2012年10月21日(日)16:00
さいたま市文化センター大ホールにて。
宝塚歌劇月組全国ツアー公演を観て参りました。
■主演・・・龍 真咲、愛希れいか
ミュージカル
『愛するには短すぎる』
原案/小林公平
脚本・演出/正塚晴彦
[解 説]
2006年、湖月わたる・白羽ゆりを中心とした星組で初演し、2011年には、柚希礼音、夢咲ねねを中心とした星組により中日劇場で再演。船上という外界から閉ざされた場所で、4日間の限られた時間の中に生まれた束の間の恋の純粋さと狂おしさを切なく美しく描き出した物語です。
ファンタスティック・ショー
『Heat on Beat!(ヒート オン ビート)』
作・演出/三木章雄
[解 説]
生きる喜び、愛への祈り、夢への憧れを刻みながら、永遠に熱く燃え上がる炎のように、音楽の根底にあるリズムが持つエネルギーをショーアップした作品。2009年に瀬奈じゅんを中心とした月組で、また2010年には霧矢大夢を中心に上演され、今回は龍真咲のために新たな場面も加えながら上演します。
以上、宝塚公式HPより。
10月20日(土)が初日で、首都圏はさいたまでのこの2日間の週末のみ。
あとは浜松から西を回って、ラスト11月14日の梅田芸術劇場の千秋楽まで・・・というルートで。
準TOPの明日海りお主演のバウ&青年館の「春の雪」と2手に分かれての月組。
宙・星担のわたくしがなぜ、半分の戦力の月組の公演をわざわざ南浦和まで・・・という理由はただ一つ。
星から異動して、月のロミジュリで一気に3番手格に昇格した美弥るりかちゃんが、2番手格の扱いで出演するから
スターを2チームに分け合って、半分の人数で大劇場の演目を見せる・・・という全国ツアーならではの役付きマジックなのですが、普段チョイ役の子は中堅の役を、中堅どころや若手がスターの役を、スターがセンターの役を・・・と、普段観られない役づきでの顔を観られるのと、少ない人数で回すので、たいていのジェンヌさんが何役も兼任して、様々な場面で観られる、というのが全ツの楽しみ。
とはいえ、ロミジュリで、現星組正2番手の紅さんがやったマーキューシオの役を演じた美弥さんが、今、「愛するには短すぎる」では、中日公演で、現宙組TOPスターの凰稀さんの役だった主人公の親友アンソニー役を・・・!!
と聞いていてもたってもいられず、宙組「銀英伝」日比谷で絶賛公演中なのにもかかわらず、馳せ参じた・・・という次第です^^;
というわけで、みやるり語りに落ちるかもしれませんが、ざっと感想を・・・。
■「愛するには短すぎる」
もと孤児で見込まれて養子となり、今は財閥の御曹司として留学先のLONDONからNYに戻る主人公のフレッド(龍真咲)。
劇作家志望の親友アンソニー(美弥るりか)とともに4日間の豪華客船の旅の途中で出会った女性はディナーショー要員のダンサ―、バーバラ(愛希れいか)。実は幼馴染であることが解り急速に距離の縮まる2人だが、すでに婚約者もいるフレッドにそれ以上のことを求めてはならないと自制するも、恋心を押さえきれない2人・・・。
この3人を中心に、宝石泥棒事件や、売れっ子演出家に取りいる若手女優(愛風ゆめ)とマネージャー(煌月爽矢)との切ない恋、秘書(咲希あかね)と浮気を楽しむ伯爵(越乃リュウ)、病気の母親のためにチームを離れる予定のバーバラを貸した金を盾に引きとめようとするリーダー、フランク(紫門ゆりや)など、船上での様々な人間模様が描かれます。
マーシャル船長(星条海斗)を中心とした避難訓練や仮装舞踏会の場面が華を添えるテンポの良い前半と、2人の切ない愛を歌い上げる後半のバランスの良い脚本は、演出家正塚晴彦の代表作ともいえるのでは。
星組の中日公演が大好きで、かなり通いましたので^^;、つい、比較して、の感想になりますが・・・。
冒頭、黄色のスーツのアンソニーが紗幕の向こうで、舳先の上で歌うところから始まるのですが、そこが凰稀さんのスラリとした長身のシルエットで刷り込まれているので、5cm背の低いるりかちゃんは「。。。あれ?」という感じ。
