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お着物Enjoy生活からバレエ・オペラ・宝塚etcの観劇日記に...

企画公演「時の花・春公演」『鞍馬天狗』 宝生能楽堂

2015-04-29 04:16:03 | 伝統芸能
2015年4月25日(土)15:00~
水道橋の宝生能楽堂にて

宝生会主催の企画公演、「時の花」春公演にお誘いを受けて行って参りました。

出会いをめぐるストーリーということで、能楽X宝塚歌劇、というコラボレーションはまさにわたくしのような両者を愛する観客にはとても引力のある企画・・と二つ返事で赴いたのは、友人の発表会で何度か足を運んだ能楽堂。

今回の演目に宝塚を代表して参加されるのは月組屈指のダンサーとして活躍されていた姿が浮かぶ桐生園加さん。
今回のメイン演目である「鞍馬天狗」は件の友人の発表会でも観たことのある馴染み深い演目。
それを、まず、桐生さんが朗読劇風一人芝居で演じ、引き続き、お能の本舞台で同じものをみる・・・という企画です。

お能の定形で、まずは狂言から始まって・・・。
■狂言 「膏薬煉」(こうやくねり)
シテ:三宅右矩、アド:三宅近成
旅の道中でばったり出会った鎌倉と上方(京都)の膏薬煉り(薬屋)。
実はこの2人、相手の膏薬が大変にすぐれているとのうわさを聞きつけ、互いに訊ねる途中であった。色々と話しているうちに、どちらの膏薬がすぐれているか競い合うことに・・・。

■独演 「花酔」(はなよい)
出演:桐生園加 、脚本:池澤春菜
時の花のために書き下ろされた脚本を、元タカラジェンヌが一人芝居で演じます。能「鞍馬天狗」の世界をさらに広げる、新たなコラボレーション企画です。

宝塚時代は、満面の笑顔でピシッとスピーディで直線的な「男役ダンス」を得意とされる方・・・というイメージでしたが、桜色の小袖にグレイッシュオリーブの袴、前髪を下ろしてサイドとバックを巻き込んでまとめたスッキリと可愛らしいヘアスタイルの桐生さんは高い鼻梁の彫刻のような横顔とスッと芯の通った立ち姿の美しさ、そして牛若丸のパートを演じるときのあどけない柔らかな表情が印象的。
きれいに通るお声といい、立ち姿の品の良さと言い、タカラジェンヌの良さをひしひしと感じる桐生さん、退団されたのは2011年ということでしたが、一層魅力を増していらっしゃるように思いました。

桐生さんはブログをなさっているのですね^^
この舞台についても記事にされています。
着付けは内弟子さんたちがなさっているようでしたが、ヘアセットはご自分で、だそうです。るいちゃんに学んだとありますので、紫城るいさんのことかな?

■能「鞍馬天狗」
シテ:野月聡、子方:片桐賢、ワキ:則久英志ほか
京都の鞍馬山にある鞍馬寺に一人預けられていた幼い源義経(牛若丸)。
とある春の日、花盛りの宴席で疎まれた一人の山伏は牛若丸と出逢い・・・。
源義経の幼少時代の物語。大天狗の化身である無骨な山伏と、孤独な牛若丸との心の交流を、師弟の絆を中心に情緒豊かに描く。

「鞍馬天狗」の面と装束をつけての本舞台は初めて。子方がずらりと橋掛かりに並ぶ姿も壮観で・・・。
でも、謡や仕舞は何度か発表会で観たままで、その前の桐生さんによる解説?もあったので、色々と納得しながら観劇できました。

■能楽余話「美しい能装束の世界」
シテ方宝生流能楽師 東川光夫

桐生さんをモデル?に、次々と能装束を取り出して着せつけ、解説をする・・というとても興味深いコーナー。
東川さんは、こういうトークには慣れていらっしゃるご様子で軽妙に手際よく指示を出しつつスピーディにたくさんの装束をご紹介してくださいました。
ハリのある豪華な織の素材の平面の装束が、止めたりたくしあげたりするうちに見慣れたお能の舞台衣装としてのシルエットになる様子を拝見するのはナルホド・・と感心しきり。
ちなみに天狗の装束はずらりと天狗が並ぶ演目があるそうで、宝生会ではたくさんお持ちなのだとか。
天狗の羽扇は天然記念物の熊鷹?イヌワシ?の羽を使った大変貴重なもので、替えはきかないので大変大切に扱う必要があるのだとか。
装束はお家元が当日、これとこれを使いましょう、とお決めになっている、とかお話の内容もなるほど、でした^^

