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お着物Enjoy生活からバレエ・オペラ・宝塚etcの観劇日記に...

宝塚宙組 銀河英雄伝説@TAKARAZUKA 宝塚大劇場

2012-09-29 01:50:23 | TAKARAZUKA
9月も終わりに押し迫っての記録ですが・・・。

2012年8月31日の初日にスタートした新生宙組、
新・TOP、凰稀かなめと実咲凛音のお披露目公演、
9月1日(土)の11:00公演を観に、宝塚大劇場に赴きました。

初日に行きたかったのはやまやまですが、何の因果か仕事で行かれず・・・

原作者の田中芳樹氏もご観劇で、華々しくSTARTしたお披露目初日。
一夜明けて・・・の回ではありましたが、小池修一郎演出の新作であり、宇宙における2つの勢力が対立するコスチュームもの、軍服祭りという宙組らしい豪華なお披露目作品。



NTT東日本・NTT西日本フレッツシアター
スペース・ファンタジー
『銀河英雄伝説@TAKARAZUKA』 

田中芳樹作「銀河英雄伝説」(東京創元社刊)より
脚本・演出/小池修一郎


[解 説]
 人気作家・田中芳樹氏による原作「銀河英雄伝説」は、1982年11月に第1巻が刊行され、累計1500万部の売上を誇る大ベストセラーSF小説で、今なお多くのファンの心を魅了し、SFファンに語り継がれている作品です。遥かな未来、限りなく広がる銀河を舞台に、彗星のごとく現れた名将を中心に『銀河帝国』対『自由惑星同盟』の戦いと、人間ドラマを壮大なスケールで描いたストーリー。個性的な数々のキャラクターにより繰り広げられる歴史物語が、新しい魅力をたたえ宝塚歌劇の舞台に初登場です。
なお、本公演は宙組トップスター・凰稀かなめ、トップ娘役・実咲凜音のお披露目公演となります。

以上、公式HPより。

貴族連合と 主人公ラインハルトを中心とする新興勢力の対立を内包した帝国軍と、
戦争を政争の具とする政府側に対する市民の平和運動、そして軍人のクーデターと、やはり内部に抗争を抱える同盟軍の大きな2つの勢力の対立と、両勢力を陰であやつる自由貿易の緩衝地帯、フェザーン。
この3つを主軸として、帝国・同盟それぞれに時を同じくして生まれた好敵手、帝国軍のラインハルトと同盟軍のヤン・ウェンリーという2人の軍事的天才が繰り広げる宇宙戦争と、それぞれの勢力内における政争が、ダイナミックに描かれているのは原作通り。

宝塚では、欠かせないロマンス要素をプラスするために、ラインハルトと秘書官の女性、ヒルダの出会いと心の交流をややふくらませた形で描いているのと、膨大な状況説明のために、両勢力の均衡を図るフェザーンのルビンスキーと愛人ドミニクが配されています。

登場人物と一言感想を・・・。

★ラインハルト・フォン・ローエングラム(凰稀かなめ)

宇宙一の美貌!の金髪・アイスブルーの瞳の若き将軍。
もう、軍服が似合いすぎです。歌も安定。マントさばきは神業レベル。甘いですね、評価が
無二の親友キルヒアイスと、皇帝の寵妃となった姉・アンネローゼの前だけで見せる無防備な姿と、普段のクールな振る舞い、そして、宰相オーベルシュタインの目的のためには手段を選ばない手法とあくまで正道なキルヒアイスの見識との間で揺れる心を細やかに演じ分けて。
フィナーレ・ショーでのデュエットダンス、みりおんちゃんを大事そうに扱う感じや、手の表情の繊細さは甘くて良い感じです。パレードの最後の御挨拶、羽のナイアガラがバッサ―と前に翻る大きなお辞儀を3回!
まるで星組の柚希さんのようだわ・・・と目を丸くしてしまいました@@
只でさえ、30kgとか聞こえてくる大羽根をそんなにして、腰は大丈夫なのかしら~と華奢なだけに心配。
まぁ、ジェンヌは基本アスリートの体力をつちかっていらっしゃるそうなので、心配無用かもしれませんが・・・。
平時よりも長丁場のお披露目公演ゆえ、ついつい気遣ってしまいます^^;

