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お着物Enjoy生活からバレエ・オペラ・宝塚etcの観劇日記に...

宝塚月組 全国ツアー「愛するには短すぎる」「ハート・オン・ビート」

2012-10-24 06:47:40 | TAKARAZUKA
2012年10月21日(日)16:00
さいたま市文化センター大ホールにて。

宝塚歌劇月組全国ツアー公演を観て参りました。



■主演・・・龍 真咲、愛希れいか

ミュージカル
『愛するには短すぎる』

原案/小林公平
脚本・演出/正塚晴彦

[解 説]
 2006年、湖月わたる・白羽ゆりを中心とした星組で初演し、2011年には、柚希礼音、夢咲ねねを中心とした星組により中日劇場で再演。船上という外界から閉ざされた場所で、4日間の限られた時間の中に生まれた束の間の恋の純粋さと狂おしさを切なく美しく描き出した物語です。

ファンタスティック・ショー
『Heat on Beat!(ヒート オン ビート)』
作・演出/三木章雄

[解 説]
 生きる喜び、愛への祈り、夢への憧れを刻みながら、永遠に熱く燃え上がる炎のように、音楽の根底にあるリズムが持つエネルギーをショーアップした作品。2009年に瀬奈じゅんを中心とした月組で、また2010年には霧矢大夢を中心に上演され、今回は龍真咲のために新たな場面も加えながら上演します。

以上、宝塚公式HPより。

10月20日(土)が初日で、首都圏はさいたまでのこの2日間の週末のみ。
あとは浜松から西を回って、ラスト11月14日の梅田芸術劇場の千秋楽まで・・・というルートで。
準TOPの明日海りお主演のバウ&青年館の「春の雪」と2手に分かれての月組。
宙・星担のわたくしがなぜ、半分の戦力の月組の公演をわざわざ南浦和まで・・・という理由はただ一つ。

星から異動して、月のロミジュリで一気に3番手格に昇格した美弥るりかちゃんが、2番手格の扱いで出演するから

スターを2チームに分け合って、半分の人数で大劇場の演目を見せる・・・という全国ツアーならではの役付きマジックなのですが、普段チョイ役の子は中堅の役を、中堅どころや若手がスターの役を、スターがセンターの役を・・・と、普段観られない役づきでの顔を観られるのと、少ない人数で回すので、たいていのジェンヌさんが何役も兼任して、様々な場面で観られる、というのが全ツの楽しみ。

とはいえ、ロミジュリで、現星組正2番手の紅さんがやったマーキューシオの役を演じた美弥さんが、今、「愛するには短すぎる」では、中日公演で、現宙組TOPスターの凰稀さんの役だった主人公の親友アンソニー役を・・・!!
と聞いていてもたってもいられず、宙組「銀英伝」日比谷で絶賛公演中なのにもかかわらず、馳せ参じた・・・という次第です^^;

というわけで、みやるり語りに落ちるかもしれませんが、ざっと感想を・・・。

■「愛するには短すぎる」

もと孤児で見込まれて養子となり、今は財閥の御曹司として留学先のLONDONからNYに戻る主人公のフレッド(龍真咲)。
劇作家志望の親友アンソニー(美弥るりか)とともに4日間の豪華客船の旅の途中で出会った女性はディナーショー要員のダンサ―、バーバラ(愛希れいか)。実は幼馴染であることが解り急速に距離の縮まる2人だが、すでに婚約者もいるフレッドにそれ以上のことを求めてはならないと自制するも、恋心を押さえきれない2人・・・。
この3人を中心に、宝石泥棒事件や、売れっ子演出家に取りいる若手女優(愛風ゆめ)とマネージャー(煌月爽矢)との切ない恋、秘書(咲希あかね)と浮気を楽しむ伯爵(越乃リュウ)、病気の母親のためにチームを離れる予定のバーバラを貸した金を盾に引きとめようとするリーダー、フランク(紫門ゆりや)など、船上での様々な人間模様が描かれます。
マーシャル船長(星条海斗)を中心とした避難訓練や仮装舞踏会の場面が華を添えるテンポの良い前半と、2人の切ない愛を歌い上げる後半のバランスの良い脚本は、演出家正塚晴彦の代表作ともいえるのでは。

星組の中日公演が大好きで、かなり通いましたので^^;、つい、比較して、の感想になりますが・・・。

冒頭、黄色のスーツのアンソニーが紗幕の向こうで、舳先の上で歌うところから始まるのですが、そこが凰稀さんのスラリとした長身のシルエットで刷り込まれているので、5cm背の低いるりかちゃんは「。。。あれ?」という感じ。
・・・でしたが、お芝居が進むうちに、みやるりアンソニーにもすっかりなじみ、まさきフレッドとのバランスや掛け合いの間も良くて、どんどん引き込まれていきました。
龍さんのフレッドは、オーソドックスなおぼっちゃまの正統派スタイルも良く似合い、誠実で控え目な態度からは育ちの良さが伺え、裏を読めない真っすぐさもスッとはまっていて好演。
ちゃぴ(愛希)ちゃんのバーバラも、フレッド、アンソニー、フランクと3人の男を魅了する美貌、という点では白羽ゆりちゃん、夢咲ねねちゃん、の両星組TOP娘役に一歩譲りますが、若々しくて爽やか。何より、正塚作品のヒロイン特有の「・・・だよ」的なタメ口語りに違和感を感じさせないナチュラルな表現力が、真咲くんの演技とピッタリ合っていました。
深みのある低音で人生の機微を敏感に感じとる感性を表現する、みやるりフレッドとのトライアングルは、ストレートプレイの部分で輝きを放ち、コメディタッチのミュージカルナンバー場面で煌めいていた星組の3人が、洒脱で都会的なロマンチックコメディの味を色濃く出していたのに対し、月組の3人はフレッシュな青春群像劇を描き出していたかと

