ミラノ・スカラ座2013年引っ越し公演、バレエ団の演目は
マクミラン版の「ロミオとジュリエット」
主演にゲストのナタ―リア・オシポワ、イワン・ワシーリエフのロシアのパワフル技巧系と
アリーナ・コジョカル、フリーデマン・フォーゲルのバレエ団を超えた役にピッタリのVISUALのペア、
以上、主役2ペアで2公演、
そして、スカラ座で固めたぺトラ・コンティ、マウリツィオ・リチ―トラで1公演、というのが今回のツアーの概要。
そのぺトラ・コンティが「急な個人的事情により」降板(17日付発表)。21日昼公演の代役をオシポワが務めたとか。
21日はマチソワ連投されたわけですね、さすがパワフルなオシポワ!
カンパニー内固めのCASTならでは息の合ったところを観たかったファンの方には残念でしたが・・・^^;
さて、参りましたのは、このペアなら観たいでしょ!の、コジョカル・フォーゲル組。
連休中日の日曜日、気温29度ながら、空気は爽やかな初秋の上野のマチネ、東京文化会館に行って参りました。
2013年9月22日(日) 3:00 p.m./東京文化会館
「ロミオとジュリエット」全3幕
振付:ケネス・マクミラン
音楽:セルゲイ・プロコフィエフ
Romeo e Giulietta Balletto in tre atti
Coreografia di KENNETH MACMILLAN
Ripresa da JULIE LINCOLN
Musica di SERGEJ PROKOF'EV (Editore per l'Italia Universal Music Publishing Ricordi srl, Milano)
ロミオ:フリーデマン・フォーゲル
Romeo:Friedemann Vogel
ジュリエット:アリーナ・コジョカル
Giulietta:Alina Cojocaru
マキューシオ:アントニーノ・ステラ
Mercuzio:Antonino Sutera
ティボルト:ミック・ゼーニ
Tebaldo:Mick Zeni
ベンヴォーリオ:クリスティアン・ファジェッティ
Benvolio:Christian Fagetti
パリス:マルコ・アゴスティーノ
Paride:Marco Agostino
キャピュレット公:アレッサンドロ・グリッロ
Lord Capuleti:Alessandro Grillo
キャピュレット夫人:サブリナ・ブラッツォ
Lady Capuleti:Sabrina Brazzo
大公:マシュー・エンディコット
Il Duca:Matthew Endicott
ロザリンデ:ルアナ・サウッロ
Rosalinda:Luana Saullo
乳母:デボラ・ジズモンディ
La Nutrice:Deborah Gismondi
ロレンス修道僧:マシュー・エンディコット
Frate Lorenzo:Matthew Endicott
マンドリン・ダンス(ソロ):ヴァレリオ・ルナデイ
Solista Mandolino:Valerio Lunadei
3人の娼婦:ベアトリーチェ・カルボネ、エマヌエラ・モンタナーリ、アレッサンドラ・ヴァッサッロ
Tre Zingare:Beatrice Carbone、Emanuela Montanari、Alessandra Vassallo
モンタギュー公:ジュゼッペ・コンテ
Lord Montecchi:Giuseppe Conte
モンタギュー夫人:セレーナ・コロンビ
Lady Montecchi:Serena Colombi
ジュリエットの友人:
アントネッラ・アルバノ、クリステッレ・チェッネレッリ、ヴィットリア・ヴァレリオ、
ルーシーメイ・ディ・ステファノ、アントニーナ・チャプキーナ、ジュリア・スケンブリ
Sei Amiche di Giulietta:
Antonella Albano、Christelle Cennerelli、Vittoria Valerio、
Lusymay Di Stefano、Antonina Chapkina、Giulia Schembri