★ジ―クフリ―ド・キルヒアイス (朝夏まなと)
花組から異動の朝夏まなとくん、赤毛で優しそうな風情が役のイメージにぴったり。
美しき姉弟に忠誠を誓い、敵側との和平交渉での人間味溢れる対応など、原作でファンの多いもうけ役をナチュラルに演じて2番手格としての存在感たっぷりです。
ラインハルトとの銀橋でのデュエットは2人の声質が合うのか、普段の1.5倍、2人とも上手く聴こえました^^

★パウル・フォン・オーベルシュタイン (悠未ひろ)
原作ファンは驚くでしょうね・・・。冷徹な軍師が、トート閣下のごとくVISUAL系の闇の支配者然としていて^^;
あーいえばこういう、でラインハルトを言いくるめ、気が付いたらキルヒアイス以上の発言権を持つ片腕として、汚い仕事も粛々と行う策士です。
これが、前作でコミカルなだまされ役、ジ―クフェルドさんだったとは・・・全く持って芸幅の広い役者さんです。
前TOPの頃から引き続き、主人公を傷めつけて観客に喜ばれるという特技を持つジェンヌ(^^;違)

★帝国軍の将校たち
オスカー・フォン・ロイエンタール  (蓮水ゆうや)
ウォルフガング・ミッターマイヤー  (七海ひろき)
ビッテンフェルト (澄輝さやと)
ルッツ (凛城きら)
ワーレン (愛月ひかる)
ケンプ (蒼羽りく)
もう、並んで踊ったりすると、本当にステキな長身イケメン軍団、宙組の誇る路線男役がズラリ!
・・・なのですが、基本、十把一絡げな扱いです^^。
ロイエンタールが左右の瞳の色が違う「金銀妖瞳(ヘテロクロミア)」の持ち主(右目が黒で左目が青)である、クールビューティ―で、ミッタ―マイヤ―は金髪の男気溢れる快男児など、原作に沿ったVISUAL面での役作りや、自己紹介ソングがあるものの、基本同等の扱いデス。
中では、血気盛んで失敗するビッテンの場面で演技させてもらっているあっきー(澄輝)がやや美味しい感じなれど、スッキリ顔が台なしの変な鬘が・・・。東京までに手直ししてください^^;

★子ラインハルト (彩花まり)
密かにお気に入りの彩花まりちゃん、優等生の割に役づきがあまり・・なのですが、三成(「美しき生涯」)のときに、秀吉のお小姓で常に舞台上にあるお姿が、スッとゆかしく、伏し目がちな目元の陰影が美しく、何気に注目しつづけている娘役さんです。
で、その端正なお顔が生きる、宇宙一の美貌・ラインハルト様の子供時代・・・・良かったです。演技も子供っぽく作りすぎないところが良かったです。
なのになぜ~;;
子アンネローゼお姉さまの役(瀬音リサ)が不美少女すぎる・・・;;新公ヒロイン経験もあるはずなのに・・・もっとVISUAL頑張って!ちなみに子キルヒアイスの真みや涼子ちゃんは普通でした。
あ、大人のアンネローゼさまはタラちゃん(愛花ちさき)でした。
優しそうでほっそりしているのは良いのですが、絶世の美女設定なのですから・・・。外部ではとなみちゃん(白羽ゆり)が演じたそうで、ポスターを見た限りではピッタリな感じでした。
新人公演で、伶美うらら嬢が配役されているのが似合いそうだと踏んでおりますが さて。
宙組に美少女役者があと2人いたらなぁ・・と、詮なきことを思ったり。


以上、帝国軍。
同盟側は・・・

★ヤン・ウェンリー (緒月遠麻)
軍事の天才の反戦論者。もともと歴史家志望でヒューマニスト。
紅茶にうるさいが、家事全般、事務仕事は苦手。人望があるので、スペシャリストに支えられ、自然と組織の長となる。
・・という原作では最も人気の高いキャラクター。飄々とした持ち味をどう出すか、が注目ポイントでしたが、緒月さんは温かみのある演技で、ヤンらしさが良く出ていたと思います。
先輩ラップ少佐の婚約者、ジェシカとの学生時代のエピソードなど(恋のライバルだったけれどもお似合いの2人に身を引いた)しみじみさせてくれます。
最後のエトワールは、組替え組の番手が曖昧なのを誤魔化すため?
エトワールは歌自慢の娘役に!という声が多い中、特に歌が秀でているというわけでもない緒月さんには気の毒な感じさえしますが、短くて、良かった。