・・・でしたが、お芝居が進むうちに、みやるりアンソニーにもすっかりなじみ、まさきフレッドとのバランスや掛け合いの間も良くて、どんどん引き込まれていきました。
龍さんのフレッドは、オーソドックスなおぼっちゃまの正統派スタイルも良く似合い、誠実で控え目な態度からは育ちの良さが伺え、裏を読めない真っすぐさもスッとはまっていて好演。
ちゃぴ(愛希)ちゃんのバーバラも、フレッド、アンソニー、フランクと3人の男を魅了する美貌、という点では白羽ゆりちゃん、夢咲ねねちゃん、の両星組TOP娘役に一歩譲りますが、若々しくて爽やか。何より、正塚作品のヒロイン特有の「・・・だよ」的なタメ口語りに違和感を感じさせないナチュラルな表現力が、真咲くんの演技とピッタリ合っていました。
深みのある低音で人生の機微を敏感に感じとる感性を表現する、みやるりフレッドとのトライアングルは、ストレートプレイの部分で輝きを放ち、コメディタッチのミュージカルナンバー場面で煌めいていた星組の3人が、洒脱で都会的なロマンチックコメディの味を色濃く出していたのに対し、月組の3人はフレッシュな青春群像劇を描き出していたかと
演出上の大きな違いは、執事役の名優未沙のえるさんの退団を受けて、新たにこのポジを女性に設定し、メガネの家庭教師、ミセス・オサリバンとして演技派ベテラン女役の憧花ゆりのさんが演じたこと。最初ヒステリックに避難訓練への参加を促すところなどは、だから女性は・・・とうんざりした気分になりましたが、だんだんと「なにゆえに~」などと決めセリフなどが効果的に使われて、軽快感も出せてきて、未沙さんの不在を忘れさせてくれる、新キャラを確立。
演者による、印象が異なった場面が二つ。
まずは、浮気者のスノ―ドン卿。星では組長の英真なおきさんが秘書役の落ち着いた花愛瑞穂さんをお相手に恐妻家で甘えん坊のおじ様をチャーミングに演じていましたが、月組名物のSEXY組長は、リアルなモテ男。恋人役の咲希あかねちゃんがリアルに美女だったこともあり、妙に華やいだカップル^^;で目を惹きました。
次は、残された2人だけの時間を惜しんで夜のデッキで語り合う2人を盛り上げる脇役の歌い継ぎ場面。
新人女優ドリー、マネージャーデイブ、演出家マクニ―ルさん、ダンスリーダーフランク・・・の順に盆が回って、船の上で歌い上げる・・・という趣向なのですが、星の時は、涙ボロボロのねねちゃんバーバラにもらい泣きしそうになっていたのが、早乙女わかばちゃん~麻央侑希ちゃん~鶴見舞夕さん~夢乃聖夏ちゃんというなんとも微妙な面々で・・・^^;
なぜにこのメンバーで歌い継ぎとか、謎すぎる・・と毎回涙が引っこんでいたのですが^^;
今回は、愛風ゆめ~煌月爽矢~光月るう~紫門ゆりやと、下級生ながら安定した歌唱で破綻がなく・・・。
華と個性の星組、地味だけど実力が安定している月組という組カラーが顕著に出た場面でした。
るりかちゃんアンソニーを振りかえると・・・
ダンスナンバー、船室で親友2人がシンクロしてソファに座って長い脚をテーブルに投げ出したり、腕を組んでグラスを干したりする場面や、バーバラを加えた3人で、仮装舞踏会の扮装のままコミカルに謎を歌うナンバーなどでは凰稀さんのスタイルや洒脱さが思い起こされてしまいましたが、みやるりちゃんは普段の軽快な動きとは裏腹に、シリアスな芝居が良かったです。
自分の心の変化に混乱するフレッドに「それが恋だよ、フレッド」と言い含めるときの深みのある表情と声の重厚さ、バーバラを恫喝するフランクに小切手を切る場面での相手を圧倒する芝居がかった動きや迫力。
客席を静まりかえらせる緊迫感を醸し出す求心力を感じました。
そしてショー、
■「Heart on Beat」
華やかで楽しいショーでした。
宝塚らしい場面がいっぱいあって、全ツにはピッタリでは?
