が続きました。
◆「ファラオの娘」
振付:ピエール・ラコット(マリウス・プティパに基づく)
音楽:チェーザレ・プーニ
マリーヤ・アレクサンドロワ
ウラディスラフ・ラントラートフ
ボリショイも負けていません!
退団が本当にショックだったボリショイの名花アレクサンドロワの観客アピールの強いおおらかで堂々とした演技がまた観られるなんて・・・。
神様ありがとうございます(おおげさ)
そして羽が生えているのではと思うほどダイナミックなのに軽快なラントラートフさん・・・好き^^
ファラオの娘は演目としてさほど好きなわけではないのですが、ブルーのチュチュのマーシャとエジプト風のお衣装のラントラートフペアの観客と劇場に対する愛情溢れる幸福感いっぱいの演技を観られてお腹いっぱい。
なのに、ここまででまだ半分とは!
バレフェス恐るべし。
― 第3部 ―
◆「カルメン」
振付:アルベルト・アロンソ
音楽:ジョルジュ・ビゼー、ロディオン・シチェドリン
タマラ・ロホ
イサック・エルナンデス
黒レースの長袖レオタード。頭頂部に赤いバラ。
肌色の脚がいやが上にも目立ちます。
スペイン人であり、いくらでも回転していられる^^;驚異のバランスキープ力を持つロホはどちらかという中肉中背で脚もしっかりとしています。
過去に観たベストカルメンはイザベラ・シアラヴォラ。ほっそりとした美脚であるだけでなく、全身が白く発光するような肌の持ち主で、その脚で誘惑するカルメンの説得力と言ったらなかった。。。
とつい過去の鑑賞の記憶が呼び起こされるのも鑑賞歴が長くなった観客あるあるですが。
タマラのカルメンは力強く、大地に根をおろした存在感があって良かったです。
彼女もENBの芸監として辣腕をふるっていることを考えるとダンサーとしての鍛錬も欠かさずで素晴らしい。
◆「ルナ」
振付:モーリス・ベジャール
音楽:ヨハン・セバスチャン・バッハ
エリザベット・ロス
ロスはベジャールのミューズ。
赤毛のボブとしっかりとした骨格の美貌がはっきりとした黒い眉と赤口紅に映えて、ハンサムなTHE ベジャールダンサーとしての強さを舞台で見せてきた彼女。
舞台を降りると思いがけずほっそりと優しい風情のGAPがまた魅力的な彼女が、現役時代しかも若いころのシルヴィー・ギエムの定番だったこの作品を踊る・・・。
とても興味深く、プログラムが発表されてから楽しみにしていた演目のひとつでしたが。
全身を白のユニタードで覆い、赤毛を夜会巻にまとめたロスは今までの舞台姿よりもオフ寄りのたおやかな風情。
ちょっとしたニュアンスもベジャールの言語が染みついた彼女が踊ると実に雄弁で。
ギエムの美しい「ルナ」は正直観ているうちにこちらの集中力が途切れることもあったのですが、今回は最後まで目が離せませんでした。
先程の発言とは矛盾するようですが、ベジャール作品に限っては、ベジャールの集めたベジャール・ダンサーの表現がやはりしっくりくることが多いと感じます。
◆「アンナ・カレーニナ」
振付:ジョン・ノイマイヤー
音楽:ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー
アンナ・ラウデール
エドウィン・レヴァツォフ
二人ともハンブルクバレエ団を代表するノイマイヤーダンサーで、素晴らしい全幕を見せてもらったこともあるのですが・・・。
ノイマイヤー作品で、古典を現代に置き換えて普段着で演じさせる演目については、実はGALAで観るのが苦手です。全幕で見るとまた違うのですが、なんとも地味でその場面だけで感じ取れるものが近くに迫ってこないというか・・・。
◆「タランテラ」
振付:ジョージ・バランシン
音楽:ルイス・モロー・ゴットシャルク
アシュレイ・ボーダー
レオニード・サラファーノフ
というモヤモヤを一掃してくれる爽やかな二人!
