記憶探偵〜益田啓一郎のブログ(旧博多湾つれづれ紀行)

古写真古地図から街の歴史逸話を発掘する日々。ブラタモリ案内人等、地域の魅力発掘!まち巡りを綴ります。

期待通りの面白さ!映画「曲がれ!スプーン」。

2009年11月26日 22時31分43秒 | 演劇・音楽
 23日、午前中に週末公開が始まった映画「曲がれ!スプーン」を観に行った。
この秋、個人的に最も楽しみにしていた作品である。元々は大好きな劇団「ヨー
ロッパ企画」の舞台作品である「冬のユリゲラー」。福岡では残念ながらこの作
品の舞台公演は行われていないが、DVDで繰り返し楽しませてもらい、個人的に
彼らの作品の中でも最も好きな、傑作ワンシチュエーション・コメディの映画化。
否応無しに期待値大で観に行った。

 本広克行監督は2005年に公開された「サマータイムマシン・ブルース」に続い
て、彼らの作品を映画化。しかも前作同様、劇団メンバーも出演し、本編の随所
に過去の本広作品のキャラ達、いわゆる「本広組」の寺島進や升毅、ユースケ・
サンタマリアなど名脇役が大集合。「サマータイム~」舞台を本広監督に推薦し、
ヨーロッパ企画と引き合わせた立役者・佐々木蔵之介も隠れキャラ的に登場(笑)
していて、本筋とは別の部分でも楽しめた。

 そしてロケ地は「サマータイム~」「UDON」に引き続いて、本広監督の故郷で
ある香川県で行われ、いわゆる香川三部作になっている。出身者や土地勘のある
人、前2作のロケ地巡り(善通寺市、丸亀市など)をした私などはその点でも楽
しめた。なにせ、善通寺の周辺をロケ地マップすら持たずに映画のシーンを頼り
にロケ場所を巡った強者が私である(笑)。

 なぜそれが出来たかというと、シーンの遠景に必ず善通寺や金比羅山など誰で
も判る景観が入っているからで、私はこの計算され尽くした構図・カメラワーク
に現地へ立って気づき、感動したのを憶えている。福岡を舞台に撮影された映画
もあるが、背景にとけ込みつつ自己主張する光景がある映画は、そう無いのでは
なかろうか。特に「路地裏風景」の使い方が最高である。

 先日、福岡の映像系専門学校の学生による「博多」を題材にした映像小作品を
見せてもらったばかりだったので、彼らにはこの手の映画を観て勉強してもらえ
たらなぁ、と思った。全てのシーンが印象深く、テンポ良く、そして印象的。さ
すがにプロの仕事である。何より、この手の表現部分はセンスも必要だろう。

 原作舞台の空気感が忠実に、さらに広げられて再現されている中で、主演の長
澤まさみが浮くのではないか、との危惧も杞憂に終わった。なにせ舞台版では、
長澤が演じる女性ADは脇役キャラであり、主役が誰かと言われると「エスパー」
達である。その設定を逆転し、さらに「史上最弱」のエスパー達を演じるのは、
ヨーロッパ企画の二人を含めて小劇場で活躍する演劇人たちである。

 有名俳優を主要キャストに配することは簡単だったはずだが、それをせずに劇
作品としての空気感を残すために舞台的要素、小気味良い掛け合いとアドリブも
大切にしていて、それに対する唯一の主要女性キャストの長澤は個性的な舞台俳
優を相手に、想像以上に自然に堂々と立ち振る舞っているように見えた。これは
前作「サマータイム~」の瑛太と上野樹里が同様の設定で馴染んでいたのと重な
る。

 パンフにも書かれていたが、「影のある少女、女性」を演じることの多い長澤
には、意外とコメディの方が向いているんじゃないだろうかと私も思う。公開中、
たぶんあと2回くらい観に行くだろうな、と思いつつ、2月13~15日に福岡公演
が行われる舞台版「曲がれ!スプーン」がまた楽しみになった。

今日の写真は、3年前に「サマータイムマシン・ブルース」ロケ地巡りに行った
時に撮影した1枚。映画の小道具、ヨーロッパ企画の第1作舞台の映画化看板と
いう設定。

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