演出上の大きな違いは、執事役の名優未沙のえるさんの退団を受けて、新たにこのポジを女性に設定し、メガネの家庭教師、ミセス・オサリバンとして演技派ベテラン女役の憧花ゆりのさんが演じたこと。最初ヒステリックに避難訓練への参加を促すところなどは、だから女性は・・・とうんざりした気分になりましたが、だんだんと「なにゆえに~」などと決めセリフなどが効果的に使われて、軽快感も出せてきて、未沙さんの不在を忘れさせてくれる、新キャラを確立。

演者による、印象が異なった場面が二つ。
まずは、浮気者のスノ―ドン卿。星では組長の英真なおきさんが秘書役の落ち着いた花愛瑞穂さんをお相手に恐妻家で甘えん坊のおじ様をチャーミングに演じていましたが、月組名物のSEXY組長は、リアルなモテ男。恋人役の咲希あかねちゃんがリアルに美女だったこともあり、妙に華やいだカップル^^;で目を惹きました。
次は、残された2人だけの時間を惜しんで夜のデッキで語り合う2人を盛り上げる脇役の歌い継ぎ場面。
新人女優ドリー、マネージャーデイブ、演出家マクニ―ルさん、ダンスリーダーフランク・・・の順に盆が回って、船の上で歌い上げる・・・という趣向なのですが、星の時は、涙ボロボロのねねちゃんバーバラにもらい泣きしそうになっていたのが、早乙女わかばちゃん~麻央侑希ちゃん~鶴見舞夕さん~夢乃聖夏ちゃんというなんとも微妙な面々で・・・^^;
なぜにこのメンバーで歌い継ぎとか、謎すぎる・・と毎回涙が引っこんでいたのですが^^;
今回は、愛風ゆめ~煌月爽矢~光月るう~紫門ゆりやと、下級生ながら安定した歌唱で破綻がなく・・・。
華と個性の星組、地味だけど実力が安定している月組という組カラーが顕著に出た場面でした。

るりかちゃんアンソニーを振りかえると・・・
ダンスナンバー、船室で親友2人がシンクロしてソファに座って長い脚をテーブルに投げ出したり、腕を組んでグラスを干したりする場面や、バーバラを加えた3人で、仮装舞踏会の扮装のままコミカルに謎を歌うナンバーなどでは凰稀さんのスタイルや洒脱さが思い起こされてしまいましたが、みやるりちゃんは普段の軽快な動きとは裏腹に、シリアスな芝居が良かったです。
自分の心の変化に混乱するフレッドに「それが恋だよ、フレッド」と言い含めるときの深みのある表情と声の重厚さ、バーバラを恫喝するフランクに小切手を切る場面での相手を圧倒する芝居がかった動きや迫力。
客席を静まりかえらせる緊迫感を醸し出す求心力を感じました。


そしてショー、
■「Heart on Beat」

華やかで楽しいショーでした。
宝塚らしい場面がいっぱいあって、全ツにはピッタリでは?

白を基調に、蝶タイやタキシードの襟の一部に赤や青などカラフルな色を入れた2TONEの衣装で、まず全員が踊り盛り上げる冒頭から、様々な場面が展開します。
センターをまず、龍真咲ちゃんが決めたあと、るりかちゃんセンターで場面を繋ぐのにまず感動(笑)

そして第6場「THE BEAT GOES ON」で
るりかちゃんス―パ―ロッカー。ミューズとして、黒のレオタードとタイツに黒羽根をあしらったヘッドドレスの紗那ゆずはちゃんと白いお人形のようなドレスの叶羽時ちゃんが絡みます。
ゆずはちゃんはダンサーですね。雪組の笙乃茅桜ちゃんのようなポジかしら。
そこに、光月るう(今回あらゆる場面にご出演。敢闘賞ものかも^^)、紫門ゆりや、煌月爽矢、朝美絢ちゃんといった若手路線男役が。
場面として特に好きなわけではないのですが、るりかちゃんセンター、ということで^^;

好きな場面なら、9~10場の「BODY HEAT:B,C」でしょうか^^
龍真咲ちゃんが帽子に白いスーツのエトランジェ。
迎えるのは赤いスーツのマスター越乃リュウ組長。
真っ赤な椅子を使ったダンスが・・・。やばいです、マスター^^;
男役の色気というものはこうやって見せるものだ、というお手本のようなダンスのあと、黒スーツの若手のジゴロがちょっと踊るのですが、やっぱり男役芸を極めたベテランは大切にしなくてはならないな、と思わせるものが^^;
下手にずらりと椅子を並べて座る赤いモチーフで上半身を飾った黒いスリットドレスの女が12人ずらりと脚をあげて組みなおすのが圧巻。その後ろの壁の上にはマスター越リュウという美味しすぎる場面。
エトランジェはそんな女たちの誘惑を退けて去っていく・・・というKAZUMI-BOY振付の場面ですが、こういう何もしない主役としてきれいに存在できるのはTOPの条件ですね(褒めてます)
いやいや、この場面は組長による組長のための組長の場面、ということで^^。
堪能しました

続く11場「HOT LATINO」ではラテンシンガ―2組が歌い踊ります。
まず、「クンバンチェロ」で、美弥るりかちゃんと光月るうくんが。
そして「べサメムーチョ」で星条海斗さんと紫門ゆりやくんが。
星条さんあたりは鉄板な感じですが、若手にはちょっと挑戦、という感じが良いですね^^

極私的な見どころは13場の「HOT LATINO: D」
龍真咲ちゃんを囲む怪しい花々フラガンシアは・・・。
若手男役4人、美弥るりかちゃん、光月るう、紫門ゆりや、煌月爽矢が頭にターバンと羽根、水色ラメのダルマ(ノースリーブのレオタードをこう呼ぶ)姿で踊り誘惑する・・・のですが、まさかのるりかちゃんのダルマ!!
貴重な機会だわ・・・とオペラグラスでガン見。
素顔のフェアリーのような可愛さからは想像できない妖艶な表情で攻める攻める
男役としては決して大きくはない168cmのほっそりとした肢体は女性の姿では充分に魅惑的で、滅多に観られない表情も含めて、貴重なものを見せていただきました。上品な紫門ゆりやちゃん辺りのバランスの良いプロポーションにも惹かれましたが、ここは1点勝負で(笑)