ミラノ・スカラ座バレエ団
e il CORPO DI BALLO DEL TEATROALLA SCALA
芸術監督:マハール・ワジーエフ
Direttore: Makhar Vaziev
演奏:東京シティ・フィルハーモニック・オーケストラ
Orchestra: Tokyo City Philharmonic Orchestra
指揮:デヴィッド・ガーフォース
Direttore: David Garforth
◆上演時間◆
第1幕 Act 1 15:00 - 16:05 (休憩 Inter. 20 min)
第2幕 Act 2 16:25 - 17:00 (休憩 Inter. 20 min)
第3幕 Act 3 17:20 - 17:55
正直バレエ団の格として、パリオペやロイヤル、ロシアの2大バレエ団ボリショイ・マリインスキー、より一歩譲ったところに位置するスカラ座バレエ団、(オペラは勿論世界の一流ですけれどもね^^;)主役以外に期待するところは特になかったのですが、こんなに嬉しい裏切りに会うとは思いもよらないことでした。
東バでもありがちな、主役ゲスト、ソリストにカンパニーのプリンシパルが投入される、このスタイル、スカラ座のプリンシパル、ソリストの実力が如何なるものかを見せつけてくれました。
そして、バレエ以外でも取り上げられることの多いこの演目、「ロミオとジュリエット」、何気ない群舞のシーンでも、ベローナ市民をALLイタリア人CASTで演じることで生まれる不思議な統一感、中世のイタリア衣装がしっくりくるこの顔あの顔・・・・。
美術と衣装が素晴らしかったのに加え、芝居心豊かなスカラ座バレエ団の面々が、舞台をいきいきと盛り立てて、主役の見せ場以外の場面でも、息をも継がせぬ求心力で、(特に第1幕)これが見慣れたマクミラン版かと見まごうばかり。
えぇ、もちろん、ロイヤルのマクミラン版の「ロミオとジュリエット」は鉄板ですが、それとはまた全く異なる違う魅力の空気感が支配した素晴らしい舞台を堪能しました
赤に白抜きの「大入」札が会場入り口に。
期待感が横溢する客席。前奏曲から心高ぶるプロコフィエフの「ロミオとジュリエット」あぁ、やっぱりこの曲自体が好きだわ・・・。幕はスモ―キ―ブルーの空に陰影あるグレイッシュな雲・・のデザイン。
オケが気になる。スカラ座オーケストラのメンバーが残ってくれているのならばこんなに贅沢な公演はない!と断言できるのだけれども、それにしては音が軽い気も・・・(←東京シティフィルハーモニック、でした)。
幕が開き、まだ町が目覚めていない早朝のベローナ、麗しのロザラインを待ち伏せするロミオ。
軽くいなされて告白失敗。友人のマーキューシオ、ベンヴォーリオになぐさめられているうちに、広場に市が立ち、人々が集まり・・・。賑わいの中、女の子たちにキスをしたり、たわむれるロミオ。
フォーゲルくん、一際背が高くて金髪で、ブルネットの多いイタリア人CASTの中でいい感じに浮いています。
これこそまさに「ベローナ中のジュリエットを泣かせてきた」ロミオ。無垢な若者だけれどもチャラい(笑)
そして華がある!
高速ピルエットとフェッテの組合せで高揚感と若さを演出するマクミランの男性ダンサーへの振付を3人の並びでされるととてもキレイ。マーキューシオのアントニ―ノ・ステラの踊りが切れ味鋭く、足先の伸びが素晴らしいので、長身のフォーゲルの隣でも全く見劣りしない。逆にコールドバレエから抜擢のベンヴォーリオ、マルコ・アゴスティーノはカワイイお顔で長身だが、ちょっと落ちるかも。それにしても、インクブルーの濃淡の胴着と藤色のタイツのロミオ、青緑なマーキューシオ、オリーブグリーンのベンヴォーリオの並びはとてもきれい。
3人の娼婦たちが、派手なニンジン色やトウモロコシ色のウィッグにエスニックな明るさのあるブルー~グリーン系で若者たちに呼応していて、市場の女性たちは白いボンネットに生成の衣装、キャピュレットの若者が赤、という配色設計がなんとも目に心地よい。
3人の娼婦たちのセンター、ベアトリ―チェ・カルボネはパリオペのアレッシオ・カルボネの妹?
