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お着物Enjoy生活からバレエ・オペラ・宝塚etcの観劇日記に...

ロイヤル・オペラ「椿姫」 9/16 ③

2010-09-19 11:15:39 | OPERA
第2幕 第2場 フローラの夜会にて



第2幕第2場

色彩設計の美しい印象的な舞台。
スパニッシュがドレスコードの夜会。
センターに大きな丸テーブル。占い女のジプシーたち、そして闘牛士たちが6人口でこのテーブルの上で
パフォーマンスをするのが効果的。
赤と黒、そしてテーブルのグリーンが鮮やか。

別れたらしいよ、あの二人。
噂のヴィオレッタはパトロンのドゥフォール男爵とよりを戻しての出席。
アルフレードは黒燕尾での登場です。

並みいる正装の紳士たちの中にあって、一際映える長身。
ヴィオレッタは、ドレスコードに合わせて赤と黒のドレスの淑女たちの中にあってひとり黒のドレス。
ひっそりとその場に存在しつつもアルフレードの刺すような眼差しが彼女を執拗に追いかけます。

ゲストダンサーたちで盛り上がった後、テーブルを囲んでのカードゲーム。
やけを起こしたように大胆に賭け、なぜか勝ち続けるアルフレード。

食事のために皆が席を立ったところで、二人きりに。
心変わりを責めたてつつ、声高に皆を呼びつけ、衆目の中であろうことか、
賭けで手にしたチップをヴィオレッタに投げつけるアルフレード。。。
なんという無作法さ!無慈悲さ!衆人の非難を一身に受け止めることになるアルフレード。
ヴィオレッタはあまりのことに息も絶え絶え。

ここまで比較的内にこもった演技だったヴァレンティ、一気にはじけ、そして声にも感情が宿るようになり、グッと良くなりました。
いつの間にかテーブルを伝って前方に出てきたのは父ジェルモン。
婦人を侮辱するお前はもはやわたしの息子ではない!
打ちのめされ、茫然と後悔するアルフレード。
自分だけが真実を知っている・・・それを伝えるべきだろうか・・・問いかけるようにヴィオレッタに向き合う父ジェルモン。
ヴィオレッタは顔をそむけて拒否します。
くずおれた彼女の腕をとり、下手奥にエスコートする父ジェルモン。
上手手前ではヴィオレッタの保護者として決闘を申し込もうとする男爵とアルフレードがフリーズ。
それぞれの思いが交錯するクライマックス、パッパーノの指揮は的確にその到達点に向けて疾走させます。
お見事!


第3幕



ヴィオレッタの部屋。
簡素なベッドが2つ。小さなテーブルには薬瓶が並び、枕には吐血の跡が痛々しい。
白い夜着をはおったヴィオレッタをアンニ―ナが甲斐甲斐しく世話をしていますが、どうもおもわしくない様子。
ブラインドで構成されたような壁面から、白々とした光が射し込みます。

医者の問診のために起き出すヴィオレッタ。

父ジェルモンからの手紙を読みます。
外国に旅立ったアルフレードに真実を告げました。あなたのもとに向かいます。

その言葉を心の支えに待っていたのでしょうが、容態の変化に焦る心から、その手紙を投げつけて叫びます。
「遅いわ!」
絶望と嘆き。悪化する容態。

そこにアルフレード登場。
ドラマチックな再会。
ここからほとばしるような感情が二人を突き動かし、素晴らしいラストへと息をもつがせぬ展開に。

彼が帰ってきた!元気が出たから外出したいわ。
着替えを用意させるも、身体は自由になりません。
激しい絶望の表現。
アルフレードはヴィオレッタを抱き上げて、そっとベッドに横たえます。

医者を呼んできたアンニ―ナ。
そこに父ジェルモンも到着します。

衰弱したヴィオレッタを前にした父ジェルモンの後悔。
こわばった表情で佇み、自分が引き裂いた恋人たちの末路を苦悶の表情を眼に浮かべて見守ることになります。

アルフレードを呼びよせて、自分の肖像画の入ったロケットを渡すヴィオレッタ。
いつかあなたもまた恋をして・・・その方とあなたの二人をわたしは天から見守っています。
死期を悟ったヴィオレッタの健気なことば。

そして、突然の「E strano・・・(不思議だわ)」から始まる最後の歌唱が素晴らしかった!