第15場「HOT LATINO :F」では、
龍真咲ちゃんをセンターに、星条さんと美弥ちゃんがラテンジャズをきざりながら歌う・・・の場、ですが、皆さん歌が魅力的。

続く「DREAM BEAT」ではちゃぴちゃん(愛希)がエレキギターを手にノリノリで演奏中。
はじけていて可愛い。パパに叱られて(声のみ:組長)おやすみなさい

次の見どころは・・・
第19場「NEXT!」~フィナーレA

フィナーレへのプロローグ、という感じの場面。スミレ色のシックなスーツの美弥るりかちゃんが、同じくシックなロングドレス姿の憧花ゆりのお姉さまと並んで、「枯葉」を歌います。
こういう大人っぽい場面で、お姉さま相手に堂々と視線を絡ませている姿にも胸熱;;

そして最後の最後のフィナーレは・・・
まさかの2番手羽根をつけての登場!

えーと、白に赤いスパンコ―ルの衣装にシルクハット。同じ配色の羽根を背負わせていただいていました。
組内では同じランクのポジションにある先輩、星条さんが、1人だけスパンコールつき、キラキラの黒燕尾ですが、羽根はないので、なんだかヤンキ―ドゥ―ドル人形みたいな微妙なセンスの衣装ではありましたが、みやるりちゃん2番手!の晴れ姿を拝めた、という満足感でいっぱいの全ツ、@さいたま、でした



フランス版「ロミオとジュリエット」 シアター・オ―ブ 

2012-10-16 11:47:52 | Musical
2012年10月11日(木)13:30~
東急ヒカリエのシアター・オ―ブにて。

ジェラール・プレスギュルヴィック作曲・演出の「ロミオとジュリエット」
フランス版の来日公演を観て参りました。



シアター・オ―ブに行ったのは初めて。
渋谷駅からアクセスの良い東急ヒカリエの11~16Fに今年の7月にOPENした1972席の劇場。
ビルの上階にあるので、エレベーター待ちの時間、会場に入ってから席までの動線などを考えると、
意外と時間がかかるのが難点かも。。。
会社帰りにソワレを、と思うと、渋谷駅に到着してからのストレスが凄そう^^;

今回は、録音の音源使用なのでオケピットがなく、11列目がとても舞台に近く感じました。
内装は黒主体の簡素なもので、赤坂のACTシアターに雰囲気が似ているかも。
席にはしっかりと段差がついているので観やすかったです。

作品自体は2001年、パリのパレ・デ・コングレで上演されて200万人動員のMEGAヒット。
その後、各国版が作られて世界中で上演され、2010年にふたたびパリで凱旋公演。
それを宝塚星組で小池順一郎潤色の日本版の主演メンバー3人が観劇する、CSの番組がありましたが・・・。
そのときのジュリエットと、そのときはベンヴォーリオ役だった人が主演の今回の引っ越し公演です。

小池先生潤色の宝塚版は、2010年の星組、2011年1~3月の雪組、2012年の月組で観ましたし、2011年9~10月の東宝版では城田優主演で観ていますので、オリジナルとは、それらの潤色版を重ねて比較しながらの感想になりそうですが、違いを楽しんで参りました。

小池版との大きな違いは、ティボルトの扱いでしょうか。
ジュリエットの母と怪しい関係・・・という設定はもとのフランス版にはなく、ただ、ジュリエットに憧れていたいとこ、ということになっています。宝塚では、2番手男役の役どころにふさわしくちょっと色男に仕立てるための工夫だったのでしょうね^^
あと、死はLaMort、女性名詞だから。。。ということでもないでしょうが(?)女性ひとり。
東宝版では男性ダンサー、タカラヅカ版では男役の死とセットで女性の姿の男役が演じる愛、が配されていましたから、そこはかなり違いますね。

あと、基本的な違いとしては、主役どころはまず歌手であり、演技者である、ということで、ダンサーではありません。
その分、キャピュレット家、モンタギュー家の人々として各々10人ばかりのメンバーがダンサー専属として配されています。
ですので、主役が踊りまくったり、踊ってすぐに歌ったり、皆で踊りながらコーラスを入れたり、というタカラヅカ版に慣れていると、ちょっと間が抜けているような感じを覚えましたがすぐに慣れました^^;
歌と踊りがそれぞれ専任になっている分、全体的なクォリティは安定していたかと。

総勢40名くらいで、映像で観たPalais des conglesでの舞台と比べるとやや少人数編成なのかも。
ちょうど、星組が梅芸や博多座で上演したときの感じです。

では、個々に感想です

■ロミオ: シリル・ニコライ(Cyril Niccolaï)
スラリとした金髪のサラサラヘアーで、ロングガウンのようなコートがお似合い。
宝塚版のロミオほど初心ではなく、女の子とつきあったけど・・・の歌も、白い柔肌にあきた、などのドッキリ歌詞あり。
ジュリエットと出会ってからは純愛です。

■ジュリエット: ジョイ・エステール(Joy Esther)
彼女のジュリエット振りは素晴らしいですね!
ウェーブのかかったロングのブロンド、センターパーツに細い三つ編みをあしらった髪形といい、キラキラとした両の眼といい・・・。ジュリエットそのもの。健康的で、活き活きとした、愛のために運命に抗おうとする生命力を感じました。

■ベンヴォーリオ: ステファヌ・ネヴィル(Stephane Neville)
長身で細身、ブルネットの髪で、落ち着いた物腰。
どうやって伝えよう・・・の歌も日本勢のようなこぶしを効かせての絶唱はなく、押さえた歌唱でした。