キャピュレットの若者たちがモンタギュー組と仲の良い娼婦を侮辱したところから小競り合いが始まり、またたく間に舞台狭しと総チャンバラ状態に。音楽に合わせて剣を合わせる音が響き渡り、ターンしたり上下で受け止めたり、結構殺陣として練習を積んだ感じで倒れるヒトもあり・・・。
両家の当主も登場。最後、大公が現れて騒ぎを収め、舞台中央に両家の犠牲者を引っ張って山積みにする(6人くらい?)のが、衝撃的。そうか・・剣による喧嘩は犠牲者も出るわ・・・。
場面変わってジュリエットの居間。
アリーナのジュリエットは元気いっぱい、ピンクのドレスが可愛らしいエネルギーがありあまったお転婆な子供。
人形を抱き締め、乳母を翻弄。そこに両親がやってきて、婚約者パリスに紹介する。
子供っぽい仕草で照れて(人見知り?)ろくに彼の顔を見ないで乳母に助けを求める彼女。
落ち着きないことはなはだしいのですが、10代の少女ってこんな感じかも。
まだ子供で・・・・と優雅にいなすキャピュレット夫人。落ち着いた雰囲気のパリスはかなり年上?納得して暇乞い。
笑って狼狽して・・のジュリエットを諌める乳母。もう大人なんですよ、と胸に触れさせ自覚を促します。
キャピュレット家では舞踏会の招待客を門前でティボルトが迎えています。
カップルで連れ立って、ロザラインは紫のお仕着せの4人の男による紫色の輿に乗って・・・。
ティボルトからの紅バラを手に、優雅に立ちふるまう彼女を追ってモンタギュー3人組も隙を観て邸内に入ります。
目もとにマスク、短いマントを羽織って待機しており、時折ロザラインに絡んだりするのですが、衣装に合わせた色合いのマントの裏地、ロミオの藤色がかったブルーの表地に対して黄金色のサテンの裏地がチラ見えするのが美しく、勿論招待客の衣装の赤と紫の絶妙な配色と合わせて、本当に衣装が美しくて惚れ惚れ。
舞踏会で、ジュリエットはパリスと踊ります。ちょっとぎこちなくてはにかんではいるけれども、少しずつ、心を開いている様子の彼女を優しくリードするパリス。白い衣装の2人のPDDはキレイ。
プロコフィエフの「ロミオとジュリエット」と言えば・・・の有名なテーマ曲がキャピュレット家の総踊りの場面で使われています。そこにロミオたちが加わるのが目を惹きます。
そのままカップルがどんどん入れ替わる総踊りになるのですが、そこで何度かペアを組むうち、マスケラ越しにお互いを意識するようになるロミオとジュリエット。時折パリスやティボルトが不審気にチェックを入れますが、大勢の客と踊りにまぎれて大事には至りません。
ジュリエットのソロ。ここまでは子供っぽく、仕草も洗練されていないジュリエットでしたが、ここでは若さが輝かんばかりの魅力を発揮。ロミオに惹かれて・・の女性らしさの発露が見受けられ、舞踏会の客人全て、とりわけロミオとパリスは魅了された様子。
続いて、ジュリエットのマンドリン演奏に合わせて・・・の友人たちの可愛らしい群舞。
膝に乗せたマンドリンをつまびくジュリエット。キャピュレットの令嬢は楽器の演奏もできますよ、という教養のお披露目場面なのでしょうが、ここでマスケラをつけたロミオがその演奏に合わせて飛び入り参加。
目覚ましいソロを見せつつ、ジュリエットの友人たちの踊りの輪に加わります。
古楽器演奏のようなバロックの小品っぽい主旋律に時折まがまがしい気配を思わせるフレーズが混じるここの音楽もとても好き。あれはいったい何者なんだ?とざわめく観客。演奏の手を止めるわけにはいかないけれども、彼に釘付けで心ここにあらずのジュリエット。踊りと演奏ですっかりジュリエットが気に入ったパリスの不安。
ロミオに集まった注目をそらすためにひとくさり踊っておどけて見せるマーキューシオとベンヴォーリオ。
それぞれの役が、音楽と演技と踊りで物語を同時に展開させて、見どころ満載、ワクワクドキドキしながらの場面・・・でした。
その後マスケラを取って素顔を見せてジュリエットを魅了しながらロミオがジュリエットに向けて踊り、すっかり彼しか見えなくなるジュリエット・・・
不審げに観ていたティボルトが動きます。あいつは誰だ!詰め寄るティボルト、顔をそむけて手で視線をさえぎるロミオ・・・。
ついに面がわれ、ティボルトは色をなしますが、そこは舞踏会の主宰者であるキャピュレット卿が騒ぎを嫌って優雅に場を収めます。ひとまず、挨拶をして暇乞いをするロミオ、更に追い詰めようとするティボルトをマーキューシオとベンヴォーリオが間に入ってロミオを逃します。
