パリ・オペラ座バレエ団と英国ロイヤル・バレエ団の俊英による豪華なガラ公演
という触れ込みのNBSによる新企画、「バレエ・スプリーム」
今まで、例えばボリショイとマリインスキー夢の競演といったガラ公演は見たことがありますが、
オペラ座とロイヤルとはまた面白い取り合わせ。
2017年3月のオペラ座来日公演時、芸術監督オレリー・デュポンとの打ち合わせで決まったのでしたっけ。
オペラ座チームのプロデュースはオレリーが。ロイヤルの元締めはスティーブン・マックレーが務めるこの公演、
このところの大物の引退続きで寂しさのあまり、バレエへの興味が薄れる昨今、あまり盛り上がらない気持ちで赴いた文京シビックホールの初日。
<バレエ・スプリーム>Aプロ (7/26 18:30開演)
― 第1部 ―
「ラプソディ」
振付:フレデリック・アシュトン
音楽:セルゲイ・ラフマニノフ
ヤーナ・サレンコ、スティーヴン・マックレー
小柄で金髪、見た目のバランスもきびきびとした踊りの質も実によく似合う二人。
ヤーナはオレンジの輝き、スティーブンはイエローゴールドのシンプルなレオタードの衣装で、超絶技巧を
難なくこなすオープニング。
「アスフォデルの花畑」
振付:リアム・スカーレット
音楽:フランシス・プーランク
フランチェスカ・ヘイワード、マルセリーノ・サンベ
黒髪に小麦色の肌の筋肉質な中肉中背のペア。
グレイッシュパープル系のお衣装が肌色に映えてとてもシック。
「ジゼル」 第2幕よりパ・ド・ドゥ
振付:ジャン・コラーリ、ジュール・ペロー
音楽:アドルフ・アダン
高田 茜、ベンジャミン・エラ
高田さんは2008年ローザンヌで受賞したときからのファン。若さに似合わずしっとりした抒情的なアームスと丁寧な踊りが好印象。その後、ロイヤルバレエの2013年の来日公演では「不思議の国のアリス」に出演している彼女をチェック。その時はまだソリストの役付きではなく、トランプの淑女の一人でしたがとてもきれいで目をひきました。
というわけで、今回はプリンシパルに昇格した彼女を初めて見る機会ということでとても楽しみに鑑賞。
華奢な骨格に繊細な容姿で、ロマンチックチュチュがとてもお似合い。
の割にはジャンプして素早く脚を交差させる連続の振りなどでは、ジゼルの重力を感じさせない浮遊感を繊細に表現しながら、ジャンプの位置の高さに驚かされました。
「アイ・ガット・リズム」
振付:スティーヴン・マックレー
音楽:ジョージ・ガーシュウィン
スティーヴン・マックレー
自在にタップを踏むスティーブン!2003年のローザンヌから2013年来日公演「不思議の国のアリス」でのマッドハッターまで、彼のキャリアの随所で見せるタップはいつも鮮烈。
AMPに転じたアダム・クーパーのように、クラシックバレエの枠内に収まらないエンターテイナーの素質を持つ彼がちょっとガス抜きするためのタップなのかな?と思ったり。
「ロミオとジュリエット」 第1幕よりパ・ド・ドゥ
振付:ケネス・マクミラン
音楽:セルゲイ・プロコフィエフ
フランチェスカ・ヘイワード、フェデリコ・ボネッリ
バルコニーで一人ロミオを思うジュリエット・・・からの名場面。
この演目に関しては、あまりに名演を多く見過ぎて・・・・
なのですが、十分魅力ある二人でした。
ロイヤル組の演目の選び方のバランスがとても良かったです。
2枚看板のアシュトンにマクミラン、スティーブンの名刺代わりのようなタップ、ロマンチックバレエにバランシン、そしてバレエ団付の振付家の新作。ロイヤルの魅力がわかりやすく提示されていてそれぞれのダンサーの持ち味にもよく似合っていました!