最後の力が湧きあがり、「わたし、生きるのよ!」と叫んで立ちあがり、両手を広げて舞台をぐるりと駆け巡り、
アルフレードの腕に身を投げて絶命。

歌唱、演技、演奏・・・全てがピタリと噛み合った見事な幕切れ。

哀れで涙を誘う・・・というよりは、どこか全てを出し切ったカタルシスに心地よく身を委ねる自分がいました。
BRAVI !!



ロイヤル・オペラ「椿姫」 9/16 ②

2010-09-18 00:37:34 | OPERA
ロイヤル・オペラ日本公演2010
ヴェルディ「椿姫」 
2010年9月16日(木)東京公演初日(日本公演初日は12日、神奈川県民ホール)
NHKホールにて

第一幕



パリの高級娼婦ヴィオレッタのサロンでの夜会。
幕が開くと、夜会服の男女がわっとなだれ込んでくる。
円形にしつらえられた、艶のあるブラウンの温かみのある色調の部屋。
奥に続きの間が見え、センターに巨大なシャンパンクーラーが。

髪に星型の煌めく髪飾りをたくさん散りばめたブルネットの美女。
30代の美人ソプラノ、アルバニア出身のヤルモネラ・ヤオはほっそりとした美人。
白いドレスで、ちょっとハプスブルクのエリザベートの肖像画か、ヴィスコンティの「夏の嵐」のアリダ・ヴァリか、というこしらえ。
ちょっとフリーダ・カーロを彷彿とさせる真っすぐな眉と生真面目な表情通り、一幕の享楽的なシーンでは
本領を発揮しきれていない観あり。
きっちりと歌ってはいますが、カリスマティックな輝かしさは残念ながらあまり感じられません。
アリアの最後の高音部もあえてオクターブ上げないで地道に歌い切り、慎重運転。
初日降板の話を聞いているので、こちらも無理しないでね、と見守りモード。

田舎貴族の若者、アルフレードとの出会い。
テノール歌手には珍しい、190cmのスラリとした長身に黒髪のハンサム、ジェームス・ヴァレンティ33歳。
ヴィオレッタに一目惚れ。
周囲から頭一つ抜きんでて高いので、ヴィオレッタの姿を認めてフリーズし、そのまま目を離せなくなってしまった様子が手に取るように見えるのがドラマ的にGOODです。
声も出ていて優等生的な歌唱。
ただ、テノールならではの輝かしさ、響きの豊かさは特に感じられず、歌はどちらかといえば凡庸な印象。

真剣にくどく彼をを最初はあしらい、気まぐれから薔薇を渡して、この花が枯れたらまた会いましょう、と恋の手管のヴィオレッタ。
そんな都会の恋の作法を知らない純真な彼が、恐ろしく真剣にいつ?と迫るのに気押されては、では明日、と応えてしまう彼女。病を隠して華やかにふるまうものの、心に不安を抱えています。
真っすぐな若者の求愛に、ゲームではなくて応えてみたいと思ったのも、短い人生を思ったからでしょうか。

この場面で良かったのはガストン子爵のパク・ジミン。軽やかな歌唱で演技も的確。


第2幕 第1場



さぁ、待ってました!の第2幕。
パパ・ジェルモンのキ―ンリサイドが見どころ聴きどころ!

ヴィオレッタが用意したカントリーハウス。
醒めたパステルカラーの室内は中央に長テーブルが。
比較的奥行きの浅い、簡素で横長の部屋のしつらえですが、奥の扉から更に奥に部屋と入口がある気配。

狩りから帰ったアルフレード。
この3カ月のヴィオレッタとの田舎の生活の幸せを歌います。
ヴィオレッタの小間使い、アンニ―ナがパリから戻ってきます。
どうしてパリに?
田舎暮らしの生計を立てるため、ヴィオレッタの言いつけで家財を処分してきたというアンニ―ナ。
費用の工面を女性にさせていたとは!と驚き怒るアルフレード。パリに行って買い戻してくるよ!

