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お着物Enjoy生活からバレエ・オペラ・宝塚etcの観劇日記に...

第16回世界バレエフェスティバル Bプロ初日

2021-08-20 08:29:00 | BALLET
2021年8月19日(木)14:00~
第16回世界バレエフェスティバル Bプログラムの初日に行って参りました。

Aプロの千秋楽が素晴らしかったので、Bプロの構成や如何に、とわくわくしての参戦です^^

─ 第1部 ─
◆「グラン・パ・クラシック」
振付:ヴィクトル・グゾフスキー 
音楽:フランソワ・オーベール 
菅井円加、ダニール・シムキン

Aプロでは、一人憂愁の王子を踊ったシムキン君。こういうガラのテクニシャンスターカップルが踊る演目、ピッタリですし、パートナリングの上手い彼は女性ダンサーの良さも引き立てつつ自分のテクニックも存分に見せるので、これは楽しみ。ただ、相手役が純クラダンサーではない菅井さん。さて。
Aプロの本来のノイマイヤーダンサーとしての作品ではとてもクリーンな踊りを見せてくれた菅井さん。こちらでは・・・アラベスクで自立を繰り返す場面、シムキン君が手を離すと必ずグラっとするの、今までのシムキンくんの相手役を務めてきたマリア・コチェトコワやヤーナ・サレンコでは見られなかったこと。ただ、組んでいる相手に視線をやる時に、なんとも言えない信頼していますよ、という言葉が聞こえてきそうな、穏やかで温かい微笑みをシムキン君に投げかけるのがとても素敵で、これから千秋楽までに素敵な雰囲気になってきそうなペアだなと思いました。最後の女性のフェッテをサポートテクで最後超スピードでクルン!!と回らせて自分もジャンプして決めるのさすがシムキン君。

◆「スティル・オブ・キング」
振付:ヨルマ・エロ 
音楽:フランツ・ヨーゼフ・ハイドン 
マルセロ・ゴメス

ハイドンの曲、というのが珍しくて新鮮。作品は、黒レギンスのゴメス様によるシンプルなコンテ。

◆「トゥー・ルームズ」
振付:イリヤ・ジヴォイ 
音楽:マックス・リヒター 
マリーヤ・アレクサンドロワ、ヴラディスラフ・ ラントラートフ

これは、この二人のために振りつけられた現代作品。黒のセパレーツに透ける黒のミニワンピを被せたお衣装のショートボブ(オデコ出し)のマーシャとラントラートフさんのコンテは、テクニック万全で白黒のロゴ入りリボン?の背景の一部をお衣装に着けたような、全体の世界感が疎外と融合、のようなメッセージ性があって、マーシャの存在感が伝わってきて、これはこれで見ごたえあり。そして、二人のカーテンコールはいつもチャーミング♡ 今回は二人で指を合わせて一つのハートを作ってくれました^^

◆「白鳥の湖」より 黒鳥のパ・ド・ドゥ   
振付:マリウス・プティパ  
音楽:ピョートル・チャイコフスキー
エリサ・バデネス、ワディム・ムンタギロフ

ムンタギロフにピッタリの演目で、彼は、黒鳥オディールに心奪われる演技も王子としての踊りも完璧。Aプロの金子さんはBプロには出られなかったのかしら・・・。スケジュールの都合でしょうか・・・。シュツットガルトのパデネスは2演目登場の大活躍。彼女は、弾力性のある情熱的な踊りが身上なので、王子への視線の送り方、表情、そして見せ場のフェッテはお見事、でしたが、所謂白鳥タイプのダンサーではないので、王子に支えられて上体を反り、両腕を白鳥のようにうねらせるような振りではアームスの動きがうーん、ちょっと違う・・・と違和感が。返す返すも、白鳥をロパートキナ様に基準をおいてしまうわが身が恨めしい。

─ 第2部 ─

追悼 カルラ・フラッチ、パトリック・デュポン(映像)
バレフェス参戦初日の同行の友人に、Aプロで如何にスター性でデュポンが映像なのに観客の琴線に触れる演技であったかを力説しておいたのですが、Bプロの映像は、お二方とも、キャリアの後半のもので・・・。
そういえば、デュポン、歌舞伎に傾倒して、最後の方の舞台はちょっと迷走気味だったなぁ・・・と自分がその時代には観客としてぎりぎり間に合ったものの、今一つ天才ダンサーパトリック・デュポンにハマれなかったあの頃を思い出すなどしておりました💦
彼ほどのダンサーでも、若い頃と円熟味を増してきてからの作品選び、方向性の持って行き方にも迷うのだなそれが人生というものなのかも。。。としみじみ思ってしまいました。