★ユリアン・ミンツ (伶美うらら)
配役をみて、一番驚いたのがここ。
宙一の美女うららちゃんは、ラインハルトの姉、皇帝の寵妃アンネローゼさまだと思っていたのに・・・。
で、あまり期待もしていなかったのですが、思いがけない当たり役でした!
・・・・・美少年すぎる・・・・・
もとより長身面長美少女なので、男役でもイケるのでは、と言われていたうららちゃんですが、
ユリアンが本当に上品でスッとした、透明感のある育ちの良さそうな美少年で・・・。
素晴らしいCASTINGです!(手の平返し)
あ、ユリアンとは、戦況が長引く中、増え続ける戦災孤児を個人の庇護のもとに置くプロジェクトの一環で、ヤンのもとで育てられることになった孤児なのですが、大変優秀なお子さんで、ヤンの秘書兼主婦役を完璧に努めつつ、彼の後継者となっていく役どころです。
ジェシカとヤンが思い出を語り合うシーンでは、気を使って、さりげなく席をはずしたり、ピンチには助けに来たり、何かと頼りになる聡明なお子で、うちにも1人欲しいデス(こら)

★ジェシカ・エドワ―ズ (純矢ちとせ)
ヤンの友人。元・想い人。恋人ラップ少佐が戦死。宰相トリューニヒトの演説中に、戦争を政権のために利用する政治家の矛盾に気づき、平和運動家として活動を開始。
そのために命を落とすが、ヤンとの絡みも恋人となるフレデリカ(すみれ乃麗)以上にあり、恋人を失った悲嘆、平和への崇高な使命感、利己的な政治家への義憤など、ヒロイックな感情を吐露する歌も聞かせどころが与えられ、歌上手なせいこちゃん(純矢)にはぴったり。
娘役の中では一番美味しい役だったかも。

★トリューニト (星吹彩翔)
同盟側の宰相です。
戦争を政争の具として上手く立ち回る、空疎な大言壮語がなんとも心地悪い気分にさせられる社交的でソツない悪役・・・という難役を、可愛い弟キャラ、歌・演技・踊り全てに秀でているモンチ(星吹)がどう演じるか・・・と思っていたら、宙組の素晴らしい重層的なコーラスを背景に堂々たるソロを披露してくれました。
こういうキャラクターがでてくるところが銀英伝の魅力であり、奥深いところです。


そして、フェザーンの2人・・・

★ルビンスキー (鳳樹いち)
フェザーンの盟主。商人国家で、帝国・同盟の宇宙2大勢力の間にあって、経済力で両勢力の均衡を図り、暗躍する・・という謎めいたキャラクター。原作ではスキンヘッドですが、タカラヅカなので、黒髪を逆立てた普通のイケメンです(笑)
いちくんは、ダンサーで、演技力もあるタイプ。シュッとした容姿と勝気さを感じさせる持ち味で、滑絶良く、テキパキとこの複雑な物語と勢力図を説明する係を担当。
語りに語るのですが、歌ってくれないかな~踊ってくれないかな~と、実力を知るファンにとっては結構ストレスがたまるかも^^;

★ドミニク (大海亜呼)
ルビンスキーの愛人。ふたりで手分けして説明をします^^
大海さんも素晴らしいダンサーなので、いつ、この2人が踊り出すか、興味駸々で観ていたのですが、最後の最後に一瞬?踊ったような・・・。あぁ勿体ない^^;

番外編として・・・
帝国側の、貴族連合。
ラインハルト率いる新興勢力に対して、自分たちの貴族として既得権を守るために抵抗する勢力。

★ブラウンシュヴァイク公爵 (一樹 千尋)
 リヒテンラーデ ( 磯野 千尋)
  リッテンハイム侯爵 ( 風羽 玲亜)
いや~豪華な布陣ですね。
専科さんお二人はさすがの存在感。重厚で狡猾な旧世界の貴族の独善ぶりをどっしりとした演技で表現してくれました。両・千尋様はそのまま肖像画にしてもよいVISUALです。
その中にあって、美貌を存在感はタメをはる風羽玲亜ちゃんに感動。あ、勿論セリフは最小限に抑えてありましたが^^;

