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maria-pon

お着物Enjoy生活からバレエ・オペラ・宝塚etcの観劇日記に...

ニジンスキー・プロ 兵庫公演 ③

2007-09-25 06:12:02 | BALLET
「ペトルーシュカ」

ペトルーシュカ: ローラン・イレール
バレリーナ:小出領子
ムーア人:平野玲
シャルラタン:高岸直樹



これが観たかった!
怪しげなシャルラタンが幕を開けると3体の人形が箱の中に腕を固定されながらも活き活きと脚を動かす、その軽快さ。
箱から出て、シャルラタンに渡された棒を持ち、指示通りにへっぴり腰でムーア人に打ちかかるも、逆襲に会い、のされてしまう・・・までの音楽に乗ったリズム感とあくまで自分の意思とは関係なく動かされている人形の悲哀。
自室で一人、身体の痛みとココロの痛みを訴えつつ、部屋に飾られた大きなシャルラタンの肖像画に怯えるペトルーシュカ。
密かに思いを寄せているバレリーナがシャルラタンによって部屋に送り込まれたのを見て、必死に愛を訴えるが、引かれてしまう。
乗り込んだムーア人の部屋ではむつまじい2人に動揺してムーア人を攻撃するが転がされて逃げ惑う・・・(この辺り、全く無駄な動きが無く、しかもマリオネットの人形のよう)
祭りの興奮が最高潮に達した広場に走りこんでくる、ペトルーシュカとそれを追う青竜刀を手にしたムーア人、様子を伺うバレリーナの一群。
追いつかれ一刀煌き、倒れ臥すペト。ノシノシと去るムーア人、後を追うバレリーナ。
この殺人を驚きを持って囲む群集に、倒れつつも、今際のキワで訴えるペトルーシュカ。
おが屑の詰まった木偶人形、何も事件ではありません。とシャルラタンが持ち上げたペトの死体は確かに人形。疑いながらもその場を去る人々。
夜、振り返ると屋根の上にペトルーシュカの亡霊が・・・・。
訴えるのは心を持ったが故の苦しみ、心を持つ、そのことが命を持つということで、恋の苦しみも全て、心あるがゆえに引き受けなくてはならない、人間のレゾン・デートル・・・。

群舞はこの日も見事でした。それぞれが自分の役を活き活きと存在感を持って細やかに演じていた東バのソリストに言及したい気持ちもありますが、何よりも、際立つのは、イレールのペトルーシュカの洗練された踊りから見える純粋な哀しみの表現。

彼は、抽象的なテーマを背景に持つ役を踊るときには、グッと本質に迫ってその真髄を抉り出した上で、そのメッセ-ジを余計な情念を振り払った極めて洗練された形で、美しい舞踊表現の中に映し出す天才。



これで最後かもしれません。ローラン・イレールのペトルーシュカ、しかと目に焼き付けました。



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8 コメント(10/1 コメント投稿終了予定)

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Unknown (どな)
2007-09-26 05:28:42
今回も素敵なレポートをありがとう~{ラブラブ}

人形を介して・・
いえいえ。人形を演じるダンサーを介して、
人として生きる哀しさ、難しさ、そして喜びを表現するなんて・・
バレエって奧が深いのですね・・{ラブ}

そしてそんな難しい演目に果敢に挑むダンサーの皆さまに{パチパチ}{パチパチ}

そしてそして・・
急遽神戸にまで馳せ参じてしまうmariaちゃんにも・・{花束}

mariaちゃんが{キューピット}のイレール様の舞台も観てみたくなりました{虹}
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Unknown (maria)
2007-09-26 07:57:26
どなさん

おはようございます!
7月後半から始まった怒涛のバレエ月間もついに兵庫でひとまず幕を閉じました。。。
フェリのBプロなど、まだ手付かずのものもあるのですが、今回のニジンスキー・プロは、美術館の好企画なども相まって、予想していたよりも心奪われる体験となったように思います{ラブラブ}

ルグリ先生の大阪公演でもOPERA座ダンサーの真髄を感じ取ってくださったどなさんですものね{ラブ}
きっと、我が”殿”イレールの舞台をご覧になったら・・・
うーん、今はオペラ座公演ではもう踊られなくなってしまったので、本当にレアな機会になってしまいそうですが、(でも、本人も自分の踊りの円熟期に達していることには自覚的でいらっしゃるのでは・・と思っています)機会があれば是非!!

今回は兵庫まで飛んでいって本当に良かったです{ラブラブ}
しかし、イレールの吸引力恐るべし・・・
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Unknown (Naoko S)
2007-09-27 06:46:41
maria様

西宮は楽しかったですね!{ルンルン}早速の、充実のレポを有難うございました。

>>彼は、抽象的なテーマを背景に持つ役を踊るときには、グッと本質に迫ってその真髄を抉り出した上で、そのメッセ-ジを余計な情念を振り払った極めて洗練された形で、美しい舞踊表現の中に映し出す天才。

素晴らしいっっ!{パチパチ} ズバリと、それこそ本質に迫るイレール論ですね。本当に、舞台の上では常に瞳に{火}を燃やして情熱の塊{ロケット}となって踊るイレール、なのにギラギラしたところを微塵も感じさせないのは・・・まさに、洗練の極地ですわね。

>>しかし、イレールの吸引力恐るべし・・・

ハイ、ただただ深~く頷くのみですわ~{スマイル} おびき寄せられたファンがここにも一人・・・{ドキドキ} 
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Unknown (maria)
2007-09-28 07:11:29
Naokoさま