白を基調に、蝶タイやタキシードの襟の一部に赤や青などカラフルな色を入れた2TONEの衣装で、まず全員が踊り盛り上げる冒頭から、様々な場面が展開します。
センターをまず、龍真咲ちゃんが決めたあと、るりかちゃんセンターで場面を繋ぐのにまず感動(笑)
そして第6場「THE BEAT GOES ON」で
るりかちゃんス―パ―ロッカー。ミューズとして、黒のレオタードとタイツに黒羽根をあしらったヘッドドレスの紗那ゆずはちゃんと白いお人形のようなドレスの叶羽時ちゃんが絡みます。
ゆずはちゃんはダンサーですね。雪組の笙乃茅桜ちゃんのようなポジかしら。
そこに、光月るう(今回あらゆる場面にご出演。敢闘賞ものかも^^)、紫門ゆりや、煌月爽矢、朝美絢ちゃんといった若手路線男役が。
場面として特に好きなわけではないのですが、るりかちゃんセンター、ということで^^;
好きな場面なら、9~10場の「BODY HEAT:B,C」でしょうか^^
龍真咲ちゃんが帽子に白いスーツのエトランジェ。
迎えるのは赤いスーツのマスター越乃リュウ組長。
真っ赤な椅子を使ったダンスが・・・。やばいです、マスター^^;
男役の色気というものはこうやって見せるものだ、というお手本のようなダンスのあと、黒スーツの若手のジゴロがちょっと踊るのですが、やっぱり男役芸を極めたベテランは大切にしなくてはならないな、と思わせるものが^^;
下手にずらりと椅子を並べて座る赤いモチーフで上半身を飾った黒いスリットドレスの女が12人ずらりと脚をあげて組みなおすのが圧巻。その後ろの壁の上にはマスター越リュウという美味しすぎる場面。
エトランジェはそんな女たちの誘惑を退けて去っていく・・・というKAZUMI-BOY振付の場面ですが、こういう何もしない主役としてきれいに存在できるのはTOPの条件ですね(褒めてます)
いやいや、この場面は組長による組長のための組長の場面、ということで^^。
堪能しました
続く11場「HOT LATINO」ではラテンシンガ―2組が歌い踊ります。
まず、「クンバンチェロ」で、美弥るりかちゃんと光月るうくんが。
そして「べサメムーチョ」で星条海斗さんと紫門ゆりやくんが。
星条さんあたりは鉄板な感じですが、若手にはちょっと挑戦、という感じが良いですね^^
極私的な見どころは13場の「HOT LATINO: D」
龍真咲ちゃんを囲む怪しい花々フラガンシアは・・・。
若手男役4人、美弥るりかちゃん、光月るう、紫門ゆりや、煌月爽矢が頭にターバンと羽根、水色ラメのダルマ(ノースリーブのレオタードをこう呼ぶ)姿で踊り誘惑する・・・のですが、まさかのるりかちゃんのダルマ!!
貴重な機会だわ・・・とオペラグラスでガン見。
素顔のフェアリーのような可愛さからは想像できない妖艶な表情で攻める攻める
男役としては決して大きくはない168cmのほっそりとした肢体は女性の姿では充分に魅惑的で、滅多に観られない表情も含めて、貴重なものを見せていただきました。上品な紫門ゆりやちゃん辺りのバランスの良いプロポーションにも惹かれましたが、ここは1点勝負で(笑)
第15場「HOT LATINO :F」では、
龍真咲ちゃんをセンターに、星条さんと美弥ちゃんがラテンジャズをきざりながら歌う・・・の場、ですが、皆さん歌が魅力的。
続く「DREAM BEAT」ではちゃぴちゃん(愛希)がエレキギターを手にノリノリで演奏中。
はじけていて可愛い。パパに叱られて(声のみ:組長)おやすみなさい
次の見どころは・・・
第19場「NEXT!」~フィナーレA
フィナーレへのプロローグ、という感じの場面。スミレ色のシックなスーツの美弥るりかちゃんが、同じくシックなロングドレス姿の憧花ゆりのお姉さまと並んで、「枯葉」を歌います。
こういう大人っぽい場面で、お姉さま相手に堂々と視線を絡ませている姿にも胸熱;;
そして最後の最後のフィナーレは・・・
まさかの2番手羽根をつけての登場!