★アンスバッハ (凪七瑠海)
華奢ながら、大事に路線としてスター扱いされていたかちゃ(凪七)がまさかのおっさん役!と話題になったアンスバッハです。ブラウンシュバイク公の忠実な部下。
追い詰められてあがく公爵に名誉の自決を強要した上で、主君の仇打ち・・・を実行してしまう一徹な男。
敵ながらもアッパレ、とラインハルトも一定の評価を与える人物です。
マンガでみると、ずんぐりしっかりの地味なおじさんキャラですが、ほっそりとしたかちゃは、クールで押し出しの強い役作りで冷徹かつ忠義の部下を誠実に演じていました。
最後、仇討でキルヒアイスを殺してしまうのですが、即、自分も命を絶たれるに当たり、階段で、キルヒアイスのまわりに愁嘆場ができる横で、1人死体として横たわっているその姿がダンサーだけあってとても美しいポーズなのに注目してしまいました。

★オフレッサー (風馬翔)

さらに番外っぽいのですが・・・^^;
実は、まさか、この場面を@TAKARAZUKAで上演するとは夢にも思わなかった場面、
「オフレッサ―捕獲」の場面が原作に忠実に再現されていて、開いた口がふさがらないくらい感動しました(用法、明らかに間違っていますよね^^;)
原始時代の英雄だ、と切って捨てられるオフレッサ―。引火物が充満する空間において、両陣営とも火器を用いることが出来ない闘い限定の斧の達人。
見た目はまんまゴリラなので、まさか、これをジェンヌが・・・と思っていたら、ここに本気の男の中の男役、かけるくんがやってくれました・・・。見事な3次元化でした・・・。
オーベルシュタインの策略で、本当にかわいそうな最後を遂げるのですが・・・;;


銀英伝、ムラで一度観たきりですが、東京公演ではかなりの回数日比谷に日参する予定です。
感想はまだ、色々とありますが、また、東京公演が始まってから、改めて語りたいと

原作ファンにとっては間違いなく楽しい、そして、豪華な宝塚らしいVISUALを好む方も楽しめる舞台かと。
おススメです



宝塚月組 「ロミオとジュリエット」 東京宝塚劇場

2012-09-17 10:27:06 | TAKARAZUKA
もう、次の花組が開幕したというのに・・・^^;
遅ればせながらの月組ロミジュリ語りです。



ジェラール・プレスギュルヴィック版、小池修一郎潤色の「ロミオとジュリエット」
宝塚版としては3度目の、外部を入れれば4度目の上演で、全てを観ているわたくしとしては、
今回の月組版も見逃せず・・・はい、勿論^^行って参りました!

とはいえ、前半はバレフェス、そして9月には宙の大劇場でのお披露目もあり、8月後半に固めて3回観るにとどまりましたが・・・。今回の目玉であるロミオとティボルトの役変わりも堪能し、小池先生の版を重ねるごとに良い修正の入った宝塚らしい舞台を楽しみました。

衣装や雰囲気は、初演の星組に近い感じ、でしょうか。
モンタギューは青、キャピュレットは赤という基本はそのままに、フリルや刺繍を多用した、甘い雰囲気のディテールデザインが、タカラヅカ版らしくて、演者に似合って華やいだ舞台の一助となっていたかと思います。
(雪組版は男役はシンプルでちょっとエスニック風味、娘役はクラシカルな感じで、やや地味な印象でしたので)

大筋や展開は変わらないのですが、演出的には、銀橋と本舞台の使い方がこなれてきたといいますか。
梅田芸術劇場や博多座のスペースでちょうど良かった星組版に比べて大劇場がスカスカに見えてしまった時もあった雪組でしたが、今回は、盆を回しての舞台転換、銀橋と本舞台で、出会う前のロミオとジュリエットがそれぞれまだ見ぬ恋人との出会いを夢見て歌うデュエットをシンクロさせたり・・・・と小池演出の進化ゆえか安定した舞台でした。