◆「ジュエルズ」より "ダイヤモンド"
振付:ジョージ・バランシン 
音楽:ピョートル・チャイコフスキー 
オリガ・スミルノワ、ウラジーミル・シクリャローフ

スターダンサーがそのクラシックダンサーとしての美の方向性を示しつつ、観客はそれをうっとりと眺めている癒しの演目、という位置づけ?の「ダイヤモンド」
ボリショイペアは如何に?正直、クラシックバレリーナとしての美点を多く持ち合わせているスミルノワに期待していたのですが・・・。
何がいけなかったのかちょっとバラバラなまとまりのない印象の「ダイヤモンド」でした。背景がいつものくぐもった水色、あるいはセンターに小さな雲一つ、ではなく、満天の星空で、スミルノワのお衣装とヘッドアクセサリーが純白に細かなスワロフスキーが繊細に煌めく感じなのに対し、シクリャローフくんのお衣装が、アイボリーに金モールとスワロフスキーで、統一感がなかったからか・・・。
やはり、アニエス・ジョゼ組や、ロパートキナ様のダイヤモンドが懐かしい・・・

◆「3つのプレリュード」
振付:ベン・スティーヴンソン 
音楽:セルゲイ・ラフマニノフ
アマンディーヌ・アルビッソン、マチュー・ガニオ

実はあまり期待していなかったのですが、今回のBプロイチ、くらいに気に入りました。アイボリーベージュのシンプルなスカート付レオタードのアルビッソンと、肩紐付の淡いグレーのタイツにレオタード素材の白シャツのガニオ。
最初はレッスンバーを挟んで、そして、バーなしで、と徐々に解放されていく3場面の男女の在り方が、しっとりと落ち着いた美貌で、安定したテクニックの二人が丁寧に紡ぐ様がとても心地よく、円熟期にあるペアの良さがジワジワと伝わる佳作でした!観られてよかったです。

◆「海賊」
振付:マリウス・プティパ 
音楽:リッカルド・ドリゴ 
オニール八菜、マチアス・エイマン
Aプロでキム・キミン、クリサノワのマリインスキーペアが話題をさらった「海賊」。オペラ座の誇りにかけて・・・とマチアスくん、3連続のジャンプを全て外側の回転にしたり、彼なりのテクニックで魅せる方向で頑張りました。オニールさんはとても爽やかで若々しくてイキイキしていたけれど、マチアスはアリタイプというより、やはり、ジャン・ド・ブリエンヌとかの方が似合うかなぁ・・・と贅沢にもちょっぴり演目選びに不満が^^;

─ 第3部 ─

◆「椅子」
振付:モーリス・ベジャール(ウージェーヌ・イヨネスコに基づく) 
音楽:リヒャルト・ワーグナー
アレッサンドラ・フェリ、ジル・ロマン

セリフあり、とのことで、イヨネスコのテキストが事前に渡されておりました。老境の男性が、女性に、トリスタンとイゾルデのような恋が出来るのだろうか・・・と問いかけてみたり・・・。人間の老いと直面させる作品。
舞台の天井からも大量に吊り下げられ、舞台上にもふんだんに用意された椅子を駆使した振付で、ジル・ロマンがセリフありのバレエに挑みます。フェリもイタリア語であまり意味をなさない言葉を時々発したり、イメージの女性として、時に若々しく、時に老婆のように見える動きで、新たな挑戦を。録音使用のワーグナーの旋律と共に、誰にも訪れる老い、というテーマを掘り下げる、観客それぞれが舞台を観ながら自身の内面に深くいざなわれるような作品で、いかにも、ベジャール作品!と堪能しました。バレフェスで、ジルが他バレエ団の女性スターダンサーと組む時の化学反応が好きな一ファンとしては、嬉しい演目でした^^

