2021年8月22日(日)14時~
第16回世界バレエフェスティバルBプロの最終日でもあり、特別ガラを中止した今回のフェスティバルの大千秋楽でもあるこの日。
初日と同じ演目でも、踊りこんでの完成度の高まり、大千秋楽ということでの集大成としての踊りを見せてくれました。初日と比べて、印象が深まった演目が多かったです!
─ 第1部 ─
◆「グラン・パ・クラシック」
振付:ヴィクトル・グゾフスキー
音楽:フランソワ・オーベール
菅井円加、ダニール・シムキン
◆「グラン・パ・クラシック」
振付:ヴィクトル・グゾフスキー
音楽:フランソワ・オーベール
菅井円加、ダニール・シムキン
菅井さんが頑張りました!シムキンくんとの息が自然と会うようになり、パッと手を離されての自立アラベスク3連続も、ふらつかずに綺麗に決まりました。シムキン君もむやみにサポートテクで底上げを図ることなく、自然な流れで息の合った演技。やはり、初日に、これから良くなりそうなペアだなと思った予感は当たっていました・・・✨
◆「スティル・オブ・キング」
振付:ヨルマ・エロ
音楽:フランツ・ヨーゼフ・ハイドン
マルセロ・ゴメス
◆「スティル・オブ・キング」
振付:ヨルマ・エロ
音楽:フランツ・ヨーゼフ・ハイドン
マルセロ・ゴメス
ゴメスのために振りつけられた、王の一生?王として昇り詰め、裏切られ・・といった演劇的要素の多い作品をさすがの表現力で、シンプルな拵えのソロを飽きさせずに見せてくれました。
次も来てくれるかな・・・3年に一度のバレフェスは、常連組はまた3年後に!と言葉を交わして別れるのだろうなと思いつつ、これが最後かもしれないと思っているであろうダンサーの心中もまた、想像すると胸が熱くなりますね。そういうダンサーはカーテンコールの表情で察することもあります。
◆「トゥー・ルームズ」
振付:イリヤ・ジヴォイ
音楽:マックス・リヒター
マリーヤ・アレクサンドロワ、ヴラディスラフ・ ラントラートフ
◆「トゥー・ルームズ」
振付:イリヤ・ジヴォイ
音楽:マックス・リヒター
マリーヤ・アレクサンドロワ、ヴラディスラフ・ ラントラートフ
ベテランのボリショイペアですが、堂々たるAプロのライモンダとは全く異なるこの作品。人と人の距離感をテーマにしており、コロナ禍の今だからこそ一層響く演目かも。作品そのものはB+位かもしれませんが、表現力豊かなスターダンサー二人が作品の厚みを増しているためか中々の作品に見えました^^ショートボブのオデコを出してハーフアップにしたマーシャがいたずらっ子のように可愛い。威厳あるライモンダとはまた違う彼女の魅力満載。
魅力発散と言えば、投げキス投げハート、ラントラートフさんとの掛け合い(笑)も含めてカーテンコール女王でもある彼女、なんともチャーミングで、温かい気持ちにさせてくれるのもまた、スターの資質。
インスタにもたくさん、フェスの様子をUPしてくれていましたね^^
◆「白鳥の湖」より 黒鳥のパ・ド・ドゥ
振付:マリウス・プティパ
音楽:ピョートル・チャイコフスキー
エリサ・バデネス、ワディム・ムンタギロフ
◆「白鳥の湖」より 黒鳥のパ・ド・ドゥ
振付:マリウス・プティパ
音楽:ピョートル・チャイコフスキー
エリサ・バデネス、ワディム・ムンタギロフ
初日は、これは正統派の「白鳥の湖」ではない!とちょっとネガティブな気持で観てしまいましたが、パデネスがどこまでも演劇的にたっぷりとタメて誘惑するオディールを確信犯的に徹底して演じ、テクニックの見せ場でもしっかりと勝負している感じ、ムンタギロフがまた、演劇的なバレエに定評のあるロイヤルの王子としての矜持を見せんと、優雅なテクニックと共に、純粋でオディールの策略にすっかりと嵌められた王子の恋に惑う姿をノリノリで演じている様子を見ているうちに楽しくなってきました・・・^^
一見合わない二人が、それぞれの得意分野を徹底して見せる、ある意味清々しいパフォーマンスでした。
─ 第2部 ─
追悼 カルラ・フラッチ、パトリック・デュポン(映像)
─ 第2部 ─
追悼 カルラ・フラッチ、パトリック・デュポン(映像)