ナポリ風のお衣装でタンバリンを持ってのスピーディな振り付け。
二人とも愛嬌があって音感が良いので、軽快な音楽にぴったりの爽快感。
ただ、タンバリンを使う演目すべてに言えるのですが、アクセントで響かせるタンバリンの音が期待するほど大きくなかったりならなかったり。で、ちょっと、う~~と歯がゆい思いをすることもあるのですが、これは、ダイナミックなジュテや高速フェッテの合間に曲とタイミングをバッチリ合わせてという至難の業ゆえ、いつも致し方ないと思うのですが・・・。
赤いスカーフを頭に巻いて白シャツ黒い膝丈パンツのナポリ男は、ちょっとオデコな親しみやすい容姿と長身なのに持ち味である切れのある動きのサラファーノフにぴったり。
アシュレイ・ボーダーが生き生きとしていて、目線の配り方とかちょっとしたところがコケティッシュで、観ていてどんどん楽しくなるという。
普通、ナポリものってこじんまりと地味になりがちなのですが、二人のオーラでリフレッシュされました。
◆「アフター・ザ・レイン」
振付:クリストファー・ウィールドン
音楽:アルヴォ・ペルト
アレッサンドラ・フェリ
マルセロ・ゴメス
MeTooの流れで告発されたというNEWSに驚かされたゴメス。
過去のダンスパートナーたちからの擁護もありましたが、あれからABTを離れたのでしょうか。
プログラムには2017年まで在籍、近年は振付家として活躍とあるので、彼のキャリアプラン通りの流れであることを祈念します。
それにしても、いったんは引退を表明したフェリがまたバレフェスに戻ってきたという、驚きの展開。
長い髪をそのままに、ほぼノーメイクなのではという、素をさらしたフェリのシンプルなレオタード姿でのパフォーマンスは女優バレリーナとして名をはせた現役時代そのままに、抽象的な作品に込められた豊かな感情に目を惹きつけられる。
ゴメスの安定感と互にリスペクトしていることが感じとれる二人のパートナーシップも見事。
― 第4部 ―
◆「ドン・ジュアン」
振付:ジョン・ノイマイヤー
音楽:クリストフ・ウィリバルド・グルック、トマス・ルイス・デ・ヴィクトリア、トマス・ルイス・デ・ヴィクトリア
シルヴィア・アッツォーニ
アレクサンドル・リアブコ
肘から大きなフリルになっているクラシカルなシルエットの白いドレスの金髪ダウンヘアのアッツォー二と白いレース付の襟をのぞかせた黒いスペイン風のシルエットのお衣装の黒髪のリアブコが好対照。
漁色家のドン・ジュアンが唯一なびかぬ女性を追いかけるが実は彼女は死の象徴・・という場面らしいが、空気のような重力から解放されたアッツォー二の存在感と、時折髪を撫で上げるリアブコのステロタイプな色男演技が新鮮。
ノイマイヤー作品は、こちらや「椿姫」のようなエレガントなお衣装での表現のほうが好みと再認識。
◆「シェエラザード・パ・ド・ドゥ」【世界初演】
振付:リアム・スカーレット
音楽:リムスキー・コルサコフ
アリーナ・コジョカル
ヨハン・コボー
シルエットはアラビア宮廷風ながら、ウォッシュデニムのような素材のお衣装で、どう「シェエラザード」を料理してきたのだろうかと世界初演に興味津々。
予想外に正統派のシェエラザードの世界、だったかと。
コジョカルの情感あふれる演技はいつもながら素晴らしい。コボーとのプライベートでも培われた互いの信頼関係がどの瞬間でも伝わってくる。
作品そのものには驚きはなかったが、魅惑的なメロディーながら繰り返しが多用され、よもすれば単調になりかねない音楽を活かした振り付けで演奏の美しさも堪能。東フィルはこの手の音楽はお手の物ですね。
◆「ヘルマン・シュメルマン」
振付:ウィリアム・フォーサイス
音楽:トム・ウィレムス
ポリーナ・セミオノワ
フリーデマン・フォーゲル
書き終わらないうちにBプロに出かける時間が近づいてきました。
一旦筆をおきます。
続きから。
これはギエムの若いころの動画でしかみたことがないので、今回観られて楽しみ・・というのと、フォーサイスものの特徴として緊張と緩和、瞬発的な動きの妙と全体に漂うスタイリッシュでモダンな中に一抹のユーモアが・・といった魅力が表現できていない上演率が高く。
このお二人は・・・。
黒の襟元の詰まったシースルーのお衣装に女性は黄色のチュチュとスカートの中間のようなものを身に着けて。
ポリーナはキュートな童顔と広い肩幅バレエダンサーにしては存在感のあるお胸で、とてもスポーティな魅力があり、こういった作品は似合いそう。夜会巻でまとめたヘアスタイルは、ギエムのショートボブのお洒落感には及ばず。
後半、男性もこの黄色いスカート?をつけて、ちょっと腰蓑風?
