もうすぐ8月30日の千秋楽を迎えるこの公演、
宙組7代目トップスター朝夏まなとお披露目公演として、7月31日の初日から3回、間にバレフェスをはさんで後半3回観ました。
主要3役が初演とはまた違った味で、しっかりと役として生きていたところに加えて、脇のエチオピア、エジプト両陣営の立場や考え方の違い、推移、現代にも通じる戦争・国家・平和の意味など、大きなテーマが男女の愛憎・父娘の情のタペストリーから浮き上がる、演出家木村信司の真骨頂とでもいうべき作品を、新生宙組がそのコーラス力、団体力で華麗に蘇らせた素晴らしい再演だったと思います。
個々に感想を・・・
■ラダメス(エジプトの若き武将) 朝夏 まなと
ステキなTOPさんになられた・・と感動。
もともと金管楽器のように響きの良いお声の持ち主でしたが、時折トランペット奏者がやらかしてしまうように”吹かす”ときがあるのが気になっていたのですが、この作品ではほとんどそれが見受けられず、歌の先生から声帯に負担をかけず、全身で発声する方法を伝授されたとかで、公演毎の声の好不調もなく、力強い歌声・雄たけびを効かせてくれました。
と同時に、平和を望む理想化肌のイデアリストとして、現実主義のエジプト人の中では浮いてしまい、却って外国の王族であるアイ―ダに自分に近い心を見出して惹かれるという役作りで思いだすのが、宙組異動第一作の「銀河英雄伝説」で敵対する勢力との捕虜交換式で敵軍の将と心通わせるキルヒアイス。
一貫した高潔な(故に友に囲まれていてもどこか孤独な)ヒーローが似合う人だと再認識。
ラストシーン、石室でアイ―ダと互いを暗闇で探しあい銀橋のセンターで手探りでまみえるところから頬が涙で濡れる熱演。気持ちの入った演技に惹きこまれました。
フィナーレ・ナンバーでの黒燕尾で長い腕を伸ばして落とした時に覗く細い手首が魅力的。大空祐飛さんが観劇後楽屋を訪れた時にそこがツボとおっしゃって、だからカッタ―(下シャツ)は着ない方が良いかもねとおっしゃったという話を聞いた時には思わずゆうひさん!!と膝を打ちました^^
デュエットダンスの時の実咲さんとの体格バランス差の加減やリフト回転の安定感など、ダンスもステキ。
■アイーダ(エジプトの囚人、エチオピア王女) 実咲 凜音
清らな美しさを持っているけれど、現実を見据えつつ、自分の中での価値観の優先順位はしっかりと持ち続けることのできる芯の強さも持ち合わせている女性。
オペラ「アイ―ダ」のアイ―ダはエチオピア王女としての自我が強く、エジプト将軍との愛に大いなる葛藤を覚えるのですが、この作品の実咲さんのアイ―ダは王女として周囲から望まれることにとまどいを覚え、現実の中でエジプト人にさげずまれようとエチオピア人に失望されようと、プライドよりも命を大切に考える、真っすぐで行動的な女性として造形されているように思いました。
ラダメスに心動かされる様を執拗に批難する兄ウバルドに対する「あら、いたの」のクールな言い方が好きでした^^;
そんな彼女が、強がってラダメスを突き放した時、ラダメスがそんな男を愛したのか!と怒りを見せるとプルプルと全力で頭を横に振る様は大層可愛らしかったです^^
■アムネリス(エジプト王ファラオの娘) 伶美 うらら
好評を得、芸術祭優秀賞も獲得したこの作品が12年の長きに渡って封印されてきたのは、アムネリス役の適任者がいなかったからでは・・・。
壇れい以来の美人娘役として一国を背負うファラオに自ら名乗りをあげるアムネリスを演じる重圧は特に以前から課題と言われた歌唱面で大きかったことと思いますが、美しさ、存在感、そして歌唱面の飛躍的な進歩は今後の彼女の躍進を期待させるだけのものがありました。
もともと、ファラオの一人娘として溺愛され、自らが王家の血統を絶やさぬために次期ファラオにふさわしい人物に嫁ぐ身であること、物質的な豊かさ・人々が自分に向ける愛全てがその対価であることを知る彼女は、初めてその自然の摂理と思っていたことが絶対ではないのだと、ラダメスの拒絶によって知らしめられます。
そして父王ファラオの暗殺・・・。そこで、彼女は自らの義務を果たし、もっとも辛い決断―父王の死を受け入れること、愛するラダメスの処刑宣告を同時に果たさなくてはならなくなり・・そして、ラダメスを密かに救おうとして再度の拒絶に会うという追い討ちも。
一度は父王を暗殺したエチオピア勢力の根絶を図りますが、最後にはラダメスの精神を理解し、戦いの空しさを知る彼女が賢帝としてその後エジプトを立派におさめたに違いない・・と、立派な「アムネリスの成長譚」としても読める作品に仕上げてきた伶美さんにやはりこの人ならではのスター性を感じました。
オペラでいつも楽しみにしていて、時折手ひどく裏切られるアムネリスのブドワールの場面、女官 にかしずかれる優雅な王女・・の姿も堂にいって、きっと重いであろう豪奢なヘッドドレスも含めたドレスの着こなし、身ごなしも娘役ならではの優雅さでありつつ、「エチオピアを滅ぼしに行きましょう!」の雄々しさも格別。
新人公演で主演の同期・桜木みなとに「ずんちゃんの幼馴染設定だから!」と挨拶に行き、同じく同期の七生眞希の化粧を真似したと言う新人公演のイケメンエジプト兵の彼女を観られなかったのが返す返すも残念ですxxx
■ウバルド(アイーダの兄) 真風 涼帆
星組3番手から宙組2番手に。この組替え、大成功でしたね!