役名毎に感想を一言ずつ・・・

■ ロミオ・龍真咲

可愛いロミオでした。歌も上手く、華奢でスラリとした容姿はヴェローナ中のジュリエットを泣かせてきたんじゃないのか、と神父様に言われるのもむべなるかな。
アイドル的な美形で、少女たちに人気を博していたのであろうかと^^
ただ、とにかく幼くて喜びも不安も、子供のそれのようでした。
ジュリエットへの恋はまっしぐらで、目がキラキラ光る、少女マンガの主人公そのもの。
良くも悪くも”タカラヅカのロミオ”としての芝居を感じさせられました。
ジュリエット役のちゃぴちゃん(愛希れいか)との並びは愛らしい小顔で中性的なスラリとした長身通しで良くお似合い。

■ ロミオ・明日海りお

小柄ながらも芯のしっかりとしたみりおちゃん(明日海)にロミオは適役だろうなと想像した通り、イメージにピッタリのロミオっぷり。考え深そうな繊細な美少年ロミオでした。
彼女の押さえた丁寧な役作りが、プレスギュルヴィック版のロミオの漠とした不安を大きな闇や人知の及ばない運命の力の予感にまで拡大し、恋愛要素も純な誠実さの中に後の悲劇を予感させ、全体に、シェークスピアの悲劇「ロミオとジュリエット」の主役、というイメージで作ってきたなと。

悪役もこなしてきた2番手どころからTOP就任の龍さんと、3番手としておだやかな役どころが多かった明日海さんのイメージからすると、逆とも言える、龍=陽、明日海=陰のロミオで、それぞれに観ごたえがあり、似合っていたのが今回のHITの要因でしょうか。
両方のバージョンを見ないと・・・と想わせるなんて、劇団の思うつぼだわ、と思いながらも、やはり両方観てこそ・・・の今回の月組版かも。


■ ティボルト・龍真咲

華やかなティボルトでした。
ロングのドレッド?ウェーブヘアを前髪のところをちょっと小さなポンパドール風にひねってとめるスタイルがお似合い。
女ったらし、といいますか・・・15歳で初体験以来、女性遍歴を重ねてきた・・ソングも違和感なし。
若者ゆえの上っ滑り感や理由なくキレてしまう青春期の自己制御力のなさも、嫌みなく出ていました。
歴代のティボでBESTかというと、そこはやはり星組時代の凰稀さんの独特な色気は貴重なものだったのだなと改めて(贔屓目)
死に導かれて、蘇ったまさきティボルトとマーキューシオ(美弥るりか)がみりおロミオをセンターにして踊るシーンの美形3人揃い踏みの図は、忘れがたいものがありました・・・^^眼福。

ただ、ティボルトの日も、フィナーレ・ショーでジュリエットと踊るのは龍さんなので、黒塗りのままのデュエットダンスがちょっとホスト風味で・・・^^;微妙な味わいがありました^^;
珍しいものを見せていただいたなと^^;

■ ティボルト・明日海りお

こわいティボルトでした(笑)
いや、まさかここまで厳つく作ってくるとは・・・!
本気で強そう。「こんなに荒々しい青年になるなんて・・・」のキャピュレット夫人の言葉に大きくうなづくわたくし。ただ、その夫人を怪しい関係・・・って、え~っそうなの?!という感じですし、あれであらゆる種類の女を・・・というならば、どれだけキャピュレット陣営の女性は肉食で強気な女子揃いなの?と思ってしまいました^^;。
並みの優しい女の子なら、怖くて近寄れないオーラがありますし、大体女なんて、と最初っから相手にしていない風情も。強いだけでなく、思いも深そうで悩みも深刻。
こんなティボルトに絡むなんて、マーキューシオったら、どれだけ命知らず?
身長が同じくらいだから、大丈夫と思ったのかしら(笑)

明日海さんの身長が低いのは、持ち味ですし、それが魅力を損ねているとは思いませんが、あの靴はちょっとお気の毒です。ヒールが高いだけでなく歩きにくそうなのが気になります。
ロミオとしてのモンタギューチームの群舞でも、星組のダンサー柚希さんと比べるのは酷ですが、あまりに踊っていなくて残念。
長身のジュリエットとのバランスを考えたのかもしれませんが、フィナーレ・ショーで、スニーカー姿で若手を率いて軽快に踊る明日海さんを見るにつけ、本編でも低めのヒ―ルで伸び伸びと躍動して欲しかったな、と思ってしまいました。