この企画は季節ごとにシリーズ展開されるようで、次回、夏公演は7月25日(土)「葵上」がテーマで、タカラジェンヌゲストはなんと、宙組の悠未ひろさんだとか。
行けるようなら是非また観たいと思いました











宝生流「五雲会」

2013-02-17 04:56:29 | 伝統芸能
2013年2月16日(土)、水道橋は宝生能楽堂での「五雲会」に行って参りました。

12時に始まり、17:50に終了というたっぷりとした時間をお能4演目、狂言2演目、間の休憩が10分ずつというスケジュールで、みっちりとした伝統芸能の時間に浸りました^^

12:00 能「竹生島(ちくぶしま)」
13:15 狂言「腹不立(はらたてず)」
休憩10分
13:45 能「芦刈(あしかり)」
休憩10分
15:15 能「源氏供養(げんじくよう)」
休憩10分
16:40 狂言「しびり」
16:50 能「舎利(しゃり)」

■「竹生島」

延喜帝(醍醐天皇)の臣下が、竹生島の弁才天の社に詣でようと、琵琶湖を訪れ、湖畔で出会った老いた漁師と若い女の釣り舟に便乗し、湖に浮かぶ竹生島を目指します。湖春のうららかな景色を眺めるうちに竹生島へ着き、老人は臣下を社に案内します。女人禁制のはずなのに、女性が杜に同行するのを怪しんだ臣下がそれを尋ねますが、実は女性はまつられている弁財天、老人は湖の主であるという顛末に。
杜に入って宝物を拝見している間に御殿が鳴動し、光輝く弁才天が現れて夜の舞楽を奏するうち、こんどは湖中より龍神が現れ金銀珠玉を臣下に捧げ、祝福の姿を表す・・・という、まことにめでたく壮麗なお能です。

まず、一畳敷きの敷物を、次に杜を表す屋根とワク組みを垂れ幕で覆ったものがそれぞれ運ばれて舞台に設置されます。能の大道具はこのようにして運ばれ、そして終了とともに、また、粛々と端正な身振りで持ち去られて、最後の1人に至るまで、舞台の上から人とモノがきれいに引ける様までを無駄なく様式化された動きで見せるのもまた特色。

3人が島に向かう船も枠組だけの装置ながら、舳先と艫の別がわかる秀逸な造型で、琵琶湖に浮かぶという竹生島に、改めて行ってみたくなりました^^
うららかな春の湖を行く遊覧気分と、夜の典雅にして神々しい天女と龍神の舞のコントラストが楽しめる、清々しさのある演目でした^^

■「腹不立」
2人の村人が御堂の住職を探していると、妖しいにわか坊主がエントリーしてきます。
名を「腹立てずの正直坊」と名乗るので敢えて腹を立てさせるように2人が詰め寄るとあっさり馬脚を出すという単純なストーリーながら、演者のリズミカルな動きや凛ととおる声に感心。
宝生流のお能には、大蔵流の狂言という御約束があるそうで・・・。
野村萬斎でメジャーな和泉流のナチュラルな台詞回しとはまた異なる様式美を感じました^^

■「芦刈」

世阿弥の人情噺。
津の国の日下の里(大阪府東大阪市)の住人の左衛門はもとは武士であった様子ですが、主君が没落したか何かで、今は困窮し、生活のために芦を売り歩く商人となりました。やむなく別れた愛妻は、京の都で高貴な家の乳母となって、幸せに暮らしている・・・という設定。
心ならずも別居の2人、妻は生活が安定したので、夫を探す旅に出ます。
夫は不遇を嘆くでもなく、自分の生業に満足し、平常心で芦を売り歩いているのですが、ある日、彼を探す妻の一行にそれと知らずに、面白く囃しながら芦を売り、問われるままに、昔、仁徳天皇の皇居があった御津の浜の由来を語り、笠尽しの舞を見せます。
ところが思いがけずに妻の姿を認めた夫は急に困窮の身の上を恥じて、近くの小屋に身を隠してしまいます。
その後、言葉を交わして打ち解け直して、夫は装束を改めて男舞を舞います。