もとより長身でザ・男役な面長のクールフェイスというなクラシカルなスター性を持つ彼女。
ギラギラ最下に至るまで自分の個性を主張するのがデフォの星組ではややおとなしくおっとりとした下級生ポジの枠組みで観られがちでしたが、素直でスマートな宙組生の中にあっては時折ギラリと光る星生え抜きの濃い輝きが良いアクセントになって、馴染みつつも一際カッコ良いウバルド兄さん。
冒頭の 時のさまよい人から中盤ナイフをかざしてアイ―ダを挑発し女たちをあおる場面、終盤のファラオ暗殺まで、初演では大した役ではなかったというウバルドという役をロミジュリで言えばティボルト格まで引き上げたのは彼女の功積ですね。
父王をかばうアイ―ダをかばうウバルドの図、妹に基本邪険にされながらも兄としていざという時には盾になる。
舞台袖からセンターへ一瞬で疾走するシャープな身ごなしも魅力。
ファラオ暗殺を決意したときの「神に赦されている」との独善。ためらうことなく自害しつつもエジプト側に火種を残すインパクトある台詞回しなど、センターをとったときの存在感・表現力も充分で、宙組は強力な補強をし得たと確信しました。
そしてなんといってもフィナーレ最初の通称「マカゼファイブ」
クールパステルのヅカ衣装に身を包んだエチオピア3、ラダメスの親友エジプト将校2人が仲良く(笑)登場して銀橋に並ぶ時、2番手マカゼセンターの収まりの良さといったら!
黒燕尾のまぁさま(朝夏)のソロの途中で一緒に踊るまぁマカの並びも新鮮で、これからの宙組の安泰感がいやがうえにも増したことでした。
■アモナスロ 一樹 千尋
■ファラオ 箙 かおる
初演の王、専科のお2人が同じ役を12年の歳月の後、再び演じます。
アモナスロの一樹さんは企みごとを行う2面性、国が滅びて尚、支配者としてふるまう狂気、人間というもののどうしようもなさ、を巧みに表現。
箙さんは独特のメイク、豪奢な衣装、ブランコで天井からつりさげられて降りてくる演出などに負けない強く響く声とファラオの人間的な大きさを大らかに演じ、さすがの専科という感じ。
■ケペル(ラダメスの戦友) 愛月 ひかる
■メレルカ(ラダメスの戦友) 桜木 みなと
ラダメスの戦友2人。
メレルカの桜木さんは新公で主役を演じるとあって、本公演ではあまり主張せず、最下ながら3人の中では一番年上設定で落ち付いている軍人という役作りだとか。自信に満ちた笑顔がどこか元花組TOPスターの真飛聖さんを思い起こさせます。歌も安定の実力派。
対するケぺルの愛月さんはこの公演から正3番手の扱いに。
ラダメスが理想を説く時に何を言っているんだというとまどい、裏切り者はおそらく自分だ、と告白した時になぜ・・!!と激しく慟哭するなど、対ラダメスとして細やかに心を動かして、それを表情に出しながら、その表情が男役としてカッコいい、という愛月さんの成長に、これが新公時代には本役の完コピと言われていた愛ちゃんか・・と感慨深いです。
凱旋のダンス、一度だけ観た2階席からの光景がすばらしく・・・。
1人1人、菱形のスポットライトが当たり、それが客席側に頂点を持ってきた三角形の陣営になっていて、奥の方に鏡でも使っているのか、どこまでも果てしなく金の鎧のエジプト兵が続く・・ように見えて、場面としての拵えも素晴らしいのですが、冒頭愛ちゃんのソロから始まるこのエキゾチックなダンス、センターの気合と存在感もバッチリでした。
実際に1人1人を観ると一番キレているダンスを見せているのは和希そらくんだったりするのですけれどもね^^
■カマンテ(エチオピア王家の元家臣) 澄輝 さやと
■サウフェ(エチオピア王家の元家臣) 蒼羽 りく
対するウバルド兄さんの脇を固めるエチオピア勢。
澄輝さんはアイ―ダに対してかなり大胆に厳しいことを言いますね。その歌と同様、表情も視線がキッと定まって、クールな面を出してきました。
