「ペトルーシュカ」
ペトルーシュカ: ローラン・イレール
バレリーナ:小出領子
ムーア人:平野玲
シャルラタン:高岸直樹
これが観たかった!
怪しげなシャルラタンが幕を開けると3体の人形が箱の中に腕を固定されながらも活き活きと脚を動かす、その軽快さ。
箱から出て、シャルラタンに渡された棒を持ち、指示通りにへっぴり腰でムーア人に打ちかかるも、逆襲に会い、のされてしまう・・・までの音楽に乗ったリズム感とあくまで自分の意思とは関係なく動かされている人形の悲哀。
自室で一人、身体の痛みとココロの痛みを訴えつつ、部屋に飾られた大きなシャルラタンの肖像画に怯えるペトルーシュカ。
密かに思いを寄せているバレリーナがシャルラタンによって部屋に送り込まれたのを見て、必死に愛を訴えるが、引かれてしまう。
乗り込んだムーア人の部屋ではむつまじい2人に動揺してムーア人を攻撃するが転がされて逃げ惑う・・・(この辺り、全く無駄な動きが無く、しかもマリオネットの人形のよう)
祭りの興奮が最高潮に達した広場に走りこんでくる、ペトルーシュカとそれを追う青竜刀を手にしたムーア人、様子を伺うバレリーナの一群。
追いつかれ一刀煌き、倒れ臥すペト。ノシノシと去るムーア人、後を追うバレリーナ。
この殺人を驚きを持って囲む群集に、倒れつつも、今際のキワで訴えるペトルーシュカ。
おが屑の詰まった木偶人形、何も事件ではありません。とシャルラタンが持ち上げたペトの死体は確かに人形。疑いながらもその場を去る人々。
夜、振り返ると屋根の上にペトルーシュカの亡霊が・・・・。
訴えるのは心を持ったが故の苦しみ、心を持つ、そのことが命を持つということで、恋の苦しみも全て、心あるがゆえに引き受けなくてはならない、人間のレゾン・デートル・・・。
群舞はこの日も見事でした。それぞれが自分の役を活き活きと存在感を持って細やかに演じていた東バのソリストに言及したい気持ちもありますが、何よりも、際立つのは、イレールのペトルーシュカの洗練された踊りから見える純粋な哀しみの表現。
彼は、抽象的なテーマを背景に持つ役を踊るときには、グッと本質に迫ってその真髄を抉り出した上で、そのメッセ-ジを余計な情念を振り払った極めて洗練された形で、美しい舞踊表現の中に映し出す天才。
これで最後かもしれません。ローラン・イレールのペトルーシュカ、しかと目に焼き付けました。
ペトルーシュカ: ローラン・イレール
バレリーナ:小出領子
ムーア人:平野玲
シャルラタン:高岸直樹
これが観たかった!
怪しげなシャルラタンが幕を開けると3体の人形が箱の中に腕を固定されながらも活き活きと脚を動かす、その軽快さ。
箱から出て、シャルラタンに渡された棒を持ち、指示通りにへっぴり腰でムーア人に打ちかかるも、逆襲に会い、のされてしまう・・・までの音楽に乗ったリズム感とあくまで自分の意思とは関係なく動かされている人形の悲哀。
自室で一人、身体の痛みとココロの痛みを訴えつつ、部屋に飾られた大きなシャルラタンの肖像画に怯えるペトルーシュカ。
密かに思いを寄せているバレリーナがシャルラタンによって部屋に送り込まれたのを見て、必死に愛を訴えるが、引かれてしまう。
乗り込んだムーア人の部屋ではむつまじい2人に動揺してムーア人を攻撃するが転がされて逃げ惑う・・・(この辺り、全く無駄な動きが無く、しかもマリオネットの人形のよう)
祭りの興奮が最高潮に達した広場に走りこんでくる、ペトルーシュカとそれを追う青竜刀を手にしたムーア人、様子を伺うバレリーナの一群。
追いつかれ一刀煌き、倒れ臥すペト。ノシノシと去るムーア人、後を追うバレリーナ。
この殺人を驚きを持って囲む群集に、倒れつつも、今際のキワで訴えるペトルーシュカ。
おが屑の詰まった木偶人形、何も事件ではありません。とシャルラタンが持ち上げたペトの死体は確かに人形。疑いながらもその場を去る人々。
夜、振り返ると屋根の上にペトルーシュカの亡霊が・・・・。
訴えるのは心を持ったが故の苦しみ、心を持つ、そのことが命を持つということで、恋の苦しみも全て、心あるがゆえに引き受けなくてはならない、人間のレゾン・デートル・・・。
群舞はこの日も見事でした。それぞれが自分の役を活き活きと存在感を持って細やかに演じていた東バのソリストに言及したい気持ちもありますが、何よりも、際立つのは、イレールのペトルーシュカの洗練された踊りから見える純粋な哀しみの表現。
彼は、抽象的なテーマを背景に持つ役を踊るときには、グッと本質に迫ってその真髄を抉り出した上で、そのメッセ-ジを余計な情念を振り払った極めて洗練された形で、美しい舞踊表現の中に映し出す天才。
これで最後かもしれません。ローラン・イレールのペトルーシュカ、しかと目に焼き付けました。