11日の金曜日、熊川哲也率いる、Kバレエカンパニー新作「海賊」の初日、東京文化会館に行ってまいりました。
ヨランダ・ソナベンドの美術は今回もスペクタクルロマンを彩る重要なファクターとして機能。
嵐の海から、海賊船が打ち上げられ、メドゥーラ、ギュリナーラ姉妹らギリシャの乙女たちとの出会いの場としての浜辺、ランケダムが仕切る奴隷市場、海賊のアジト、パシャのハーレム、そしてラストの朝焼けの海まで、深みのある豪華な色彩豊かな舞台で物語と主役の踊りを引き立てます。
この日は初日とあって、Kバレエ渾身の1stキャスト。
海賊の首領コンラッドにスチュアート・キャシディ、彼と恋仲になる美少女メドゥーラに吉田都さん。
コンラッドの忠実な僕アリに熊川哲也。パシャに売られるメドゥーラの姉、ギュリナーラに松岡梨絵。
奴隷商人ランケダムには怪我で降板の芳賀望に代わって輪島拓也。
途中で裏切り者に変貌する海賊のNO.2ビルバンドにビャンバ・バットボルト。
宝石に身を包み、富に任せて美人奴隷によるハ-レムの主として君臨するサイードパシャにイアン・ウェッブ。
特筆すべき点は、なんといっても全編を通して大活躍のアリの存在感。
「海賊」は本来、コンラッドとメドゥーラの恋物語を中心に展開されるオハナシなので、アリは有名な見せ場のパ・ド・トロワでこそ存在感と限りない忠誠心を示すもののあくまで脇役のはず・・・だったのが、熊川版では、常に一団の先頭に立ち、戦闘シーンで最初に剣を抜くのは彼、初めに少女たちに挨拶をするのも彼。コンラッドに忠誠を尽くしながらも、奴隷として主人を敬う、というよりは、腹心のデキル部下として、「片付けておきましたぜ」とどんどん物語を展開させていく推進力として常に舞台の中心にいるのが彼。
というのがまず、印象深いところ。
勿論、踊りもその出番の多さに比例して、新しいソロがふんだんに盛り込まれています。
メドゥーラをリフトする力仕事はコンラッドに主にお任せして、主役の男性ダンサーでありながら、一人自由に超絶技巧をあますところなく魅せる美味しい役どころ。
常々男性ダンサーの、力強い魅力を引き出す振付に惹かれると語る熊川が、自身のために見せ場をしっかりと用意した作品によって、信じがたいほど加速するピルエット、2階席からでもその高さに息を呑む跳躍、それらの正統的な踊りから逸脱しているかに見えて、きっちりと音楽を奏でることを可能にする安定したボディコントロールなど、彼の良さが最大限に発揮されていると言ってよいのではないでしょうか。
衣装もよくあるアリ役の、上半身は裸でブルー系のハーレムパンツを身に着けた簡素な姿とは程遠い、ブロンズでサイドを彩った麻色のパンツに上半身はワンショルダーの短いTシャツ状に見えるようなブロンズのストラップでかすかに覆われてゴージャス。エキゾチシズムをかき立てるサファイヤ色の石で額に留められた一本の白い羽がアリ役としてのルールをかすかに留めて・・・。
彼のこの役に対する思い入れが伝わる振りと衣装でした。

こちらは宣伝用のスチールなので、舞台衣装とは若干異なりますが、スピリットはお伝えできるかと・・・
ヨランダ・ソナベンドの美術は今回もスペクタクルロマンを彩る重要なファクターとして機能。
嵐の海から、海賊船が打ち上げられ、メドゥーラ、ギュリナーラ姉妹らギリシャの乙女たちとの出会いの場としての浜辺、ランケダムが仕切る奴隷市場、海賊のアジト、パシャのハーレム、そしてラストの朝焼けの海まで、深みのある豪華な色彩豊かな舞台で物語と主役の踊りを引き立てます。
この日は初日とあって、Kバレエ渾身の1stキャスト。
海賊の首領コンラッドにスチュアート・キャシディ、彼と恋仲になる美少女メドゥーラに吉田都さん。
コンラッドの忠実な僕アリに熊川哲也。パシャに売られるメドゥーラの姉、ギュリナーラに松岡梨絵。
奴隷商人ランケダムには怪我で降板の芳賀望に代わって輪島拓也。
途中で裏切り者に変貌する海賊のNO.2ビルバンドにビャンバ・バットボルト。
宝石に身を包み、富に任せて美人奴隷によるハ-レムの主として君臨するサイードパシャにイアン・ウェッブ。
特筆すべき点は、なんといっても全編を通して大活躍のアリの存在感。
「海賊」は本来、コンラッドとメドゥーラの恋物語を中心に展開されるオハナシなので、アリは有名な見せ場のパ・ド・トロワでこそ存在感と限りない忠誠心を示すもののあくまで脇役のはず・・・だったのが、熊川版では、常に一団の先頭に立ち、戦闘シーンで最初に剣を抜くのは彼、初めに少女たちに挨拶をするのも彼。コンラッドに忠誠を尽くしながらも、奴隷として主人を敬う、というよりは、腹心のデキル部下として、「片付けておきましたぜ」とどんどん物語を展開させていく推進力として常に舞台の中心にいるのが彼。
