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お着物Enjoy生活からバレエ・オペラ・宝塚etcの観劇日記に...

ジェーン・バーキン コンサート

2017-08-20 06:39:26 | インポート
2017年8月19日(土)18:00
オーチャードホールにて


ジェーン・バーキンのコンサートに行ってまいりました。
バーキン-ゲーンズブール ザ・シンフォニック
というタイトルの通り、中島ノブユキによるオーケストラ編曲とピアノにより、セルジュ・ゲーンズブールの名曲の数々を栗田博文指揮で、東京フィルハーモニー交響楽団の演奏をバックにジェーン・バーキンが歌う、という趣向。


4月にリリースされたアルバム曲をライブで。
シンプルな構成で、楽曲と演奏の良さ、ジェーンの変わらぬ歌声に静まり返った満場の客席。
後半、 EXERCICE EN FORME DE Zあたりから、リラックスモードで、指揮台に上がって、客席に背を向けて
オケを指揮する栗田氏の肩に手を置いて目と目を合わせて微笑みかけ、そのまま、その微笑みを客席にむけるジェーンの温かみが会場に熱をともしたよう。
白のシルクサテンシャツに黒のタキシードパンツ。無造作なミディアムのカールヘアに薄化粧で、
目じりも眉も垂れているけど輪郭と口角はきりっと上がった足取りも軽やかな彼女を見ていると、
年齢の重ね方について、かくありたしと思ったものでした。
個人的には 1980年代後半から1990年代前半に聴きこんでいた
「バビロンの妖精」あたりがぐっと来ました。
L'ANAMOURのあと、
オーケストラによるインストルメンタルのメドレーがありましたが、
レモン・インセストから始まるジュテームモワノンプリュに続くそれは、かなりアレンジが施されていて、原形をかすかにとどめるものとなっていましたが、それはそれで、思い出が流れるようで素敵な演奏。
最後はLaJavanaise。
アンコールを求める拍手が長く続きましたが、何度か3人手をつないでのカーテンコールでアンコールはなし。
夕方からの豪雨のやんだ渋谷の街に戻る多国籍の観客は満足気。
セルジュの美しいメロディーを東フィルの見事な演奏でしっとりと染み入るような歌声とともに夏の疲れをいやすような時間でした。

◎『シンフォニック・バーキン&ゲンズブール』トラックリスト
01. LOST SONG / ロスト・ソング
02. DEPRESSION AU DESSUS DU JARDIN / 公園を通りすぎる憂鬱
03. BABY ALONE IN BABYLONE / バビロンの妖精
04. PHYSIQUE ET SANS ISSUE / 終わりのない愛
05. CES PETITS RIENS / ほんのささいなこと
06. L'AQUOIBONISTE / 無造作紳士 ※ドラマ『美しい人』主題歌
07. VALSE DE MELODY / メロディーのワルツ
08. FUIR LE BONHEUR DE PEUR QU'IL NE SE SAUVE / しあわせは逃げていく
09. REQUIEM POUR UN CON / 馬鹿者のためのレクイエム
10. UNE CHOSE ENTRE AUTRES / 別離の唄
11. AMOURS DES FEINTES / いつわりの愛
12. EXERCICE EN FORME DE Z / Zによる問題集
13. MANON / マノン
14. LA CHANSON DE PREVERT / プレヴェールに捧ぐ
15. LES DESSOUS CHICS / シックな下着
16. L'AMOUR DE MOI / ラムール・ドゥ・モワ
17. PULL MARINE /マリン・ブルーの瞳
18. LA GADOUE / ぬかるみ
19. JANE B /ジェーンB.
20. L'ANAMOUR / ラ・ナムール
21. LA JAVANAISE / ラ・ジャヴァネーズ


阿弖流為

2017-08-10 13:23:01 | インポート
新装なった日本青年館。
杮落とし公演は、星組二番手礼真琴主演のATERUI。


8月1日11:00公演を観ました。
北の英雄、蝦夷の勇者阿弖流為と蝦夷征伐を政治利用しようとする朝廷側との闘いと、武人でありながら蝦夷の文化と生活に理解を示す坂上田村麻呂との魂の交流を描いた作品。
しっかりとした原作がある上に、それぞれに人間的な魅力のあるキャラクターが多く、これは若き実力派揃いの「阿弖流為」メンバーにとってはとりわけやりがいのある演目ではなかったでしょうか。
大野先生の演出故、思った通り、プログラムの人物紹介が詳細を極めており、脇の人物に至るまで愛情深く描いていることがわかります。