フォーゲル君はこういうちょっとユーモラスなニュアンスが似合いますね。そもそも、バレフェスデビューがピンクのストレッチロングTの「太陽に降り注ぐ雪のように」だったわ。2003年第10回。あれから14年、バレエダンサーとして成熟しつつも若々しさを失わないのは素晴らしいなと。
バレフェスを観ているとつい、記憶の旅に出かけてしまいます^^;
好演でした。
◆「マノン」より 第1幕のパ・ド・ドゥ
振付:ケネス・マクミラン
音楽:ジュール・マスネ
ドロテ・ジルベール
マチュー・ガニオ
甘々な若くて美しい恋人たち。
「寝室のPDD」ブラウス姿で羽ペンを走らせるマチューも生成のコルセットでクシュっと髪をまとめたドロテも
役どころとしてはぴったり。
・・ですが、初日はマクミランならではの技巧的なリフトの振りができていない!とついもどかしく。
「マノン」って役に合うかどうかはまた別として、ギエムの十八番としてもう、展開が脳裏に焼き付いていて、本当はここはもっと細かくリフトされていながらにして脚を小刻みに動かさなくてはならないのに・・端折った↓;;
などと感じてしまい。
2回目、Aプロ最終日に観たときには踊りなれての二人のパートナーシップの深まりからか、マノンとデグリュ―としての演技が素晴らしく、満足度が急上昇。
◆「ドン・キホーテ」
振付:マリウス・プティパ
音楽:レオン・ミンクス
ミリアム・ウルド=ブラーム
マチアス・エイマン
オオトリを務めるお二人。
オペラ座若手と思っていた彼らがオペラ座代表、バレフェス重鎮としてこの位置に。
このところ安定感と貫禄が増してきたマチアスのバジルが立派にトリを務めてくれるだろうというのは想定内でしたが、
ミリアムの堂々たる貴婦人っぷりが感慨深かったです。
オペラ座のキトリは黒レースのチュチュで貴婦人風味なのですよね。
大き目の扇をバサッと使って優雅に見える風格はもはやキトリらしいのかどうかは別として、金髪のミリアムが最大限美しく見えて素晴らしい出来栄えでした。
指揮:ワレリー・オブジャニコフ、ロベルタス・セルヴェニカス
管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団
チェロ:伊藤悠貴(「瀕死の白鳥」)
ピアノ:原久美子(「瀕死の白鳥」、「タランテラ」)
演奏がとても良かったです。
全体にセット付の演目が少なく、舞台美術にお金をかけない分、音楽に重きを置いたのだなと解釈しました。
(故・佐々木氏が初めてバレフェスで東フィルをオケボックスにおいたとき、「東フィルを奮発しました」とおっしゃっていたのが忘れられない^^)
過去には素晴らしい踊りを披露した名ダンサーが、ミスタッチだらけのピアニストを称えて観客の拍手を促したのになんとも苦い心持になったこともあった・・・と思うと、音楽と融合して一体感のある素晴らしい時間を過ごす喜びをありがたく思います。
指揮者も御一人ですべてをこなしておられましたが、今回はお二人で分担されているのも負担軽減で良いと思います。
◆上演時間◆
第1部 14:00~15:00(休憩15分)
第2部 15:15~16:00(休憩15分)
第3部 16:15~17:05(休憩15分)
第4部 17:20~18:25
長らくの休眠をフォローすべく色々と考えている間に時が経ってしまいました。
3年に一度の世界バレエフェスティバル。