■マーキューシオ: ジョン・エイゼン(John Eyzen)
彼は初演からこの役一筋、なのだそうです^^
お顔は美形枠ではありませんし、髪もクシャクシャですが、おどけもので機知がきき、オーバーアクションのマーキューシオをナチュラルに演じていました。
無骨なティボルトとの対比が効いていて、それはお互い虫が好かない相手だろうな、と納得。

■ティボルト: トム・ロス(Tom Ross)
一番宝塚と違うのはここですね。
孤独で無骨な男の子が成長しても、まだ大人になりきれない、いとこのジュリエットに憧れているけれども告白できない・・・・そんなさみしいティボでした。
「ブロンド、ブルネット・・・様々な女を抱いてきた」のくだりは、原曲も同じ。曲に対して座りの良い歌詞なのでしょう。
マーキューシオをナイフで刺して致命傷を負わせてしまった、と自覚してからの演技はナイフを取り落として(そのナイフがモンタギューサイドに滑って行き、ロミオの手に渡るのですが)、何度もその手をズボンでぬぐおうとする様は、マーキューシオの血で汚された、人を殺めた自分の罪をぬぐおうとするかのような感じを受けました。
ここは、軽く高笑いして女たちを引き連れてすぐに背を向けて杯を干すヅカのティボルトとは随分違いますね。

■乳母: グラディス・フライオリ(Gwladys Fraioli)
ロミオを捜しに来てモンタギューの若者たちにもみくちゃにされる場面は割合とあっさりとしていました。
それよりも、ジュリエットを想う乳母の歌、の内容が、生みの母親と乳母である自分を対比させ、深い愛情を捧げる歌でしみじみさせられました。
ロミオとの結婚のあとに、キャピュレット卿の命でパリスと結婚するように、という流れになったときには、特にコミカルにロミオをくさしてみせるでもなく、自然に家長の命令には逆らえない、という立場で受けの演技。
全体に脇がコミカルなのは小池版の味付けですね。
パリスに至っては、長身で地味で無表情。確かにあんな何を考えているのかわからない男性のもとに嫁がされるのは嫌、というジュリエットの主張にはうなづけます^^;


■キャピュレット夫人: ステファニー・ロドリグ(Stéphanie Rodrigue)
いかにもPARIS好みのヘアメイク&衣装。
80年代のティエリー・ミュグレーのショーに出てきそうな大きなプラチナブロンドの高い位置でのシニヨン、デコルテを強調したマーメイドのボディコンシャスラインのワインカラ―のドレスなど。
小池版の不義の子ジュリエットを生み、甥のティボルトと関係している奔放な母、がいかにも似合いそうなVISUALですが、ジュリエットに説くのは家父長制の下でしいたげられた女の道。
あなたも涙の谷に身をうずめるのです、と望まない結婚を受容したうえで愛人を作れば良いとの教えを説く母。
そんな歌の中でも、夫はわたしの若くて美しい裸身を見たかっただけ、というフレーズなどになまめかしさが匂うのがフランス版ならでは。

■キャピュレット卿: セバスティエン・エル・シャト(Sébastien El Chato)
「娘よ」の歌が聴かせます。
東宝版とは違って、不義の子とは知りつつも娘として愛してきた、というくだりはなく、
手の中の珠として、美しい娘を愛でてきた、という辺りがこれもまたフランス男らしいなぁと。

■モンタギュー夫人: ブリジット・ヴェンディッティ(Brigitte Venditti)
なぜかモンタギュー家においては、当主が表に出てこないので、代表者はこのお母様です^^;
ロミオとジュリエットが墓所でふたりして命を絶っているのをみつけた両家の母が和解する歌は素晴らしかったです。

■ヴェローナ大公: ステファヌ・メトロ(Stéphane Métro)
壮年のギラギラした男、でした。
ヅカ版は黒いマントでベネチアのド―ジェのような静かな重々しさを醸し出す大公設定でしたが、このフランス版は濃い目鼻立ちのスキンヘッドのやり手の貴族男性、と言う感じ。
2幕最初に、日本版ではカットされている、大公の歌、というのがあるのですが、美男で権力に財力にも恵まれた自分・・・という”力(ル・ポワ)”をテーマにした歌もあり、とにかくエネルギッシュ!でした。

■ロレンス神父: フレデリック・シャルテール(Frédéric Charter)
神父様は、特に乳母とともに手を携えて・・・という感じではなく、単独で、神と対話をしながら、若い2人に平和の萌芽を観て、希望を託します。
それだけに、最後の悲劇を目撃したときの嘆きは深く、神への懐疑、自らの信仰生活を問う、キリスト者としての深い衝撃がテーマになっていて、ヨーロッパ世界の話だなぁと。
まぁ、シェイクスピアの原作もそこがテーマの一つだと思うのですが、日本版では、神の存在というよりは運命と愛の相克に上手くすり替えているなと思いました。

■死(La Mort): オレリー・バドル(Aurélie Badol)
まとわりつくような、青白い髪を振り乱して、引き裂かれた布が垂れるドレスをまとった女性の姿で表されます。
彼女が踊ると白いパウダーが舞い散るのですが、どうやらベビーパウダーを大量にふりかけているらしく^^;
踊りはときにアンニュイに、ときに激しく、自在。

最後はフィナーレ・ダンスこそありませんでしたが、出演者が並んだノリ良く音楽に合わせて手拍子を促したり、劇中の歌をリサイタルよろしく数人がマイクを持って歌ったり、とサービス精神満点。
ラストが重々しい終わり方だったのに対して、カーテンコ―ルで盛り上がっての退場となるので、気分が変わりますね。ただ、余韻を大切にしたい方は早々にお席を立っても良いのかも。
ファンがついているらしく、ロミオ、ジュリエット、ティボルトあたりには花束を持って手渡しするファンが何人かいらっしゃいました。