おはようございます!
その節はありがとうございました~
あのCプロも、Aプロ時点で、Naoko様から伺わなければ知らないままだったかもしれませんxxx
おかげさまで、関西劇場体験も出来、ジュド様と殿の今回来日では最後の公演を存分に楽しむことが出来ました。

イレールは本当に不思議な魅力を持ったダンサーですよね・・・{ハート}
今回、ようやく、彼の魅力を言葉にしてみはしましたが、常に新しい何かを舞台で生み出していく方なので、まだまだ更新の余地アリ・・・!?
願わくはその現場一つ一つに立ち会うこと、ですが・・・さて・・・?
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Unknown (chelsea)
2007-10-11 03:15:10
2から続きです♪

関西公演の最後のローランを
しっかり目と心に焼きつけられたのですね♪

今回のローランの姿は多くの人の心に残ったことでしょうね。
観た人で私が感想を伺った方は皆さん絶賛してますし、
「ローランに惚れた~」と友人達にも次々に言われ、
(と言うか、その時点では皆ポ~っとなっていて、
後から次々にメールが来たという感じです{携帯})
なんだか私、鼻が高かったです!{グッド}
何故オマエが~とローランに殴られそうですね{汗}
まあいいじゃないですか・・という事で(笑)

やっぱりまだローランとはお別れしたくないなぁ・・。

お別れと言えば、話は全然変わりますが、
ジャン=ギョーム・バールが早くも引退だそうですね。
寂しいです{涙}
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Unknown (maria)
2007-10-14 04:18:44
chelseaさま

コメントありがとうございます。
ローランのペトルーシュカ、心にズサリと刺さりました・・・・{キューピット}。
この矢は抜けることがないでしょう・・・。
彼の踊りを観る度に、あるいはご覧になった方の感想を伺うたびにこれから先、この矢は心を掻き立て続けることと思われます・・・。

ようやく、振り返りモードになれた今、なお思い出すと夢のような舞台だった・・・と。
1度でも、この感想は変わらないとは思いますが、関西にも行った、ということで自分として少しは納得がいくような。。。でも、海上遭難者が海水を呑んで却って水を欲するように、どんどんローランの舞台に対して貪欲になっていく自分が恐ろしくもあります・・・{ラブ}{涙}。

お友達から賞賛の声が次々と・・・・そうでしょう、そうでしょう{ラブラブ}
でもってなぜか(?)得意なお気持ちにってわかりますわ~{笑}{ルンルン}
わたくしも、東京2日目の終了後、ローランに対する満場の拍手、それを心から受け止める彼の姿に心中良かったよかった・・と身内気分(コラコラ)でしたもの・・{爆弾}

ジャン・ギーの引退の件、完全引退、ではないとか諸説ありますが、厳格なクラシックダンサーとして通の賞賛を集める彼が定年にまだまだ時間があるにもかかわらず、下した決断にはショックを受けました・・・。
わたくし、ジャン・ギーの名前を意識するようになってからまともに見ることの出来た舞台ってまだないように思いますxxx
間に合わなかったか・・・という思いで。。。淋しいですね・・・{涙}


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Unknown (chelsea)
2007-10-24 07:45:57
忘れた頃にやってくるchelseaです{ハロウィン}

やっぱりmaria様も身内気分に!?
ですよね~。そうですよね~。
これを見たらファンはそう感じちゃいますよね。
愛ですね~{超びっくり}

もっともっとローランを欲してしまう気持ち分かります。
行ける所へは何処へでもという勢い!{ロケット}
あぁ本当に何処へでも行けたら・・!

こうなったらローランの牧神も見てみたい気が・・
パロディじゃない方の(笑)
あ、パロディの方でもいいですが(笑)

ジャン=ギーは故障でもあったのでしょうか。
振付けの方に行くのか、まさか移籍?
日本では何故か知名度も低く人気もイマイチでしたが、
大好きなダンサーだったので悲しいです{グズン}
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Unknown (maria)
2007-10-26 05:48:13
Chelsea様

ようこそです!
ご無沙汰しておりました・・・{ラブ}

そうなんです。誇らしく”身内”ローランを誇るファンがここにも一人・・・。
思い出すだけでもポーッとしてしまいますよね・・・。
あぁ、あの舞台はまさに、夢のような”マラーホフからの贈り物”、でした{ラブラブ}

ローランの「牧神」。。。
ジュド様のオーラ系とはまた違った、でも魅力全開!の牧神になりそうですね(妄想)
流石の井脇さんも、今度こそ、失神してしまわれるかも・・・なーんて(笑)

あ、いや、ティッシュBOXの精は勘弁してくださいませ~{爆弾}
でも、イタリアでは踊ったのですよね・・・。
「最近は自分にあった作品を選ぶようにしている」とおっしゃっていた殿が・・・むむむ{りんごちゃんNG}。


ジャン・ギーは、健康上の理由だそうですよ・・・
派手やかさはないものの、目の高いバレエファンの絶大なる支持を得ていた純粋なクラシックスタイルの具現者とされていた彼、わたくし、ジャン・ギーをそのような目で認識してから見るチャンスにつとに恵まれず。。。
結局、観たいと思ってみることの敵わぬまま、引退の知らせを耳にする、ということになってしまいました。
やはり、バレエは一期一会、一つ一つの公演を逃さないようにするしかないですね!





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