バルコニーの場面は、見慣れた台の上に設置された手すり・・・のセットではなく、塔の中ほどに小さなバルコニーに出られる窓があり、そこから登場するアリーナ=ジュリエット。
今日一日、とりわけあの素敵なロミオを思って・・・のジュリエット、基本肉眼で観られる席だったのですが、敢えてアリーナをオペラで観ると、小柄で華奢なイメージの強い彼女の上腕部が意外なまでに筋肉がしっかりとついて盛り上がっているのがわかってドッキリ・・・でも、表情はちっと泣き顔のいつものアリーナで、恋に陶酔してひとりで思い出し顔・・・の恋する少女が似合います。
走り込むロミオ。気づいて驚き、内階段からかけ降りて登場するジュリエット。
ここからリフト満載の有名なマクミラン版の「バルコニーのPDD」になるわけですが・・・。
今回の公演で2度目とはいえ、やはり急ごしらえなペアなので、本当に微妙な違和感が。
とはいえ、この振付を何度も観ているからこそわかるレベルなので、初見なら、気にならない程度。
もっと高い位置にジュリエットを引き上げるはず・・・というリフトで微妙にタイミングがズレるも、アリーナが自力でポージングを決めてくるので、形にはなっているのですが・・・。
ジュリエットに告白(自分の胸に彼の手を導く)されて歓喜の舞のロミオ。ここはフォーゲルくんの若さが炸裂。芝居功者で心ある演技をする2人らしく、常にお互いの視線を絡めて・・・。
最後、バルコニーの上と下から手と手を伸ばして・・・指先が届きそうで届かない・・・の伸びあがった場面でのフォーゲルくんの少し身体をねじったシルエットがとてもキレイでした。
*場面、各ダンサーの感想も続けて書く予定です・・・・このペースだと完成までに数日かかりそうですが・・・^^;*
マクミラン版の「ロミオとジュリエット」
主演にゲストのナタ―リア・オシポワ、イワン・ワシーリエフのロシアのパワフル技巧系と
アリーナ・コジョカル、フリーデマン・フォーゲルのバレエ団を超えた役にピッタリのVISUALのペア、
以上、主役2ペアで2公演、
そして、スカラ座で固めたぺトラ・コンティ、マウリツィオ・リチ―トラで1公演、というのが今回のツアーの概要。
そのぺトラ・コンティが「急な個人的事情により」降板(17日付発表)。21日昼公演の代役をオシポワが務めたとか。
21日はマチソワ連投されたわけですね、さすがパワフルなオシポワ!
カンパニー内固めのCASTならでは息の合ったところを観たかったファンの方には残念でしたが・・・^^;
さて、参りましたのは、このペアなら観たいでしょ!の、コジョカル・フォーゲル組。
連休中日の日曜日、気温29度ながら、空気は爽やかな初秋の上野のマチネ、東京文化会館に行って参りました。
2013年9月22日(日) 3:00 p.m./東京文化会館
「ロミオとジュリエット」全3幕
振付:ケネス・マクミラン
音楽:セルゲイ・プロコフィエフ
Romeo e Giulietta Balletto in tre atti
Coreografia di KENNETH MACMILLAN
Ripresa da JULIE LINCOLN
Musica di SERGEJ PROKOF'EV (Editore per l'Italia Universal Music Publishing Ricordi srl, Milano)
ロミオ:フリーデマン・フォーゲル
Romeo:Friedemann Vogel
ジュリエット:アリーナ・コジョカル
Giulietta:Alina Cojocaru
マキューシオ:アントニーノ・ステラ
Mercuzio:Antonino Sutera
ティボルト:ミック・ゼーニ
Tebaldo:Mick Zeni
ベンヴォーリオ:クリスティアン・ファジェッティ
Benvolio:Christian Fagetti
パリス:マルコ・アゴスティーノ
Paride:Marco Agostino
キャピュレット公:アレッサンドロ・グリッロ
Lord Capuleti:Alessandro Grillo
キャピュレット夫人:サブリナ・ブラッツォ
Lady Capuleti:Sabrina Brazzo
大公:マシュー・エンディコット
Il Duca:Matthew Endicott
ロザリンデ:ルアナ・サウッロ
Rosalinda:Luana Saullo
乳母:デボラ・ジズモンディ
La Nutrice:Deborah Gismondi