思いおこせばわたくしが本格的な(笑)バレエファンとして過ごしてきたのも、
1997年の第8回世界バレエフェスティバルのBプロで、思い立ってNBSに電話してチケットを問い合わせ、ちょうどタケノコ席1列目のお席を頂いたのがきっかけで・・・。
観るべきダンサーを新書館の書籍で事前にチェック、当日も参考書籍を膝に、幕間にメモを取りながらの鑑賞でしたが、ベジャールの「バクチ」をシルヴィー・ギエムとローラン・イレールで観たのがある意味決定的瞬間、でしたね。
あれから20年、NBSさんにはずっとお世話になりっぱなし。
会場で故・佐々木忠次氏の名インプレサリオとしての生涯を描いた桜沢エリカによる「バレエで世界に挑んだ男」を購入して読みましたが、今度お墓参りに行かなくては!と思うレベルで感謝しています。
さて、初日8月1日(水)と千秋楽5日(日)に観ましたAプロ、ざっと感想を。
2018/08/05(日)
【第15回 世界バレエフェスティバル】Aプログラム
― 第1部 ―
◆「ディアナとアクテオン」
振付:アグリッピーナ・ワガノワ
音楽:チェーザレ・プーニ
エリサ・バデネス
ダニエル・カマルゴ
引き締まった体躯とシャープな面立ちが黄土色のギリシャ風衣装にぴったりのカマルゴと
アップヘアを数本のカチューシャを重ねたようなヘッドドレスでまとめたアレンジが白い薄物のディアナの衣装にぴったりのバデネス。
二人ともそれぞれに資質にあった役を軽快かつダイナミックに踊りこなし、二人の美しいプロポーションと疾走感のある演技で一気に引き込まれました。
今回はギエムを始め、常連メンバーがごっそり抜けて世代交代を感じさせるラインナップで、ちょっとテンション低めスタートだったのですが、期待値あがります!
◆「ソナタ」
振付:ウヴェ・ショルツ
音楽:セルゲイ・ラフマニノフ
マリア・アイシュヴァルト
アレクサンドル・リアブコ
白のゆったりとしたシンプルなブラウスにライトグレーのタイツのリアブコ、淡いピンクのちょっと長めのフレアスカートのお衣装のアイシュバルト。シンプルの極みのようなお衣装ですが、心技体揃った二人には音楽さえあればよい・・・といった極めて純度の高い美しさを堪能させていただきました。
初登場からその精緻な踊りであれは誰?となり、その後どのパフォーマンスにおいても期待を裏切ることのないリアブコと、シュツットガルト随一の演技巧者にしてミステリアスな小鳥のような存在感が際立つアイシュバルト、この二人のPDDが見られるというのもバレフェスならでは、ですね。
今回はアイシュバルトのパートナーとして予定されていたマリイン・ラドメーカーが休場という残念なニュースからの急遽のペアでしたが、思いがけず、ファンとしてはたまらない天からのご褒美のようなプログラムでした。
Aプロ全体を振り返ってみても、この演目が一番心に残りました・・・・。
◆「ジゼル」より 第2幕のパ・ド・ドゥ
振付:ジャン・コラーリ、ジュール・ペロー
音楽:アドルフ・アダン
マリア・コチェトコワ
ダニール・シムキン
シムキンくんも大人になりました・・・。
金髪で小柄な均整のとれたスタイルゆえなんとなく童顔なイメージのあるシムキンくんですが、幕切れの、ジゼルとの別れのシーンゆえ終始沈痛な表情。テクニック的にも体型バランス的にもベストパートナーと思われるコチェトコワのジゼルも申し分のない出来で、新境地開拓?