盛りだくさんな内容をすべて初見で理解するのが少し難しく感じましたが、職業に貴賎なしと胸を張って自足して生きる姿にも日本人の心を感じる後味の良いお話でした^^

■「源氏供養」

紫式部の供養を高僧が頼まれる・・・という幻想的な能。
「源氏物語」の執筆場所と伝えられる琵琶湖を望む石山寺。
そこに向かう高僧、安居院法印(あぐいのほういん)を呼びとめる1人の女性が。
彼女は自らを源氏物語60帖の作者であると名乗り、光源氏を供養しなかった罪ゆえに成仏できずにいると語り、供養を願い出ます。
法印がそれを受けて、石山寺で紫式部の菩提を弔ううちに、灯火の影に幻のように美しい女が現れます。在りし日の姿で現れた式部は、供養を喜び、お礼にと法印の望みのままに舞います。その後成仏を望む願文を記した巻物を法印に手渡します。その願文は『源氏物語』54帖の題目を織り込んだ凝ったものであった・・・という展開。

ワキの福王和幸氏の装束の着こなしがとてもきれいだったこと、紫式部の装束が前・後半の2種ありともに大変豪華なものであったことが印象に残っているのですが、楽しみにしていた源氏から引かれているはずの謡の文句が充分には聞きとれず・・・
長丁場の疲れ?自分自身の勉強不足ゆえ?
両方あるかと思いますが、次回、この演目を観賞する機会があれば、もう少し予習が必要かも・・と思いました^^;


■「しびり」

主人が太郎冠者を魚を買いに使いにやろうと命ずると、気の乗らない太郎冠者が持病のしびり(痺れ)で足が痛くなり動けないと主張。
一計を案じた主人が、叔父がご馳走すると招待してくれたがその様子だとムリだから、代わりに次郎冠者を連れていくと言い渡します。
すっかりなおったと調子のよい太郎冠者に再び使いを命じる主人が上手。

主人役の山本凛太郎氏、太郎冠者の山本則俊氏は祖父と孫の関係でしょうか?
口跡の良いお二人でした^^

■「舎利」

始めに一畳台が出されその上に、光輝く金色の卵のような舎利を載せた黒い三宝が置かれます。
舞台の客席よりギリギリに置かれるので、2列目で観賞していたわたくしは、目の前であのスペクタクルが展開されるのか・・・!とワクワク^^

出雲の国(島根県)美保の関から来た旅僧が仏舎利を拝観しに、東山の泉涌寺にやって来ます。寺の僧の案内で、仏舎利を拝んで感激していると寺の近くに住むという男(里人)がやって来て、一緒に舎利を拝みます。彼は異形で、蓬髪(ほうはつ・みだれがみ)に怪士(あやかし)という怪奇な面をつけており、仏舎利のありがたいいわれを語ります。
ところが俄かに空がかき曇り稲妻が光ると、男はひとっ飛びに台に上り、舎利とその台を捧げ持ち、三宝を踏み砕いて去ってしまいます。彼は昔、一度、仏舎利を奪ってまた奪い返された、昔の足疾鬼(そくしっき)の執心であると言い、懲りもせずにまた仏舎利を奪ったのですが、設定としては、天井を蹴破って虚空に飛び去ったことになっています^^;(実際には、走り去る・・のですが)
音楽も、笛・大小の鼓、太鼓がエモ―ショナルに鳴り響き、非常に盛り上がる場面です。
それにしても、三宝を踏み砕く、とい舞台上における器物破壊行為には度肝を抜かれます@@

僧は、物音に驚いて駆けつけた寺の僧に事情を説明。寺の僧は、釈迦入滅の時、足疾鬼という外道が、釈迦の歯を盗んで飛び去ったが、韋駄天という毘沙門の弟の足の速い仏が取り返した、という話をします。そして、二人が韋駄天に祈ると、韋駄天が現れ、足疾鬼を天上界に追い上げ、下界に追いつめ、仏舎利を取り返します。最終的に足疾鬼は、力も尽き果てて逃げ去ります。

この韋駄天と足疾鬼の対決がVISUAL的にも観もので・・・
ともに歌舞伎の唐獅子のような鬘をつけて面を装着しているのですが、真っ赤な頭に黒地に金襴緞子の胴着、白袖の足疾鬼と黒髪の韋駄天が一畳敷の両端でにらみ合う様は絢爛にしてドラマチック、宇宙の果てである天竺から来たという2人の超高速の闘いをスローモーションコマ送りのような動きで表現する様も新鮮でした
この主役(シテ)である足疾鬼を演ずるのが内籐飛能先生(友人が師事しているので^^)で、ダイナミックな演技で舞台を盛り上げていらっしゃいましたが、ツレの韋駄天の木谷哲也氏とともに、面をつけているために声がこもって聞こえるのがちょっぴり残念と言えば残念。
このすべてを目撃しつつも動揺を見せずに物語る旅の僧を演じるワキの則久英志氏の声が良く、また節回しも美しく、非常に謡の上手い方で、わたくしのような素人でも、上手いなぁと聴きほれるほど。

お能も奥が深いですね。
謡と仕舞の発表会を拝見する機会を去年から持つようになり、その面白さにハマりつつありますが、
装束をつけての能舞台はまた格別の味わいがあることだと
また、機会があれば観賞したいと思いました


仁左衛門の悪役2役!通し狂言「絵本合法衢」

2012-04-25 12:47:26 | 伝統芸能
伝統芸能続きでもう一つ!