ロビーで出演者が御見送り・・と聞いてどんな感じなのか、楽しみにしていたのですが、
なぜか、ロビー出口と反対方向に向かった何列もしゃがみこんだ観客の列が・・・。

しばらくすると、その奥、視線の先に、ロミオ、ティボルト、マーキューシオらが登場。
ただ、しゃがんだ観客は拍手をしたり、携帯で写真を撮ったりするばかりで、
彼らも、ただ出てきて並んで、観客に対して手を振って帰るだけ・・・なので、混乱もない代わり、
双方のコミュニケーションが取れるような御見送り、ではありませんでした。
(宝塚のトークショーのあとのお見送りのようなものを想像していたので、やや拍子抜け?^^)

あ、主要な役の方たちは、それぞれ個人のFaceBookやTwitterで色々と発信されているようなので、
ご興味のある方は、原語の個人名で検索なさってみると楽しいかもしれません






ドビュッシー展 ブリヂストン美術館

2012-10-15 05:40:08 | ART
10月14日(日)が最終日!ということで、
13日(土)に慌てて行って参りました。

オルセー美術館、オランジュリー美術館共同企画

「ドビュッシー 、音楽と美術 ー印象派と象徴派のあいだで」
2012年7月14日(土)〜2012年10月14日(日)



クロード・ドビュッシーは、19世紀末から20世紀初頭にかけて活躍したフランスを代表する作曲家。「月の光」や交響詩「海」などの作品で知られています。ドビュッシーが生きた時代には、音楽や美術、文学、舞台芸術が、互いに影響し合い、時に共同で作品をつくり上げましたが、彼は作曲家の中ではその代表的な人物と言えるでしょう。本展はドビュッシーと印象派や象徴派、さらにはジャポニスム等の関係に焦点をあて、19世紀フランス美術の新たな魅力をご紹介するものです。オルセー美術館、オランジュリー美術館、そしてブリヂストン美術館の所蔵作品を中心に、国内外から借用した作品約150点で構成されます。なお、本展はドビュッシーの生誕150年を記念して、オルセー美術館とオランジュリー美術館、ブリヂストン美術館で共同開催いたします。

以上、ブリヂストン美術館の公式HPより。

ドビュッシ―ファンの友人から、ドビュッシー愛用の文鎮、蛙のアルケルくん、必見!と聞いて・・・
調べたら余すところ1週間の会期!ということでギリギリに行ってきましたが、なかなか面白い展示で、観て良かったです。

ドビュッシーの同時代の芸術家、作家との交友関係もわかったり、当時のブルジョワのピアノ熱、イギリスのラファエル前派やARTS&CRAFT運動との影響、浮世絵や日本の工芸品が普通に流通して人気を博しており、気にいった版画を送り合っていたり・・・といった状況が、自筆の楽譜(とても繊細!)、写真、絵画、彫刻などを通して時代の空気を味わうことが出来ました。

今回、ブリヂストン美術館とオルセー・オランジェリー美術館との共同開催、ということで、印象派の作品など、オルセーとブリヂストンでそれぞれ同じ作家の同じ構図の作品を所蔵しているものが並べて展示されていたり・・・とか、興味深い展示があり、また、常設展からピックアップされた作品の展示室もあったのですが、改めて石橋財団のコレクションの質の高さを再確認したり・・・。

それにしても、19世紀後半から20世紀初頭にかけてというのは、実に面白い時代ですね。



エリック・サティやストラビンスキーとの写真や、楽曲を提供したバレ・リュスの「牧神の午後」の舞台写真(1914)の展示なども興味深いものでしたが、ドビュッシー唯一のOPERA「ぺレアスとメリザンド」(1902年初演)の原作者、メーテルリンクの写真を撮ったのがエドワード・スタイケン(1879―1973)で、思わず2度見してしまいましたが、スタイケンが長寿で現役生活が長かったのですね^^;
スタイケンは1970年代の晩年まで活躍していたイメージがあるので、1903年の写真に え??と思ってしまい。。。
^^;



ヴェルレ―ヌやマラルメと交友があり、ドニやルドン、ドガの作品を高く評価していた・・・というドビュッシー。
日本の文物を愛好し、葛飾北斎の冨嶽36景神奈川沖波裏をモチーフにして、自身の楽譜「LA MER」の装丁につかっていたり、書斎机に置いていた、という件の文鎮、蛙のアルケルくん(ハンドボールくらいの大きさがありました)、鍋島焼の中国人のいるインク壺なども観られて、エキゾチックで豊かな美術工芸品を身近におく楽しみを共有できたような心持になれたり・・・。
スポンサーの令嬢に贈ったという、日本画の花鳥図で装飾された薄い和紙の張られた大きな飾り扇に作曲家自身でメロディーの楽譜を描きこんだものがなんとも繊細で美しく、なんとステキな贈り物だろうかと・・・感嘆しました。
「金の魚」のインスピレーションを得た、という蒔絵の金魚(実際には鯉、ですかしらね?)も展示され、渋くて華麗な日本美術の美しさを再発見。



ドビュッシーの曲に想を得た、という絵画として、アンリ=エドモン・クロスの「黄金の島」(1891)の展示があり、
ドビュッシーの作品と絵画についての評をも表している、音楽を絵画化することで知られるカンディンスキーやクレーの作品で締めくくられたこの展示、(終了してしまいましたが)大変、内容の濃いものでした