アイ―ダのセリフ「優しかったお前が・・」が唯一サウフェの役作りの源となったのか。
キッと思いつめた風情のあっきー(澄輝)カマンテに対してりくサウフェはいつもどこか悲しそう。
戦乱の祖国で様々な辛い思いをし、今エチオピアの王族とともにエジプトの虜囚であることに深い悲しみを抱いている風情。そんなナイーブな少年(青年?)までもが、ウバルドの夢でお告げを得た=ファラオ暗殺は神に赦されている!の宣言に目を輝かせ 任務を遂行した後は迷わず自害し果てる。
全く疑問を持たず粛々と復讐劇に加担するというのがどこかリアルで恐ろしい。
冒頭のダンス、横たわるあっきーを飛び越えてターンする、という振りがあり、さすがダンサーだけあって不安はないなと安心して観ていたのですが、ご本人は決して踏んではならないと相当緊張していらっしゃるそう^^
フィナーレで2番手マカゼセンターの「マカゼFIVE」、皆クールパステルのマカロン色のお衣装がお似合いですが、りくちゃんの紫がかったクールなブル―が黒塗りに映えてとてもお似合い。
ただ立ち位置が、愛ちゃん3番手確定により、愛りくシンメだったのが、学年順で、あっきーが上という扱いになり、新公主演トップ候補に名のりをあげた下級生ずんちゃん(桜木)とのシンメ位置になったこと、それに従い、パレードでも階段降りをせず、路線ではないスターの凛城さんと並びの扱いになっていること・・・にファンは若干胸が痛みますね。。。去年は愛月さんが初主演を決めたバウ、今年は桜木さん主演に出演も決まっているので花で言うあきらくん(瀬戸かずや)ポジを目指す感じになるのでしょうか。ダンスが素晴らしく、心のある芝居が出来るヒトなので、これからも長く活躍してほしいと願っています。
■ネセル 寿 つかさ
■ヘレウ(神官) 凛城 きら
■メウ(神官) 松風 輝
そして、愛月さんバウで上級生別格として2番手どころを務めた凛城さん、白塗りで眉を消し、ぽってりとした唇が映える無表情な神官、お似合いです。ラダメスを厳しくいさめつつも実はかなりの生臭坊主という組長すっしーさん(寿)をセンターに、芝居功者りんきらさん、実は美形なのにそれをけどらせない(笑)濃い演技のまっぷー(松風)という神官チームも「美人選び」の場面で”お金と力”を誇示し、見せ場がありました。
すっしーさんが公演中ずっと喉の調子が悪そうなのがちょっと残念。
フィナーレの黒燕尾で白塗りメイクのままシケを垂らした男役ヘアになったりんきらさんが色っぽくてちょっとツボでした^^;
■ワーヘド(女官) 純矢 ちとせ
■イトネーン(女官) 花里 まな
■女官 愛白 もあ
■女官 結乃 かなり
■タラータ(女官) 綾瀬 あきな
■女官 花咲 あいり
■アルバア(女官) 彩花 まり
■女官 瀬戸花 まり
そして”美人選び”の場面といえば・・・の女官たち。
2番手娘役どころから女王までなんでもこなせる美声のせーこちゃん(純矢)。
女官達の一人として衣装にも立ち位置にも差がないのが違和感なれど、細やかなリアクション、アムネリス様への絶対の尊敬のまなざし、アイ―ダへのイジメ場面で手ぬぐいをひねって打ちすえ、、アムネリス様が現れると冷静にそれを柱の陰にかたずける手際の良さといい怖さが際立ちまぎれもなくあなた様が女官長・・と言いたくなる迫力に満ちていました。
そんなせーこちゃんの本編での役の軽さとのバランスをとったのがエトワール起用で、それに割をくった形になったのが今回退団でエトワールを切望していた花里まなちゃん。
上品で、歌も上手で立ち居振る舞いの綺麗な娘役さんで好きだったのですが、残念です。
綾瀬あきなちゃんの笑顔のときに^^となるアイラインなど女官たちはアイメイクにこだわりがありそう。
■アウウィル(女官) 瀬音 リサ
■ターニ(女官) 遥羽 らら
「王家」再演が決まった時にまず、話題になったのが今回の「スゴツヨ」はダレ?