ただ、世界の名ダンサーの競演の場で選ぶには、最高に似合う演目とは言い難いかも。
Bプロのドンキを楽しみにしています。
◆「アポロ」
振付:ジョージ・バランシン
音楽:イーゴリ・ストラヴィンスキー
オレシア・ノヴィコワ
デヴィッド・ホールバーグ
ノヴィコワがテレプシコーラ。
「アポロ」は演目が、イレールのアデュー公演を思い出させるので、つい比較してしまう・・・。
長身で端正なホールバーグに似合った演目ではありました。
◆「コッペリア」
振付:アルチュール・サン=レオン
音楽:レオ・ドリーブ
サラ・ラム
フェデリコ・ボネッリ
ラムがお人形のように可愛い。
ま、コッペリアはお人形なのですが^^
ほっそりとした長い手足にちょっと目が離れている薄口のお顔立ちに小さなパフスリーブのついた金白のチュチュがとてもお似合い。ボネッリは安定感と温かみのあるパートナー振りで、バレフェスならではの外連味には欠けますがロイヤルらしいほっこりペアでした。
― 第2部 ―
◆「瀕死の白鳥」
振付:ミハイル・フォーキン
音楽:カミーユ・サン=サーンス
ヤーナ・サレンコ
サレンコは観る度に評価の上がっていくダンサー。
常に進化している、という印象があります。
「瀕死」は長身のカリスマプリマがキャリアの後半で演じる演目というイメージがついているので、小柄な赤毛の職人系バレリーナのサレンコが選ぶ演目としては正直意外でした。
・・が。
アームスの動きの微細な震えからすべての作りこみと構成が素晴らしく、とても見ごたえのある美しい白鳥でした。
サレンコ、これからも目が離せません。
◆「カラヴァッジオ」
振付:マウロ・ビゴンゼッティ
音楽:ブルーノ・モレッティ(クラウディオ・モンテヴェルディより)
メリッサ・ハミルトン
ロベルト・ボッレ
とても美しいダンサーによるとても美しい作品。
ボッレの彫刻のような陰影のあるボディと、ハミルトンの金髪夜会巻きに胸元と腰にドレープを入れたシンプルなベージュのレオタードがギリシャ・ローマ彫刻のドレープを想起させ、全体に黄昏時のようなはちみつ色に染める照明の効果と相まって、動きのある絵画作品のような趣のある演目でした。
◆「くるみ割り人形」
振付:ルドルフ・ヌレエフ(マリウス・プティパ、レフ・イワーノフに基づく)
音楽:ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー
レオノール・ボラック
ジェルマン・ルーヴェ
オペラ座の新星。オレリー・デュポン芸術監督により任命された若きエトワールペア。
長身で均整の取れた実に美しいプロポーションの二人。パリオペラ座ならではの豪華なお衣装(男性の胸元のボウの縁飾りの繊細さ、胴着のゴブラン織の豪華さなど)に、この演目には金白の柱とシャンデリアの背景も付き、華やかそのもの。
ボラックの大きなティアラに負けない自信を感じさせる堂々とした演技も良いですが、マチューに似たエレガントなヘアスタイルと細部まで丁寧さを心掛けているのが伝わるフレッシュで誠実感のあるルーヴェのこれからが楽しみでなりません。個人的に無駄に細かい(笑)振り付けのヌレエフ版の全幕が大好きなのでその抜粋が見られただけでも嬉しくて頬が緩みっぱなし。
◆「・・・アンド・キャロライン」
振付:アラン・ルシアン・オイエン
音楽:トーマス・ニューマン
オレリー・デュポン
ダニエル・プロイエット
からの、その芸監ご本人によるコンテンポラリー。
現役時代から、デュポンのコンテンポラリーは絶品で。
個人的に、コンテンポラリー専門のバレエ団によるパフォーマンスより、クラシックバレエの主役を務められる要素を兼ね備えたダンサーによるコンテンポラリーのほうが好みです。
オペラ座のコンテンポラリーのもう一つの楽しみは、普段着設定のときのお衣装がとにかく可愛いこと!
今回のデュポンも淡いピンクに白と赤の柄が入ったフレアースカートにゆったりとした広めのVネックにドルマンスリーブの生成のニット。無造作に頭頂部でまとめたシニヨン。
オペラ座の多様性と魅力をアピールする2演目が続きました。
◆「ファラオの娘」
振付:ピエール・ラコット(マリウス・プティパに基づく)
音楽:チェーザレ・プーニ
マリーヤ・アレクサンドロワ
ウラディスラフ・ラントラートフ
ボリショイも負けていません!