主演の礼真琴は「スカーレット・ピンパーネル」で演じた大役ショーブランをはじめ、「オーム・シャンティ・オーム」東京初演版での悪役ムケ―シュなど、黒い役が続いていましたが、もともと演じたいのは海賊役と言っていた通り、高い身体能力と、どこか少年っぽさを残した風貌は、仲間を信じ、慕われるまっすぐなヒーローにぴったり。
蝦夷設定なので、皆さんもりもりのヘアスタイルと毛皮や刺繍遣いのもりもりのお衣装で8月公演には辛そうでしたがみじんもそれを感じさせないパワフルな舞台でした。
琴ちゃんがポーズを決めると、まるで五月人形のよう。このままケースに入れて家に飾りたい。さぞかし男の子が丈夫に育つでしょうと思われる阿弖流為姿です。
原作をふくらませて、仲間であり参謀役の母礼の妹、有沙瞳演じる佳奈と心を通わせる場面、お膝を抱えてリフトするポーズが印象的。

蝦夷の仲間たちに同期のひろ香祐、新公主演・2番手を分け合う華華コンビこと、天華えま、綾凰華が配されているのが心憎い配役。綾凰華ちゃんはこの作品を最後に、雪組へ。96期の歌上手音咲いつきはこの作品が最後の男役で娘役転向予定。までは想定内ですが、仲間の一人に天飛華音が抜擢。お口元がふっくらしているあたりが下級生らしさを残していますが背も高く、違和感なくメインの仲間として存在。
あとは冒頭で一瞬ですが、大事な役どころの壱城あずさの妻役 都優奈も抜擢ですね。

お歌をはじめ、技術面に不安のないメンバーが多かったせいか、しーらん(壱城)、はるこ(音波みのり)ちゃんまでお歌が上手になったような・・・^^

役どころとして、阿弖流為の手本になる生き方を見せる鮮麻呂役壱城あずさ、頭脳明晰で落ち着きがありながら情に厚い母礼役綾凰華、
そして、武人として宮廷の勢力争いを一歩引いたところから眺めつつ、人として高い徳と教養を持ち合わせ、琴ちゃんら蝦夷側からも一目置かれる人物である坂上田村麻呂役瀬央ゆりあ、あたりは非常に魅力たっぷりに描かれていました。
とりわけせおっち(瀬央)は、蝦夷側がお衣装を着こんでワイルドなメークゆえ、朝廷服ですっきりと洗練されて見えました。

珍しいところでは、性転換?の万里柚美組長が桓武天皇に。
ノーブルなお顔立ちで細いおひげも良くお似合い。これからも皇帝役で、専科の一樹千尋さんの向こうを張れる人材として自在に性別を超えてご活躍いただきたいなと。

男の子役の天彩峰里もとても良かったです。ふんわりと愛らしい娘役ですが、宙組に異動しても活躍してほしいですね。

ヒロイン、くらっち(有沙瞳)は雪組でのたくさんの個性的な役どころも含むヒロイン経験を活かして安定感のある存在感を発揮。
前田慶次新公で、月城かなとと綺麗な和ものカップルを演じたときから注目していましたが、感情を爆発させる場面での表情の作り方(気持ちは伝わるけれど崩し過ぎない)が上手くなったなぁと感心。
琴ちゃんとのデュエットダンスでのリフトも綺麗。ソロ曲も美しく歌いこなし、このまま琴ちゃんの相手役さんになってもいいかも・・と思いました。
琴ちゃんが丸顔で、くらっちがうりざね顔とは 宝塚カップルの法則の逆を行く感じですが、朝夏まなと&実咲凛音もそうでしたし、これもありかも。

物語が重量級で、しっかりとした構成。演者の圧も強く、観終わったときの満足感は素晴らしい。
タカラヅカ特有のもっともっと、この快感に酔いしれたい・・とリピート観劇したくなる感じとはまた違った、完結型の感動を呼ぶ良い舞台でした。





バレエ・スプリーム Bプロ

2017-08-02 04:41:08 | BALLET

<バレエ・スプリーム>Bプロ (7/30 14:00開演)

Bプロは、オペラ座の趣味の良さが全面に感じられたプログラム構成でした。

― 第1部 ―

「グラン・パ・クラシック」
振付:ヴィクトル・グゾフスキー
音楽:フランソワ・オーベール

オニール八菜、ユーゴ・マルシャン

長身ペアによる華やかなオープニング。
マルシャンはサポート上手ですね。
八菜さんは手の表情のつけ方が上手いと思いました。指が長いきれいな手の形もあるのかもしれないのですが、
粋なのですよね。