12年前の星組初演で、後に宙組TOP娘役になる陽月華ちゃんが抜擢された役、というのと、「エジプトはスゴイ、エジプトは強い」というなんとも言い難いインパクトのある歌詞と耳について離れないメロディのおかげで・・・。
GOLDまばゆい女官たちの中でこの2人だけ三日月のようなヘッドドレスをつけている、というモブ演技の多い娘役の中では美味しい役どころ。
つぶらな瞳なれど女子力高く、柔らかな美声のありさちゃん(瀬音)とこのところバウ2番手娘役ポジなど押されている?運動会で俊足も披露した遥羽ららちゃんが務めます。
”美人選び”神官たちが美人コンテスト?する場面、シナを作る女官たちの中で1人、ありさちゃんはまさかの力持ちアピール。ボディビルダーのポーズをとってすっしーさんの眼にとまります。日によってはラダメスの「うぉおおおお」の雄たけびも!^^;
2人目を選ぶときに一斉に女官達がボディビルダーポーズをとる中今度はキャピッとぶりっこポーズをとるららちゃん。2度とも驚いてマジマジとみるせーこちゃんの表情がツボ。
■ファトマ 美風 舞良
■ヤナーイル(囚人) 大海 亜呼
■フィブラーイル(囚人) 花音 舞
■マーリス(囚人) 桜音 れい
■マーユー(囚人) 真みや 涼子
■ユーニユー(囚人) 美桜 エリナ
■イブリール(囚人) 小春乃 さよ
対するのが、美風舞良副組長、アイ―ダ付の女官 ファトマ率いるエチオピアの女たち。
故郷を思って歌うアフリカ民謡的なゆったりした歌を歌うときにこの宙組自慢の歌ウマ娘役揃いのエチオピアメンバーが光ります。
煌びやかなエジプト勢との対比で簡素な衣装に黒塗りではありますが、それぞれアフリカ女性らしいヘアスタイルなどにもこだわりが。
特に真みや涼子さんの大きなお団子の野趣と腰を大きくゆったりと振って踊り歌う大らかさにアフリカの大地を感じました。彼女はいつも娘役芝居をちょっと超えた感触のある芝居心溢れる演技を見せますね。
今回で退団の名ダンサー大海亜呼さんにダンスの見せ場がなかったのが残念といえば残念ですが、生命感溢れる彼女ならではの存在感はしっかりだしてきていました。
副組長美風舞良さんはしっかりとしたテクニックで難しい発声も難なくこなし、宙バウで歌ウマ娘役と認識した小春乃さよちゃんがこのチームに入っているのにも安定感を感じたことでした。
■エジプトの戦士(伝令1) 天玲 美音
■エジプトの戦士(伝令2) 風馬 翔
■エジプトの戦士(伝令3) 和希 そら
ファラオのいる広場に駆け込み、戦況を絶叫しながら伝えると息絶える・・・というインパクトのある役割「伝令」。
濃いメンツが揃いました。
美声の天玲(の伝令って・・名前で選ばれた?^^;)さん、歌もダンスも・・・の翔・そら。
翔くんは兵士としてのふるまいにも雄々しさがあり、そらちゃんはダンス場面ではセンターでなくても目を奪うちょっとした振りのセンスの良いさばきかたに目を惹かれました。
■伝令 瑠風 輝
■エジプトの戦士 春瀬 央季
ラダメス将軍率いるエジプト軍の大勝利をアムネリス様に伝えるのが瑠風くん。今回新公ウバルドで2番手真風くんの役を務めて好評だった歌ウマ長身の98期。期待の若手ですね。他組の98期男役といえば、月の暁千星、星の綾凰華・天華えまといったところ。目が切れ長で、笑顔がちょっと左右対称でないので下級生のうちから可愛らしさで人気がでるタイプではなさそうですが、今回、真風くんにお化粧を観てもらっているとかで、見せ方であと一歩の華がでてくればと期待しています。
そして、宙組らしい長身のきれいどころが揃った94期の春瀬くん。
並いるエジプト兵士の中でもそのクールでエキゾチックな美貌ですぐ春瀬くんがいる、とわかりますね。
その先・・・の芸で何か秀でたものがあれば・・とずっと思っているのですが^^;
■エチオピアの戦士(歌手) 星吹 彩翔
■エチオピアの戦士 美月 悠
■エチオピアの戦士 星月 梨旺
宙組の宝、モンチ(星吹)が凱旋のエジプトにエチオピア捕虜として引きだされた瞬間、煌びやかな広場の様子にとまどい、これが自分たちの敵の実力か・・と驚愕して歌う「光ってやがる!」の美声にいつもほれぼれしていました。
演技も歌もダンスもそつなく、役を与えられるとそこの命を吹き込み、団体戦では下級生チームを率いてまとめる、本当に力のある中堅男役です。愛りくバトルの93期にあって、しっかりと宙を支えているモンチ、いつまでもいてください。
そしてエチオピア人って黒塗りだけれど、王女アイ―ダ王子ウバルドを筆頭に相当の美形ぞろいでは・・・という疑いが確信に変るさお(美月)りお(星月)。
ラダメス将軍率いるエジプト軍のエチオピア討伐の場面、1人のエチオピア人を5人のエジプト兵が囲み、刺し、切り、踏みつけ・・をたっぷりとスローモーションで見せながら、愛月、桜木の将兵格がとどめをさし、さらに5人が一斉に槍で刺す・・というすさまじい戦闘場面で、その激しい場面をスローモーションで見せる宙組生の体力筋力芝居力に、とりわけ前方席では愕然と見入ってしまったものですが、やはり、生徒たちはこの場面、筋トレ(笑)として、ムリな体勢もがんばっているのだとか^^;
常に大人数の豊かなコーラス、迫力のある戦闘や群衆場面が続くのですが、舞台裏では大変なことになっているらしく、例えばエジプトを称える歌を裏で歌った直後にはエチオピア捕虜として引きずり出される・・・という国や立場を超えた活躍を皆が一丸となって行っているとのことですが、その宙組の総力結集が素晴らしい舞台と言う形に見事に結晶した今回の公演だったと思います。