ヴィオレッタ登場。アルフレード様はパリに向かわれましたと聞かされて。

そこに登場したのが!
お待ちかねのジョルジョ・ジェルモンです!
シルクハットを脱いでそこにはずした手袋を入れ、ステッキを持ち、3つ揃いのスーツはライトブラウン。上襟が茶色のベルベットのチェスターコート。アスコットタイはワインカラー。メガネをかけていますが途中でかけたり外したり。あ、ハンカチーフもふところから出して顔を押さえたり、結構小道具を総動員。演技が細かく忙しいです(笑)
「高慢と偏見」を絵に描いたような(笑)佇まい、口調。
息子をたぶらかした悪い女にモノ申してやる!との強い意志がにじみ出るへの字に結ばれた薄い唇。
感じ悪く自己紹介。
アルフレードの父です。あなたが誘惑した男の。

アルフレードの妹の縁談に差し支えるので、と息子との別れ話を切り出します。
では一時的に別々に・・・。
ヴィオレッタの身を切るような譲歩にもジェルモン父は納得しません。
きっぱりと別れるようにと、説得に入ります。

女性の容色は年齢ととも衰え、男心は移ろいやすい。
天から祝福された関係ではないから、神のご加護もありません。

鬼のようにたたみかけるパパ・ジェルモン。
優しいヴィオレッタはついに折れます。

わかりました。でも彼になんと?
愛してないと言ってください。
彼は信じませんわ。
あなたが立ち去ればいい!
彼は追いかけてきますわ。

イラつくジェルモン、ヴィオレッタをねめつけて、ではどうすれば?!

ヴィオレッタはここで、ジェルモンに懇願します。
勇気を出すために力を。「娘として抱擁してください」

娼婦と見下した相手の意外な行動に、固まるジェルモン。
ヴィオレッタの懇願を冷たく無視します。
「私は見返りに何をすれば?」

絶望に駆られたヴィオレッタ。「死にます」
「死んではいけません」
彼女の顔に手を伸ばすジェルモン父をスッと避けるヴィオレッタ。
帽子を手袋を回収し、いとまごいを告げる父。

ふ~。第一ラウンド終了です。
いやはや、がっぷり4つに組んだ心理戦。見応えがありました。

早速手紙をしたためるヴィオレッタ。
アルフレードが戻ってきて、手紙を書いているヴィオレッタに後ろから目隠し。
驚いたヴィオレッタ、手紙を持って逃げようとします。
見せて。ダメよ。ごめん、父が来るらしくて。

ヴィオレッタはアンニ―ナを連れてこの家を出ていきます。

小さな娘を連れた男が入ってきて、二人が出ていったことをアルフレードに伝えます。
ヴィオレッタからの手紙はその小さな娘がキチンとお辞儀をして、アルフレードに手渡します。
可愛らしい演出。

嫌な予感に動揺する彼。 この手紙は・・!
そこに入ってきたのがキーンリーサイド。いやがうえにも高まる緊張。

動揺する息子が歯がゆい父。
「プロヴァンスの海と土地」
息子に故郷を思い起こさせ、一緒に帰ろうと諭すバリトンの名曲。
一小節ごとにたくさんの感情がこもり、決して大げさに歌い上げることはないのですが、
心にしみる素晴らしい歌唱です。会場からも大きな拍手。
・・が、歌いながらも、息子の手紙を奪い、脚をステッキで打ちすえる演技が!
これは演出の指示?サイモン独自の演技?