ロレンス修道僧:マシュー・エンディコット
Frate Lorenzo:Matthew Endicott
マンドリン・ダンス(ソロ):ヴァレリオ・ルナデイ
Solista Mandolino:Valerio Lunadei
3人の娼婦:ベアトリーチェ・カルボネ、エマヌエラ・モンタナーリ、アレッサンドラ・ヴァッサッロ
Tre Zingare:Beatrice Carbone、Emanuela Montanari、Alessandra Vassallo
モンタギュー公:ジュゼッペ・コンテ
Lord Montecchi:Giuseppe Conte
モンタギュー夫人:セレーナ・コロンビ
Lady Montecchi:Serena Colombi
ジュリエットの友人:
アントネッラ・アルバノ、クリステッレ・チェッネレッリ、ヴィットリア・ヴァレリオ、
ルーシーメイ・ディ・ステファノ、アントニーナ・チャプキーナ、ジュリア・スケンブリ
Sei Amiche di Giulietta:
Antonella Albano、Christelle Cennerelli、Vittoria Valerio、
Lusymay Di Stefano、Antonina Chapkina、Giulia Schembri
ミラノ・スカラ座バレエ団
e il CORPO DI BALLO DEL TEATROALLA SCALA
芸術監督:マハール・ワジーエフ
Direttore: Makhar Vaziev
演奏:東京シティ・フィルハーモニック・オーケストラ
Orchestra: Tokyo City Philharmonic Orchestra
指揮:デヴィッド・ガーフォース
Direttore: David Garforth
◆上演時間◆
第1幕 Act 1 15:00 - 16:05 (休憩 Inter. 20 min)
第2幕 Act 2 16:25 - 17:00 (休憩 Inter. 20 min)
第3幕 Act 3 17:20 - 17:55
正直バレエ団の格として、パリオペやロイヤル、ロシアの2大バレエ団ボリショイ・マリインスキー、より一歩譲ったところに位置するスカラ座バレエ団、(オペラは勿論世界の一流ですけれどもね^^;)主役以外に期待するところは特になかったのですが、こんなに嬉しい裏切りに会うとは思いもよらないことでした。
東バでもありがちな、主役ゲスト、ソリストにカンパニーのプリンシパルが投入される、このスタイル、スカラ座のプリンシパル、ソリストの実力が如何なるものかを見せつけてくれました。
そして、バレエ以外でも取り上げられることの多いこの演目、「ロミオとジュリエット」、何気ない群舞のシーンでも、ベローナ市民をALLイタリア人CASTで演じることで生まれる不思議な統一感、中世のイタリア衣装がしっくりくるこの顔あの顔・・・・。
美術と衣装が素晴らしかったのに加え、芝居心豊かなスカラ座バレエ団の面々が、舞台をいきいきと盛り立てて、主役の見せ場以外の場面でも、息をも継がせぬ求心力で、(特に第1幕)これが見慣れたマクミラン版かと見まごうばかり。
えぇ、もちろん、ロイヤルのマクミラン版の「ロミオとジュリエット」は鉄板ですが、それとはまた全く異なる違う魅力の空気感が支配した素晴らしい舞台を堪能しました
赤に白抜きの「大入」札が会場入り口に。
期待感が横溢する客席。前奏曲から心高ぶるプロコフィエフの「ロミオとジュリエット」あぁ、やっぱりこの曲自体が好きだわ・・・。幕はスモ―キ―ブルーの空に陰影あるグレイッシュな雲・・のデザイン。
オケが気になる。スカラ座オーケストラのメンバーが残ってくれているのならばこんなに贅沢な公演はない!と断言できるのだけれども、それにしては音が軽い気も・・・(←東京シティフィルハーモニック、でした)。
幕が開き、まだ町が目覚めていない早朝のベローナ、麗しのロザラインを待ち伏せするロミオ。
軽くいなされて告白失敗。友人のマーキューシオ、ベンヴォーリオになぐさめられているうちに、広場に市が立ち、人々が集まり・・・。賑わいの中、女の子たちにキスをしたり、たわむれるロミオ。
フォーゲルくん、一際背が高くて金髪で、ブルネットの多いイタリア人CASTの中でいい感じに浮いています。
これこそまさに「ベローナ中のジュリエットを泣かせてきた」ロミオ。無垢な若者だけれどもチャラい(笑)
そして華がある!