宝塚花組 「サン=テグジュぺリ」「CONGA!!」

2012-10-11 09:39:27 | TAKARAZUKA
星組・・・^^;すみません、放置し続けて。

まずは、先日、東京宝塚劇場での観劇。花組公演、千秋楽まであと1週間!の充実の舞台を観て参りました。

2012年10月8日 15:30
東京宝塚劇場



花組
ミュージカル・ファンタジー
『サン=テグジュペリ』
-「星の王子さま」になった操縦士(パイロット)-
作・演出/谷正純

ラテン・パッショネイト
『CONGA(コンガ)!!』
作・演出/藤井大介

王道のお芝居とショーの2本立てです。
前評判としては、まず「お芝居は駄作、熱いラテン・ショーは花組らしくて楽しい。」「ショーだけリピートしたい」、と言ったもの。
公演が始まってしばらくしたら、お芝居は意見が分かれ、「何がしたいのかわからない」「主人公が身勝手で共感できない」といったネガティブ寄りな感想に加えて、ちらほらと、「星の王子様の原作を読みこんでいるので、セリフの数々にそのエッセンスが感じられて、心に響き、最後は号泣」といった声も聞かれるようになりました。

今回の花組は、1度だけの観劇。しかも、1階前方の超良席ゆえ、却って全体像をつかめるか、心配・・・、という状態でスタートした観劇でしたが・・・。

いや~楽しかったです!
お芝居は、作家であり、パイロットでもあるサン=テグジュぺリという人物を描きつつ、ところどころに「星の王子様」のエピソードや登場人物を絡めて、彼の人生と創造世界を交互に見せて行く・・という意欲的な作品。
当時は、パイロットという仕事自体、危険を冒して郵便を運ぶ勇気ある使命感に満ちた男たちの職場である、というバックグラウンドをベースに、危険な任務とその世界に身をおく男たちの連帯、そんな男をひたすらに無事を祈って待つ女、砂漠の遭難と奇跡の帰還などの場面が描かれます。
そして、嵐のフライトから奇跡の生還を遂げた人気作家でもあるサン=テックスが出会うのは、中南米マヤ族の血を惹く混血美女、英雄的な大統領夫人であった美しき未亡人コンスエロ。
この2人の電撃的な出会いと強引なプロポーズ、それに続く、夫をひたすらに待つパイロットの妻たちの中にあって浮きまくる呪術の踊りで無事を祈るコンスエロ、サン=テグジュぺリの貴族の姉から蔑視されてもマヤ族の誇りを忘れないるコンスエロ・・・結婚後の彼女の環境の変化による受難と、結婚後も変わらずにフライトと執筆に明け暮れる彼とのすれ違いが描かれます。
第一次世界大戦が勃発し、パイロットたちは戦地に赴くことに。
そのまま、行方を絶ったサン=テックス。
国民的英雄ということもあり、必死の捜索が続けられるも、遂に一年後に戦死の判断が下される・・・。


ラントム(蘭寿とむ)・ランハナ(蘭乃はな)TOPコンビの魅せどころは、出会いの場面の後のタンゴシーン。キメキメタイプのダンスが得意の蘭寿さんと、実はダンサーなランハナちゃんが伸び伸びと魅力を発揮してくれます。
あと、編み物をして心配を紛らわせながら夫の帰りを待つ妻たちの真ん中で神がかり的な激しい呪術ダンスをトランス状態で踊り出すコンスエロ。
演じ手としては難しいであろう場面でも、張り詰めたテンションで、役になり切る女優魂を感じました。

すれ違いに悩む彼女に、愛とは、見つめ合うことではなく2人が同じ方向を向いて歩むこと・・と諭す彼。
そうね、そうよねと納得する彼女ですが、女性としては、あまりに彼女の身になって考えることのないマイペースすぎる彼の身勝手さと見えなくもなく・・・^^;やや微妙な感じが。

とはいえ、後半、沙漠での幻影の中、キツネ(壮一帆)や星の王子様(蘭乃はな)との出会いと、サン=テグジュぺリの著作から引用した心にしみるセリフの数々は、そっと心の琴線をかき鳴らしていき、それまでの様々な疑問点??もなんのその、ホロホロと流れる涙・・・。さすがの文学作品基盤の盤石さでしょうか^^;

お芝居の最初と最後に登場するのはドイツ人ホルスト(望海風斗)と、ユダヤ人の老人レオン(汝鳥伶)と孫娘ポーレット(桜咲彩花)。
最初は、大戦後、迫害された恨みをあらわにする孫娘とそれをたしなめる老人。
サン=テグジュぺリの熱心な読者であったホルストが戦死して海に散った作家サン=テックスの思い出をレオンに尋ねるところから始まり・・・。

最後、コンスエロも現れて、彼女の言葉から、ホルストは、戦時中ドイツ空軍のパイロットだった自分がまさに尊敬する作家を撃墜したという残酷な事実を知ります。

その前の劇中では、同じ望海さんが緑のヘビに演じて王子様=サンテグジュぺリの命を奪う・・・という象徴的な前振りがあるのですが。

ユダヤ人のドイツ人に対する、未亡人の夫の命を奪った敵軍兵士に対する赦し。
そして、彼は飛行機ごと海に散ったが、作品は残り、人々の心に感動を与え続ける・・・。という、メッセージ。

ここを安直なヒューマニズムに落とさない場面として作品の枠組みを構築できたのは、専科の汝鳥さんと、次のバウ主演も決まり、主人公のパイロット仲間たちとして活躍した路線男役スター陣よりも美味しい、キーとなる重要な役どころを期待にこたえて務めた望海さんの力でしょう。



ショーは・・・
楽しかった!!
さすが熱いショーならおまかせ、の藤井大介の面目躍如たる「CONGA!!」は今の花組にピッタリ、でした。
黒塗りに水色のシャドー、ラテンな衣装と音楽で押せ押せの華やかでエネルギッシュなショー・・・と聞いて、ちょっと昭和風味の懐古的なものを予想していたわたくし。