というのがまず、印象深いところ。
勿論、踊りもその出番の多さに比例して、新しいソロがふんだんに盛り込まれています。
メドゥーラをリフトする力仕事はコンラッドに主にお任せして、主役の男性ダンサーでありながら、一人自由に超絶技巧をあますところなく魅せる美味しい役どころ。
常々男性ダンサーの、力強い魅力を引き出す振付に惹かれると語る熊川が、自身のために見せ場をしっかりと用意した作品によって、信じがたいほど加速するピルエット、2階席からでもその高さに息を呑む跳躍、それらの正統的な踊りから逸脱しているかに見えて、きっちりと音楽を奏でることを可能にする安定したボディコントロールなど、彼の良さが最大限に発揮されていると言ってよいのではないでしょうか。
衣装もよくあるアリ役の、上半身は裸でブルー系のハーレムパンツを身に着けた簡素な姿とは程遠い、ブロンズでサイドを彩った麻色のパンツに上半身はワンショルダーの短いTシャツ状に見えるようなブロンズのストラップでかすかに覆われてゴージャス。エキゾチシズムをかき立てるサファイヤ色の石で額に留められた一本の白い羽がアリ役としてのルールをかすかに留めて・・・。
彼のこの役に対する思い入れが伝わる振りと衣装でした。

こちらは宣伝用のスチールなので、舞台衣装とは若干異なりますが、スピリットはお伝えできるかと・・・

あははははは・・・・・・・・・(なんと優雅なMariaさまの前ではしたない!!)
でも、これがわらわずにはいられないよ。
私は海賊に関する知識は全くなかったけど、役どころ読んで、ん?クマテツらしくないな?と思ったのね。
>メドゥーラをリフトする力仕事はコンラッドに主にお任せして、主役の男性ダンサーでありながら、一人自由に超絶技巧をあますところなく魅せる美味しい役どころ。
でも、なんたって自分が率いるバレー団だ。そうか、自分のための「かきおろし」だったのね。
正直に言って数年前に、初めて「カルメン」だったかな?「椿姫」だったかな?Kカンパニー見て、どっちにしても、女性が主役な演目で、彼が小柄な相手役をフオローしてその周りを回っているのを見て、ほんとにがっかり・・・・後からMariaさん書いているけど、その他の人との段差が激しく、群舞(というほど、踊り子は群れていなかった?)もお粗末、会場もお粗末(五反田ではない、赤坂だった)で、もう二度と行かないと思ったのに、たまたま、オーチャードでまた見たんですね。ロミオとジュリエットだったと思う。このときも同じような感想を持ち、立って拍手する人の気が知れなかったのね。
そのイメージからしたら、それを払拭したわけね、名誉挽回というか、クマテツさんにいわせれば、本来の自分だというかな?
いずれにしても、Mariaさまの表現は素晴しい。悪口も麗句に、ブスも美人に見えるマジックね。
この続きはまた、後日。休み時間があてにならないので、今日は放課後にかきました。
あ~楽しかった。また次の章で。
夕べは放課後とはいいつつ、若干酩酊ぎみでしたので、今読むと、とても不適切なことを書いておりした。ごめんなさい。<(_ _)>{ごめんなさい}
××も○○に見えるなんて、まるでまやかしで文章かいてるみたいで、ほんとに不適切!(自分に怒ってる)
兎も角、この海賊①から③は拍手{パチパチ}{笑}。チケットとれなかったことが悔やまれて、ほんと見たかったです。
その思いを一層強くした、レポートでした。できることなら、このレポート読んでから見たかったという気はしますけどね。
ついでに海賊とは関係ない私のバレーに関する偏見の遍歴ですが、ソリストで素晴しい踊りを見せる男性が、女性の手をとって回ったり、リフトしたするのが、どうも不満で、その点ベジャールの振り付けは黒子が女性をリフトしても、あくまで男性も、自由に踊るでしょ。だからベジャールがすきなんですね。
だから、ベジャール踊る東京バレー団がすきな訳です。
ところが、それを払拭したのが、ルグリさまのオネーギンでした。衝撃でした。
あらら、休み時間終わりに。また!{バイバイ}
こんばんは!長いレポ、お読みくださってありがとうございますv
あまりにも突っ込みどころ満載{ラブ}の熊川版、つい興に乗って筆が滑りこんなに長くなってしまいました・・・。
あ、全然気になりませんでしたよ(昨日お書きいただいたこと)!