真っ向から対立する父と子。
ヴィオレッタの心変わりで頭がいっぱい、父の言葉は完全スル―状態のアルフレード。
復讐に行くぞ!と出て行ってしまいます。

何だと!固まるジェルモンパパ。 で、ひとまず暗転。




ロイヤル・オペラ「椿姫」 9/16 ①

2010-09-17 03:58:51 | OPERA
英国ロイヤル・オペラ 2010年日本公演
「椿姫」全3幕

2010年9月16日(木) 18:30~ NHKホール


指揮:アントニオ・パッパーノ

演出:リチャード・エア

アソシエイト・ディレクター:ポール・ヒギンズ

美術:ボブ・クローリー

照明:ジーン・カルマン

振付:ジェーン・ギブソン

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ヴィオレッタ・ヴァレリー:エルモネラ・ヤオ

フローラ・ベルヴォワ:カイ・リューテル

ドビニー侯爵:リン・チャンガン

ドゥフォール男爵:エイドリアン・クラーク

医師グランヴィル:リチャード・ウィーゴールド

ガストン子爵:パク・ジミン

アルフレード・ジェルモン:ジェームズ・ヴァレンティ

アンニーナ:サラ・プリング

ジュゼッペ:二―ル・ギレスピー

ジョルジョ・ジェルモン:サイモン・キーンリサイド

使いの男:シャルベル・マター

フローラの召使い:ジョナサン・コード

ロイヤル・オペラ合唱団 / ロイヤル・オペラハウス管弦楽団

◆上演時間◆

第1幕:18:30 - 19:10
休憩 30分
第2幕(場面転換あり):19:40 - 20:50
休憩 25分
第3幕:21:15 - 21:50

※下線で示したキャストは、当初発表させていただいたキャストが変更になったものです。
このたびの英国ロイヤル・オペラ日本公演で、「椿姫」のヴィオレッタ役で出演する予定だったアンジェラ・ゲオルギューは、愛娘の困難な手術に立ち会わなければならないことから、日本公演に参加できなくなりました。代わって、エルモネラ・ヤオ(Ermonela Jaho)がヴィオレッタを演じます。ヤオは本年5月のロイヤル・オペラの「椿姫」においてもヴィオレッタを演じ、成功を収めている、いまヨーロッパで注目されているソプラノです

良かったですよ!
ヤオさんは1幕では、美人だけど華がないな~と(声にも)今一歩感がありましたが、第3幕の大詰めで大変身。
ジェームス・ヴァレンティも声に伸びやかさがなく、ヴィジュアルだけの人か・・・と見くびっていたら、2幕2場の博打後、絶望に駆られてヴィオレッタを侮辱する場面で火がついたような演技。
そこから感情がこもるようになりました。

サイモン・キ―ンリサイドは、期待通り。
緻密な演技と絶妙にコントロールされた声の豊かな表情に魅了されました

美術も良く、パッパ―ノの牽引するオケも疾走気味ながらメリハリのある音でドラマを盛りたてており、
全体に満足のいく公演でした。

詳しくはまた明日・・・(続く)


明日のViolettaは・・?

2010-09-15 22:33:34 | OPERA
日本舞台芸術振興会(NBS)のHPを観ていたら、ゆゆしきNEWSが!

■昨日(9/12)、神奈川県民ホールでの英国ロイヤル・オペラ「椿姫」初日で、ヴィオレッタ役を演じておりましたエルモネラ・ヤオは突然、アレルギー症状をきたし、発声困難に陥ったため、音楽監督で「椿姫」を指揮していたアントニオ・パッパーノの判断により、第1幕で降板いたしました。そのため急遽、控えていたアイリーン・ペレスが、ヤオに代わり第2幕よりヴィオレッタ役を演じました。

当日ご来場いただいたお客様には、ロイヤル・オペラ オペラ・ディレクターのエレイン・パドモワより、変更についての事情をご説明させていただきましたが、改めてこちらでお知らせいたします。
今後の公演につきましてはヤオの回復次第ですが、現在のところロイヤル・オペラ側からの変更の知らせはございません。

うーん、ゲオルギューの代役のヤオさんが途中降板とは・・・
明日のNHKホールは大丈夫でしょうか?
ちょっと心配になってきましたが、中3日で調子を取り戻してくださることを祈りましょう



雪組「ロジェ」「ロックオン!」

2010-09-12 09:40:08 | TAKARAZUKA
遂に、今日は雪組TOP男役の水夏希さんの最後の公演の千秋楽になりましたね。



実は、ヅカファンの会社の先輩の計らいで、
9月1日(水)18:30~
東京宝塚大劇場にて9列目ド(笑)センターという好位置で観劇することができました。

人気のベテランの引退公演、ということで、もうチケットはあきらめていたので、本当にありがたかったです・・・;;