退団が本当にショックだったボリショイの名花アレクサンドロワの観客アピールの強いおおらかで堂々とした演技がまた観られるなんて・・・。
神様ありがとうございます(おおげさ)
そして羽が生えているのではと思うほどダイナミックなのに軽快なラントラートフさん・・・好き^^
ファラオの娘は演目としてさほど好きなわけではないのですが、ブルーのチュチュのマーシャとエジプト風のお衣装のラントラートフペアの観客と劇場に対する愛情溢れる幸福感いっぱいの演技を観られてお腹いっぱい。
なのに、ここまででまだ半分とは!
バレフェス恐るべし。
― 第3部 ―
◆「カルメン」
振付:アルベルト・アロンソ
音楽:ジョルジュ・ビゼー、ロディオン・シチェドリン
タマラ・ロホ
イサック・エルナンデス
黒レースの長袖レオタード。頭頂部に赤いバラ。
肌色の脚がいやが上にも目立ちます。
スペイン人であり、いくらでも回転していられる^^;驚異のバランスキープ力を持つロホはどちらかという中肉中背で脚もしっかりとしています。
過去に観たベストカルメンはイザベラ・シアラヴォラ。ほっそりとした美脚であるだけでなく、全身が白く発光するような肌の持ち主で、その脚で誘惑するカルメンの説得力と言ったらなかった。。。
とつい過去の鑑賞の記憶が呼び起こされるのも鑑賞歴が長くなった観客あるあるですが。
タマラのカルメンは力強く、大地に根をおろした存在感があって良かったです。
彼女もENBの芸監として辣腕をふるっていることを考えるとダンサーとしての鍛錬も欠かさずで素晴らしい。
◆「ルナ」
振付:モーリス・ベジャール
音楽:ヨハン・セバスチャン・バッハ
エリザベット・ロス
ロスはベジャールのミューズ。
赤毛のボブとしっかりとした骨格の美貌がはっきりとした黒い眉と赤口紅に映えて、ハンサムなTHE ベジャールダンサーとしての強さを舞台で見せてきた彼女。
舞台を降りると思いがけずほっそりと優しい風情のGAPがまた魅力的な彼女が、現役時代しかも若いころのシルヴィー・ギエムの定番だったこの作品を踊る・・・。
とても興味深く、プログラムが発表されてから楽しみにしていた演目のひとつでしたが。
全身を白のユニタードで覆い、赤毛を夜会巻にまとめたロスは今までの舞台姿よりもオフ寄りのたおやかな風情。
ちょっとしたニュアンスもベジャールの言語が染みついた彼女が踊ると実に雄弁で。
ギエムの美しい「ルナ」は正直観ているうちにこちらの集中力が途切れることもあったのですが、今回は最後まで目が離せませんでした。
先程の発言とは矛盾するようですが、ベジャール作品に限っては、ベジャールの集めたベジャール・ダンサーの表現がやはりしっくりくることが多いと感じます。
◆「アンナ・カレーニナ」
振付:ジョン・ノイマイヤー
音楽:ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー
アンナ・ラウデール
エドウィン・レヴァツォフ
二人ともハンブルクバレエ団を代表するノイマイヤーダンサーで、素晴らしい全幕を見せてもらったこともあるのですが・・・。
ノイマイヤー作品で、古典を現代に置き換えて普段着で演じさせる演目については、実はGALAで観るのが苦手です。全幕で見るとまた違うのですが、なんとも地味でその場面だけで感じ取れるものが近くに迫ってこないというか・・・。
◆「タランテラ」
振付:ジョージ・バランシン
音楽:ルイス・モロー・ゴットシャルク
アシュレイ・ボーダー
レオニード・サラファーノフ
というモヤモヤを一掃してくれる爽やかな二人!