何を焦ってのいきなりの更新・・・と思われるでしょうが、
今日から、ルグリ先生率いる」「ウィーン国立バレエ団」公演が始まるので・・・
なんとか、追いつこうと、ムナシイ努力を開始しているというわたくしです^^;

ちなみに、書こうと思っているTOPICSは、
映画「アーティスト」
宝塚花組(そこまでさかのぼる!)「復活」「カノン」
宝塚月組「エドワード8世―王冠を賭けた恋―」「Misty Station 霧の終着駅」
ミュージカル「コーヒー・プリンス1号店」
あと、書きかけで放置している数々の舞台も気になるところではあるのですが・・・



[通し狂言絵本合法衢(えほんがっぽうがつじ)] 四幕十二場

2012年4月3日(火)~2012年4月23日(月)

12時30分開演(4時45分終演)
国立劇場開場45周年記念

四世鶴屋南北=作
奈河彰輔=監修


 片 岡  仁左衛門   左枝大学之助、立場の多平次
 中 村  時   蔵    うんざりお松、弥十郎妻皐月
 片 岡  孝 太 郎   田代屋娘お亀
 片 岡  愛 之 助   田代屋与平
 市 川  男 女 蔵   松浦玄藩
 中 村  梅   枝   お米 
 片 岡  市   蔵   左五右衛門 
 市 川  高 麗 蔵   孫七
 坂 東  秀   調    田代屋後家おりよ
 片 岡  秀 太 郎   多平次女房お道
 市 川  左 團 次   高橋瀬左衛門、高橋弥十郎


悪党2人(仁左衛門が2役を演じます)が、お家乗っ取りの画策と美女への横恋慕ゆえに、高橋家3兄弟と対立。
長兄、末息子夫婦、末息子夫婦の里親、義理の妹夫婦・・・・のみならず、
協力者たる子分、愛鷹を事故で死なせた百姓の倅、共犯者である愛人、自分をいさめる古女房・・と、誰彼かまわず、自らの野望の前に立ちはだかる者は、時にはだまし討ち、時には正面切って切りつけて・・と殺しまくる。

いやいや、大変なピカレスクロマンです。
江戸の闇を縦横無尽に利用した鶴屋南北のバロックでブラックなエンタテイメント。

仁左衛門さんが、あくまで冷徹・短絡な時代物の悪役大学之助と、世話物の小悪党多平次を巧みに演じ分けます。

悪党が主役です。
なんとか最後の最後で、合法と出家して名を変えた中兄とその妻が白装束で決死の討ち入りをし、大悪を仕留めますが、それまでに登場した主要人物はすべてあの世に送られているという・・・。
宝塚歌劇団付の演出家”皆殺しの谷”の異名を持つ谷先生も真っ青(?)の台本。

殺される善人は互いを思いやり、慈しみあい、弱者をかばいながら散っていき、多平次の足元に踏みにじられます。
対して、殺す側は、小金のためだったり、単にうっとおしくなったから・・など殺人を行うには軽すぎる理由で、無頓着に人を斬ります。

勧善懲悪とは真逆の世界観。
最後の最後でカタルシスを得る、というよりは、ラストは付け足しで、悪の限りを尽くしてなお、爽快ささえ感じさせるカッコ良い男ぶりと、無反省の中のちょっとした愛嬌で、観客を引っ張っていけるスターが演じて初めて、スピード感と荒唐無稽な面白さがにじみ出る作品なのでしょう。

ヒトを得ないとなかなか上演には漕ぎ着けなさそう・・・。

充実の仁左衛門さまは楽しそうに悪を演じて、さすがに魅力的でした。
多平次の裾をからげたキモノからにゅっとでる脚の刺青がSEXYなんですよね^^;
役者として洗練された身体ゆえ、変に生々しくならない様式美と、白い二枚目が似合う風貌で崩れた男を演じるGAPがなんとも言えません。

海千山千のうんざりお松な時蔵さんが、多平次に岡惚れ。彼の機嫌を損ねそうになってオタオタする様子は、姐さん、かわいいじゃないの・・・と^^
こんないい女を古井戸に突き落として一丁上がりとは勿体ない(タメ息)
一方、皐月の御役では、白装束での殺陣が、凛々しい。
普段、品のある赤姫役などで見慣れている控え目で優美な立ち居振る舞いからは想像できない武士の妻っぷりでした!