高速ピルエットとフェッテの組合せで高揚感と若さを演出するマクミランの男性ダンサーへの振付を3人の並びでされるととてもキレイ。マーキューシオのアントニ―ノ・ステラの踊りが切れ味鋭く、足先の伸びが素晴らしいので、長身のフォーゲルの隣でも全く見劣りしない。逆にコールドバレエから抜擢のベンヴォーリオ、マルコ・アゴスティーノはカワイイお顔で長身だが、ちょっと落ちるかも。それにしても、インクブルーの濃淡の胴着と藤色のタイツのロミオ、青緑なマーキューシオ、オリーブグリーンのベンヴォーリオの並びはとてもきれい。
3人の娼婦たちが、派手なニンジン色やトウモロコシ色のウィッグにエスニックな明るさのあるブルー~グリーン系で若者たちに呼応していて、市場の女性たちは白いボンネットに生成の衣装、キャピュレットの若者が赤、という配色設計がなんとも目に心地よい。
3人の娼婦たちのセンター、ベアトリ―チェ・カルボネはパリオペのアレッシオ・カルボネの妹?
キャピュレットの若者たちがモンタギュー組と仲の良い娼婦を侮辱したところから小競り合いが始まり、またたく間に舞台狭しと総チャンバラ状態に。音楽に合わせて剣を合わせる音が響き渡り、ターンしたり上下で受け止めたり、結構殺陣として練習を積んだ感じで倒れるヒトもあり・・・。
両家の当主も登場。最後、大公が現れて騒ぎを収め、舞台中央に両家の犠牲者を引っ張って山積みにする(6人くらい?)のが、衝撃的。そうか・・剣による喧嘩は犠牲者も出るわ・・・。
場面変わってジュリエットの居間。
アリーナのジュリエットは元気いっぱい、ピンクのドレスが可愛らしいエネルギーがありあまったお転婆な子供。
人形を抱き締め、乳母を翻弄。そこに両親がやってきて、婚約者パリスに紹介する。
子供っぽい仕草で照れて(人見知り?)ろくに彼の顔を見ないで乳母に助けを求める彼女。
落ち着きないことはなはだしいのですが、10代の少女ってこんな感じかも。
まだ子供で・・・・と優雅にいなすキャピュレット夫人。落ち着いた雰囲気のパリスはかなり年上?納得して暇乞い。
笑って狼狽して・・のジュリエットを諌める乳母。もう大人なんですよ、と胸に触れさせ自覚を促します。
キャピュレット家では舞踏会の招待客を門前でティボルトが迎えています。
カップルで連れ立って、ロザラインは紫のお仕着せの4人の男による紫色の輿に乗って・・・。
ティボルトからの紅バラを手に、優雅に立ちふるまう彼女を追ってモンタギュー3人組も隙を観て邸内に入ります。
目もとにマスク、短いマントを羽織って待機しており、時折ロザラインに絡んだりするのですが、衣装に合わせた色合いのマントの裏地、ロミオの藤色がかったブルーの表地に対して黄金色のサテンの裏地がチラ見えするのが美しく、勿論招待客の衣装の赤と紫の絶妙な配色と合わせて、本当に衣装が美しくて惚れ惚れ。
舞踏会で、ジュリエットはパリスと踊ります。ちょっとぎこちなくてはにかんではいるけれども、少しずつ、心を開いている様子の彼女を優しくリードするパリス。白い衣装の2人のPDDはキレイ。
プロコフィエフの「ロミオとジュリエット」と言えば・・・の有名なテーマ曲がキャピュレット家の総踊りの場面で使われています。そこにロミオたちが加わるのが目を惹きます。
そのままカップルがどんどん入れ替わる総踊りになるのですが、そこで何度かペアを組むうち、マスケラ越しにお互いを意識するようになるロミオとジュリエット。時折パリスやティボルトが不審気にチェックを入れますが、大勢の客と踊りにまぎれて大事には至りません。