ナポリ風のお衣装でタンバリンを持ってのスピーディな振り付け。
二人とも愛嬌があって音感が良いので、軽快な音楽にぴったりの爽快感。
ただ、タンバリンを使う演目すべてに言えるのですが、アクセントで響かせるタンバリンの音が期待するほど大きくなかったりならなかったり。で、ちょっと、う~~と歯がゆい思いをすることもあるのですが、これは、ダイナミックなジュテや高速フェッテの合間に曲とタイミングをバッチリ合わせてという至難の業ゆえ、いつも致し方ないと思うのですが・・・。
赤いスカーフを頭に巻いて白シャツ黒い膝丈パンツのナポリ男は、ちょっとオデコな親しみやすい容姿と長身なのに持ち味である切れのある動きのサラファーノフにぴったり。
アシュレイ・ボーダーが生き生きとしていて、目線の配り方とかちょっとしたところがコケティッシュで、観ていてどんどん楽しくなるという。
普通、ナポリものってこじんまりと地味になりがちなのですが、二人のオーラでリフレッシュされました。
◆「アフター・ザ・レイン」
振付:クリストファー・ウィールドン
音楽:アルヴォ・ペルト
アレッサンドラ・フェリ
マルセロ・ゴメス
MeTooの流れで告発されたというNEWSに驚かされたゴメス。
過去のダンスパートナーたちからの擁護もありましたが、あれからABTを離れたのでしょうか。
プログラムには2017年まで在籍、近年は振付家として活躍とあるので、彼のキャリアプラン通りの流れであることを祈念します。
それにしても、いったんは引退を表明したフェリがまたバレフェスに戻ってきたという、驚きの展開。
長い髪をそのままに、ほぼノーメイクなのではという、素をさらしたフェリのシンプルなレオタード姿でのパフォーマンスは女優バレリーナとして名をはせた現役時代そのままに、抽象的な作品に込められた豊かな感情に目を惹きつけられる。
ゴメスの安定感と互にリスペクトしていることが感じとれる二人のパートナーシップも見事。
― 第4部 ―
◆「ドン・ジュアン」
振付:ジョン・ノイマイヤー
音楽:クリストフ・ウィリバルド・グルック、トマス・ルイス・デ・ヴィクトリア、トマス・ルイス・デ・ヴィクトリア
シルヴィア・アッツォーニ
アレクサンドル・リアブコ
肘から大きなフリルになっているクラシカルなシルエットの白いドレスの金髪ダウンヘアのアッツォー二と白いレース付の襟をのぞかせた黒いスペイン風のシルエットのお衣装の黒髪のリアブコが好対照。
漁色家のドン・ジュアンが唯一なびかぬ女性を追いかけるが実は彼女は死の象徴・・という場面らしいが、空気のような重力から解放されたアッツォー二の存在感と、時折髪を撫で上げるリアブコのステロタイプな色男演技が新鮮。
ノイマイヤー作品は、こちらや「椿姫」のようなエレガントなお衣装での表現のほうが好みと再認識。
◆「シェエラザード・パ・ド・ドゥ」【世界初演】
振付:リアム・スカーレット
音楽:リムスキー・コルサコフ
アリーナ・コジョカル
ヨハン・コボー
シルエットはアラビア宮廷風ながら、ウォッシュデニムのような素材のお衣装で、どう「シェエラザード」を料理してきたのだろうかと世界初演に興味津々。
予想外に正統派のシェエラザードの世界、だったかと。
コジョカルの情感あふれる演技はいつもながら素晴らしい。コボーとのプライベートでも培われた互いの信頼関係がどの瞬間でも伝わってくる。
作品そのものには驚きはなかったが、魅惑的なメロディーながら繰り返しが多用され、よもすれば単調になりかねない音楽を活かした振り付けで演奏の美しさも堪能。東フィルはこの手の音楽はお手の物ですね。
◆「ヘルマン・シュメルマン」
振付:ウィリアム・フォーサイス
音楽:トム・ウィレムス
ポリーナ・セミオノワ
フリーデマン・フォーゲル
書き終わらないうちにBプロに出かける時間が近づいてきました。
一旦筆をおきます。
続きから。
これはギエムの若いころの動画でしかみたことがないので、今回観られて楽しみ・・というのと、フォーサイスものの特徴として緊張と緩和、瞬発的な動きの妙と全体に漂うスタイリッシュでモダンな中に一抹のユーモアが・・といった魅力が表現できていない上演率が高く。
このお二人は・・・。
黒の襟元の詰まったシースルーのお衣装に女性は黄色のチュチュとスカートの中間のようなものを身に着けて。
ポリーナはキュートな童顔と広い肩幅バレエダンサーにしては存在感のあるお胸で、とてもスポーティな魅力があり、こういった作品は似合いそう。夜会巻でまとめたヘアスタイルは、ギエムのショートボブのお洒落感には及ばず。
後半、男性もこの黄色いスカート?をつけて、ちょっと腰蓑風?