えーと、白に赤いスパンコ―ルの衣装にシルクハット。同じ配色の羽根を背負わせていただいていました。
組内では同じランクのポジションにある先輩、星条さんが、1人だけスパンコールつき、キラキラの黒燕尾ですが、羽根はないので、なんだかヤンキ―ドゥ―ドル人形みたいな微妙なセンスの衣装ではありましたが、みやるりちゃん2番手!の晴れ姿を拝めた、という満足感でいっぱいの全ツ、@さいたま、でした
さいたま市文化センター大ホールにて。
宝塚歌劇月組全国ツアー公演を観て参りました。
■主演・・・龍 真咲、愛希れいか
ミュージカル
『愛するには短すぎる』
原案/小林公平
脚本・演出/正塚晴彦
[解 説]
2006年、湖月わたる・白羽ゆりを中心とした星組で初演し、2011年には、柚希礼音、夢咲ねねを中心とした星組により中日劇場で再演。船上という外界から閉ざされた場所で、4日間の限られた時間の中に生まれた束の間の恋の純粋さと狂おしさを切なく美しく描き出した物語です。
ファンタスティック・ショー
『Heat on Beat!(ヒート オン ビート)』
作・演出/三木章雄
[解 説]
生きる喜び、愛への祈り、夢への憧れを刻みながら、永遠に熱く燃え上がる炎のように、音楽の根底にあるリズムが持つエネルギーをショーアップした作品。2009年に瀬奈じゅんを中心とした月組で、また2010年には霧矢大夢を中心に上演され、今回は龍真咲のために新たな場面も加えながら上演します。
以上、宝塚公式HPより。
10月20日(土)が初日で、首都圏はさいたまでのこの2日間の週末のみ。
あとは浜松から西を回って、ラスト11月14日の梅田芸術劇場の千秋楽まで・・・というルートで。
準TOPの明日海りお主演のバウ&青年館の「春の雪」と2手に分かれての月組。
宙・星担のわたくしがなぜ、半分の戦力の月組の公演をわざわざ南浦和まで・・・という理由はただ一つ。
星から異動して、月のロミジュリで一気に3番手格に昇格した美弥るりかちゃんが、2番手格の扱いで出演するから
スターを2チームに分け合って、半分の人数で大劇場の演目を見せる・・・という全国ツアーならではの役付きマジックなのですが、普段チョイ役の子は中堅の役を、中堅どころや若手がスターの役を、スターがセンターの役を・・・と、普段観られない役づきでの顔を観られるのと、少ない人数で回すので、たいていのジェンヌさんが何役も兼任して、様々な場面で観られる、というのが全ツの楽しみ。
とはいえ、ロミジュリで、現星組正2番手の紅さんがやったマーキューシオの役を演じた美弥さんが、今、「愛するには短すぎる」では、中日公演で、現宙組TOPスターの凰稀さんの役だった主人公の親友アンソニー役を・・・!!
と聞いていてもたってもいられず、宙組「銀英伝」日比谷で絶賛公演中なのにもかかわらず、馳せ参じた・・・という次第です^^;
というわけで、みやるり語りに落ちるかもしれませんが、ざっと感想を・・・。
■「愛するには短すぎる」
もと孤児で見込まれて養子となり、今は財閥の御曹司として留学先のLONDONからNYに戻る主人公のフレッド(龍真咲)。
劇作家志望の親友アンソニー(美弥るりか)とともに4日間の豪華客船の旅の途中で出会った女性はディナーショー要員のダンサ―、バーバラ(愛希れいか)。実は幼馴染であることが解り急速に距離の縮まる2人だが、すでに婚約者もいるフレッドにそれ以上のことを求めてはならないと自制するも、恋心を押さえきれない2人・・・。
この3人を中心に、宝石泥棒事件や、売れっ子演出家に取りいる若手女優(愛風ゆめ)とマネージャー(煌月爽矢)との切ない恋、秘書(咲希あかね)と浮気を楽しむ伯爵(越乃リュウ)、病気の母親のためにチームを離れる予定のバーバラを貸した金を盾に引きとめようとするリーダー、フランク(紫門ゆりや)など、船上での様々な人間模様が描かれます。
マーシャル船長(星条海斗)を中心とした避難訓練や仮装舞踏会の場面が華を添えるテンポの良い前半と、2人の切ない愛を歌い上げる後半のバランスの良い脚本は、演出家正塚晴彦の代表作ともいえるのでは。