■ ジュリエット・愛希れいか

ちゃぴちゃんのジュリエットはとても良かったです!
もと男役で、娘役に転向して間もない・・・という違和感ゼロ。
金髪パッツン前髪ロングの鬘もお似合いですし、スラリとした長身と愛らしい小顔が少女らしさ満点。
高音も安定した歌声や、はつらつとしたダンス、意志を感じさせる演技もハマっていて、お披露目でこの役は本当に彼女にピッタリ。
公演毎に、タイプの違う相手とのお芝居も大変だったかと思いますが、そんな苦労を感じさせない双方に向ける笑顔が天使のよう。
ただ、父親にパリスとの結婚を強要されはむかった後に、裏切った乳母に小さく呪いの言葉を向ける真顔にふと生な表情が覗いて、それもまた一興。
サイドにちょっと編み込みをあしらっただけで作り込みすぎないヘアスタイルなどもジュリエットであるという記号はおさえつつも大芝居的にならない現代的なアレンジが彼女らしくて好感を持ちました。


■ マーキューシオ・美弥るりか

みやるりファンとしては、星組から月組への異動から、役づき発表までが期待しつつ待つ→マーキューシオ役(通常3番手の役どころ)との発表!!→感涙→公演を楽しみに待つ→まさかの銀橋歌手(通常2番手のお仕事)→更に感涙

というわけで、観る前にテンション上がり切っている状態での観劇。

星組時代は、こんなに可愛くて実力も破綻ないのに、長身下級生に押されてなかなか役づきが上がらないことを歯がゆく思っていましたが、さて、身長の低さがさほどハンデとならない月組に来ると・・・あれ?みやちゃんってもっと歌が上手かったような気が・・・それって星組マジックだったのかしら(失礼)
お芝居は突出はしていなかったものの、丁寧な役作りでちゃんとこなすべき役割をこなしていましたし、同期のみりおちゃんとは勿論、龍さんとも並びが自然でお芝居のコミュニケーションも出来ていて、思った以上に月組サンに馴染んで見えました。
銀橋の歌手は・・・下手からセリ上がった時点で大コーフン!
え~と歌いながら渡るところは、もう、大劇場を経て、東京公演も何日も経ってからの観劇でしたし、言い訳はできません^^;もっと上手かと思っていたので・・・がんばって!るりかちゃん!(檄)
でも、キレやすくてお調子者で女ったらしのマーキューシオが死に際にロミオに「ジュリエットを愛し抜け」と励ますところなどは心情が良く出ていて、らしい演技だなと。
今度の全国ツアーでは、なんと、「愛するには短すぎる」で、凰稀さんの役!2番手どころのアンソニーを!!
もう、本当に楽しみです。実力派の月組で、底力120%出して頑張ってほしいと思います


■ ベンヴォーリオ・星条海斗

星の涼さんが金髪ベリーショートの王子様LOOKでロミオ大好きベンを演じ、雪の未涼さんがリサイタルか!と見まごう歌「どうやって伝えよう」で大劇場の空間を席巻したのを思い出しながらのマギー(星条)さん。
かわいらしいキャラクターのモンタギュー3人組の中、1人上級生で長身・大人キャラなのにどうかしら?と危惧しましたが、仲間感があってショートカットの落ち着いた少年風味で溶け込んでいました。 豊かな声量が有名なお歌も上手くコントロールされていたかと思います。
ただ、それだけに、彼女の個性をアピールする局面がなく、ちょっと埋もれてしまったかしら・・・。
マーキューシオとティボルトの一騎打ちの場面の群舞などではキレの良い動きが綺麗だったりところどころに流石感はあるのですが、その場面では普通、マキュ・ティボ・ロミオにしか目が行きませんしね・・・。