フォーゲル君はこういうちょっとユーモラスなニュアンスが似合いますね。そもそも、バレフェスデビューがピンクのストレッチロングTの「太陽に降り注ぐ雪のように」だったわ。2003年第10回。あれから14年、バレエダンサーとして成熟しつつも若々しさを失わないのは素晴らしいなと。
バレフェスを観ているとつい、記憶の旅に出かけてしまいます^^;
好演でした。
◆「マノン」より 第1幕のパ・ド・ドゥ
振付:ケネス・マクミラン
音楽:ジュール・マスネ
ドロテ・ジルベール
マチュー・ガニオ
甘々な若くて美しい恋人たち。
「寝室のPDD」ブラウス姿で羽ペンを走らせるマチューも生成のコルセットでクシュっと髪をまとめたドロテも
役どころとしてはぴったり。
・・ですが、初日はマクミランならではの技巧的なリフトの振りができていない!とついもどかしく。
「マノン」って役に合うかどうかはまた別として、ギエムの十八番としてもう、展開が脳裏に焼き付いていて、本当はここはもっと細かくリフトされていながらにして脚を小刻みに動かさなくてはならないのに・・端折った↓;;
などと感じてしまい。
2回目、Aプロ最終日に観たときには踊りなれての二人のパートナーシップの深まりからか、マノンとデグリュ―としての演技が素晴らしく、満足度が急上昇。
◆「ドン・キホーテ」
振付:マリウス・プティパ
音楽:レオン・ミンクス
ミリアム・ウルド=ブラーム
マチアス・エイマン
オオトリを務めるお二人。
オペラ座若手と思っていた彼らがオペラ座代表、バレフェス重鎮としてこの位置に。
このところ安定感と貫禄が増してきたマチアスのバジルが立派にトリを務めてくれるだろうというのは想定内でしたが、
ミリアムの堂々たる貴婦人っぷりが感慨深かったです。
オペラ座のキトリは黒レースのチュチュで貴婦人風味なのですよね。
大き目の扇をバサッと使って優雅に見える風格はもはやキトリらしいのかどうかは別として、金髪のミリアムが最大限美しく見えて素晴らしい出来栄えでした。
指揮:ワレリー・オブジャニコフ、ロベルタス・セルヴェニカス
管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団
チェロ:伊藤悠貴(「瀕死の白鳥」)
ピアノ:原久美子(「瀕死の白鳥」、「タランテラ」)
演奏がとても良かったです。
全体にセット付の演目が少なく、舞台美術にお金をかけない分、音楽に重きを置いたのだなと解釈しました。
(故・佐々木氏が初めてバレフェスで東フィルをオケボックスにおいたとき、「東フィルを奮発しました」とおっしゃっていたのが忘れられない^^)
過去には素晴らしい踊りを披露した名ダンサーが、ミスタッチだらけのピアニストを称えて観客の拍手を促したのになんとも苦い心持になったこともあった・・・と思うと、音楽と融合して一体感のある素晴らしい時間を過ごす喜びをありがたく思います。
指揮者も御一人ですべてをこなしておられましたが、今回はお二人で分担されているのも負担軽減で良いと思います。
◆上演時間◆
第1部 14:00~15:00(休憩15分)
第2部 15:15~16:00(休憩15分)
第3部 16:15~17:05(休憩15分)
第4部 17:20~18:25
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