星組の中日公演が大好きで、かなり通いましたので^^;、つい、比較して、の感想になりますが・・・。
冒頭、黄色のスーツのアンソニーが紗幕の向こうで、舳先の上で歌うところから始まるのですが、そこが凰稀さんのスラリとした長身のシルエットで刷り込まれているので、5cm背の低いるりかちゃんは「。。。あれ?」という感じ。
・・・でしたが、お芝居が進むうちに、みやるりアンソニーにもすっかりなじみ、まさきフレッドとのバランスや掛け合いの間も良くて、どんどん引き込まれていきました。
龍さんのフレッドは、オーソドックスなおぼっちゃまの正統派スタイルも良く似合い、誠実で控え目な態度からは育ちの良さが伺え、裏を読めない真っすぐさもスッとはまっていて好演。
ちゃぴ(愛希)ちゃんのバーバラも、フレッド、アンソニー、フランクと3人の男を魅了する美貌、という点では白羽ゆりちゃん、夢咲ねねちゃん、の両星組TOP娘役に一歩譲りますが、若々しくて爽やか。何より、正塚作品のヒロイン特有の「・・・だよ」的なタメ口語りに違和感を感じさせないナチュラルな表現力が、真咲くんの演技とピッタリ合っていました。
深みのある低音で人生の機微を敏感に感じとる感性を表現する、みやるりフレッドとのトライアングルは、ストレートプレイの部分で輝きを放ち、コメディタッチのミュージカルナンバー場面で煌めいていた星組の3人が、洒脱で都会的なロマンチックコメディの味を色濃く出していたのに対し、月組の3人はフレッシュな青春群像劇を描き出していたかと
演出上の大きな違いは、執事役の名優未沙のえるさんの退団を受けて、新たにこのポジを女性に設定し、メガネの家庭教師、ミセス・オサリバンとして演技派ベテラン女役の憧花ゆりのさんが演じたこと。最初ヒステリックに避難訓練への参加を促すところなどは、だから女性は・・・とうんざりした気分になりましたが、だんだんと「なにゆえに~」などと決めセリフなどが効果的に使われて、軽快感も出せてきて、未沙さんの不在を忘れさせてくれる、新キャラを確立。
演者による、印象が異なった場面が二つ。
まずは、浮気者のスノ―ドン卿。星では組長の英真なおきさんが秘書役の落ち着いた花愛瑞穂さんをお相手に恐妻家で甘えん坊のおじ様をチャーミングに演じていましたが、月組名物のSEXY組長は、リアルなモテ男。恋人役の咲希あかねちゃんがリアルに美女だったこともあり、妙に華やいだカップル^^;で目を惹きました。
次は、残された2人だけの時間を惜しんで夜のデッキで語り合う2人を盛り上げる脇役の歌い継ぎ場面。
新人女優ドリー、マネージャーデイブ、演出家マクニ―ルさん、ダンスリーダーフランク・・・の順に盆が回って、船の上で歌い上げる・・・という趣向なのですが、星の時は、涙ボロボロのねねちゃんバーバラにもらい泣きしそうになっていたのが、早乙女わかばちゃん~麻央侑希ちゃん~鶴見舞夕さん~夢乃聖夏ちゃんというなんとも微妙な面々で・・・^^;
なぜにこのメンバーで歌い継ぎとか、謎すぎる・・と毎回涙が引っこんでいたのですが^^;
今回は、愛風ゆめ~煌月爽矢~光月るう~紫門ゆりやと、下級生ながら安定した歌唱で破綻がなく・・・。
華と個性の星組、地味だけど実力が安定している月組という組カラーが顕著に出た場面でした。
るりかちゃんアンソニーを振りかえると・・・
ダンスナンバー、船室で親友2人がシンクロしてソファに座って長い脚をテーブルに投げ出したり、腕を組んでグラスを干したりする場面や、バーバラを加えた3人で、仮装舞踏会の扮装のままコミカルに謎を歌うナンバーなどでは凰稀さんのスタイルや洒脱さが思い起こされてしまいましたが、みやるりちゃんは普段の軽快な動きとは裏腹に、シリアスな芝居が良かったです。
自分の心の変化に混乱するフレッドに「それが恋だよ、フレッド」と言い含めるときの深みのある表情と声の重厚さ、バーバラを恫喝するフランクに小切手を切る場面での相手を圧倒する芝居がかった動きや迫力。
客席を静まりかえらせる緊迫感を醸し出す求心力を感じました。
そしてショー、
■「Heart on Beat」
華やかで楽しいショーでした。
宝塚らしい場面がいっぱいあって、全ツにはピッタリでは?