宙組7代目トップスター朝夏まなとお披露目公演として、7月31日の初日から3回、間にバレフェスをはさんで後半3回観ました。
主要3役が初演とはまた違った味で、しっかりと役として生きていたところに加えて、脇のエチオピア、エジプト両陣営の立場や考え方の違い、推移、現代にも通じる戦争・国家・平和の意味など、大きなテーマが男女の愛憎・父娘の情のタペストリーから浮き上がる、演出家木村信司の真骨頂とでもいうべき作品を、新生宙組がそのコーラス力、団体力で華麗に蘇らせた素晴らしい再演だったと思います。
個々に感想を・・・
■ラダメス(エジプトの若き武将) 朝夏 まなと
ステキなTOPさんになられた・・と感動。
もともと金管楽器のように響きの良いお声の持ち主でしたが、時折トランペット奏者がやらかしてしまうように”吹かす”ときがあるのが気になっていたのですが、この作品ではほとんどそれが見受けられず、歌の先生から声帯に負担をかけず、全身で発声する方法を伝授されたとかで、公演毎の声の好不調もなく、力強い歌声・雄たけびを効かせてくれました。
と同時に、平和を望む理想化肌のイデアリストとして、現実主義のエジプト人の中では浮いてしまい、却って外国の王族であるアイ―ダに自分に近い心を見出して惹かれるという役作りで思いだすのが、宙組異動第一作の「銀河英雄伝説」で敵対する勢力との捕虜交換式で敵軍の将と心通わせるキルヒアイス。
一貫した高潔な(故に友に囲まれていてもどこか孤独な)ヒーローが似合う人だと再認識。
ラストシーン、石室でアイ―ダと互いを暗闇で探しあい銀橋のセンターで手探りでまみえるところから頬が涙で濡れる熱演。気持ちの入った演技に惹きこまれました。
フィナーレ・ナンバーでの黒燕尾で長い腕を伸ばして落とした時に覗く細い手首が魅力的。大空祐飛さんが観劇後楽屋を訪れた時にそこがツボとおっしゃって、だからカッタ―(下シャツ)は着ない方が良いかもねとおっしゃったという話を聞いた時には思わずゆうひさん!!と膝を打ちました^^
デュエットダンスの時の実咲さんとの体格バランス差の加減やリフト回転の安定感など、ダンスもステキ。
■アイーダ(エジプトの囚人、エチオピア王女) 実咲 凜音
清らな美しさを持っているけれど、現実を見据えつつ、自分の中での価値観の優先順位はしっかりと持ち続けることのできる芯の強さも持ち合わせている女性。
オペラ「アイ―ダ」のアイ―ダはエチオピア王女としての自我が強く、エジプト将軍との愛に大いなる葛藤を覚えるのですが、この作品の実咲さんのアイ―ダは王女として周囲から望まれることにとまどいを覚え、現実の中でエジプト人にさげずまれようとエチオピア人に失望されようと、プライドよりも命を大切に考える、真っすぐで行動的な女性として造形されているように思いました。
ラダメスに心動かされる様を執拗に批難する兄ウバルドに対する「あら、いたの」のクールな言い方が好きでした^^;
そんな彼女が、強がってラダメスを突き放した時、ラダメスがそんな男を愛したのか!と怒りを見せるとプルプルと全力で頭を横に振る様は大層可愛らしかったです^^
■アムネリス(エジプト王ファラオの娘) 伶美 うらら
好評を得、芸術祭優秀賞も獲得したこの作品が12年の長きに渡って封印されてきたのは、アムネリス役の適任者がいなかったからでは・・・。
壇れい以来の美人娘役として一国を背負うファラオに自ら名乗りをあげるアムネリスを演じる重圧は特に以前から課題と言われた歌唱面で大きかったことと思いますが、美しさ、存在感、そして歌唱面の飛躍的な進歩は今後の彼女の躍進を期待させるだけのものがありました。
もともと、ファラオの一人娘として溺愛され、自らが王家の血統を絶やさぬために次期ファラオにふさわしい人物に嫁ぐ身であること、物質的な豊かさ・人々が自分に向ける愛全てがその対価であることを知る彼女は、初めてその自然の摂理と思っていたことが絶対ではないのだと、ラダメスの拒絶によって知らしめられます。
そして父王ファラオの暗殺・・・。そこで、彼女は自らの義務を果たし、もっとも辛い決断―父王の死を受け入れること、愛するラダメスの処刑宣告を同時に果たさなくてはならなくなり・・そして、ラダメスを密かに救おうとして再度の拒絶に会うという追い討ちも。
一度は父王を暗殺したエチオピア勢力の根絶を図りますが、最後にはラダメスの精神を理解し、戦いの空しさを知る彼女が賢帝としてその後エジプトを立派におさめたに違いない・・と、立派な「アムネリスの成長譚」としても読める作品に仕上げてきた伶美さんにやはりこの人ならではのスター性を感じました。
オペラでいつも楽しみにしていて、時折手ひどく裏切られるアムネリスのブドワールの場面、女官 にかしずかれる優雅な王女・・の姿も堂にいって、きっと重いであろう豪奢なヘッドドレスも含めたドレスの着こなし、身ごなしも娘役ならではの優雅さでありつつ、「エチオピアを滅ぼしに行きましょう!」の雄々しさも格別。
新人公演で主演の同期・桜木みなとに「ずんちゃんの幼馴染設定だから!」と挨拶に行き、同じく同期の七生眞希の化粧を真似したと言う新人公演のイケメンエジプト兵の彼女を観られなかったのが返す返すも残念ですxxx
■ウバルド(アイーダの兄) 真風 涼帆
星組3番手から宙組2番手に。この組替え、大成功でしたね!