お芝居は「マリポ―サの花」の正塚晴彦 演出・脚本。
18年の男役人生の総決算。
水さんの持ち味にぴったりの影を背負って復讐に燃えるインターポールの敏腕刑事ロジェ・ジャルダン。
故つかこうへいさんのお嬢さん、相手役の愛原実花さんも水さんと一緒に宝塚を卒業する、ということで、TOP二人のさよなら公演。
ここでは彼女は、ナチの戦犯を追うヴィーゼンタール機関の女性調査員レア・コーエン役。
ふたりのラブストーリーというよりは目的を同じくする仕事上のパートナーながら、訳ありのロジェの心の奥の痛みをわかちあおうとする繊細な芝居で寄り添います。
同じ正塚作品でト―ンの似た「マリポ―サの花」では2番手男役の彩吹真央との男の友情がメインでしたが、今回、彩吹さんの退団で2番手に上がった(そして水さんの後TOPになる)音月桂さんが捜査で協力するパリ警察の刑事リオン役を演じていますが、のんきな同僚マキシム役の沙央くらまさん、レアの同僚ヤコブ役の彩那音さんよりちょっと目立っている程度?
寧ろ、戦犯逃亡協力組織オデッサのボディガード、クールな殺し屋のような美貌が冴えわたる早霧せいなさんが登場回数の割に印象に残る存在感。
次期2番手なのですよね、来春のロミジュリではティボルト役かしら?楽しみです。

大詰めでストーリーを牽引するのは、育ての親バシュレ役の未沙のえるさんと、南米に潜伏していた敵シュミット役の緒月遠麻さん。
家族を皆殺しにしたナチの逃亡者を追い続けて24年。
現在、憎み続けた仇を前に、その真実の姿を知り、彼はどうするのか。

オープニングのスーツ姿の男役群舞、そして最後の夜のレアとのタンゴ。
水夏希、スーツ祭り・・・ハードボイルドな設定、地味なセットではありますが、場面ごとに何着も着替えての登場です。眼福ですね。
これほどにスーツ姿の似合う男役さんも珍しいでしょう。
指先に至るまで神経の行きとどいた洗練された物腰、クールな中にひと匙のほっておけない人間味のさじ加減。
20世紀冷戦時のスパイ小説のようなマニアックな設定の割にやや展開に甘さが残る部分が気になりつつも、水さんの魅力を存分に引き出し、味わうことのできる脚本は、さよなら公演としては大いに評価できるものだと思います。

そして愛原さん。実はこれが初見なのですが、とてもイイですね!
手塚治虫マンガの主人公が飛び出してきたようなつるっとした童顔でスラリとした美脚が映える、すっと背筋の伸びた品のあるスタイル。
押さえた演技、きれいな低めの声が作品世界にマッチして。
高い位置での金髪のポニーテール、鮮やかな色のクラシカルなワンピースやスーツをおばさんくさくならず洗練された大人の女性として着こなしているのに感心しました。

最後、銀橋のセンターに立つ水さんを、舞台上にぎっしりと並んだ雪組生が笑顔で見送るんですよね。
その全員を眺めやり、笑顔の水さん。
その様子を見守る観客。
劇場空間全体でお見送り・・・な演出もまたさよなら公演らしさいっぱいです。



そしてショーが、三木章雄作・演出
「LROCK ON!」
オープニングから勢いが・・・
黒と金の衣装、逆毛をたてたヘアスタイルの群舞でスタート。
ここは多数の客席降りもあり、もう初っ端から客席巻き込んで盛り上げていこう!というハイテンション。

ただ、どのシーンもカッコよく、大人っぽく、久しぶりに宝塚のショーで、文句のつけようのない、全場面満足(厳密に言うと背の低い子だけを集めてゴールドの衣装で踊らせた1シーンは要らないxxといっても全員出演が原則だから仕方なし)な作品を観ました!