昨日はフラメンコのお稽古でクタクタになり(エスコビージャが難しすぎます・・というと簡単にしましょうか、と言われてしまうので意地でもデキル振り!)レスできずにこちらこそスミマセンでした。
そうですか、「ロミジュリ」「椿姫」・・・
わたくしの印象ですと、ともに彼の持ち味を出し切れない、運命の恋に翻弄されるシリアスな若者、という役どころがよろしくなかったのでは?
やはり、彼は自分充分な役でこそ輝くのだなぁと、ロイヤル在籍時代の日本公演での「ドン・キホーテ」そして今回の「海賊」で思ったことでした。
それにしても、今日のNEWSで、彼が札幌公演時の怪我で降板だと聞き・・・。
アリ役を他のKバレエの男性ダンサーが踊るとまるで別物になってしまうでしょうね。
地元の札幌で張り切ってしまわれたのでしょうか。次の公演は彼がほとんどの公演で主役を張る「ドン・キホーテ」を予定しているKバレエ、早い回復が待たれるでしょうが、偉大なダンサーなので先々のキャリアのことも考えてしっかりと直していただきたいものです・・・{病院}。
ベジャールダンサーは男女ともに個性を最大限に活かされて活き活きと踊っているように見えるところが素敵ですよね。
男性の群舞にも独特の華があるのが、ベジャール振付の魅力ですわ{ハート}
ルグリ先生の「オネーギン」も冷徹な皮肉屋オネーギンを大変スノッブに演じていらして趣深かったですよね・・・。この演目は彼がいつかは、と嘱望して実現したというものだそうで、思い入れ、そして解釈の深さで魅了されたものです。
また、続きを楽しみにお待ちしております{バイバイ}
早速こちらに伺い、多くのファンが楽しみにしていたにも
かかわらず、観ることのできかなった熊哲さん演じるアリを
いち早くご覧になった舞台鑑賞記をこちらで読ませて頂き、
感激しました。
mariaさんの卓越した描写により、情景が目に浮かぶようでした。
熊哲さんの舞台はこれまでに白鳥、ジゼルと見ましたが、
白鳥などは古典の域にとどまらず、演出も衣装も舞台装置も
彼ならではだなぁと思わせる舞台作りがとても斬新で、これはちょっと、、
と受け入れられない部分も多く含みながら、様々に挑戦されている
思惑が随所にちりばめられているという感じでした。
そしてmariaさんが仰るように、主役の女性ダンサーに
時には勝ってしまう程の存在感と場面構成。
このアリ役のリベンジがあるのかは本人もまだ意識の外で
あるでしょうが、、mariaさんのこの鑑賞記は酷なくらい、
それを待たずにはいられない気持ちになりました。
ようこそお越しくださいました!
つたなき筆ではありますが、今となっては数少ないKバレエ新作「海賊」を熊川氏が自ら踊った公演の記録としてご参考にしていただけると幸いです。
一度は古典バレエ以外の舞踊作品に傾倒して、他分野のダンス作品とのコラボレーション(Kバレエ前、Made in LONDON公演で見ましたが、なんとも筆舌に尽くしがたいものでした{げっ})を経験、改めて古典バレエの完成度と可能性を確信して、クラシックバレエの魅力を広く一般に知らしめるという使命を帯びての演出、という経緯からか、「熊川版」については物語をわかりやすくするための工夫と主に衣装・装置の充実による視覚的な満足度の向上を目指しているという指向性が見て取れます。
後者はまず、一般的に高評価を得ている部分ではありますが、前者については必ずしもバレエファン全般からの支持を得ているとはいえないところもありますね。
ただ、このようなポジティブな攻めの姿勢で、エンターテインメントとしてのバレエを採算の取れる興行として成功させる手腕と志には、チケットの売れ行きを見ても広く支持層を得ているようで、良くも悪くも注目のバレエ団?かと・・・。
わたくしは今回の公演で、やはり彼個人のダンサーとしての優れた資質を再認識。心身ともに充実の35歳という年齢での成熟した舞台を、これからも見せて欲しいと願っています・・・・
あず様にもご覧いただきたい、熊哲アリでした。