― 第2部 ―
「白鳥の湖」 第2幕よりパ・ド・ドゥ
振付:ルドルフ・ヌレエフ(マリウス・プティパ、レフ・イワーノフに基づく)
音楽:ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー
ミリアム・ウルド=ブラーム、マチアス・エイマン
盤石の古典ですが、ヌレエフ版というところがオペラ座。
今、頼れる中堅としてテクニックのみならず、王子の風格を醸し出しているマチアスと小柄ながら均整の取れた繊細なリアルプリンセスな容姿と安定したテクニックのミリアム。若くて愛らしい二人というイメージが強かったのですが、こうして若手が台頭してくると、一味深みのあるベテランペアという印象。
「白鳥の湖」 第3幕よりパ・ド・ドゥ
振付:ルドルフ・ヌレエフ(マリウス・プティパ、レフ・イワーノフに基づく)
音楽:ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー
レオノール・ボラック、ジェルマン・ルーヴェ
こちらはオディールが王子を篭絡する場面。ヌレエフ版といえば、忘れられないのが若き日のロベルト・ボッレを手玉にとるマリ・アニエス・ジロー。そして彼女を操るロットバルトがリオネル・ドラノエという非常にドラマチックなパ・ド・トロワ。
今回はフランソワ・アリュが怪我で降板のため、パ・ド・ドゥに変更。
とても美しい二人で、とくにルーヴェは若き日のローラン・イレールとマチュー・ガニオを髣髴とさせる青春の息吹を感じさせる長身で美しいダンサー。空間を大きく掴んだ踊りは長身が映えて素敵ですが、バランスがところどころ危うくなるのはこれまた若き日のマチューを思い出させるものあり。
逸材だから早めに挙げられたのでしょうね。今後が楽しみです。
「エスメラルダ」 パ・ド・ドゥ
振付:マリウス・プティパ
音楽:チェーザレ・プーニ
オニール八菜、ユーゴ・マルシャン
噂のオニール八菜。素敵なダンサーです。長身ですらりと筋肉質の長い手足と凛とした表情で自信たっぷりに見得を切る様は、電撃引退が悲しかったボリショイのマリア・アレクサンドローワのよう。
ユーゴ・マルシャンは今年の3月の東京でエトワールに任命された縁あるダンサー。
彼も長身でこれはオレリーの指導ゆえか踊りの質が空間を大きく包み込むように立体的に踊るのが目に心地よい。
「マンフレッド」
振付:ルドルフ・ヌレエフ
音楽:ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー
マチアス・エイマン
王女を引き立てる王子から、存分におのれの力を見せつける演目も別途マチアスのために用意されていました。
シャープなテクニックを繰り出すエンターテイナーであるロイヤルのマックレーに対し、こちらは内から湧き出でるエネルギーをゴムまりのように弾ませつつ自在にかつ滑らかに制御する力と成熟の拮抗が物語の人物の内なる葛藤と重なり合うところが見どころ。
― 第3部 ―
「ドン・キホーテ」 ディヴェルティスマン
振付:マリウス・プティパ
音楽:レオン・ミンクス
キトリ、バジル: 高田 茜、フェデリコ・ボネッリ ほか
キトリのヴァリエーション: ミリアム・ウルド=ブラーム
キトリ、バジル: ヤーナ・サレンコ、スティーヴン・マックレー
パ・ド・トロワ: ミリアム・ウルド=ブラーム、レオノール・ボラック、ユーゴ・マルシャン
バジルのヴァリエーション: マルセリーノ・サンベ、ベンジャミン・エラ
キューピッド: フランチェスカ・ヘイワード
ドリアードの女王: オニール八菜
キトリ、バジル: レオノール・ボラック、ジェルマン・ルーヴェ
バジルのヴァリエーション: マチアス・エイマン
キトリのヴァリエーション: レオノール・ボラック
コーダ: 全員
ロイヤル、オペラ座の若きプリンシパル、エトワールたち中心にそれぞれのバレエ団自慢の演目を見せつけた後に待っているのは、主役級のペアがソロが次々に繰り出されるドンキ。
ガラ公演の最後にその日一番のテクニシャンペアが妙技を披露して沸かせるこの演目をこれだけのメンバーが、という豪華さよ。
例えば高田さんが男たちに囲まれて町一番の美女を。。。の囲む男たちがプリンシパルズで、キトリがナイフを地面に突き立ててその間をトウで縫うように踊りぬけるのをマントを振って盛り立てる闘牛士たちがずらりとエトワールといった具合。