・・・甘かったです。そんなものではありませんでした・・・^^;
嬉しいことに。

旧・花組と新・花組がせめぎ合い、ともに花開いている贅沢さにゾクゾクするなんて、観るまでは夢にも思いませんでしたが・・・。
花組特有の”熱くキザる”クラシカルな宝塚の男役芸を継承する永遠の、そして盤石な3番手みわっち(愛音羽麗)の退団公演。彼女の長い花男キャリアの集大成たる円熟の芸。そして、飄々とした持ち味と時として怜悧なクールさで2番手を超えてTOP男役の相手役ポジも務めてしまうえりたん(壮一帆)も、音月桂ちゃんの年末退団後の雪組TOP就任を控えて、最後の花組最後の2番手としての輝きを放っていて・・・。

対する”新”花組要素は、組替えでやってきた、みーちゃん(春風弥里)とききちゃん(芹香斗亜)。それぞれ宙・星時代には周囲も長身男役がズラリ、だったので、とりわけ注目したことがなかったのですが、小さくて濃い花組に来るとなんだか清新な風を吹き込むようなスラリとした姿の美しさや伸びやかさでグッと華やいで見える・・・。
とりわけ、春風み―さんは、花のキザり体質が性に合う(?)のか、なんともSEXYなカッコよさを発散していて(ちょっとお痩せになったのかも?とも思ったり)見違えました
そして、台頭する若手勢力の急先鋒はなんといっても柚香光くん
さほど長身ではないのですが、バランスの良いシャープな容姿とクールな美貌で目立つこと!
今回、8人口の男役スター軍団や、TOP~3番手の相手役として女役ポジで投入される3人の1人、とか、目立つ場面で既にスター格として扱われていて、目を楽しませてくれました。
後は、安定の中堅スターみつるくん(華形ひかる)の永遠の少年っぽさとか、だいもん(望海風斗)の温かな歌声とか、野性味溢れる鼻息の荒い感じの元気さで独特の組カラーを形成している若手の一群よっち(月央和沙)、あきら(瀬戸かずや)るな(冴月瑠那)イマッチ(真瀬はるか)と、ちょっといたいけな丸顔の可愛い容姿ながらも端正な男役の役作りが出来ている鳳真由ちゃんあたりまでが目に入ります。

今回の超・個人的な見どころは・・・

1)冒頭の白・黒対決

帽子にタキシードの色男たちが壮くん率いる黒チームとみわっち率いる白チームに分かれて、音楽とダンスの対決。
・・・というと、白は人畜無害なクラシック系かと思いきや、ともに洒脱なジャジ―なムードでニュアンス違い、というところがなんともカッコいい。
ワクワクして観ていると、天空からト音記号のブランコが降りてきて全身ピンクのミューズ=蘭ハナちゃんの登場。
彼女が子役声でコミカルに引き分けさせる展開なのがなんとも残念。
ここはぐっと大人っぽく両者を虜にして締める、くらいの大人っぽさが欲しかった。

2)蘭の華

中詰め辺り?でのTOP2人の登場シーンがファンタジック。
紫の蘭の花(というよりスイレンや蓮みたいな感じ)が開くと眠るラントムくんに寄り添うシャチホコポーズの蘭ハナちゃん。・・・いかに身体が柔らかいからって・・・恐れ入りました^^;

2人のスピーディなダンスはとにかく見どころ満載。リフトしてくるくる回転するラントムくんに高々と掲げられた蘭ハナちゃんがフィギュアスケートのアイスダンスかと思うような体制を変えながら降りてくる様にはさすが!と唸りました。

3)黒と白のデュエットダンス

白い衣装のTOP2人が踊るのに絡むもう一つの黒い衣装のカップル・・・。
肉食系といいますか、アグレッシブに2人を引き裂いて翻弄するその踊りっぷりがどうみても男役ね!と後で確認したらよっち(月央和沙)とるな(冴月瑠那)でした^^ダンサーで抜擢されたのですね。
影ソロの仙名彩世さんの声も良かったです。

4)女装系のダンスシーン

が2か所。男役に女役を振る、というのがダイスケショーの定番のお楽しみ^^
まぁ、男役になりきったジェンヌがいまさら女役の衣装を着ても、ちょっとオカ○っぽくなるのがオチ、と笑うもよし、普段の男らしさを封印して美女としてタメ息をつかせるも良し・・・という、誰が前者になり誰が後者になるのか、も観てのお楽しみ・・・という場面。いずれにしても美味しくないはずないですが^^

その一、はTOP3人に絡む、金のラメ衣装のみつる、ガンメタの柚香光くん、そしてあと一人はなんと研2で抜擢の矢吹世奈ちゃん。
スミマセン、華形さんの安定の男らしさをちらりと確認した後は、オペラまで登場させて、(目の前なのに)上手の壮君vsゆずかれいちゃんをガン見しておりましたので。。。(笑)
いやいや、ドラマチックでクールでツンデレでいいものを見せていただきました。挑発的な視線で翻弄しようとするゆずかくん、それを余裕でいなした後に付き離したかと思えばサディスティックに引き寄せて・・のドSな壮さん。それに応える誇り高きシャム猫のようなゆずかくん・・・・あぁ、なんてお似合いなのでしょう。
壮さんが雪組に連れて行かない限り、これが観納めのカップルなのかと思うと大変に惜しまれる名場面でございました。矢吹さんも大健闘だったそうですが、目が足りず観られませんでした^^;

その二、はだいもん(望海風斗)。
ピンクの可愛いお衣装で、だいもんあやこ嬢は女性としてもとても美人さんだと思うのに・・・なんでしょうか、この女装感。というか、こういう女のヒトも、いるわよね、と ちょっと距離を置いてしまう感じがさすが?です^^;

5) ブラウンサテンでの群舞

ホントに黒塗り!で、(過去の名作「サザンクロス・レビュー」を思い出した、と言う声多数)ラテン!なのですが、ぜんたいのセットやお衣装の色調は意外とシック。
怒濤の群舞でもブラウン系で、子供っぽく見せてしまうヘンな原色系がないのが良いです。1人1人をちゃんと大人のカッコ良い男性に魅せてくれるので、キキちゃんやみーさんのカッコよさと、彼女たちにハマっているらしき自分に驚きっぱなし!でした^^;
・・・どうしよう・・・柚香光くん、鳳真由ちゃん、春風さん、芹香斗亜ちゃんが並ぶと嬉しいこの現象・・・^^;

5組の中では、お目当てもいないし・・・と平常心で見られた唯一のオアシス?花組までもが・・・
マズイことになってきました^^;
組替え効果、恐るべし!