特に好きなところはまず、なんと言っても007!!
歌はGoldFingerで、ここは愛原嬢の美脚に釘付け!
キラキラのシルバースパンコールのシンプルイブニングのサイドがぱっくり割れて見せた片脚上方にガーターベルト。
ソフト帽に手をやり、あくまでクールでスタイリッシュな様子の似合うこと。
男役天下の宝塚において、長身大人キャラの娘役さんの活路を見出しました。

あとオペラ座のシーン。
ここで、緒月さんともう一人で十字に組んだ腕で2人が愛原嬢をリフト、に続いてやはり今回で退団の真波そら氏が一人でお姫様だっこ状態から大きくグルングルンと数回転。愛原嬢の長い脚がスッと水平に伸びて、真波さんも長身なので本当にきれい。
いや・・それにしてもリフトするには大きい彼女をあんなにスッとふりまわす(違)真波さんってスゴイかも。
ちなみに大階段でも黒燕尾のシーンでも、真波さんは水さん延長線上のセンターに常に位置していて、ダンサーなのね、という確認と同時に、三木先生の愛を感じました・・・。
パッと振り返った時の笑顔の明るさが突き抜けていて大きな瞳もチャーミング。
それにしても発見(!)と同時に退団だなんて・・・;;

このシーン、メイン二人が赤い衣装で華やかなのですが、最後オペラ座が燃えて上から羽が、赤い羽根がハラハラと落ちてくるんですね。

次に水さんの銀橋でのソロ。
男役の群舞。ここでもダンサー真波そら活躍中。

次のシーンがどうやら、日替わりで「ラテンバージョン」「ブルースバージョン」2パターンがあるという場面だったらしいのですが、どうもオペラ座、007で興奮して記憶が曖昧です^^;

この後水さんの黒タキシード。あぁ、黒タキシード。
雪組のタキシード隊は本当にピシッと揃っていてちょっと禁欲的な感じがするのがよろしいです。
もうここまでで、今日はもう本当に良いものを見せていただいた・・と感謝の心が生まれてきました(笑)

歌姫登場の後は水さんト―ト仕様?のロングの鬘。どうやら、最初はワンレンストレートだったのが、顔にかかるとうっとおしい(笑)という理由で、顔周りのレイヤー度が増したらしく、わたくしが観た頃にはすっかり乙女刈り(?)っぽい感じになっていました。笑顔でプラチナブロンドで水色の宝塚衣装で・・・。
すご~く好き、な拵えではありませんが、なんとなく癒されました。

次はちょっと凝った群舞。ロケット嬢たちが孔雀の羽をモチーフにした衣装でちょっと大人なショーガール。
最初センターの長身美女ひとりにスポットが当たってスタート、フォーメーションがかわってサイドに長身、センターに背の低い子、という並びになって全体が明るくなって見ると、すごい、下級生とは思えない美女揃い?に見えた面々が、普通にぽっちゃりとした子たちもたくさん混じっていることが判明・・。いつもの新入生ラインダンスでした。
一人引き締まったラインでお顔もショーガールしている上手端の子をフォーカス。
ラストでまた、長身がセンターの並びになり、最後のスポットが残っていたのが気になる彼女。いったいだれかしら?と気になっていたら、なんと真波そらちゃんがここにも登場していた、、という説が。本当でしょうか~??

次は白のデュエットダンス。お約束ですが、キレイでした、
ホントに水さん出ずっぱり、踊りっぱなしです!

そして、ラストがうわさに聞いた40人の黒燕尾。
衣装は正統派、音楽はロック調。大階段から舞台に溢れてはみ出すくらいのX字フォーメーションでの大群舞。
それをピシッと揃えてきている雪組の気合。
そこにせり上がりで登場の水さん。
普通、TOP1人はラメで固めた衣装、という定石を覆し、シンプルこのうえなしの黒燕尾です。
皆とともにありながら、その存在は一人際立つ・・・カッコいい。

ラスト1人銀橋に佇む水さん。

フィナーレの衣装も好みです。女性は白いマーメイドラインで下の方に大きな黒いリボンが。ちょっとマイフェアレディっぽい感じ?男性は黒燕尾。

羽をしょっているのは次のTOP、現2番手の音月桂ちゃん以上。
早霧せいなちゃんは片方の肩にオーストリッチっぽい羽を背負って3番手のタイミングでご登場。
愛原嬢も白いマーメイドドレス。リボン大き目?
純白の衣装の水さんはシルクハットで。

この時点で、あと数日で宝塚から男役水夏希はいなくなってしまうのか、という喪失感。
でもそれ以上に、素晴らしいショーを見せていただいた喜びで浮き立つ心のほうが大きな比重を占めていたような・・・。

お二人とも、今後のご活躍を心からお祈りしています