もとより長身でザ・男役な面長のクールフェイスというなクラシカルなスター性を持つ彼女。
ギラギラ最下に至るまで自分の個性を主張するのがデフォの星組ではややおとなしくおっとりとした下級生ポジの枠組みで観られがちでしたが、素直でスマートな宙組生の中にあっては時折ギラリと光る星生え抜きの濃い輝きが良いアクセントになって、馴染みつつも一際カッコ良いウバルド兄さん。
冒頭の 時のさまよい人から中盤ナイフをかざしてアイ―ダを挑発し女たちをあおる場面、終盤のファラオ暗殺まで、初演では大した役ではなかったというウバルドという役をロミジュリで言えばティボルト格まで引き上げたのは彼女の功積ですね。
父王をかばうアイ―ダをかばうウバルドの図、妹に基本邪険にされながらも兄としていざという時には盾になる。
舞台袖からセンターへ一瞬で疾走するシャープな身ごなしも魅力。
ファラオ暗殺を決意したときの「神に赦されている」との独善。ためらうことなく自害しつつもエジプト側に火種を残すインパクトある台詞回しなど、センターをとったときの存在感・表現力も充分で、宙組は強力な補強をし得たと確信しました。
そしてなんといってもフィナーレ最初の通称「マカゼファイブ」
クールパステルのヅカ衣装に身を包んだエチオピア3、ラダメスの親友エジプト将校2人が仲良く(笑)登場して銀橋に並ぶ時、2番手マカゼセンターの収まりの良さといったら!
黒燕尾のまぁさま(朝夏)のソロの途中で一緒に踊るまぁマカの並びも新鮮で、これからの宙組の安泰感がいやがうえにも増したことでした。
■アモナスロ 一樹 千尋
■ファラオ 箙 かおる
初演の王、専科のお2人が同じ役を12年の歳月の後、再び演じます。
アモナスロの一樹さんは企みごとを行う2面性、国が滅びて尚、支配者としてふるまう狂気、人間というもののどうしようもなさ、を巧みに表現。
箙さんは独特のメイク、豪奢な衣装、ブランコで天井からつりさげられて降りてくる演出などに負けない強く響く声とファラオの人間的な大きさを大らかに演じ、さすがの専科という感じ。
■ケペル(ラダメスの戦友) 愛月 ひかる
■メレルカ(ラダメスの戦友) 桜木 みなと
ラダメスの戦友2人。
メレルカの桜木さんは新公で主役を演じるとあって、本公演ではあまり主張せず、最下ながら3人の中では一番年上設定で落ち付いている軍人という役作りだとか。自信に満ちた笑顔がどこか元花組TOPスターの真飛聖さんを思い起こさせます。歌も安定の実力派。
対するケぺルの愛月さんはこの公演から正3番手の扱いに。
ラダメスが理想を説く時に何を言っているんだというとまどい、裏切り者はおそらく自分だ、と告白した時になぜ・・!!と激しく慟哭するなど、対ラダメスとして細やかに心を動かして、それを表情に出しながら、その表情が男役としてカッコいい、という愛月さんの成長に、これが新公時代には本役の完コピと言われていた愛ちゃんか・・と感慨深いです。
凱旋のダンス、一度だけ観た2階席からの光景がすばらしく・・・。
1人1人、菱形のスポットライトが当たり、それが客席側に頂点を持ってきた三角形の陣営になっていて、奥の方に鏡でも使っているのか、どこまでも果てしなく金の鎧のエジプト兵が続く・・ように見えて、場面としての拵えも素晴らしいのですが、冒頭愛ちゃんのソロから始まるこのエキゾチックなダンス、センターの気合と存在感もバッチリでした。
実際に1人1人を観ると一番キレているダンスを見せているのは和希そらくんだったりするのですけれどもね^^
■カマンテ(エチオピア王家の元家臣) 澄輝 さやと
■サウフェ(エチオピア王家の元家臣) 蒼羽 りく
対するウバルド兄さんの脇を固めるエチオピア勢。
澄輝さんはアイ―ダに対してかなり大胆に厳しいことを言いますね。その歌と同様、表情も視線がキッと定まって、クールな面を出してきました。