国立トレチャコフ美術館所蔵 レーピン展

2012-10-08 10:21:38 | ART
昨日、かねてから気になっていた、19世紀後半のロシアを代表する画家イリヤ・レーピンの作品約80点が観られる、日本での初の本格的な回顧展のために、Bunkamura ザ・ミュージアムに行って参りました。

会期は2012/8/4(土)-10/8(月・祝)、ということで、滑り込み・・・。
この記事を読んでご興味をもたれた方には申し訳ないタイミングではありますが、その後巡回して
最後は神奈川で・・・ということですので、お許しください^^;。

浜松市美術館 2012年10月16日(火)~12月24日(月・祝)
姫路市立美術館 2013年2月16日(土)~3月30日(土)
神奈川県立近代美術館 葉山 2013年4月6日(土)~5月26日(日)[予定]


19世紀後半から20世紀初頭の混沌としたロシアを生きたイリヤ・レーピン(1844‐1930)。
地方の農家の出身ですが、19歳のときにサンクトぺテルブルクの美術学校で学び、その卓越した才能を開花させ、フランスへの留学資格を得、印象派の台頭を目の当たりにします。

帰国後、進歩的グループ「移動展派」に加わり初期の代表作、「ヴォルガの舟引き」など労働者をテーマに、活き活きとその人物と生活を活写した作品で注目を集め、人の内面までを写し出すリアリズムを持った肖像画の傑作の数々、重厚な歴史画などの作品で名声を得、美術アカデミーでも重鎮として活躍。
晩年のエピソードとして、高齢のため、一度は辞したアカデミー付属美術学校の講座が学生の嘆願によって復活したことなど(翌年には終了)年表を観ているだけでも、彼の人となりがほの見える感じがしました。

その一方で、フランスでマネなどの作品に新しい潮流を見てとり、そのエッセンスを組入れた家族をモデルにした軽やかな作品などもあり、卓越した技術をベースにした確かな画力と、その実験的な精神とがあいまって、この時代のロシアの雰囲気も感じ取ることが出来、大変に観ごたえのある展覧会でした。



愛妻ヴェーラの肖像。
ポーズをとるうちにうたたねしてしまった妻を起こさず、その様子を描いています^^
ちなみに実弟の青年期の肖像画もありましたが、音楽家となった彼の弟は、レ―ピンの妻ヴェーラの姉と結婚したのだそうです。
ちなみにヴェーラはレ―ピンが美大に入るにあたっての下宿先である建築家のお嬢さんだったとか。

妻と2人の小さな娘が、逆光でその輪郭が輝くように表現された、「あぜ道の散歩」という作品は日傘を持った夫人の姿、セーラー服姿の小さな子どもたちが愛らしく、ロシアの夏空の広がりが感じられる、清々しい作品で、とても心惹かれるものでした。
ちょっとモネの「ひなげし畑」に似た雰囲気で、フランス留学の影響が感じられたり・・・。

また、長命で晩年まで活躍した彼は、同時代にムソルグスキーをはじめとするロシア音楽の5人組や、レフ・トルストイとじかに接してその肖像画を描く、というロシア文化に興味のある人なら身を乗り出してしまうテーマも画題としており、ここも見どころ。



アルコール中毒で入院中の最晩年のムソルグスキー。
死の10日前?
全く美化することなく、乱れた髪もそのままに描いていますが、いかにも「はげ山の一夜」の作曲家という感じですね^^;

トルストイの大きな肖像は、あまり丹念に書き込まれておらず、初対面でそのオーラに圧倒されたという、その人物から受ける印象を大切に、印象が残っているうちに一気に仕上げた・・・という感じでした。


今回のコレクションは、モスクワの国立トレチャコフ美術館から選りすぐりのものが展示されている、ということでしたが、トレチャコフと言う人は、当時の紡績工場で巨富を得て、その財力で、音楽、絵画などの芸術のパトロンとなって、特に絵画はロシアの作家のコレクションを充実させた人。
彼への感謝の意をこめての、コレクションに囲まれた「トレチャコフの肖像」の展示もありました。
ちなみにこの私設で一般公開されていた美術館はトレチャコフ家によって市に寄贈。国立となってからはトレチャコフ・コレクションのうち、外国人画家の作品はプーシキン美術館やエルミタージュなどに移し、モスクワにあるこの美術館にはロシア人作家の作品だけを収集することにして、今は中世のイコンから始まるロシア美術の殿堂として収蔵品10万点を超える一大コレクションを収集しているそうです。
個人の趣味ではなく、時代の美術の潮流を正しく伝えるためのコレクションを心がけていたというトレチャコフの遺志がしっかりと受け継がれているようですね。

著名な文化人は勿論ですが、それ以外にも、当時の文化人のたまり場となった芸術サロンの女主人として社交界の華であった男爵夫人、5人組のロシア音楽に感銘を受け、その音楽を演奏によって広げようと活動していた美貌のドイツ人ピアニスト、新しい文化の潮流を旧弊な体制から毅然と保護する評論で支えた高名な評論家など・・・。
当時のロシア文化をそれを支える厚い文化人の層が存在したことが、肖像画に込められた当時の人々の面影からあますところなく伝わってきて、ロシアという国の懐の深さに感銘を受けた、趣の深い展覧会でした。

個人的には、4月から始めたロシア語学習の成果?で、額縁や素描に書き込まれたタイトルなどの一部が(キリル文字でしたが)読めたのがちょっと嬉しかったです^^