■ ジュリエットの乳母・美穂圭子

ここしばらく宙組へのご出演が続いて、お世話になってきておりました専科の美穂お姉さま。
乳母役は、星組のヒロイン2番手ポジの白華れみちゃんが、肉襦袢ドレスなのに、清楚な娘役顔で、切々とジュリエットへの母性的な愛を歌うのに、ボロボロ泣かされ・・・。
雪組は打って変って男役のこまちゃん(沙央くらま)がコミカルにおてもやんメイクで演じ、さて、高貴な妃や妖精の女王などのお役が多いクールな専科の歌姫はどうくるか・・・と思ったら、雪組バージョンのまさかの道化役。
ピエロメイクに肉布団。で、歌声は・・・一級品。
でも、泣けないんですよ~。急にマジメになって切々と美しく 若い恋を応援されてもこちらの気持ちが付いていかなくて。
あの星のれみちゃん乳母はタカラヅカマジックだったなぁと。そう言えば外部でも優等生タカラヅカOGハマコさん(未来優希)が乳母で朗々と歌い上げたけど泣けなかったわ。

■ ロレンス神父・英真なおき

星組のロレンス神父、ヘアスタイルがちょっと変わってパーマヘアになりましたが、変わらぬ存在感。
小さなころからロミオを可愛がってきた絆、2人の突然の恋に、驚きつつも、これがベローナを蝕み続けてきた両家の紛争を収める糸口になるのではないかと天啓を受けたと思う宗教者の顔、運命のいたずらに翻弄される様、年配者通しで乳母と2人の若者応援歌デュエット。
全ての局面での意味を明確に打ち出し、舞台に深みを与えています。
正直星組時代には、組長とTOPという、柚希さんとのリアルでの仲の良さが舞台にも良い影響を与えているのね、止まりの評価になりがちでしたが、こうして、他組での活躍を見ると、この持ち味は彼女ならではの才能なのだなと、改めて感じました。
専科さんになってくださって良かった!これからもご活躍を期待しています。


■パリス・紫門ゆりや

月組でロミジュリを、と聞いたときにいいかも!パリスはゆりやくんがいるし!と
月組通でもないわたくしが真っ先に思い浮かべたCASTING.
勿論、思い浮かべていたのは「アリスの恋人」のキザで可愛い帽子屋さんです。
期待通り、想像通りのパリスで、金髪、白いキラキラ衣装程よい場違い加減の良いパリスでした。
「気どり屋の間抜け」呼ばわりされる彼ですが、ちゃんとティボルトのおくやみに来てくれるし、キャピュレット卿から式を急ごうと言われると、一応ティボルトの喪中なのにいいのですか?と聞く常識も持ち合わせていて、結婚したらよい夫になりそうです。
舞踏会のシーンでも、一目惚れの相手がモンタギューのロミオと聞いて茫然自失のジュリエットが乾杯の杯を取り落として逃げ去っても、すぐに気を取り直して、とりなすキャピュレットの人々と上機嫌で杯を交わす様も明るい性格のようで・・・付き合ってみたら?とおススメしたくなります^^;


■ キャピュレット卿

星・雪とも重厚な専科の一樹千尋さんが演じられた役ですが、これもまた、月組にいるじゃない!と
すぐに思い浮かんだ色気のある叔父様キャラと言えばこの人、の越乃リュウ組長。
こちらも期待通り。

■ キャピュレット夫人・憧花ゆりの

仮面夫婦のもう一方・・・が誰かしら?と思っていたら、演技派の憧花ゆりのさん。
甥のティボルトを誘惑する色気のある毒婦。歌の見せ場も多い役です。
星では歌姫音花ゆりちゃん、雪ではVISUAL的にもばっちりな歌手晴華みどりさん、外部では美魔女とはこの人!な涼風真世さんで、文句なし!という歴代甲乙つけがたいキャスティングが行われてきただけに、どうかと思いましたがさすがに華やかなVISUALに作り込んでこられました。
ティボルトに絡む場面もスマートにこなして、好印象。

■ ヴェローナ大公・輝月ゆうま

大抜擢ですね。ちゃぴちゃんと同期とはいえ、研4で、両家を収める役どころとは。
冒頭で大曲「ヴェロ―ナ」もありますし。
月では珍しい177cmの長身ですが、所謂路線の役どころというよりは若くして叔父様的な脇で使われている模様。
ですので、今回も大変堂々と両家をいさめておりました。
パレードのときは、学年順ですので、大公殿下のお顔のままで、若手(って同期ですが)と一緒にニコニコ端っこでシャンシャンを振っている姿が妙に可愛らしかったです^^