アイ―ダのセリフ「優しかったお前が・・」が唯一サウフェの役作りの源となったのか。
キッと思いつめた風情のあっきー(澄輝)カマンテに対してりくサウフェはいつもどこか悲しそう。
戦乱の祖国で様々な辛い思いをし、今エチオピアの王族とともにエジプトの虜囚であることに深い悲しみを抱いている風情。そんなナイーブな少年(青年?)までもが、ウバルドの夢でお告げを得た=ファラオ暗殺は神に赦されている!の宣言に目を輝かせ 任務を遂行した後は迷わず自害し果てる。
全く疑問を持たず粛々と復讐劇に加担するというのがどこかリアルで恐ろしい。
冒頭のダンス、横たわるあっきーを飛び越えてターンする、という振りがあり、さすがダンサーだけあって不安はないなと安心して観ていたのですが、ご本人は決して踏んではならないと相当緊張していらっしゃるそう^^
フィナーレで2番手マカゼセンターの「マカゼFIVE」、皆クールパステルのマカロン色のお衣装がお似合いですが、りくちゃんの紫がかったクールなブル―が黒塗りに映えてとてもお似合い。
ただ立ち位置が、愛ちゃん3番手確定により、愛りくシンメだったのが、学年順で、あっきーが上という扱いになり、新公主演トップ候補に名のりをあげた下級生ずんちゃん(桜木)とのシンメ位置になったこと、それに従い、パレードでも階段降りをせず、路線ではないスターの凛城さんと並びの扱いになっていること・・・にファンは若干胸が痛みますね。。。去年は愛月さんが初主演を決めたバウ、今年は桜木さん主演に出演も決まっているので花で言うあきらくん(瀬戸かずや)ポジを目指す感じになるのでしょうか。ダンスが素晴らしく、心のある芝居が出来るヒトなので、これからも長く活躍してほしいと願っています。
■ネセル 寿 つかさ
■ヘレウ(神官) 凛城 きら
■メウ(神官) 松風 輝
そして、愛月さんバウで上級生別格として2番手どころを務めた凛城さん、白塗りで眉を消し、ぽってりとした唇が映える無表情な神官、お似合いです。ラダメスを厳しくいさめつつも実はかなりの生臭坊主という組長すっしーさん(寿)をセンターに、芝居功者りんきらさん、実は美形なのにそれをけどらせない(笑)濃い演技のまっぷー(松風)という神官チームも「美人選び」の場面で”お金と力”を誇示し、見せ場がありました。
すっしーさんが公演中ずっと喉の調子が悪そうなのがちょっと残念。
フィナーレの黒燕尾で白塗りメイクのままシケを垂らした男役ヘアになったりんきらさんが色っぽくてちょっとツボでした^^;
■ワーヘド(女官) 純矢 ちとせ
■イトネーン(女官) 花里 まな
■女官 愛白 もあ
■女官 結乃 かなり
■タラータ(女官) 綾瀬 あきな
■女官 花咲 あいり
■アルバア(女官) 彩花 まり
■女官 瀬戸花 まり
そして”美人選び”の場面といえば・・・の女官たち。
2番手娘役どころから女王までなんでもこなせる美声のせーこちゃん(純矢)。
女官達の一人として衣装にも立ち位置にも差がないのが違和感なれど、細やかなリアクション、アムネリス様への絶対の尊敬のまなざし、アイ―ダへのイジメ場面で手ぬぐいをひねって打ちすえ、、アムネリス様が現れると冷静にそれを柱の陰にかたずける手際の良さといい怖さが際立ちまぎれもなくあなた様が女官長・・と言いたくなる迫力に満ちていました。
そんなせーこちゃんの本編での役の軽さとのバランスをとったのがエトワール起用で、それに割をくった形になったのが今回退団でエトワールを切望していた花里まなちゃん。
上品で、歌も上手で立ち居振る舞いの綺麗な娘役さんで好きだったのですが、残念です。
綾瀬あきなちゃんの笑顔のときに^^となるアイラインなど女官たちはアイメイクにこだわりがありそう。
■アウウィル(女官) 瀬音 リサ
■ターニ(女官) 遥羽 らら
「王家」再演が決まった時にまず、話題になったのが今回の「スゴツヨ」はダレ?