ジュリエットのソロ。ここまでは子供っぽく、仕草も洗練されていないジュリエットでしたが、ここでは若さが輝かんばかりの魅力を発揮。ロミオに惹かれて・・の女性らしさの発露が見受けられ、舞踏会の客人全て、とりわけロミオとパリスは魅了された様子。
続いて、ジュリエットのマンドリン演奏に合わせて・・・の友人たちの可愛らしい群舞。
膝に乗せたマンドリンをつまびくジュリエット。キャピュレットの令嬢は楽器の演奏もできますよ、という教養のお披露目場面なのでしょうが、ここでマスケラをつけたロミオがその演奏に合わせて飛び入り参加。
目覚ましいソロを見せつつ、ジュリエットの友人たちの踊りの輪に加わります。
古楽器演奏のようなバロックの小品っぽい主旋律に時折まがまがしい気配を思わせるフレーズが混じるここの音楽もとても好き。あれはいったい何者なんだ?とざわめく観客。演奏の手を止めるわけにはいかないけれども、彼に釘付けで心ここにあらずのジュリエット。踊りと演奏ですっかりジュリエットが気に入ったパリスの不安。
ロミオに集まった注目をそらすためにひとくさり踊っておどけて見せるマーキューシオとベンヴォーリオ。
それぞれの役が、音楽と演技と踊りで物語を同時に展開させて、見どころ満載、ワクワクドキドキしながらの場面・・・でした。
その後マスケラを取って素顔を見せてジュリエットを魅了しながらロミオがジュリエットに向けて踊り、すっかり彼しか見えなくなるジュリエット・・・
不審げに観ていたティボルトが動きます。あいつは誰だ!詰め寄るティボルト、顔をそむけて手で視線をさえぎるロミオ・・・。
ついに面がわれ、ティボルトは色をなしますが、そこは舞踏会の主宰者であるキャピュレット卿が騒ぎを嫌って優雅に場を収めます。ひとまず、挨拶をして暇乞いをするロミオ、更に追い詰めようとするティボルトをマーキューシオとベンヴォーリオが間に入ってロミオを逃します。
バルコニーの場面は、見慣れた台の上に設置された手すり・・・のセットではなく、塔の中ほどに小さなバルコニーに出られる窓があり、そこから登場するアリーナ=ジュリエット。
今日一日、とりわけあの素敵なロミオを思って・・・のジュリエット、基本肉眼で観られる席だったのですが、敢えてアリーナをオペラで観ると、小柄で華奢なイメージの強い彼女の上腕部が意外なまでに筋肉がしっかりとついて盛り上がっているのがわかってドッキリ・・・でも、表情はちっと泣き顔のいつものアリーナで、恋に陶酔してひとりで思い出し顔・・・の恋する少女が似合います。
走り込むロミオ。気づいて驚き、内階段からかけ降りて登場するジュリエット。
ここからリフト満載の有名なマクミラン版の「バルコニーのPDD」になるわけですが・・・。
今回の公演で2度目とはいえ、やはり急ごしらえなペアなので、本当に微妙な違和感が。
とはいえ、この振付を何度も観ているからこそわかるレベルなので、初見なら、気にならない程度。
もっと高い位置にジュリエットを引き上げるはず・・・というリフトで微妙にタイミングがズレるも、アリーナが自力でポージングを決めてくるので、形にはなっているのですが・・・。
ジュリエットに告白(自分の胸に彼の手を導く)されて歓喜の舞のロミオ。ここはフォーゲルくんの若さが炸裂。芝居功者で心ある演技をする2人らしく、常にお互いの視線を絡めて・・・。
最後、バルコニーの上と下から手と手を伸ばして・・・指先が届きそうで届かない・・・の伸びあがった場面でのフォーゲルくんの少し身体をねじったシルエットがとてもキレイでした。
*場面、各ダンサーの感想も続けて書く予定です・・・・このペースだと完成までに数日かかりそうですが・・・^^;*