華やかなお衣装もロイヤル・オペラ座それぞれの趣向の違いが見て取れて楽しい。
しかし、スティーブンの白シャツ、ボタンをはずして深めの開襟というよりはすでにボタンをかけ忘れた?かのような謎の着こなし(笑)・・・もご愛敬。
大変な盛り上がりで初日の幕が下りました。
若手の活躍で、また、ベテランの引退で寂しくなった気持ちが盛り上がりました
※音楽は特別録音によるテープを使用。
◆上演時間◆
第1部 18:30 - 19:25
休憩 15分
第2部 19:40 - 20:25
休憩 15分
第3部 20:40 - 21:05
という触れ込みのNBSによる新企画、「バレエ・スプリーム」
今まで、例えばボリショイとマリインスキー夢の競演といったガラ公演は見たことがありますが、
オペラ座とロイヤルとはまた面白い取り合わせ。
2017年3月のオペラ座来日公演時、芸術監督オレリー・デュポンとの打ち合わせで決まったのでしたっけ。
オペラ座チームのプロデュースはオレリーが。ロイヤルの元締めはスティーブン・マックレーが務めるこの公演、
このところの大物の引退続きで寂しさのあまり、バレエへの興味が薄れる昨今、あまり盛り上がらない気持ちで赴いた文京シビックホールの初日。
<バレエ・スプリーム>Aプロ (7/26 18:30開演)
― 第1部 ―
「ラプソディ」
振付:フレデリック・アシュトン
音楽:セルゲイ・ラフマニノフ
ヤーナ・サレンコ、スティーヴン・マックレー
小柄で金髪、見た目のバランスもきびきびとした踊りの質も実によく似合う二人。
ヤーナはオレンジの輝き、スティーブンはイエローゴールドのシンプルなレオタードの衣装で、超絶技巧を
難なくこなすオープニング。
「アスフォデルの花畑」
振付:リアム・スカーレット
音楽:フランシス・プーランク
フランチェスカ・ヘイワード、マルセリーノ・サンベ
黒髪に小麦色の肌の筋肉質な中肉中背のペア。
グレイッシュパープル系のお衣装が肌色に映えてとてもシック。
「ジゼル」 第2幕よりパ・ド・ドゥ
振付:ジャン・コラーリ、ジュール・ペロー
音楽:アドルフ・アダン
高田 茜、ベンジャミン・エラ
高田さんは2008年ローザンヌで受賞したときからのファン。若さに似合わずしっとりした抒情的なアームスと丁寧な踊りが好印象。その後、ロイヤルバレエの2013年の来日公演では「不思議の国のアリス」に出演している彼女をチェック。その時はまだソリストの役付きではなく、トランプの淑女の一人でしたがとてもきれいで目をひきました。
というわけで、今回はプリンシパルに昇格した彼女を初めて見る機会ということでとても楽しみに鑑賞。
華奢な骨格に繊細な容姿で、ロマンチックチュチュがとてもお似合い。
の割にはジャンプして素早く脚を交差させる連続の振りなどでは、ジゼルの重力を感じさせない浮遊感を繊細に表現しながら、ジャンプの位置の高さに驚かされました。
「アイ・ガット・リズム」
振付:スティーヴン・マックレー
音楽:ジョージ・ガーシュウィン
スティーヴン・マックレー
自在にタップを踏むスティーブン!2003年のローザンヌから2013年来日公演「不思議の国のアリス」でのマッドハッターまで、彼のキャリアの随所で見せるタップはいつも鮮烈。
AMPに転じたアダム・クーパーのように、クラシックバレエの枠内に収まらないエンターテイナーの素質を持つ彼がちょっとガス抜きするためのタップなのかな?と思ったり。
「ロミオとジュリエット」 第1幕よりパ・ド・ドゥ
振付:ケネス・マクミラン
音楽:セルゲイ・プロコフィエフ
フランチェスカ・ヘイワード、フェデリコ・ボネッリ
バルコニーで一人ロミオを思うジュリエット・・・からの名場面。
この演目に関しては、あまりに名演を多く見過ぎて・・・・
なのですが、十分魅力ある二人でした。
ロイヤル組の演目の選び方のバランスがとても良かったです。
2枚看板のアシュトンにマクミラン、スティーブンの名刺代わりのようなタップ、ロマンチックバレエにバランシン、そしてバレエ団付の振付家の新作。ロイヤルの魅力がわかりやすく提示されていてそれぞれのダンサーの持ち味にもよく似合っていました!