─ 第4部 ─

◆「ロミオとジュリエット」より 第3幕のパ・ド・ドゥ
振付:ルドルフ・ヌレエフ 
音楽:セルゲイ・プロコフィエフ
ドロテ・ジルベール、ユーゴ・マルシャン

ようやくユーゴ登場!Aプロのオネーギンは間に合わず、急遽、フォーゲルくんが2回踊ることになり、それはそれで、新鮮かつなかなかピッタリですてきな組み合わせでのオネーギンとタチアナを堪能できて美味しかったのですが。。。
ロミジュリ、これは寝室のPDDですね。疾走する刹那の一夜。夜明けにはベローナを発たなくてはならないロミオとの初夜。若い二人の愛と別れの瞬間的な高まりを、長身の二人がダイナミックに演じます。
ガラでこの場面だけ・・・というのは珍しいかも。二人の演じ方なのか、忙しい振り付け(笑)が身上のヌレエフ版の宿命か、ひばりが・・・あれはナイチンゲールです、のようなやり取りがあまり感じられず、ひたすら走り抜け、そして走り去るロミオ・・・という感じで、物語としての緩急が今ひとつ見えずらかったのが勿体なかった一幕でした。最終日も観るので、ちょっと変わっているといいな・・・など。

◆「シャル・ウィ・ダンス?」より "アイ・ガット・リズム"
振付:ジョン・ノイマイヤー 
音楽:ジョージ・ガーシュウィン
菅井円加、アレクサンドル・トルーシュ

トップハットに黒燕尾の二人が軽快に踊る。
菅井さん、今回2度目の登板。ノイマイヤーダンサーとして、こちらの方が本領発揮といったところ。

◆「悪夢」 
振付:マルコ・ゲッケ 
音楽:キース・ジャレット、レディー・ガガ
エリサ・バデネス、フリーデマン・フォーゲル

カーキ色のタンクトップにミリタリー調のパンツ姿の二人。フォーゲル君は髪をサイドパーツにしてなでつけて固めたスタイル。レディーガガも使用した音楽の使い方が面白い作品。この二人に似合っていました。

◆「ドン・キホーテ」
振付:マリウス・プティパ 
音楽:レオン・ミンクス 
エカテリーナ・クリサノワ、キム・キミン

今回、照明暗めのコンテが多かったせいか、パッとした照明の下でのグランパドドゥに沸く会場。キミンもクリサノワもここぞとばかりにテクニック満載の素晴らしいパフォーマンスを・・・と言いたいところですが、キミンの拵えが一応マタドールスタイルの短いジャケットながら、白シャツに上下黒で、装飾も少ない。クリサノワは艶やかな赤いチュチュに黒のビスチェスタイルのスペイン風の衣装で何の問題もないのですが・・・髪も艶のないザンバラで、せっかくの晴れ舞台で、スタイリッシュな色男の役どころなのだから、ちゃんと役として演じてほしい・・・と。

一つ良かったなと思ったのは、観客の成熟度。
どうしても、しっとり系の作品や、難解で地味目なコンテは、パフォーマンス後の拍手も炸裂とはなりにくいし、逆に華やかなコーダのついた、魅せるためのグランパは観客も拍手を入れやすい。
なので、最後のグランフィナーレでその感覚を引きずったら厭だな・・と思っていたら、ちゃんと、観客は、作品の良さを反映して、公正にそして全体を称えるような拍手をちゃんと送っていて、ここはちょっとホッとしたところ。

Aプロは一人で鑑賞したので、凄く集中できたのですが、今回はクラシック音楽ファンの友人を伴ったところ、5列目の特等席だったのにも関わらず、暗い照明の場面で船を漕いでいたxxx この辺りの席の観客な皆、熱心なバレエファンで、食い入るように舞台を見つめている人ばかりなのに・・・と腹立たしく思ってしまったり、ここでつついて起こすべきか、本人のリズムに任せて放置すべきか・・・気が散ってしまったxxx
この素晴らしいフェスを自分だけの楽しみにしているのが勿体ないと、友人を誘いたくなるのですが、こういうこともあるので悩ましい。
友人は、疲れていたので、時折睡魔に襲われたけれど、どの作品も観ることが出来たし、とても満足している、とのことでした^^;

次の千秋楽観劇は是非、集中して観たいものです^^!

指揮: ワレリー・オブジャニコフ、ロベルタス・セルヴェニカス  
管弦楽: 東京フィルハーモニー交響楽団
ピアノ: 菊池洋子(「3つのプレリュード」)

◆上演時間◆
第1部 14:00~15:00
休憩 15分
第2部  15:15~16:05
休憩 15分
第3部  16:20~16:50
休憩 15分
第4部  17:05~17:55



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