白を基調に、蝶タイやタキシードの襟の一部に赤や青などカラフルな色を入れた2TONEの衣装で、まず全員が踊り盛り上げる冒頭から、様々な場面が展開します。
センターをまず、龍真咲ちゃんが決めたあと、るりかちゃんセンターで場面を繋ぐのにまず感動(笑)
そして第6場「THE BEAT GOES ON」で
るりかちゃんス―パ―ロッカー。ミューズとして、黒のレオタードとタイツに黒羽根をあしらったヘッドドレスの紗那ゆずはちゃんと白いお人形のようなドレスの叶羽時ちゃんが絡みます。
ゆずはちゃんはダンサーですね。雪組の笙乃茅桜ちゃんのようなポジかしら。
そこに、光月るう(今回あらゆる場面にご出演。敢闘賞ものかも^^)、紫門ゆりや、煌月爽矢、朝美絢ちゃんといった若手路線男役が。
場面として特に好きなわけではないのですが、るりかちゃんセンター、ということで^^;
好きな場面なら、9~10場の「BODY HEAT:B,C」でしょうか^^
龍真咲ちゃんが帽子に白いスーツのエトランジェ。
迎えるのは赤いスーツのマスター越乃リュウ組長。
真っ赤な椅子を使ったダンスが・・・。やばいです、マスター^^;
男役の色気というものはこうやって見せるものだ、というお手本のようなダンスのあと、黒スーツの若手のジゴロがちょっと踊るのですが、やっぱり男役芸を極めたベテランは大切にしなくてはならないな、と思わせるものが^^;
下手にずらりと椅子を並べて座る赤いモチーフで上半身を飾った黒いスリットドレスの女が12人ずらりと脚をあげて組みなおすのが圧巻。その後ろの壁の上にはマスター越リュウという美味しすぎる場面。
エトランジェはそんな女たちの誘惑を退けて去っていく・・・というKAZUMI-BOY振付の場面ですが、こういう何もしない主役としてきれいに存在できるのはTOPの条件ですね(褒めてます)
いやいや、この場面は組長による組長のための組長の場面、ということで^^。
堪能しました
続く11場「HOT LATINO」ではラテンシンガ―2組が歌い踊ります。
まず、「クンバンチェロ」で、美弥るりかちゃんと光月るうくんが。
そして「べサメムーチョ」で星条海斗さんと紫門ゆりやくんが。
星条さんあたりは鉄板な感じですが、若手にはちょっと挑戦、という感じが良いですね^^
極私的な見どころは13場の「HOT LATINO: D」
龍真咲ちゃんを囲む怪しい花々フラガンシアは・・・。
若手男役4人、美弥るりかちゃん、光月るう、紫門ゆりや、煌月爽矢が頭にターバンと羽根、水色ラメのダルマ(ノースリーブのレオタードをこう呼ぶ)姿で踊り誘惑する・・・のですが、まさかのるりかちゃんのダルマ!!
貴重な機会だわ・・・とオペラグラスでガン見。
素顔のフェアリーのような可愛さからは想像できない妖艶な表情で攻める攻める
男役としては決して大きくはない168cmのほっそりとした肢体は女性の姿では充分に魅惑的で、滅多に観られない表情も含めて、貴重なものを見せていただきました。上品な紫門ゆりやちゃん辺りのバランスの良いプロポーションにも惹かれましたが、ここは1点勝負で(笑)
第15場「HOT LATINO :F」では、
龍真咲ちゃんをセンターに、星条さんと美弥ちゃんがラテンジャズをきざりながら歌う・・・の場、ですが、皆さん歌が魅力的。
続く「DREAM BEAT」ではちゃぴちゃん(愛希)がエレキギターを手にノリノリで演奏中。
はじけていて可愛い。パパに叱られて(声のみ:組長)おやすみなさい
次の見どころは・・・
第19場「NEXT!」~フィナーレA
フィナーレへのプロローグ、という感じの場面。スミレ色のシックなスーツの美弥るりかちゃんが、同じくシックなロングドレス姿の憧花ゆりのお姉さまと並んで、「枯葉」を歌います。
こういう大人っぽい場面で、お姉さま相手に堂々と視線を絡ませている姿にも胸熱;;
そして最後の最後のフィナーレは・・・
まさかの2番手羽根をつけての登場!
えーと、白に赤いスパンコ―ルの衣装にシルクハット。同じ配色の羽根を背負わせていただいていました。
組内では同じランクのポジションにある先輩、星条さんが、1人だけスパンコールつき、キラキラの黒燕尾ですが、羽根はないので、なんだかヤンキ―ドゥ―ドル人形みたいな微妙なセンスの衣装ではありましたが、みやるりちゃん2番手!の晴れ姿を拝めた、という満足感でいっぱいの全ツ、@さいたま、でした