― 第2部 ―
「白鳥の湖」 第2幕よりパ・ド・ドゥ
振付:ルドルフ・ヌレエフ(マリウス・プティパ、レフ・イワーノフに基づく)
音楽:ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー
ミリアム・ウルド=ブラーム、マチアス・エイマン
盤石の古典ですが、ヌレエフ版というところがオペラ座。
今、頼れる中堅としてテクニックのみならず、王子の風格を醸し出しているマチアスと小柄ながら均整の取れた繊細なリアルプリンセスな容姿と安定したテクニックのミリアム。若くて愛らしい二人というイメージが強かったのですが、こうして若手が台頭してくると、一味深みのあるベテランペアという印象。
「白鳥の湖」 第3幕よりパ・ド・ドゥ
振付:ルドルフ・ヌレエフ(マリウス・プティパ、レフ・イワーノフに基づく)
音楽:ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー
レオノール・ボラック、ジェルマン・ルーヴェ
こちらはオディールが王子を篭絡する場面。ヌレエフ版といえば、忘れられないのが若き日のロベルト・ボッレを手玉にとるマリ・アニエス・ジロー。そして彼女を操るロットバルトがリオネル・ドラノエという非常にドラマチックなパ・ド・トロワ。
今回はフランソワ・アリュが怪我で降板のため、パ・ド・ドゥに変更。
とても美しい二人で、とくにルーヴェは若き日のローラン・イレールとマチュー・ガニオを髣髴とさせる青春の息吹を感じさせる長身で美しいダンサー。空間を大きく掴んだ踊りは長身が映えて素敵ですが、バランスがところどころ危うくなるのはこれまた若き日のマチューを思い出させるものあり。
逸材だから早めに挙げられたのでしょうね。今後が楽しみです。
「エスメラルダ」 パ・ド・ドゥ
振付:マリウス・プティパ
音楽:チェーザレ・プーニ
オニール八菜、ユーゴ・マルシャン
噂のオニール八菜。素敵なダンサーです。長身ですらりと筋肉質の長い手足と凛とした表情で自信たっぷりに見得を切る様は、電撃引退が悲しかったボリショイのマリア・アレクサンドローワのよう。
ユーゴ・マルシャンは今年の3月の東京でエトワールに任命された縁あるダンサー。
彼も長身でこれはオレリーの指導ゆえか踊りの質が空間を大きく包み込むように立体的に踊るのが目に心地よい。
「マンフレッド」
振付:ルドルフ・ヌレエフ
音楽:ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー
マチアス・エイマン
王女を引き立てる王子から、存分におのれの力を見せつける演目も別途マチアスのために用意されていました。
シャープなテクニックを繰り出すエンターテイナーであるロイヤルのマックレーに対し、こちらは内から湧き出でるエネルギーをゴムまりのように弾ませつつ自在にかつ滑らかに制御する力と成熟の拮抗が物語の人物の内なる葛藤と重なり合うところが見どころ。
― 第3部 ―
「ドン・キホーテ」 ディヴェルティスマン
振付:マリウス・プティパ
音楽:レオン・ミンクス
キトリ、バジル: 高田 茜、フェデリコ・ボネッリ ほか
キトリのヴァリエーション: ミリアム・ウルド=ブラーム
キトリ、バジル: ヤーナ・サレンコ、スティーヴン・マックレー
パ・ド・トロワ: ミリアム・ウルド=ブラーム、レオノール・ボラック、ユーゴ・マルシャン
バジルのヴァリエーション: マルセリーノ・サンベ、ベンジャミン・エラ
キューピッド: フランチェスカ・ヘイワード
ドリアードの女王: オニール八菜
キトリ、バジル: レオノール・ボラック、ジェルマン・ルーヴェ
バジルのヴァリエーション: マチアス・エイマン
キトリのヴァリエーション: レオノール・ボラック
コーダ: 全員
ロイヤル、オペラ座の若きプリンシパル、エトワールたち中心にそれぞれのバレエ団自慢の演目を見せつけた後に待っているのは、主役級のペアがソロが次々に繰り出されるドンキ。
ガラ公演の最後にその日一番のテクニシャンペアが妙技を披露して沸かせるこの演目をこれだけのメンバーが、という豪華さよ。
例えば高田さんが男たちに囲まれて町一番の美女を。。。の囲む男たちがプリンシパルズで、キトリがナイフを地面に突き立ててその間をトウで縫うように踊りぬけるのをマントを振って盛り立てる闘牛士たちがずらりとエトワールといった具合。
華やかなお衣装もロイヤル・オペラ座それぞれの趣向の違いが見て取れて楽しい。
しかし、スティーブンの白シャツ、ボタンをはずして深めの開襟というよりはすでにボタンをかけ忘れた?かのような謎の着こなし(笑)・・・もご愛敬。
大変な盛り上がりで初日の幕が下りました。
若手の活躍で、また、ベテランの引退で寂しくなった気持ちが盛り上がりました
※音楽は特別録音によるテープを使用。
◆上演時間◆
第1部 18:30 - 19:25
休憩 15分
第2部 19:40 - 20:25
休憩 15分
第3部 20:40 - 21:05
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