12年前の星組初演で、後に宙組TOP娘役になる陽月華ちゃんが抜擢された役、というのと、「エジプトはスゴイ、エジプトは強い」というなんとも言い難いインパクトのある歌詞と耳について離れないメロディのおかげで・・・。
GOLDまばゆい女官たちの中でこの2人だけ三日月のようなヘッドドレスをつけている、というモブ演技の多い娘役の中では美味しい役どころ。
つぶらな瞳なれど女子力高く、柔らかな美声のありさちゃん(瀬音)とこのところバウ2番手娘役ポジなど押されている?運動会で俊足も披露した遥羽ららちゃんが務めます。
”美人選び”神官たちが美人コンテスト?する場面、シナを作る女官たちの中で1人、ありさちゃんはまさかの力持ちアピール。ボディビルダーのポーズをとってすっしーさんの眼にとまります。日によってはラダメスの「うぉおおおお」の雄たけびも!^^;
2人目を選ぶときに一斉に女官達がボディビルダーポーズをとる中今度はキャピッとぶりっこポーズをとるららちゃん。2度とも驚いてマジマジとみるせーこちゃんの表情がツボ。
■ファトマ 美風 舞良
■ヤナーイル(囚人) 大海 亜呼
■フィブラーイル(囚人) 花音 舞
■マーリス(囚人) 桜音 れい
■マーユー(囚人) 真みや 涼子
■ユーニユー(囚人) 美桜 エリナ
■イブリール(囚人) 小春乃 さよ
対するのが、美風舞良副組長、アイ―ダ付の女官 ファトマ率いるエチオピアの女たち。
故郷を思って歌うアフリカ民謡的なゆったりした歌を歌うときにこの宙組自慢の歌ウマ娘役揃いのエチオピアメンバーが光ります。
煌びやかなエジプト勢との対比で簡素な衣装に黒塗りではありますが、それぞれアフリカ女性らしいヘアスタイルなどにもこだわりが。
特に真みや涼子さんの大きなお団子の野趣と腰を大きくゆったりと振って踊り歌う大らかさにアフリカの大地を感じました。彼女はいつも娘役芝居をちょっと超えた感触のある芝居心溢れる演技を見せますね。
今回で退団の名ダンサー大海亜呼さんにダンスの見せ場がなかったのが残念といえば残念ですが、生命感溢れる彼女ならではの存在感はしっかりだしてきていました。
副組長美風舞良さんはしっかりとしたテクニックで難しい発声も難なくこなし、宙バウで歌ウマ娘役と認識した小春乃さよちゃんがこのチームに入っているのにも安定感を感じたことでした。
■エジプトの戦士(伝令1) 天玲 美音
■エジプトの戦士(伝令2) 風馬 翔
■エジプトの戦士(伝令3) 和希 そら
ファラオのいる広場に駆け込み、戦況を絶叫しながら伝えると息絶える・・・というインパクトのある役割「伝令」。
濃いメンツが揃いました。
美声の天玲(の伝令って・・名前で選ばれた?^^;)さん、歌もダンスも・・・の翔・そら。
翔くんは兵士としてのふるまいにも雄々しさがあり、そらちゃんはダンス場面ではセンターでなくても目を奪うちょっとした振りのセンスの良いさばきかたに目を惹かれました。
■伝令 瑠風 輝
■エジプトの戦士 春瀬 央季
ラダメス将軍率いるエジプト軍の大勝利をアムネリス様に伝えるのが瑠風くん。今回新公ウバルドで2番手真風くんの役を務めて好評だった歌ウマ長身の98期。期待の若手ですね。他組の98期男役といえば、月の暁千星、星の綾凰華・天華えまといったところ。目が切れ長で、笑顔がちょっと左右対称でないので下級生のうちから可愛らしさで人気がでるタイプではなさそうですが、今回、真風くんにお化粧を観てもらっているとかで、見せ方であと一歩の華がでてくればと期待しています。
そして、宙組らしい長身のきれいどころが揃った94期の春瀬くん。
並いるエジプト兵士の中でもそのクールでエキゾチックな美貌ですぐ春瀬くんがいる、とわかりますね。
その先・・・の芸で何か秀でたものがあれば・・とずっと思っているのですが^^;
■エチオピアの戦士(歌手) 星吹 彩翔
■エチオピアの戦士 美月 悠
■エチオピアの戦士 星月 梨旺
宙組の宝、モンチ(星吹)が凱旋のエジプトにエチオピア捕虜として引きだされた瞬間、煌びやかな広場の様子にとまどい、これが自分たちの敵の実力か・・と驚愕して歌う「光ってやがる!」の美声にいつもほれぼれしていました。
演技も歌もダンスもそつなく、役を与えられるとそこの命を吹き込み、団体戦では下級生チームを率いてまとめる、本当に力のある中堅男役です。愛りくバトルの93期にあって、しっかりと宙を支えているモンチ、いつまでもいてください。
そしてエチオピア人って黒塗りだけれど、王女アイ―ダ王子ウバルドを筆頭に相当の美形ぞろいでは・・・という疑いが確信に変るさお(美月)りお(星月)。
ラダメス将軍率いるエジプト軍のエチオピア討伐の場面、1人のエチオピア人を5人のエジプト兵が囲み、刺し、切り、踏みつけ・・をたっぷりとスローモーションで見せながら、愛月、桜木の将兵格がとどめをさし、さらに5人が一斉に槍で刺す・・というすさまじい戦闘場面で、その激しい場面をスローモーションで見せる宙組生の体力筋力芝居力に、とりわけ前方席では愕然と見入ってしまったものですが、やはり、生徒たちはこの場面、筋トレ(笑)として、ムリな体勢もがんばっているのだとか^^;
常に大人数の豊かなコーラス、迫力のある戦闘や群衆場面が続くのですが、舞台裏では大変なことになっているらしく、例えばエジプトを称える歌を裏で歌った直後にはエチオピア捕虜として引きずり出される・・・という国や立場を超えた活躍を皆が一丸となって行っているとのことですが、その宙組の総力結集が素晴らしい舞台と言う形に見事に結晶した今回の公演だったと思います。