「ロミオとジュリエット」 第1幕よりパ・ド・ドゥ
振付:ルドルフ・ヌレエフ
音楽:セルゲイ・プロコフィエフ

レオノール・ボラック、ジェルマン・ルーヴェ

手足の長い伸びやかな長身に若々しい表情の小顔のペアにぴったりの演目・・・と思ったのも束の間。
うーん、ロミジュリに関していえばヌレエフ版はテクニックにこだわり過ぎて情緒を犠牲にしているように見えてしまいました。それぞれのソロのパートの難易度が高く忙しく見える振りのせいなのか、それを見守る側がボーっとしているように見えてしまうのですよね。
もちろん、フェリのように熱視線を全身全霊で表現できる女優バレリーナなら、その間を埋めてつなぐこともできるのでしょうが、いかんせん、恋に浮き立つ可愛いカップルには見えても運命の歯車が動き出してもうとまらない・・というようには見えませんでした。残念ながら・・・。

「チャイコフスキー・パ・ド・ドゥ」
振付:ジョージ・バランシン
音楽:ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー

ミリアム・ウルド=ブラーム、マチアス・エイマン

待ってました!真打登場です。
成熟したテクニシャンのためのグランパ・クラシック、若手の技巧派のためのチャイコパというなんとなくのイメージがありますが、この二人は、若々しい外見と成熟した踊りが両立した素晴らしいパフォーマンスを見せてくれました。
テクニシャンペアですと、つい音が走ってしまったり最後崩れんばかりになってしまったり・・という舞台も何度か見てきましたが、マチアスの余裕を持っての音の取り方とミリアムの落ち着きが相乗効果で過不足ない完成度の高い舞台を作り上げていたと思います。
お衣装も、通常女性はサーモンピンク男性は水色基調のことが多いのですが、男性が極淡いグレイッシュホワイトで、女性が淡いピンク、そして背景がティファニーブルーという洒落た取り合わせで、ミリアムがまとめた髪に配したキラキラのピンクのストーンも素敵でした。

― 第2部 ―

「真夏の夜の夢」
振付:フレデリック・アシュトン 
音楽:フェリックス・メンデルスゾーン

高田 茜、ベンジャミン・エラ

ロイヤルの「真夏の夜の夢」タイターニアやオベロンがアジア・アフリカ系のダンサーであると、そのちょっとエキゾチックな風貌が妖精らしく異世界感をうまく演出できる要素になっているなと思うことがあります。王子様にはちょっと違和感のあるエラのオベロンは似合っていました。
高田さんは浮遊感のある美しいアームスがぴったりなのですが、実はAプロでも冒頭ちょっと気になっていた、脚を引き上げるときの軌跡が滑らかでなく、ちょっとギアチェンジが入るような感じになるのが惜しいと思いました。
彼女のプリンシパルとして全幕通しで踊る姿をまだ見ていないので何とも言えませんが、もしかしたら万全ではなかったのかしら。

「タランテラ」
振付:ジョージ・バランシン
音楽:ルイ・モロー・ゴットシャルク

フランチェスカ・ヘイワード、マルセリーノ・サンベ

フランチェスカ・ヘイワードの良さがとてもよく出た演目でした。マルセリーノ・サンベも見た目は二人そろってナポリ人らしい風貌でぴったりなのですが、タンバリンをもって音楽にあわせてアクセントを入れなくてはならないところ、サンベは踊りに専念して音はおろそかになっているのか、決めるところが決まらずに歯がゆかったです。

「白鳥の湖」 第2幕よりパ・ド・ドゥ
振付:レフ・イワーノフ
音楽:ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー

金子扶生、フェデリコ・ボネッリ

今回帯同するはずだったサラ・ラムが怪我で降板。
本来、ラムとボネッリが踊るはずだった「コンチェルト」の差し替えと聞けば仕方ないと思うしかないのかもしれませんが。
日本人ソリストの金子さんは長身で現代的な美人さんですが、夢々しさは皆無。幻想の白鳥を踊るタイプには見えず・・。彼女に合ったモダンよりの演目を選んでも良かったのではないかなと思ってしまいました。
ボネッリは本当に安定していますね。粘りのある端正な動き、王子としてのふるまいなどベテランならではのしっかりとした見せ方ができていて安心して観られました。

「ドン・キホーテ」よりパ・ド・ドゥ
振付:マリウス・プティパ
音楽:レオン・ミンクス

ヤーナ・サレンコ、スティーヴン・マックレー

今回はやはりペアではサレンコ・マックレーの炸裂する花火のようなパフォーマンスが全体を締めてくれました。
小柄だけれども引き締まって洗練されたショーマンシップあふれる二人。
何度も組んでいるので阿吽の呼吸で相手を活かし自分の見せ場も作れます。
驚くほどバリエーション豊かで、なおかつ奇をてらいすぎないマックレー。
軽やかにキトリとしての粋な表情を作りながらも、素晴らしいバランスの妙で魅せるサレンコ。
お衣装も定番の黒白赤ですが、マックレーのジャケットは金糸の刺繍のベスト付で豪華、サレンコのチュチュは赤いクラシックチュチュの内側にたっぷりと白いペチコートを重ねて縁のラインが動きにつれて揺れる感じが素敵でした。
もうこれだけで、大満足。