左團次さんは、情も理もわきまえた名君。善なる領主がお似合い。
2役で亡くなった長兄役のあとにかたき討ちの中兄役、あまりにも不本意な死を遂げた後に自ら仕返し出来て良かったですね(え?)という気分になります(笑)。

愛之助さんは、手に手をとって、旅の途中の若いカップル・・・で花道に登場した時に、あれ、随分と大人しい仁左衛門さま、どうしたのかしら?と一瞬思ってしまい・・・。
いつものことながら、仁左衛門おじさまにそっくりになってこられましたね。
和事の非力な2枚目。こういうお役はピッタリです。

孝太郎さんのお亀は、彼女の美しさに、妾にと執着する大学之助と、それを阻止するがゆえに巻き込まれた人々のことを思うと納得がいきませんが^^; 演技として観ると、ほどほど町娘の気の強さを愛らしく表現してらしてこなれていました。
横顔の口元のラインが・・・残念なのですよね・・・。

梅枝さんのお米が、この中で唯一の若手美形女形。
きれいでいじらしく、哀れでした。



去年の3月公演を楽しみにしていたところでの大震災。
11日以降休演となり、チケットをキャンセルさせられた・・・という経緯もあって、
一年後、桜の咲く4月に、こうして観ることができて良かった・・・という客席の安堵と喜びが感じられた公演でした。

あぜくら会の方にお譲りいただいたお席で、4月19日(木)1階席3列目、やや上手での観賞。
花道で、ちょうど、立ち止まって見得を切る場所の延長線上で、舞台は見やすかったです。
ロビーで、義援金のための仁左衛門さまサイン入りブロマイドの販売そして被災地の物産展が開催されていました。







野村萬斎 「狂言・ござる乃座 46th」

2012-04-25 12:12:53 | 伝統芸能
2012年4月が終わろうとしていますが・・・

光陰矢のごとし。

いつか書かなくては・・・と思いながら月日は過ぎ、寒い寒い3月と4月が通り過ぎ、ゴールデンウィークも間近になってようやく温かくなってきた昨今です

宝塚ファンの方にとっては、4月23日月曜日の、雪組TOP音月桂ちゃんの突然の退団発表に、前日の月組TOP霧矢広夢さんと蒼乃夕妃さんの退団の涙が乾く間もなく大きなショックを受けていらっしゃることでしょうし。

伝統芸能ファンの方は、去年の震災で途中で打ち切られた公演、鶴屋南北の「絵本合邦衢」の国立劇場での公演の無事の千秋楽を喜んでいらっしゃるかもしれません。

はい、久しぶりの伝統芸能ネタです^^;

正確には3末ですが・・・。



3月31日14:00~。
春一番でもないのに、台風もかくや・・の風の吹き荒れる雨模様の土曜日、
国立能楽堂にて、野村萬斎・万作親子を中心とした、「狂言ござる乃座」公演を観て参りました。


野村萬斎が、自身の狂言研鑽と、「現代に呼吸する狂言」を考える場を目標に主宰する狂言会と言うコンセプトで続いている、「狂言ござる乃座」。


全国で、公演を続けて、狂言の魅力を広めるという活動ですね。

演目は
「粟田口」: 萬斎演じる大名と、すっぱのアグレッシブな掛合いが見どころ。
「口真似」: 
野村萬斎の息子さん、裕基くんが、父・万作と共演する、祖父孫共演が見どころの狂言。
裕基くんの立ち居振る舞いが堂にいっていて感心。
酔客を上手く追い払おうとする主人に、自分の真似をしていればよいのだと事前に聞かされたままに空気を読まずに口真似、動きの真似を続け、客を翻弄する様には思わず笑いをこらえきれず^^
「蛸」:    舞狂言ですが、巨大な蛸の張りぼてをベネチアのカーニバルもかくや・・・!!と思われる装束に仕立て        ての演出に度肝を抜かれましたが・・・^^;
あと、小舞2番・素囃子1番の上演でした。

歌舞伎の演目の間に挿入されるような形では色々と観賞したことがありますが、狂言だけの演目での上演会は初めてで、興味深かったです。

一番印象に残ったのは、雨に濡れた能楽堂の中庭と、能舞台と客席の空気感ですね。

お能も観に行きたいなと思ったことでした^^