■ 愛・煌月爽矢 と 死・珠城りょう

ともに若手路線男役。煌月さんは169cm珠城さんは172cmで若干差はありますが、同じような体格の2人が拮抗するような愛と死、でこれは両方の力が引きあって運命をつかさどっているという解釈なのでしょうか。
完全に2人とも背景になっていました。雪組の時の印象とほぼ同じかも。

愛と死は、思い返せば星組の 初抜擢でこの子だれ?と話題になった礼真琴くんがその曲線的でまろやかな風貌としなやかなダンスで愛を、すでにスターの真風涼帆が水さんトートそっくりのメイクと風貌で死を演じ、5cmの身長差だけではないくっきりとしたコントラストで強い磁場を作っていたことを考えるとどうにも物足りないのですが、これはこのときの星組のキャスティングが贅沢だったと解釈すべきなのでしょうね。


とにかく体当たりで、若い未熟さもまた役としての魅力に変えてしまうロミオとジュリエットがまぶしい舞台でした。
新・TOPお披露目で2度、上演されていますが、今後も各組で再演されるに足る伝家の宝刀的名作がまた一つ増えましたね







横坂源 ソロリサイタル

2012-09-13 01:38:42 | MUSIC
2012年 9月12日(水)
かつしかシンフォニーヒルズ アイリスホールにて

若き俊英チェリストによる、ソロ・コンサート。

横坂源 25歳。
4歳半でチェロを手にし、15歳で全日本ビバホール・チェロコンクール最年少優勝。
2010年(23歳?)難関、ミュンヘン国際音楽コンクールチェロ部門で2位入賞。
桐朋、芸大を経て、現在、シュツットガルト国立音楽大学に在学中。
サントリーホールディングス所有の1710年Pietro Giacomo Rogeri制作のチェロを貸与されている。
ラ・フォル・ジュルネ新潟に続けて参加している模様。

ピアノ伴奏が 北村朋幹。
1991年生まれということは21歳?
愛知県出身。各種コンクール受賞経験を持ち、芸大を経て、現在ベルリン芸術大学に在学中。
師匠はライナー・ベッカー、伊藤恵。
アナリーゼが得意らしく、演奏会のプログラムは通好みの選曲と解説だそうですが、
残念ながら、今回はご自分が主ではないからか、準備されていない模様。


若手実力派、ということで楽しみにしておりました。

演目は

ベートーヴェン:モーツァルトの「魔笛」の主題による12の変奏曲 ヘ長調 Op.66
ベートーヴェン:連作歌曲集「遥かなる恋人によす」 Op.98
シューマン:幻想小曲集 Op.73

<休憩15分>

メンデルスゾーン:チェロ・ソナタ 第2番 ニ長調 Op.58 

アンコール: サンサーンス「白鳥」


一曲目、ピアノの音とチェロの音の音量がアンバランスで演奏もちょっと硬い?
こんなものかと思いきや、
2曲目では端正なドイツ歌曲らしい、精神的な理想を求める愛と憧憬が端正な演奏の中に香り立ち、ベートーヴェンらしい情熱も感じ取れる良き演奏。

いよいよ興が乗ってきたかと身を乗り出すと、
3曲目のシューマンでは、非常に伸びやかに
チェロという楽器のポテンシャルを自在に引きだし、歌い上げる。
ピアノとの息もぴったりで、楽曲のロマンチックな味わいがいい形で浮かび上がってきました。

休憩の後の、第2部では
メンデルスゾーンのチェロ・ソナタ。
色々な技巧を凝らした作品ですが、そこにとらわれすぎず、曲の持つ明朗な疾走感を活き活きと表現。
若手らしい生命力と、若者離れした端正さを併せ持つ、気持ちの良い演奏でした。

アンコール曲は
「瀕死の白鳥」で有名な、サン・サ―ンスの「動物の謝肉祭」から「白鳥」を。
先月のロパートキナ様の「瀕死」がフラッシュバックして思わず目頭が熱く・・・;;
わたくし自身の好みより少しアップテンポなのが気になりましたが、チェロの響きが美しくて・・・。
やはり、生演奏は良いですね

お二人とも、細身で可愛らしいVISUALなれど、音楽的にはすでに様々なオケとの共演など、経験を積みながら成熟していらっしゃる模様。
これからの一層の成長が楽しみな若手2人、でした