―第3部―


「眠れる森の美女」 ディヴェルティスマン 
振付:マリウス・プティパ 
音楽:ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー

序曲: 全員
リラの精: オニール八菜
ローズ・アダージオ: 高田 茜、スティーヴン・マックレー、ベンジャミン・エラ、 
                              ジェルマン・ルーヴェ、ユーゴ・マルシャン
オーロラ姫: ミリアム・ウルド=ブラーム
王子: フェデリコ・ボネッリ
オーロラ姫と王子のパ・ド・ドゥ: ミリアム・ウルド=ブラーム、ジェルマン・ルーヴェ
青い鳥(パ・ド・ドゥ): フランチェスカ・ヘイワード、マルセリーノ・サンベ
青い鳥(コーダ): フランチェスカ・ヘイワード、マルセリーノ・サンベ、ユーゴ・マルシャン
オーロラ姫と王子のパ・ド・ドゥ: ヤーナ・サレンコ、スティーヴン・マックレー
王子: マチアス・エイマン
オーロラ姫: レオノール・ボラック
コーダ: 全員

えーと、これは次々と場面ごとに主役が変わっていく感じでの眠れる森の美女ダイジェスト版といったところですが。
いかにもリラの精タイプのオニール八菜さんは期待通りの物語の導き手。
からの高田さんがパリとロイヤルの美しい王子に囲まれて。。。の場面。
最初プログラムを見てさぞかし・・と楽しみにしていたのですがちょっと微妙でした。
まず、パリの王子二人が長身でお衣装もいかにもパリオペラ座の洒落ていてさりげなく手の込んだ刺繍の入っているクールパステルの美しいものに対し、ロイヤルの王子二人は小柄でお衣装も古風。
何より高田さんのお衣装が、これしかなかったの??と言いたくなる中途半端な丈のピンクでジョーゼットの長袖にアクセントとして濃いピンクのバラのつぼみが随所にあしらわれたもの。
きれいなアームスが隠れて、淡いパステルのパリオペ王子と並ぶとピンクの色調が濃くて野暮ったい。
踊り自体は破たんなかったものの、オペラを使わずとも高田さんが普通以上に汗びっしょりになってしまわれていることが見て取れて、そうでなくてもハの字眉で(これが抒情的な演目だと非常に効果的なのですが)ちょっと自信のない姫に見えてしまいました。

続いてのミリアムは元から小柄でウエーブの美しい金髪をきれいに結い上げてのダブルのティアラがゴージャス。
もちろん手の込んだ美しいパリオペ衣装。そろそろ貫禄が出てしまうベテランに差し掛かったミリアムですが、先ほどの不安を払しょくしてくれました^^;

白眉はマックレーとサレンコのPDDと、マチアスのソロ。
とりわけ、マチアスは存分に自分の良さを発揮する身体能力だけでない生命の輝きと王子としてのノーブルさを兼ね備えた素晴らしい演技で、若く美しい新人エトワールたちにまだ備わっていないものを見せつけてくれました。

この日は東京公演の千秋楽でしたので、カーテンコール時に上から金のコンフェッティが降り注ぎ、ダンサーたちも満足気で、客席も個々の場面全てが大満足とはいかないものの、これからの可能性や、オペラ座とロイヤルのスタイルの違いをこうして打ち眺めることのできた楽しさに心躍らせている様子で。
実際に始まる前には、行き当たりばったりな企画で、どんなものかしら・・とあまり期待をしていなかったのですが、
心楽しく良い雰囲気で見終えることができました。

バレエ団に限らず、どんな団体にも栄枯盛衰、良い時と困難な時があるものですし、黄金のヌレエフ世代のパリオペラ座、吉田都さんや熊川さん、ジョナサン・コープにダーシー・バッセル、そしてギエムの時代を観てきての今はちょっと物足りない感じがしないでもありませんが、恵まれた素質を持ったこれからも楽しみに見ていきたい人たちを観られた公演でした。

※音楽は特別録音によるテープを使用。
◆上演時間◆
第1部 14:00 - 14:40
休憩     15分
第2部      14:55 - 15:40
休憩          15分
第3部        15:55 - 16:35