◆「ジュエルズ」より "ダイヤモンド"
振付:ジョージ・バランシン
音楽:ピョートル・チャイコフスキー
オリガ・スミルノワ、ウラジーミル・シクリャローフ
スミルノワはやはりチュージンと踊る方が似合うなぁと。
あと、お衣装はそれぞれ、マリインスキーとボリショイで着ているものを持ってきたのかもしれませんが、意外と白いお衣装の解釈は純白、アイボリー、シルバー台の細かいスワロフスキー、アンティークゴールド台の大粒のスワロフスキーと、違いが際立つので、ここは揃えてほしかった・・・。
いつかスミルノワにはリベンジしてもらいたいです。
◆「3つのプレリュード」
振付:ベン・スティーヴンソン
音楽:セルゲイ・ラフマニノフ
アマンディーヌ・アルビッソン、マチュー・ガニオ
◆「3つのプレリュード」
振付:ベン・スティーヴンソン
音楽:セルゲイ・ラフマニノフ
アマンディーヌ・アルビッソン、マチュー・ガニオ
とてもオペラ座らしいパフォーマンスでした。
オペラ座ダンサーがコンテ作品を踊ると、そのダンサーの美しさとバレエ団伝統のエレガンスが加味されて、作品自体の印象が変わることが多いのですが、今回もまた・・・。
シンプルなお衣装で2人の関係性が少しずつ近づく3場面が暗転で繋がれた構成が、マチューとアマンディーヌの落ち着いた美貌で流れるように、でも着実に踊るこのペアの持ち味により、ジワジワと見ているものに豊かな充足感を与えるというか・・・。
「オペラ座のコンテ」にしかない、不思議な魅力に満ちた作品、でした。
◆「海賊」
振付:マリウス・プティパ
音楽:リッカルド・ドリゴ
オニール八菜、マチアス・エイマン
深い青緑の薄物のドレスをふわりと軽やかに広げて、ティアラも華やかな八菜さん。マチアスはやはりふわりとジャンプしても最後の着地が吸い付くような足先のコントロールが見事。
◆「海賊」
振付:マリウス・プティパ
音楽:リッカルド・ドリゴ
オニール八菜、マチアス・エイマン
深い青緑の薄物のドレスをふわりと軽やかに広げて、ティアラも華やかな八菜さん。マチアスはやはりふわりとジャンプしても最後の着地が吸い付くような足先のコントロールが見事。
Aプロのキミンの爽快な演技の残像でそれを凌駕しなくてはとマチアスにプレッシャーを見てしまった初日と比べ、自分の演技としての自信と余裕を取り戻したオペラ座ペア、とても良かったです。
─ 第3部 ─
◆「椅子」
振付:モーリス・ベジャール(ウージェーヌ・イヨネスコに基づく)
音楽:リヒャルト・ワーグナー
アレッサンドラ・フェリ、ジル・ロマン
◆「椅子」
振付:モーリス・ベジャール(ウージェーヌ・イヨネスコに基づく)
音楽:リヒャルト・ワーグナー
アレッサンドラ・フェリ、ジル・ロマン
知の巨人ベジャールの西洋文明に軸足を置いた作品が、こうして没後も上演されるのが嬉しい。95歳と94歳の男女の物語を踊るベテランダンサー。
多様性がバレフェスに厚みを持たせてくれる。作品もダンサーもこの半世紀続くバレフェスの伝統の生き証人なのだ・・・という感動が沸いた時間でした。
基本セットは背景のみで、次々とPDDあるいはソロ作品の見せ場が続くガラに置いて、この大量の椅子のセットを準備する心意気よ・・・😢
─ 第4部 ─
◆「ロミオとジュリエット」より 第3幕のパ・ド・ドゥ
振付:ルドルフ・ヌレエフ
音楽:セルゲイ・プロコフィエフ
ドロテ・ジルベール、ユーゴ・マルシャン
─ 第4部 ─
◆「ロミオとジュリエット」より 第3幕のパ・ド・ドゥ
振付:ルドルフ・ヌレエフ
音楽:セルゲイ・プロコフィエフ
ドロテ・ジルベール、ユーゴ・マルシャン
ジュリエットの寝室のPDDですね。ミュージカルなら「ひばりが鳴いている行かなくては」「あれはナイチンゲール、行かないで」の幸福と別れの辛さのアンビバレンツに胸締め付けられる場面。
ヌレエフ版なので、若い二人の情熱が存分に表現されます。
舞台奥にしつらえられた天蓋付のジュリエットの寝台から飛び出し、舞台狭しと駆け抜け、リフトし、リフトしながらも脚を動かし、短い時間にどれだけの振りを盛り込むかを競うような天才ヌレエフの振付特有の忙しさ(笑)はしかし踊りこなせるダンサーを得るとなんとも言い難い観ることの愉悦を得られるのですが^^
この場面、疾風怒涛のように縦横無尽に舞台を駆ける長身の二人に圧倒されているとロミオが走り去ってしまっていた…という感じで、ちょっと観客が置いてきぼり感があるPDDだなと。ものすごくやり切った感のあるカーテンコールの二人に、もっと拍手を送りたいのだけれど、実はついていけてない観客だったのでは?と^^;ガラで踊るPDDとしては、切り取り方に工夫が必要かも?と思いました。
◆「シャル・ウィ・ダンス?」より "アイ・ガット・リズム"
振付:ジョン・ノイマイヤー
音楽:ジョージ・ガーシュウィン
菅井円加、アレクサンドル・トルーシュ
菅井さん、第一部は挑戦、でしたが、ここでは、踊りなれた相手と好きな音楽で(あれ?「エリザベート」になってしまった・・・^^;)伸び伸びと。
◆「シャル・ウィ・ダンス?」より "アイ・ガット・リズム"
振付:ジョン・ノイマイヤー
音楽:ジョージ・ガーシュウィン
菅井円加、アレクサンドル・トルーシュ
菅井さん、第一部は挑戦、でしたが、ここでは、踊りなれた相手と好きな音楽で(あれ?「エリザベート」になってしまった・・・^^;)伸び伸びと。
タキシードにシルクハットで2人が双子のように楽し気に踊る姿に和みます。
◆「悪夢」
振付:マルコ・ゲッケ
音楽:キース・ジャレット、レディー・ガガ
エリサ・バデネス、フリーデマン・フォーゲル
◆「悪夢」
振付:マルコ・ゲッケ
音楽:キース・ジャレット、レディー・ガガ
エリサ・バデネス、フリーデマン・フォーゲル
今やオネーギン役者のフォーゲル君ですが、ゲッケ作品のちょっといたずらっぽい仕掛けを嬉々として踊る姿を見ると、初登場の若々しくユーモアにあふれた姿をすぐに思い出すことが出来ます・・・マッチを擦ってはすぐに振り消すしぐさを何度も繰り返すユニークな振りがありますが、カーテンコールでもこの振りをやってみせてくれました^^。VIVA永遠の少年。
エリサ・パデネスは菅井さんと共に、2回目の登板。この作品、彼女にも似合っていました。
◆「ドン・キホーテ」
振付:マリウス・プティパ
音楽:レオン・ミンクス
エカテリーナ・クリサノワ、キム・キミン
振付:マリウス・プティパ
音楽:レオン・ミンクス
エカテリーナ・クリサノワ、キム・キミン
トリにふさわしい、二人の爽快な演技!どんどんスピードアップするフェッテ、なのに全く崩れない。お祭り最後の高揚感をここぞとばかりに魅せてくれた二人よ、ありがとう!
この回は、千秋楽スペシャルで、いつものカーテンコールの後、一度幕が閉じ、再度開いた時には全員がお祭りの法被をお衣装の上から羽織って。
菅井さんが代表で、センターからすり足で進み出て、口上を。
皆一列に正座して、金の扇を前に置いての日本風のご挨拶も。
スミルノワのようにクラシックチュチュにはさすがに借り着感ですが、マチューや菅井さんのように、シンプルでインがシャツタイプだと祭りの実行委員さんですか?と聞きたくなるほど、あつらえたようにピッタリでした❣
恒例の手ぬぐい撒きもありませんでしたが、今回の手ぬぐいはセンターに富士山の可愛い図柄。幸運な45名の方の席番が手ぬぐいの御見本とともに、ロビーに貼られていました。
3年後には、BravoもBravaBraviBrave,全て声を出して伝えることが出来る世の中でありますように・・・。
指揮: ワレリー・オブジャニコフ、ロベルタス・セルヴェニカス
管弦楽: 東京フィルハーモニー交響楽団
ピアノ: 菊池洋子(「3つのプレリュード」)
◆上演時間◆
第1部 14:00~14:55
休憩 15分
第2部 15:10~16:00
休憩 15分
第3部 16:15~16:45
休憩 15分
第4部 17:00~17:55
管弦楽: 東京フィルハーモニー交響楽団
ピアノ: 菊池洋子(「3つのプレリュード」)
◆上演時間◆
第1部 14:00~14:55
休憩 15分
第2部 15:10~16:00
休憩 15分
第3部 16:15~16:45
休憩 15分
第4部 17:00~17:55